デザイン思考がわからない

2019-06-17 07:54

これまでに何度か書いたことだが、私には「デザイン思考」なるものがよくわからない。何度聴いても何を言っているのか理解ができないのだ。

ユーザを観察する。プロトタイプを作って改良を繰り返す。そんなのは当たり前の話であり、その方法には長所もあれば欠点もある。なのに何をそんなにいきがっているのか。そういうところにこういう記事を読む。

これからの社会を——もはやロジックだけでは正解を導き出せない時代を生きる全てのビジネスパーソンに必須の、「思考のメソッド」です。

 では、どんなメソッドなのか。

 トップデザイナーたちが実践している思考法を抽出し、理論化し、それぞれの仕事(企業経営や商品開発はもちろん、営業やマーケティングに至るまで)に転用することによって、これまで誰も思い浮かばなかった、優れた答えを導き出す――。これが、デザイン思考の大枠です。

引用元:スティーブ・ジョブズが頼った“切り札”――「デザイン思考」がもたらすこれだけの“革新” (1/5) - ITmedia ビジネスオンライン

上の文章を読んで何を言っているかわかるだろうか?私には薄っぺらな宣伝文句の集合体としか思えない。おまけにこの記事を最後まで読んでも何もわからず結局

「僕が書いた本を買ってね!」

になっている。

こういう人間が「デザイン思考」と吹きまくることが、デザイン思考のネガティブキャンペーンになっているのではなかろうか。

とはいってもこの記事から学ぶ点はいくつもある。とにかく名称を作って吹きまくればそれなりに商売になる、ということ。だから私も文句ばかり言っていないで自分で旗をあげよう。名付けて

マインドフルネスデザイン

なんかかっこいいでしょう?えっ?だめ?本はそのうち書くから。



元模倣の天才

2019-06-14 08:01

今の若い人は知らないかもしれないが、かつて日本は「模倣の天才」と言われていた。TVも自動車もアメリカ製品を模倣し、そのうちもっといいものを作ることで世界を席巻した(そんな時代もあったのだ)

今やわが国はその「お家芸」であった模倣すらできなくなったらしい。私はやったことがないがドラゴンクエストという有名なゲームがあり、それをPokemon GO的な外を実際にあるゲームにしたものが発表された。その中身はどうかというと

外に歩けばレベリングは出来るけど、装備は札束使えば寝ながら揃うというのは運営バカだと思うわ。

ポケモンGOでいうレイドパスはゴールドで買えるけど、これを課金要素にしろよw

においぶくろとかキメラの翼とか有能な道具をゴールドで買える仕様にしたのか理解できない

引用元:タートル@雑談さんのツイート

私は長年Pokemon GOをプレイしているが、現金は一円も使っていない。それでも十分楽しい。ホリエモンが「課金しても強くなれない」と嘆いていたらしいが、開発元はPay to win:課金すれば勝てる、という要素を徹底的に排除した。つまりお金を払えば強い武器が手に入るとか、体力が回復するとかそういう要素を全部削ったのだ。ではどこで儲けるか?そうやって人がたくさん使ってくれれば、ゲームが人間の動きをコントロールすることができる。それゆえユーザからではなく、スポンサー企業を募りそこから集金したのだ。これは実に画期的。

その成功を十分学ぶ時間があったはずだ。ゲーム各社は。なのにこのドラクエGoは従来の

「金を払えば強くなれる」

から一歩も進歩していないらしい。

位置ゲーとしポケモンGOから一番学んでほしかったのは集金要素なんだよね。

ガチャがなくても集金出来るのがポケモンGO。企業的な視点で言うとね。

本当にもったいないゲームだと思う。

このままだと星ドラGOになる。
18:18 - 2019年6月11日

引用元:タートル@雑談さんのツイート

最初にPokemon Goのようなゲームを作るのはとても勇気がいることであり、失敗の可能性も高い。しかしそれを模倣するのはより容易なはずだ。とくにドラゴンクエストのように皆が知っているキャラクターを利用できるのであれば。

なのに、今や日本企業は模倣すらできない。結局

「金を払えば、ガチャが回せます。ガチャであたると強くなれます」

を改めることができない。

もうあれだ。「ものづくり大国」とかいう夢に浸るはやめ、まず負けを認めよう。その上で模倣からやりなおしませんか?


ファンタジーと現実と

2019-06-13 07:56

"人工知能"に関する本を書きながら、あれこれ調べたり考えたりしている。

最近あることに気がついた。”人工知能”で飯を食べていく方法は二つあり

・実際に”人工知能”技術を応用したサービス、製品を作り現実と対峙する

・何も作らないが適当にホラを吹く

後者は概して楽観的である。というか無責任なまでに楽観的である。強い人工知能がどうの、シンギュラリティがどうの、フレーム問題なんかも難題ではない、とうそぶくのは後者である。ただ彼らは(今のところ女性の例を見つけられていない)何も作らない。

それに対して前者は後者に比べ「現実的」である。その一人の声を聞こう。

アマゾンはすでに、約50の自社倉庫に、20万台以上のロボットを導入。高度なロボット工学にも多額の投資を行なっている。
5日には、倉庫内で仕分け作業を行なう「Pegasus」や、荷物を入れたパレットを運ぶ「Xanthus」など、新型ロボットを発表した。
しかし同社のロボット技術部門を率いるタイ・ブランディ氏は、全自動化の段階に達することは決してないだろうと述べた。
機械学習や自動化、ロボット工学や宇宙産業で活用される技術などに関する、同社のカンファレンスイベント「re:MARS」でBBCの取材に応じたブランディ氏は、「そんなことには全くならない。そんな風になるとは少しも思わない」と、倉庫の全自動化を否定した。

引用元:アマゾン幹部 「人間は今後も必要」 ロボット大量導入も全自動化は否定 - BBCニュース

今でも「空想的人工知能識者」は「人間の仕事がAIに奪われる!」と叫んでいる。しかし彼らは一向に「機械に押し付けたいような仕事」を奪ってはくれない。彼らは何もしないからだ。

そして自動運転にしろ、倉庫の自動化にせよ現実と対峙している人間は、イーロンマスクを除いてAIが人間を完全に代替することに否定的である。しかし今日も空想的人工知能識者の講演が途絶えることはない。


北朝鮮の幸福度

2019-06-12 08:05

遠慮なく意見を述べてほしい、と言われた時には嘘をつかなくてはならない。特に何も付帯条件をつけずに意見を求められた場合も嘘をつかなければならない。とにかく本当のことを言ってはいけない。

私は元学業での優等生だったので、この簡単な原則を学ぶのにひどく長期間を要した。学校では問題に対して正解を答えると無条件に高い評価が得られたのだ。そして社会にでるとそんなことはまずない。

「悪いニュースを伝えた人は、それがけっして当人の責任によらない場合でも、非難され、ネガティブな感情を向けられる傾向にある。その帰結が“沈黙効果”だ。優れた生存本能を持った部下は、悪いニュースを和らげて聞こえをよくしたり、そもそもニュースが上司に伝わらないようにしたりする。このため、厳しいヒエラルキーの中で上層部に届くのは、喜ばしい話ばかりになっていく」

引用元:従業員が声を上げられる組織文化がなぜ重要なのか ボーイング737MAXの墜落事故からの教訓 | HBR.org翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

こうした事例はどの会社でもあることだと思う。これが現実だが、逆の傾向もある。昨今であれば会社は従業員の満足度にも大きな関心を払っている。問題はそれをどうやって測定するかだ。

いつも思うのだ。アンケートをとれば、世界中でもっとも幸せな国は北朝鮮だと。誰もがそれが嘘だと知っているが、じゃあ否定するデータを収集することができるか?と言われたらNOと答えるしかないだろう。

だからもし企業なり団体が本当に「構成員の本音を知りたい」と思ったらそれ相応の努力をする必要がある。それをしていないということは、企業なり団体は構成員の本音を知りたいのではなく、構成員が「私たちは幸せです」と叫ぶ声を聞きたいと思っているということなのではないか。



日本的ものづくり論

2019-06-11 07:24

某大企業内で展示会をやった時「これはどのようにして設計したのですか」と言われた。私は

「勘です。これがいいと思ったからです」

と言った。若い二人は顔を見合わせて「それではいけない。ちゃんとこれが最適という説明ができないと」と言った。

私はそうですか、と言って笑った。まあ若いからそれでいけると先輩に言われたんだよね。でもね、理屈なんて何とでもつくんだよ。そんなものに意味はない。

おそらく日本の大企業のほとんどはこのロジックで暮らしていると思う。合理的に説明がつき、美しいパワーポイントを作ってゴミを製造する。つまりはこういうことである。

日本の多くの企業で今起こってるのは、マーケティングが主人になってるんですよ。マーケティングが「何を作るか」を決める。人間がそれに従って働くっていう構造になってて、人間がマーケティングの奴隷になってるんですよ。

私はコンサルタントとして外から入っていって、いろいろなプロジェクトに関わりましたけども、「こういうデータは置いといて、〇〇さんはどういうものを世の中に出したいんですか?」って言うと、みなさんキョトンとします。問われたことがないんですよ。考えたことがないんです。

引用元:日本企業はマーケティングの奴隷になっている アートを軸に、サイエンスを道具として使う時代のビジネス論 - ログミーBiz

まず「いいもの」を作る。ここで「いいもの」というのは心の底から自分たちが「これは世界一だ」と思えるもの。その次に売り方を考える。このあたりまえの順番がほとんどの企業で忘れられていると思う。

思えばソニーがウォークマンを出し(最近のゴミのほうね)「これはiPodよりいいものです。売り上げでiPodに勝ってます!」と言っていたところが最後の華だった。あそこまではまだ「音楽機器を作らせればソニーはAppleより上だ」という幻想を持つことができた。

今やそういう幻想を持つことすらできない。そしてなぜそうなってしまったのか説得力のある説明をみたことがない。ということはその問題は今も存在しているということである。私は確信している。日本人がバカな説明にうつつを抜かし、決断する度胸をなくしたからだ、と。


GAFAとの差

2019-06-10 07:34

WWDCというAppleの開発者会議が終わった。初日のキーノートスピーチでは、Mac Proがどうしたとか、Pro用ディスプレイのスタンドが10万円するとかが一般的には話題になったと思う。

少しでもiPhone,Mac上でプログラムを書く人間であれば、驚愕したのはSwiftUIだったと思う。ハードウェアに関してはいろいろな予想がでており、それはほぼ当たっていたし、OSに関しても噂も同等。しかしSwiftUIは全くの不意打ちだった。

何のことかわからん、という人がほとんどと思う。簡単にいえば、AppleがApple製品の上で動くソフトウェアを作る方法を劇的に直感的に、シンプルにしたのだ。

それがどうした?という人にはこう問いたい。Appleはハードウェアを作って儲けている企業だ。(基本は)その上で動くプログラムの開発をやりやすくすることにどれだけ意味があるのか?少なくとも日本の家電メーカーはこうした視点を全く持たなかった。

驚くのは、そうした「直接的には一円にもならない」プロジェクトにものすごい人材と費用を投資していること。この「劇的にシンプルにする方法」はソフトウェアの開発に関する深い知識、経験と思索に支えられており、私が知る限りこうした開発をできる人はほとんどいない。

これはとても日本企業が真似できるところではない。というかそもそも真似しようとすら思わないだろう。

昨日秋葉原の駅前で「Amazonは日本に税金を払っておらずけしからん。Amazonは日本にいらない。Amazonみたいな会社を日本で作ればいい」と誰かが演説していた。私はそれを苦々しい思いで聞いていた。おそらく日本の経営者のほとんどは自分たちとGAFAの何が違うのかすら認識していないと思う。


日本="人工知能"

2019-05-28 08:05

私は今朝確信を得た。日本は”人工知能”と大変親和性がよい国家である。

ちなみに私が”人工知能”と””つきで言及する場合、それは2012年あたりから急速に流行りだした機械学習を用いた技術を指す。でもって日本は”人工知能”大国といっていいと思う。かなり昔から。なぜこんなことをいうか。

『ポケットモンスター』シリーズを初めて実写映画化した『名探偵ピカチュウ』は、おなじみのポケモンが多数登場するものの、いわゆる“おなじみのポケモン・ストーリー”ではない。

引用元:『名探偵ピカチュウ』脚本家、ミュウツーを描く難しさとは ─ 『ポケモン』実写化にかけた製作チームの思い | THE RIVER

米国で制作された「名探偵ピカチュウ」を見た。見事な作品だった。私は日本のポケモンが嫌いである。人間どもは傷一つおうことなく、手下のポケモンをどちらから気絶するまで殴り合わせる。そうしておいて

「俺たちの友情は完璧だぜ!」

とか叫ぶのだ。お前はブラック企業の基地外上司か。

映画「名探偵ピカチュウ」ではポケモンというキャラクターを活かしながら、そうした野蛮な要素をちゃんと排除している。野蛮な行為は非合法な地下で行われているのもリアルである。

つまりポケモンをキャラクターとし、その世界観を尊重しながらちゃんと大人の鑑賞に耐えうる映画にしているのである。

毎年日本の夏休みに合わせて「ポケモン映画」が公開される。こちらは完全に子供向け。彼らが作り上げた「ポケモン映画」という様式美に従うだけ。

ここで起こっていることはどういうことか?

ポケモンは確かに任天堂が生み出したキャラクターだ。そこまではよかったが日本人にはそれをストーリーにすることができない。”人工知能”は細かい範囲での有能な働きを見せる。文章を自動生成させると、1文1文はちゃんと読める。しかしストーリーを作ることができない。

こうした観点から私は日本は”人工知能”と親和性が高い国家だと主張したい。太平洋戦争でも、前線の兵士は食料も弾薬もない中で見事な戦闘を見せた。問題は「なんのために戦争をして、どうしたいのか」というストーリーが存在しなかった点。この図式は今日に至るまで変化がない。

をを、自分で書いてなんだがなかなか見事な「人工知能芸」ではないか。どこかこんストーリーを高い金で買ったり、私に講演を依頼したりしてくれないかな。今なら格安でお受けしますよ。


30年前

2019-05-24 07:54

天安門事件から30年とのこと。あの時私は米国某所で、建物全体がセキュリティ管理の下にあるビルで働いていた。(出張だよ)

軍隊が中国国民に向かって発砲したと言うニュースが流れた時、アメリカ人が我々の部屋に顔を出して「軍隊が発砲した」と告げた。我々は「なんでそんなニュースを我々に伝えるのだろう」とぼんやり思った。

思えばあれから30年。政治とかのニュースに多少は関心を持つようになったのかもしれない。今の私なら部屋に帰ってCNNに釘付けになっていたかもしれないけど。

あれから中国は共産党支配のままだけど、資本主義の超優等生になった。次の30年には何が起こるのだろう。


人工知能芸

2019-05-23 08:17

先日来人工知能芸人の芸をあれこれ鑑賞し、分析している。一つ確かなことはシンギュラリティを信じる人も、ディープラーニングに無限の可能性を見出す人も「疑似科学」の人たちとは少し違うということ。

それゆえ、無茶苦茶な発言をしてもそれを識別することが難しい。とはいえこの「マッチポンプ芸」はなかなか見事だ。

日本企業の間でAI(人工知能)の理解が一向に進んでいない。中身はいわゆるIT(情報技術)化のような話が半分以上ではないか。今までもやっていたことをAIという言葉に換えて、マーケティングに利用しているだけ。意味がまったくないわけではないが、それでは世界で勝てるビジネスは生まれない。だから私は「日本でのAIの盛り上がりは中身のないバブル、いつはじけてもおかしくない」と警鐘を鳴らしている。

引用元:日本の社長にお手あげ:日経ビジネス電子版

君がそれを言うか。散々あることとないことをごちゃまぜにしバブルを煽っておいて、この「警告」そして最後の捨て台詞は「若者が素晴らしい!」である。

もはや、勉強もせず自ら動こうとしない企業の経営者に何を言ってもしょうがない。それよりも、やる気のある若い世代にチャンスを与えて、新しいことをやってちゃんともうけて会社を大きくしていけばいいのではないかと思う。やる気のある若い人にチャンスを与えたほうがましだ。(談)

引用元:日本の社長にお手あげ (2ページ目):日経ビジネス電子版

彼は人工知能と人工知能芸の達人であってビジネスの経験はない。それゆえしかたないとはいえ、この捨て台詞にはいささか失望する。あのねえ。GAFAはやる気のある若い世代が「自分で」起こした企業であってねえ。別に古い企業の経営者は関係ないんですけど。

彼の人工知能芸については、このブログにも記載するし今書いている本でも言及する予定。しかしこの捨て台詞から察するにとってもピュアでそれゆえ口がすべっちゃうんだろうなあ。


正しさの意味

2019-05-22 08:04

私は学校では優等生だった。出題された問題に対して正解を素早く、正確に導き出す能力に優れていたからだ。

社会人生活も34年になる。ようやく最近得た悟りというのは

「正しいことにはなんの意味もない」

いや、もっと正確に言えば

「正しいことだけでは何の意味もない」

ということ。

ギリシャ神話のなかで、トロイアの王女カサンドラが授かった予知能力は呪いだった。彼女が予言したことは、すべて現実になったのだ。その問題は、誰も聞く耳をもたなかったことにある。

引用元:「不治の病」は、いつ告知されるべきか? 早期診断技術の進化が生んだ倫理的ジレンマ|WIRED.jp

カサンドラでなくても、世の中には「会社が失敗することを正確に察知した預言者」が溢れている。飲み屋とか金曜日21時過ぎの満員電車はそんなオヤジで溢れている。

しかしそれだけでは何の意味もない。それどころか(これは某プレゼンで使ったネタだが)「正しいこと」は高確率で危険を招く。私はバカなので、学校時代の習慣をそのまま引きずり正解を口にすれば褒められると思っている。それは大間違いだ。

タイムスリップした現代人が「知っている正解」をふりかざし過去で大活躍する物語は星の数ほど存在している。多分それの大多数は間違っている。一人や二人正解を知った人間がいたところで何もおこらないのだ。

なぜこんなことを書き出したかと言えば、あれかな。今人工知能に関する本を書いていて、人工知能芸人を調べ、同じ頃により説得力のある「シンギュラリティは信仰だ」議論が存在することを知り、金を儲けているのはデタラメをふきまくる人工知能芸人の方だということを再確認したからだろうか。