8番目のスマホ

2017-02-28 06:40

Galaxy S8のビデオがでてきた。

S7に採用された曲面ディスプレイや、3.5mmヘッドフォンジャックはそのままになる様子。前のモデルには存在した物理的なボタンがなくなったことをのぞけば、外観はそっくりといっても良いかもしれない。物理ボタンの代わっては、ソフトウェア的なボタンを配置することとしたようだ。

引用元:Galaxy S8の(おそらく本物の)リークビデオ | TechCrunch Japan

3方向ベゼルがないスマホのデザインには「予想に反して」感動できなかた私だが、噂されているiPhone8もおそらくこれに似た形になるのだろう。ベゼルがないぶん大きな範囲を画面に使うことができるし、ちょっと新しいなと思う。

iPhone8の側面がカーブするかどうかについては様々な噂がある。仮にカーブさせるとすると、これとそっくりになると思うがこればかりは実物がリークされないとわからない。Touch IDとか3D touchはどうなるのかもよくわからない。

いずれにせよこのビデオを見る限り、これよりよいものになることは間違いないのだから(狂信的な原理主義者はどう考えるのです)秋が楽しみ。そして細々とスマートフォンを作っている日本のメーカーは

「GalaxyやiPhoneみたいに物理ボタンをなくせ!」

という上の命令に辟易、、もしないのかな。多分中国のどこかで誰かが作るからそれを買いにいくだけで。

思えば遠くに来たものだ。


テレビに金を払う人たち

2017-02-27 07:04

最近こんな文章を読んだ。

新聞、雑誌、テレビ、ラジオのマスコミ4媒体広告費は、前年比99.6%の2兆8596億円。このうちテレビメディア広告費(同101.7%)とラジオ広告費(同102.5%)は好調でしたが、プリントメディアである新聞広告費(同95.6%)と雑誌広告費(同91.0%)は前年に届きませんでした。

引用元:「2016年 日本の広告費」解説―拡大するインターネット広告と堅調なテレビメディアで5年連続のプラス成長 - 電通報

非常に意外に思ったのは、テレビの広告費が「増えている」ことである。探してみるとここ30年こんな推移を示しているようだ。

広告費推移

引用元:30年近くに渡る広告費推移をグラフ化してみる

リーマンショックで凹んだとはいえ、今の広告費は1988年ごろより2割程度増えていることになっている。

これがどうしても理解できないのは、私の実感とあっていないからだ。当時はテレビを見た。今はNHKしかみない。(奥様は除くが)それは私の感覚だけではなく、数字で裏付けることができる。

視聴率推移

引用元:主要テレビ局の複数年に渡る視聴率推移をグラフ化してみる

このグラフは1997年以降だが、総視聴率はじりじりと下がってきている。なのに広告費は増えている。これはどういうことなのか。

電車の中でふと気がつくと、ほとんどの人がスマホを見ている。昔は漫画読んだり、夕刊紙読んだりした人がいたものだけどなあ。新聞によっては電車の中で読みやすいように折り方を工夫した紙面を作ったところもあった。

であるからして新聞の広告費が順調に減少しているのはわかる。テレビだけ横ばいですんでいるのはどういう理屈なんだろうね。私の何度かにわたる(願望に曇った)予想に反し、テレビ業界は未だ生き続けている。どっかで決壊がおこるのか、このまま誰もみないけど広告費だけは稼げる不思議なメディアになるのか。


アメリカの労働組合

2017-02-24 06:41

この記事を読んでいろいろなことが頭をよぎった。

Muskはさらに、「今ここで組合が欲しいと発言することは、不利にしかならない」と信じていると語り、Tesla工場の労働状況や従業員が組合化を望んでいるなどと書きつらねたMedium記事の投稿者は、事実上組合の社員だという彼の主張を繰り返した。

引用元:イーロン・マスク曰く、Teslaの労働組合は「結成されない」と思う | TechCrunch Japan

会社の御用組合、と言われることが多い我が国の労働組ではある。確かに「もうちょっとしっかりしろよ」と思うことも多かったが、アメリカの労働組合を見ていると「和をもって貴しとなす」という我が国の憲法をありがたく思う気持ちも湧いてくる。

アメリカは戦いが大好きだ、と演説したのは映画パットン。であるからして労働組合ができるととにかく「正当な権利」を主張する。仮に会社全体が沈没してもである。今思いついたが、トランプを支持しているのは、労働組合の人間が多いのではなかろうか。考え方がそっくりだ。少し昔話をしよう。

現在労働組合に加盟している人間が働いている工場で生産している製品を、別の会社に発注しようとしたとする。そのためにはRFPをだし、何度もレビューをし、膨大な時間がかかる。しかし最後に

「うん。うちの工場でも同じ価格でできるよ」

と労働組合が言ったら強制的にそちらに発注になる。無茶苦茶であるが、そういう取り決め(Appendix E)があり、ある新車の開発がボツになった。願わくばトランプアメリカが同じような事態にならないことを望む。

であるからしてイーロンマスクが「労働組合いらない」と主張するのももっとも。特にすでに地位を確立した自動車会社ならともかく、テスラのようなベンチャーに労働組合ができてしまうと結果は破滅的だと思う。

そういえば最近電車のストライキって聞かないなあ。なぜストが廃れたのか。時代は何も変わらないようでもどんどん変わっている。


部品メーカー&工作機械メーカー

2017-02-23 06:34

理由については深く考察しなければならないが、どうもそういうことのようだ。日本企業は「部品メーカー」「工作機械メーカー」としては極めて優秀。しかしコンシューマーに対する製品を作ることができない。なんでこんなことを言い出したか。

現時点で東芝は新会社株式の3分の1超を保有し、8000億円規模の資金を調達する一方で経営の主導権を確保したい考え。売却する株式も複数社に割り当て、各社の経営への関与を抑えたい意向だ。取引銀行にはメモリー新会社株の完全売却を求める声もあり、両者の協議は難航するとみられる。

引用元:東芝半導体、アップルが出資に関心 (ニュースイッチ) - Yahoo!ニュース

嘘つきが企業文化の東芝の行く末に関してはいろいろな観測がでている。思うに東芝内部でも何が起こっているか誰もわかっていないのだと思う。此の期に及んで「1/3を保有し、残りは分割し」とか寝ぼけたことを言っている人もいれば多分「全部売っぱらってとにかく金を調達しなくては」と言っている人もいるんだろう。

AppleがNandビジネスを買収するのは理にかなっている。というか多分Appleが直接買収するんじゃなくて、Foxconnが買収するのだと思う。三菱自動車も時期がもう少し早ければAppleが買収したかもしれないが、どうも彼らはその野望を捨てたようだし。

日本人は「与えられた役割」の中では極めて優秀だが自分から役割を作り出すことができない、とも聞いたことがある。これが正しければ、どこで成功してどこで失敗しているかの説明ともうまく合致する。

そういう性質があるから、大震災が起こっても略奪とか暴動があまりおきないので、これは地震が多い国にはいいことなのかもしれない。とか人のことを言っている場合ではない。自分が一番その必要性に直面しているのに呑気にひと事を語っている場合ではない。



10年ひと昔

2017-02-22 06:48

ふと思い立って、10年前の「携帯電話出荷台数シェア」を調べてみた。

2007年度通期のメーカーシェアトップはシャープで、2005年度、2006年度に続き3年連続。2007年度はシャープ自身最高の1276万台(前年度比 23%増)を出荷し、前年度比4.1ポイント増のシェア25.1%を獲得した。2位は738万台(前年度比 31.6%増)を出荷したパナソニック モバイルコミュニケーションズで、前年度比3.1ポイント増のシェア14.5%。3位は592万台(前年度比 45.5%増)を出荷した富士通でシェア11.7%(前年度比 3.4ポイント増)。以下、4位東芝(シェア10.1%)、5位NEC(シェア9.1%)、6位ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(シェア6.3%)となった。

引用元:2007年度携帯出荷、過去最高の5076万台──3強はシャープ、パナソニック、富士通 - ITmedia Mobile

10年ひと昔とはいうものの、ここに並んでいる社名を見るとある種の感慨がおこるのを禁じ得ない。シェアトップはFoxconに買収されたシャープだったのだ。2位は既に撤退したパナソニック。解体されつつある東芝は4位。NECもまだ携帯電話作ってたんだねえ。これがたった10年前の状況。

現在はスマートフォンに限って言えば、半数以上がAppleになった。10年前にこの状況を予想した人間がいれば、拍手を送ろう。ぱちぱち。

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先日テレビ制作会社にいる友人と話をした。テレビに関わっている人間は誰もが

「広告モデルに将来はない。しかしどうしたらいいかわからない」

という状況とのこと。予算が減らされ番組の質は落ち、視聴率はさらに下がり、予算は下がり、のデフレスパイラルが起こっているように聞こえた。

海外に目を向ければ、全く新しいプレーヤーが良質なコンテンツを作ることで収益を上げている。

つまるところ、Netflixは笑いが止まらない状態なのだが、これはオリジナルコンテンツへの巨額投資のおかげである。彼らはようやく、投資の成果を得始めているのだ。

引用元:Netflixは世界を制するか? 独自コンテンツへの巨額投資がもたらした19年目の春|WIRED.jp

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企業の新陳代謝が進まないことが問題なのではない。古い木は枯れることでちゃんとその役割を果たしている。新しい芽が全く出てこないことが問題なのだ。いや、ガリバーベンチャーがとかはなしだよ。


The art of story telling

2017-02-20 06:52

Pixarの人が教えてくれるストーリーテリングのコースをみはじめている。

面白い点がいくつかある。ある人は「俺はウォルトディズニーやミヤザキみたいにすごいストーリーをがんがん思いつくといいなと思っていた」とかそんな言葉がある。何に驚くといって、この人はウォルトディズニーと宮崎駿を同列に並べているのだ。

もう一つ面白い点。この動画にでてくるストリーテラーはみな

「子供の頃、ひたすら絵を描いていた。」

と言っている。彼らは絵を描くことでお話を作っていたのだ。ここから何がわかるか?「新しいものを考える」というのは先天性の病気なのだ。

松任谷:だから、曲とか詞を書くっていうのは、もう生活、生理、いっしょだから、食事したり歩いたりすることと。言われる前から書いてるのよ、人が止めようと、勧めようが、勧めまいが。自分の欲求として、もう幼い頃から作っちゃっている。もちろん、ある日突然、書きたくなって、自分で書いたものを、自分の言葉を歌いたくなって、ひらめいちゃって、ってことはあるかもしれないけど、書いて歌うようになりたいんです、って言っているようだったら、書かない方がいいと思う。

引用元:松浦亜弥の歌唱力、もう”あやや”なんて言わせない

不思議なことだが、このことに言及する人は少ない。会議室に人間を閉じ込め、付箋紙を持ち込めば新しいアイディアが出ると思っている。

私はここで「新しいものを考える」のは病気だと言った。才能ではなく。なぜかといえば、世の中に(宣伝とは真逆だが)新しいものなど滅多に必要とされていないから。それどころか多くの場合「新しいもの」は邪悪で余分なものとみなされる。なのに不幸にして先天的に「新しいものを作る」病気にかかっている人は何か新しいことを言わずにはいられない。常に遅刻してくる人間と同じく、これは病気なので治らない。

もう一つ考えている点。

ピクサーのブレイントラストの実例を読んでいて「物語にはその物語特有の文法がある」ということにはじめて気がついた。例えばスターウォーズ(本編)ならば、どんなに銃弾が飛び交っていようと主人公たちは絶対に死なない。私や私の息子がローグ・ワンをみて驚愕したのはその文法があっさり破られたのも一つの理由だ。

そして

ストーリーテリングとはプレゼンテーションにも相通じる話である。プレゼンとは事実を羅列することではない。ストーリーを語ることなのだ。というわけで、執筆中の

「プレゼンテーション失敗の本質」

にそうした要素がはいる、、、ことでしょう。いつの日にか。


VR信者にみかけがちな馬鹿げた言明

2017-02-16 07:28

私は狂信的なApple原理主義者である。であるからして他の原理主義にも寛容であるべきだし、そうだと自負している。

しかし

私は自分の頭が狂っていることをある程度自覚している。それを自覚していない原理主義者と会話するのは不毛だと思うことが多い。例えばこんな言明だ。

また自身の生活の中でも気づくこともあって、我が家にはテレビがないんですけど、VR機器で動画を見る体験は80インチくらいの大型サイズのテレビを見ているのと同じような体験ができるんです。

80インチのテレビを買うと数十万円かかってしまうと思いますが、これなら大金をかけずに同じような体験が出来るので、それも魅力の一つだと思います。

引用元:VOYAGE GROUPの若き2人に聞いた「VRのいま」―1800億ドルのフロンティアを追う

あのねえ。

目の前に画面置けばコスト安くて大型画面が見られる、なんてのは10年前からわかってることなんだよ。製品もいくつもでている。最近だとこんなもの。

120型サイズの大画面が楽しめる、フルHD入力対応のヘッドマウントディスプレー「高画質ウェアラブルフルHD対応モニター EYE THEATER」がサンコーから発売。サンコーレアモノショップ秋葉原総本店にて、2万4800円で販売中だ。

引用元:ASCII.jp:120型の大画面を味わえ!2万円台で買えるフルHD対応のHMD

10年前に比べると価格はすばらしく下がっている。なのに誰も使わないでしょ?「サンコーレアモノショップ」でしか扱われないでしょ?なんで?

とか指摘しても、原理主義者はむにょむにょ言うだけで何も意味があることを言わない。信者は確かに必要だが「でも現実をちゃんと見ようね」という人が一定数いてもらわないとそれはただのバカな群れになってしまう。

今のVRは一瞬だけつけて「わーすごい」と喜ぶハナのテクノロジーデモにすぎない。誰も継続的に使わないのだ。そもそも多くの人はVRそのものに興味を持っていない。米国発のニュース。

Facebook is closing around 200 of its 500 Oculus virtual reality demo stations at Best Buy locations across the US

引用元:Facebook closing 200 Oculus VR Best Buy pop-ups due to poor store performance - Business Insider

Oculusを買収したFacebookは家電量販店であるBest Buyに設置していたVRデモの4割を廃止するとのこと。ホリデーシーズンにいくつか売れただけで、担当者が1日中一回もデモをしなかった日も多いとか。

高価でかさばり、ヘアスタイルを無茶苦茶にするヘッドマウントディスプレイをつけてさえも皆がやりたがるコンテンツはなんなのか?誰もこの答えを見つけていない。いや、それはすでに世界のどこかで見つけられていて私が気がついていないだけかもしれない。

しかし

今VRがどうのと騒いでいる人間にこうした疑問をぶつけても、ろくな答えが返って来た試しがない。なんというかあれだね。にこにこして

「わーすごいねー」

と言ってその場をそっと立ち去るのが正しい大人のやり方なのだ、といい加減いい歳だから気がつこうよ。



不沈艦が沈む時

2017-02-15 07:07

何度も書いたことだし、これは出世という言葉と縁遠い人生を送った人間のやっかみの言葉だ。しかし東芝の現状を見ていると哀れみと寂しさしか感じない。

「申し訳ありませんが、本日は決算発表は行いません。ただ、何かしらの発表を行う可能性はあります」――東芝は2月14日、同日予定していた2016年4~12月期決算発表を延期する申請を行ったと発表した。決算説明を行う予定だった東京・浜松町の東芝本社会議室ではメディア各社の混乱が広がっている。

引用元:東芝決算延期、会見場の様子【会見動画あり】 - ITmedia NEWS

長年上司の顔色だけを伺い、嘘をつくことで出世して来た人間はこうなると何をどうすればいいのか判断がつかないのだろう。得意なことは?と聞かれればゴマすりと嘘つきと答えるような人たちには。

これでも少し前までは「東芝の幹部」として肩で風きって歩いていたんだろうなあ。そういえばリクナビNEXTにでていた「東芝の原子力関連事業人材募集」に応募したのは10年以上前だったかな。

それとともに

なんとなく思うのだ。同じ運命に陥る「不沈艦」は多分今後10年の間に複数社でてくるだろう、と。これからそうした企業のトップに座る運命にある人はどうなるのだろう。他人が火をつけて投げ込んだ爆弾を受け止める役割をさせられるのか、あるいは9回裏の逆転ホームランを打つ役割を担うのか。こんな予想にはなんの根拠もないけどね。

別にこうしたことは我が国に限った話ではない。GEだってリーマンショックの時に破綻していてもおかしくなかったのだ。問題はそうした古い不沈艦が沈没した後にGoogle,Microsoft,Amazonがでてくる米国とDeNA,GREE,Cyber Agetしかでてこない日本、という図式の対比である。

2017年度決算で12月期の決算が公表されてきています。その中で、ガリバーITベンチャーであるDeNA、グリー、クックパッド、カカクコムの業績に異変が発生しています。なぜそうなってしまったのか、決算報告資料をもとにまとめました。

引用元:決算低迷!ガリバーITベンチャーの異変まとめ / DeNA・グリー・クックパッド・カカクコム

なぜこうなってしまうのかについては、深く静かに考えなくてはならない。どこかに根本的な問題があることはわかるが、それが何なのかわからない。



Z会の苦闘

2017-02-14 06:52

息子も娘も受験対策はZ会がメインである。私も高校生の頃国語だけとっていたがろくに提出しなかった。二人ともちゃんと提出しているので感心することしきり。トンビが鷹を産むとはこのことか。

でもってそのZ会が新システムへの切り替わりでトラブルを起こしている。

1月30日にご案内申し上げました、「弊社システム障害による各種サービスの停止ならびに各種申込受付の停止についてのお詫び」の内容につきまして、2月10日現在の状況をお知らせいたします。
  2017年度コースに係る弊社運用システムの障害につきましては、2016年度以前の従来システムでの運用体制による復旧に向けた対応を進めております。

引用元:| Z会 | 日々の学習から受験・資格まで、本物の学力を養成する教育サービスを提供。

知っている人が見れば「あるある」という話だが、Z会の人たちの苦悩は大変なことだろう。原因がどこにあったのかは部外者にはわかりようがない。しかしその一端を見ることはできる。

新システムへの切り替えのご案内という紙がきた。IDのケタを二つ増やすのはいいとして、初期パスワードがこんな文字列だった(もちろん雰囲気だけ)

ku;_(l8O'K_3

プログラマーでない人が一生使わないであろうアンダースコアとかセミコロンとか使いまくり。そりゃ誰かが

「セキュリティの観点から必要」

とか聞いたようなことを言ったのだろうけど、こんなの普通の人は入力できないよ。結果こんな巨大なヘルプページが誕生することになる。

2017年度以降、初期パスワードには英数字、記号が使用されています。
「お手続内容確認」に印字される一部の文字について、判別しにくい場合がございます。お手数をおかけしたしますが、下記をご確認ください。

引用元:ログインについてのQ&A | Z会MyPage

Z会側か、システム開発会社側かわからないが、頭のおかしい人がいて誰もそれを止められなかったのだろう。一事が万事というやつで、このことからZ会のシステム開発が構造的な問題を抱えていたことが推察できる。

我が家はZ会から乗り換えることもしないけど、経営上の打撃は大きかろう。それについては心から同情するが、添削問題を添削してやらないよ、という2月、3月について本来なら提出するともらえる「努力賞ポイント」をつけない、というのは不公平だと思うよ、と娘がお世話になっている親としては文句をつけたくもなる。ちなみに本来なら今頃昨年お世話になった長男のインタビューが掲載されるはずだったのだが、それもどこかに消えてしまったようだ。あれなかなか名文だったのだけど、こちらで勝手に掲載しちゃだめですかね。


上司は敵か仲間か

2017-02-13 06:53

社内の人間にかして返してもらえていないG.M.ワインバーグの本にこんな言葉があったと思う。

理解のために調査しよう。批判のために調査するのはやめよう。

引用元:ジェラルド・ワインバーグ - Wikipedia

つまり「犯人探し」をするのは時として無駄だと言っているのだ。誰それが約束を守らなかったのがスケジュール遅延の原因。ではどうするか?

「あと問題の犯人探しをやめます。時間の無駄。解決方法だけでいい。」
その発言にリーダーが「問題の所在をハッキリさせるのは重要だ」と異議を唱えたが、「俺は発売までに解決できるならそれは問題じゃないという認識。解決できなかった時は俺が責任取るから。それでいいだろ?」と言った。

引用元:がっきー@『七海の623』1巻発売中!さんのツイート

「批判は何も生まない」という言葉があるのが、私は批判が大好きなのでこれはすべての場合には正しくない、と思っている。間違っているものは間違っていると言うべきだ。それを批判と呼ぶのは勝手だが。

しかしそれは「犯人」ではない。間違っているのは個々の判断だったり、行動だったりするわけで「犯人」が常に悪いことをしているわけではない。(多くの場合は)

仮に犯人が常に悪いことをしているのならば、プロジェクトを完成させるためになんらかの方法を考えるべきだが、その「犯人」が犯罪をしているのでない限り何か破壊的ではない方法があるはずだ。

話がそれた。

昨今よく聞く「詰める」という文化であるが、これは多くの場合無駄である。しかしよく行われていることでもあるらしい。私によくわからないのが、詰めることがプロジェクト完成にどう役立つのかよくわからない、ということ。それで相手の生産性が上がるとかなら意味があると思うのだが。

となると「問題の所在をハッキリさせるのは重要だ」という言葉はどこからでてくるんだろうね。ネットが普及したことで明らかになったのは、世の中に「問題の解決に尽力する」よりも「処刑人になりたい」人がたくさんいるということ。誰かを処刑すると問題は解決されることも確かにあるだろう。しかし多くの場合はそうではない。もっとも大きい問題は、上司が部下を処刑し始めると、上司は部下になって「敵」になってしまうことだ。そうなると、お互いがお互いのに備えた軍備を拡張しだす。でもって一歩離れてみれば、その軍備というのは全くの無駄金。

と書いていて思ったのだが、この世界の状況もそれに近いのかもしれんなあ。


簡単に聞こえるけど

2017-02-10 06:43

Tim Cookがグラスゴー大学から名誉学位を受け取ったのだそうな。そのあと学生たちからの質問に答えた。その中にこんな言葉があった。

I met a CEO for the first time that was totally focused on basically one thing: making great products. He had a focus that was unlike any other. His thinking was so pure. He wasn't trying to maximize his wealth or anything else. He really understood the sort of things we work on, and the results that come from those things, and he separated those two.

引用元:Tim Cook Chats With Students After Receiving Honorary Degree From University of Glasgow - Mac Rumors

いいかげんな訳:たった一つのこと:偉大な製品を作ることだけにフォーカスしているCEOに会ったのは初めてだった。彼はみたことがないほどそれに集中していた。彼の思考は純粋だった。彼は自分の財産を増やそうとかそんなことは一切やらなかった。彼は我々がやろうとしていること(訳注:偉大な製品をつくること)とその結果(売り上げ、利益、etc)をよく理解していて、それらを分けて考えていた。

訳注のところは、Youtubeビデオ(49:42あたり)から聞き取って私が付け加えたこと。だから当然間違いの可能性は高い。


これが当たり前のことと思われるだろうか?多くの企業が「売上、利益、成長率」ばかり考えていないだろうか?時々聞こえてくる理屈というのは

「偉大なサービスを作って、それが受け入れられれば、売上、利益が上がるはずだ」

というものがあるが、これは能無し経営者の寝言としかいいようがない。偉大な製品を作ったからといって、それが必ずしも金に結びつくわけではない。私の考えでは前述した寝言をいう経営者というのは

「私は何がいいサービスで、何が悪いサービスか判断することができず、またその責任を追う勇気もありません。ですから売上、利益という数字にその判断を委ねています」

と公言しているようなものである。納得できないというなら、現代に生きる日本人ほとんどが納得できる例をあげよう。AKBだ。あの

「顔もスタイルも悪く、頭も悪く、歌は素人以下で踊りもできない少女の集団」

が偉大な売上と利益を上げている。これは「AKBが偉大な歌手」であることを証明していると思うか?

この「サービスの偉大さ」というのはまだ誰も定量化に成功したことがない指標だ。それゆえ「何でも定量化」にすがりつく人間には手に負えない代物でもある。

しかし

人間の直感とか無意識というものは時として非常に懸命な判断を下す。そうはいってもよくわからないな、と思ったらこの問いに答えてみればよい

「あんたがやっている製品、サービスは偉大なものか?これは私がやりました、と他人に自慢したくなるか?」



メディアとのリレーション

2017-02-09 06:50

メディアとの関係性を保つことは重要だが、それだけでは困る。

電源は専用のリチウムイオンバッテリー。約1時間30分のプロジェクター動作が可能だ。また本体にはバッテリー用のスロットを2つ備えており、オプションのバッテリー(1万3800円、税別)を追加して駆動時間を倍にすることができる。「プロジェクターの輝度を落とすなど節電の設定にすればバッテリー2本で4時間ほどは動作できます」

引用元:初の家庭用“変形”ロボット「ティプロン」がもたらす快適で怠惰な生活!? (3/3) - ITmedia LifeStyle

移動するプロジェクタを製品化したのだそうだ。標準では映画一本見ることもできない。しかも現在のビデオなどで当たり前のように使われているHDMI端子を使ってケーブルでプレーヤーと接続しようと思えば、そもそも移動することのメリットが失われる。呼べばプロジェクタが来てくれる。それはいいよ。でもってユーザはそこから一生懸命HDMIケーブルを伸ばしてプロジェクタに接続する。この光景はギャグとしかいいようがない。

元々はイスラエルで開発された「freeD」という360°リプレイ技術でしたが、2016年に買収され、インテルの技術となったようです。

引用元:インテルの360度リプレイ技術がスポーツの未来を変える? - 世界のねじを巻くブログ

日本のハードウェアーベンチャーとしてバルミューダはがんばっているが、こうしたイスラエル発のスタートアップと比べると、暗澹たる気持ちにならざるを得ない。

先日のSuper Bowlのハーフタイムショー。レディ・ガガのすばらしいパフォーマンスもさることながら、ドローンの大群による演出にもひっくり返りそうになった。芸能・それにIT関連技術についていえば、もう根底の概念からとんでもない差がついているとしか言いようがない。

まずこういうゴミ製品持ち上げるのやめようよ。どうしようもない状態にある、という認識をもつことが第一歩ではないのだろうか。


10年前に起こった驚愕の変化

2017-02-08 06:40

ほぼ10年前に起こった驚愕の変化-最初は誰もそれに気がつかなかったが-は二つある。

一つはiPhone。これはわかりやすい。というか今では当たり前になってしまい若い人には理解できないと思う。30以上の人間であればiPhone以前と以後で家電製品というものが全く変わってしまったことに気がつくだろう。

そしてもう一つはAWSである。こちらはテック業界に関係している人でなければ「なんのこと?」といった話だろうし、関係している人でもその変化の大きさには気がついていないかもしれない。

Amazonは10年以上も前に業界で初めて、パブリッククラウドをInfrastructure as a Service(サービスとしてのインフラストラクチャ)、すなわちIaaSとして市場化したが、その後数年間にわたり、この新しい業態に挑戦する競合他社は一社も出現しなかった。

今日では、Synergy Researchの数字によれば、マーケットリーダーであるAWSのマーケットシェアはとてつもなく大きい。変化の激しい市場だから一概に言えないとはいえ、Synergy ResearchのチーフアナリストJohn Dinsdaleの説では、AWSに追いつくことはMicrosoftにとってすら、非常に難しい。

引用元:パブリッククラウドプラットホームにおけるAWSの王座は今後も揺るがず | TechCrunch Japan

最初にAWSの話を聞いたときは

「なんだか変なことを始めたなあ。サーバーとかのインフラをAmazonに預ける人なんているんだろうか?そしてなぜAmazon?こういうことやるのだったらGoogleじゃないの?」

と思った。そして今やAWSのシェアは圧倒的で、2位以下を合算しても、Amazonの半分にも及ばない。10年前こんなことが起きるとだれが予想しただろうか。

AWSこそ「顧客の要望を聞いていては絶対に生まれない製品」の典型例だと思う。誰がこの案を出したか知らないが、このサービスだけでもジェフ・ベゾスは歴史に名前を残すに十分だ(ECサイトのAmazonというささやかな功績を除いたとしても)

そもそもECサイトを運営しているところは「とにかく自サイトを維持するのにてんてこまい」のところが多いだろう。例えば楽天とか会社の風土的にはAmazonの真似事をやってもおかしくないはずなのだが、彼らはRWSを発表しない。多分できないのだと思う。

これは楽天がダメなのではなく、Amazonが異常なのだ。彼らは自分の巨大なWebサイトを運営しながら、いつのまにか外部にその計算機資源をサービスとして提供できるインフラを作り上げた。これは驚嘆に値することだ。

どう理屈をつけようが、これは経営者の手腕としか形容しようがない。こんな狂ったような判断は経営者にしかできない。iPhoneも同様だが。


Switchの死(我が家において)

2017-02-07 06:44

供給者側の理屈はとってもわかるんだけどね。

野上氏:
 はい。そこはSplatoon2でも同じです。

4Gamer:
 マイニンテンドーの会員になって,月額料金を支払って……といった形ですか?

野上氏:
 ええ,そういう形です。

4Gamer:
 前作はソフトさえ購入すれば,その後は無料で遊び続けることができましたが,それとはちょっと変わってくるわけですね。

引用元:【Nintendo Switch 5週連続インタビュー(1)】「Splatoon2」編。あれから2年が経った“イカの世界”で,また新たな戦いの日々が始まりそうな予感 - 4Gamer.net

そりゃーネットワークゲームを維持するのは毎月お金かかるし、「お前ら楽しませてやってるんだから毎月金払え!」ってのはよくわかるけどさ。

でもってネットをあちこちみていると、メディア対策としか思えない記事が氾濫している。曰くこれはPlaystationやXboxより安い。こんな機能がある!小学生のお小遣いでも大丈夫!というやつ。

問題は

任天堂は彼らの生命線である「時々しか遊ばない」客をこれで失ったということ。我が家でいえば、週末に30分ずつしかゲームができないことになっている。ゲームの回数が少なければ少ないほどこの「月額課金」の心理的な重みは大きくなる。わかってるよ。俺が毎日食べる九十円のヨーグルトも重ねれば月1800円になる。そんなに払ってるんだから、子供のゲームに年三千円払うのは当たり前だ、という理屈は。でもってそれに見合った機能を付加する、というのもとっても合理的だ。

そうですね。ただ今回,サービスを単に有料化するだけではなく,スマートデバイスも活用して,SNSでつながっている友達と一緒にプレイしやすい環境を作ったり,なおかつ友達同士でのボイスチャットにも対応したり……といったサービスもあわせて提供しようと思っています。

引用元:【Nintendo Switch 5週連続インタビュー(1)】「Splatoon2」編。あれから2年が経った“イカの世界”で,また新たな戦いの日々が始まりそうな予感 - 4Gamer.net

でもね

合理的に考えればその通りだが、これは心理的なコスト。そんな機能なんかいらない。「機能を増やせば値上げが正当化できるだろう」というのは供給者がよく抱く妄想にすぎない。とにかくスプラトゥーン2だけプレーできればいいんだ、という人間に毎月課金させ、そしてたぶん遊ばなくなった後も金を取り続ける。

そりゃ世の中それで成功している企業がたくさんあるからそれが「正しい」と思ってるんだろうけど。まあサンタさんがWiiをもってきてくれるまで発売から数年かかったから、これから数年後にはSwitchを買うかも、、ってそのころ子供はもう遊ばなくなってるか。

ゲーム機がなければ、ないなりに子供はどこかで遊んでくる。それで十分だ。



仕事の選択と絵描き

2017-02-06 06:47

最近こんな記事が話題になっていたようだ。

結論から言うと
「会社で無能扱いされたら自分の能力を悲観するより、会社に合ってない」
と考えたほうがいい。

引用元:無能と思われたら職場を変えたらいい

私は転職回数4回。社会人はもうすぐ32年だな。そろそろ「じいさん」と呼ばれる年である。

この文章を読んでいて、自分の職歴を振り返った。

仕事には2種類ある。

「絵を描く」仕事と「他人が書いた絵を塗る」仕事だ。

この二つは似ているようで、全然違う(少なくとも私や先に引用した文章を書いた人にとっては)

あちこちで公言している話なので、ここでも書くが社会人2年目から3年やっていた仕事は、88式地対艦誘導弾の発射機の設計だった。

「設計」といえば聞こえはいいが、すでに試作を2回行なっており、それにでてきた改善要望を量産型に反映させる仕事だった。

その間自分で図面を書いたことは一度もない。お客様からきた要望をひたすら表にまとめていた(今からだと信じられないことだが、Excelでやれば問題ないこういう仕事も手書きでやると恐ろしいほどの時間を必要とする)

自分のアイディアで提案した改善が一つだけあった。使用の度に上げ下ろしが必要なケーブルドラムの位置を下に移したのだ。

これが3年の間で私が一つだけ達成した「絵を描く」ことだった。これですら「どんどん提案しないのはなぜだ!」と怒鳴ってばかりいた上司にボツにされそうになった。彼は寸法がデタラメな図面(それでもいい図面というのはあるのだ)を元に私の出張中に誰かに検討させ「ここに入らないじゃいないか」といちゃもんをつけた。

この頃私は元気いっぱいの20代前半だった。しかし確実に今よりくたばっていた。土日は廃人のようになっていた(実際そのころは廃人と言っていた)

今から考えればだが私はおそらく無意識下で

「こんな下手な誰かが書いた絵に、色を塗る仕事なんてしたくないんだー」と

と叫んでいたのだと思う。

その会社で二番目に楽しかった仕事はいろいろな事業所から集まる人で行われる研修で作ったささやかな加工システムだった。みんなでアイディアをだし、自分の提案も採用された。そして要になるソフトウェアは全部自分で作った。それは小さくはあったが自分が書いた絵だったのだ。

そして一番楽しかったのは某シミュレーションソフトを作った時だった。仕様を描くべき部署の人間は一部の計算アルゴリズムは指定してきたが、それ以外は何もしなかった。(多分お客様に説明する書類を作っていたのだろう)だから全体の仕様は私が作った。この作るというのは書類とコードと両方作ったという意味である。

このソフトはお客様に好評を博し、会社で関係者に表彰状がでることになった。対象者は5名。3名はソフトの仕様を書くべき部署にいた人間(ちなみに私はこのソフトの仕様書を一度も見たことはなかった。うるさい会社だからきっと立派な仕様書が発行されていたのだと思うが)1名は全くソフト開発に関係のない人間、もう一人が私だった。つまり会社の公式見解としては

「あいつらは、言われた通りソフトを作っただけ」

ということにだったのだと思う。

というわけでいろいろな仕事をしてきた。NTTデータの下請けとして常駐していた時にはあやうくうつ病になりかけた。(当時のメンタル診断はその一歩手前を示していた)仕事に意味はなく、全く責任はないのにこの始末である。この時の仕事も「全く無意味な絵に色を塗る仕事」だった。

こういう仕事の好き嫌いが激しい人間は、最初の会社では「使えない」そして経験から言えることだが、世の中には「絵を描く仕事」より「絵を塗る仕事」のほうがはるかに多い。

だから「絵描き」は自分が生きていられる場所を一生懸命探す必要がある。あるいは誰にとってもそうなのかもしれない。

前にも書いたが私は「タツノオトシゴ」を見るたびに考える。進化の結果がこのピロピロか、と。答えは「タツノオトシゴは自分が生息できるニッチを探し当てた」ということであり、我々がピロピロと思おうがなんだろうが、彼らはそのニッチに適応している。

どこでもしぶとく生き延びる細菌のようなものもいる。タツノオトシゴのようなものもいる。絵描きは常に自分が生きていられる場所を探さなくてはならない。サラリーマン人生も終盤にさしかかってこんなことに気がついても遅い。しかしここに書いておけば、誰かの役にたつかもしれぬ。


私的イノベーションのジレンマ

2017-02-03 06:57

先日リクルート関連のイベントで五人の学生さんを相手に講演した。「シンプルにすることこそが難しいんです」といったら相手はちょっと怪訝な顔をしていた。学校ではこういうこと教えないんでしょうか。

でもって

「私的イノベーションのジレンマ」すなわち「新しいものをどんどん提案してくれ、と言われて出したアイディアが全部わからない理由でボツにされる」

というのを説明したが、「ふーん」という反応だった。これ社会人でないと理解できないのでしょうか。

技術やプラットフォーム先行のアウトバウンド型で、茫漠とした「アイデア」を社外に求めて、オープンイノベーションという名のもとでアイデアソンやハッカソンに期待をかけるところもあるように見受けます。
ただこういう場合、多くは失敗しているように見えます(ここでの失敗とは、結局何も生まれなかった、という失敗です)

引用元:オープンイノベーションと闇イノベーション – Medium

話はシンプルで「なんだかすごいアイディア」がアイディアソンやハッカソンから生まれていると思っているような企業はこの「私的イノベーションのジレンマ」に陥っていると断言してよい。つまり足りないのは「アイディア」ではなく、「アイディアを育てて事業にするだけの決断」。つまり私が言うところの革新の第2問。

少し説明をしておく。企業や団体が「新しいアイディアで大儲けしたいなあ」と漠然とイノベーションを夢見ているとする。ほとんどの場合これは認識されていないことだが、この漠然とした夢の中には二つの問題がある。

第1問:新しくてすごいアイディアを形にする

第2問:それをサービス・製品としてリリースするためのリソースを確保する。

この二つの問題は全く性質が異なる。ほとんどの大企業は第2問を解くさいに「既存事業の来年度計画」と同じ尺度を当てはめて殺してしまう。つまり

・関係部門の合意がすぐとれて

・リスクが(心理的に)0で

・がっぽり儲かる

というやつ。こんなことが保証できるのは詐欺案件以外にないのだが、不思議なことにほとんどの大企業は「海のものとも山のものともつかぬ新規アイディア」にもそれを求める。そういった態度を取り続ける限り、新人に「若い人の自由な発想に期待する」とハッパをかけようが、外部から人を呼んでイベントをしようが何も変化が起こることはない。

断言してもよいが「新しいものを作る」時に他人との議論は有益な場合が多い。それは

「議論しているうちに、自分で問題や、解決策に気がつく」

ことが多いからである。この「気がつく」は「他の人からアイディアが出される」場合も含む。しかしそれはあくまでも「私が取り組んでいる問題にアイディアをもらう」のであって、「なーんかないっすかー」と思っていたらすごい教えをいただいた、というものではない。

というか「なーんかおもしろいっことないっすかねー」とか言っている人間は何を聞いたとしても行動しない。客観的に見れば妥当と思えることを言ったところで「それやばいっすねー。そのうち考えるっすー」といってそれっきりである。何が言いたいかといえば「なーんかおもしろいことないっすかねー」とか言っている人間ははなかっら自分で何もする気がないのだ。

というわけで個人的にハッカソンというのは大嫌いである。結局声が大きい人間がその場を取り仕切りゴミみたいなものができておしまい。学生にやらせる「グループディスカッション」というのもそういうものだ。先日学生さんたちがやったのも声の大きいのが一人いたが、彼が喋る内容には全くなんの印象も受けなかった。そのあとの宴会であまり発言しなかった人がぽつりと言った言葉が面白かったのだが。


KPIの嘘

2017-02-02 07:20

KPIという言葉がある。これを信奉すると、いくつかの組織ではとても出世することができる。私はこれは物事を単純化する方法である、と考えており、それゆえのメリットとディメリットがある。

Key Performance Indicatorとはつまるところ「Webサイトの成功度合いを何人見てくれたかで測定しよう」というものだ。一旦それが設定されると「PDCAサイクルを高速で回す」という優秀な社員が現れ、一生懸命に努力する。そしてDeNAができあがる。

ここに何の問題があるか?

まずメリットから行こう。KPIは多くの場合測定できる指標である。だから成果を「数字で見る」ことができる。そして性能を現す数字が出現すると、それを向上させることに皆が集中できる。これは単純化がもたらすメリット。

問題は

現実は一つや二つの数字で表されるほど単純ではない、という厳然たる事実を完全に忘れていること。あちらを立てればこちらが立たず、というのが世の中で逃れることができない宿命。なのにKPIを信奉する人はその単純にして厳粛な事実を無視するところから話を始める。

「PV至上主義」というのは、ブログやウェブメディアへのアクセスを優先しすぎた結果、読者よりも Google の検索ロボット向けに最適化したコンテンツ作りをしたり、人を怒らせたり騒ぎを起こして注目を集めることでアクセスを集めたりすることを指す言葉だと思ってください。

そしていうまでもなく、この誘惑は、知的生産にとっては諸刃の剣なのです。

引用元:PV至上主義から脱するには「読まれない記事」を大切にすること | Lifehacking.jp

Page ViewをKPIとして設定したのならば、まず検索エンジンからの流入を重視しよう。そのためにはSEOでもって、、とやったのがDeNA。優秀な人材と資金を惜しみなくつぎ込み彼らは見事にやってのけた。記事の内容にはなんの意味もない。とにかく検索エンジンでの表示順序が上位にくればよい。彼らと彼女たちは「KPIの達成」と「正しいこと。やるべきこと」を混同した。

そして現実の複雑さを忘れた人間は必ずそのしっぺ返しを食らう、という知恵はDeNAのエリートたちの間にはいなかったようだ。