アルカイックスマイル

2013-05-31 06:53

最近あまり聞かない表現だが、日本人が英語圏もしくは外国でみせる「不可解な微笑」はアルカイックスマイルと呼ばれることが多い。

今朝オリンピック候補地のプレゼンテーションを観た。多分候補地の選定はこのプレゼンとは何の関係もなく決まるだろうから、まあ結果については問わないとして、猪瀬知事のプレゼンを指導した人間は絞首刑にすべきだと思った。

まずインスタンブールがプレゼンを行う。エキゾチックな美しさをもつバレー選手が2つの大陸にまたがるイスタンブール、西洋と東洋、過去と近代を併せ持つ魅力を真摯に語る(ちなみに音声は消してました)

次に日本のフェンシングの選手が何か言う。まあそれはいい。次が猪瀬知事だ。顔いっぱいにアルカイックスマイルを浮かべ、両手を下から上に何度もふる。なんだこれは。

いかにも「付け焼刃で、スピーチのレクチャーを受けました」というのがまるわかりだ。こんな安っぽい演技をさせるのなら、逆にいつもの「しかめっ面で熱く語る」のほうがよかったのではないか。人間無理はできんよ。そして文化は違ってもその言葉が本当に心からのものか、そうでないかは人間微妙に察知するものだ。

このプレゼンだけみたら、誰だって東京じゃなく、インスタンブールにすると思う。


なぜ品質保証「部門」が必要なのか

2013-05-31 06:33

昨日公開されたこの文書は、その理由を考える上で「教材」として素晴らしいものだ。

結論から言うと、今回の事態の原因は弊社のミスです。アプリケーションファイルに、辞書のデータベースファイルが含まれていませんでした。これにより当然の事ながら、まったく検索不可能になりました。単純なミスでした。こういったミスを犯さないようにたくさんの防御策があるのですが、今回はそれらをすり抜けられてしまいました。それを検証します。

via: 大辞泉1.0.1不具合騒動の顛末 | HMDT Blog

こうした「失敗」が公に、正直に語られることはめったに無い。多くの場合は企業の厚い壁の底に隠されてしまう。私が大学の教員だったらこれを教材として使うところだ。

私が見たところ一番の問題はここだ。

でも、みんなでテストすれば、誰がかが気付きそうなものです。ところが、この修正はほんとに軽微なもので、もうすでにみんな1.1の開発に没頭していたいので、テストを省略してしまいました。これが、落とし穴その3。結果的には、これが一番の問題でした。

via: 大辞泉1.0.1不具合騒動の顛末 | HMDT Blog

つまり「ちょっと直しただけだからテストしなくてもいいよ」となったわけだ。こう聞くと働いた経験のない人は「なんて馬鹿な」と思うだろう。しかし人間は馬鹿なものである。なんて馬鹿な、ということをやるのだ。

従ってそれを防ぐためには「仕組み」を作らなくてはならない。この「仕組み」が増えることは一般的に効率とか柔軟性の低下につながる。しかしそれは「大きな失敗をする危険性」とのトレードオフになる。このトレードオフをきちんと理解している限り、「仕組み」を増やすことによる効率性の低下はコントロールできる。

問題は

この文章を公開しくれた人がそのトレードオフに気がついていないのではないかと思える点だ。

問題は常に起きます。ミスもどうしたって起きます。それが被害として出回らないように、弊社を含めて開発会社は幾重もの予防策を施しています。大部分は未遂で済みます。それでも、その隙間をすり抜けることは、絶対に起きます。すり抜けてしまったら、被害が広まらないように防ぎます。経緯を見直して、次回に役立てます。技術ってのは、その繰り返しです。それしかないです。しんどいですが、それしかないです。

via: 大辞泉1.0.1不具合騒動の顛末 | HMDT Blog

「問題は必ず起きる」という認識は正しい。しかし対策のところが「しんどいですが、それしかない」の精神論に流れてしまっている。もし私がこの会社に業務を委託している身分だったら

「ああ、この会社はまた同じようなことをやるな」

と発注を停止するところだ。

今回HMDTが直面した問題は、まさしく品質保証「部門」がなぜ独立した部門として存在しているかの説明になっている。ちょっと昔話をしよう。

私が最初に働いた会社では、みんな灰色の作業服を着ていた。(当時はそうだったんですよ)入社して最初に気がついたのは、帽子の色が2種類あることだった。紺色と紫。なぜ違うだ?

後で知ったのは、紫は品質保証部門の人とのことだった。つまり帽子のいろまできっちりわけているわけだ(一説には、ライセンス生産した米国の会社でやっていることをそのまま真似たとも言われていたが)

工場実習に行くと、現場のおじさんたちが「おう、品証がいないうちにちょっと直しとけ」とかこっそり直したりする。つまり日々の業務の「邪魔」にもなっているわけだ。そもそも品質保証部門は役にたっていないじゃないか、そういう議論は定期的に起こっていた。

しかし

そうなっているのは、そうしなくてはならない理由があるからだ。今回のHMDTのトラブルも開発者がチェック及びリリースを兼ねていたところに一番の問題がある。そりゃ新しい仕事にかかりっきりになっていたら「ちょっと直しただけだから出しといて」となるわな。しかしそれではいかんのだ。

ここは開発者の苦労や苦悩や事情を全く理解しない「鬼のような」別の部門のアウトサイダーに「必ず」チェックさせなくてはならない。それ故ほとんどの会社では「品質保証」を担う「部門」が存在する。独立してだ。もちろん小さな企業ではそれは難しいのはわかっている。自慢じゃないが私が小さな会社に勤めているときはそれで随分お客様に迷惑をかけた。しかし方法はあるはずだ。痛い目に何度かあって私だって改善したぞ。

それを「しんどいですが、それしかない」の精神論に堕してしまうところが「またやる」と判断する理由だ。

いや、それは当然理解している。ただ書かなかっただけだ、ならばいいのだが。


土管屋の何が悪い

2013-05-30 06:43

土管屋という言葉自体からして「土管」を見下している。昨日子供が持ってきた「横浜の水道について」というパンフレットを観た。なんでも大地震のときでも水道インフラが機能するよう、地震につよい配管に変更しているのだそうな。

大地震は本当に起こる。そして上下水道が機能していてもひどいことになる。ましてや水道が機能しなくなっていたら何が起こっていたか想像するのも恐ろしい。不幸にして彼らの努力はあまり語られる言はないし、競合相手もいないから宣伝されることもない。

しかしそうした安心感というのはとても大切だ。一時はDocomoが連発していたが、最近はKDDIの調子が悪い。

関東の一部地域で4G LTE対応端末のLTEデータ通信サービスがご利用しづらい状況について(5月29日 19時00分現在)

via: 関東の一部地域で4G LTE対応端末のLTEデータ通信サービスがご利用しづらい状況について(5月29日 19時00分現在)<br /> | 重要なお知らせ | KDDI株式会社

どこでもすばらしい速度でつながり、障害も起こさずそして料金は「適当」今求められているのはそんなキャリアではなかろうか。英語の記事だがこんなのを読んだ。

In the case of S4, when I used the device for the first time, I encountered three screens asking me to either sign-in or sign-up: Google, Samsung and AT&T. The phone is packed with Google Apps (good), Samsung Apps (meh!) and AT&T apps (why.)

via: Three times the trouble | Om Malik

アメリカでGalaxy S4を使おうとしたところ、3回ログインを求められた。Google,サムソン、それにキャリアであるAT&Tだ。

iPhoneを使おうとすればこんな問題はない。Apple IDを入力すればおしまいだ(うちの奥様はそれすら「面倒だ」とお怒りである)

しかし土管屋化を拒否するキャリアが独自IDを設定し、それに固執する気持ちはよくわかる。しかしユーザの立場からしてそれはうれしいことなのか?キャリアは「すばらしい土管」を提供し、その上のサービスには口出ししない。

僕が勤務しているドコモショップでもらでぃっしゅぼーやの野菜を配ったり、「今後はらでぃっしゅぼーやの契約もとっていただきます。」と張り紙がしてあったり、ショップスタッフはぽかーんです。

via: docomo・au・ソフトバンク 3社の未来を本気で予想。 - ガジェット通信

こんなことをやる「暇」があるのなら、そうした地道な努力をしたらどうか、と思うのだけどね。「すばらしい土管」はだれにでも構築可能で、差別化ができないというのなら話は別だけど、どうもそうではないようだ。だったら「すばらしい土管」で十分差別化できるんじゃなかろうか。


空想的自然エネルギー論の行く末

2013-05-29 06:44

空想をするのは楽しい。うちの子供はいつも

「ギネスにのるにはどうすればいいか」

と言っている。それで本当に努力すればいいのだが、彼は「自分がギネスにのって有名になった姿」を空想しているだけなので、何も起こらない。間違いなく私の遺伝だ。すいません。

震災の後のどさくさにおかしなことが随分現実になった。そろそろそのツケを払う時期らしい。

太陽光発電は天候次第で出力が変わる。電力会社は太陽光発電を受け入れることで、火力発電の出力を増減させて電力の需給バランスをとる必要に迫られる。現行で出力2000キロワット以上の事業者をすべて受け入れてしまうと、その需給バランスが崩れて停電が発生する恐れがあるという。

via: 北海道でメガソーラーに大異変 電気送れず、ソフトバンクなど計画変更 (J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース

そんなことは何十年も前からわかっていたことだ。風力だろうが太陽光だろうが所詮「つけたし」にしかならない。やるなら宇宙におくとか、画期的な蓄電施設を開発するとかしなきゃ。

なのに震災あとのヒステリックな「雰囲気」の中でわけのわからない法案を通した結果がこれだ。

しかしおそらくほとんどの人はこの記事を読んでも何のことかわからないと思う。それどころか「北海道電力けしからん」と言って石を投げかねない。結局はこのいびつな法案に金の匂いをかぎつけた会社だけが喜ぶ構図。この記事にでてくる会社はソフトバンクに
神戸物産。本業を調べるとおもしろいよ。営利企業としては正しい行為だが。

かくしてこんな「声」は依然として優位なままだ。

栃木県でメガソーラーの建設が続々と始まっている。豊富な日射量を活用する「とちぎサンシャイン」プロジェクトが進行中で、60か所以上の候補地に発電事業者を誘致する。農林業や自治体を中心にバイオマスの導入にも取り組み、木質から糞尿・下水汚泥まで資源が広がってきた。

via: エネルギー列島2013年版(9)栃木:日本の真ん中で急増するメガソーラー、木質から汚泥までバイオマスも多彩 - スマートジャパン

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同じく「営利企業としては正しい行為」が米国で禁止されたというニュース。

クヤホガ郡検察官のティモシー・マクギンティーとオハイオ州検事総長のマイク・デワインは、カフェのあり方を快く思っておらず、最終的には彼らの主張がより大きな説得力をもったかたちだ。つまり、「規制を逃れた違法なギャンブルを提供するカフェが500ほどもある。彼らは、貧しかったり、高齢だったり、社会的に弱い存在だったりするスロットプレイヤーたちからお金をだまし取ることで、何百万、何千万ドルも稼いできた」という主張だ。

via: 米国でまた「ネットカフェ禁止」州法が可決、その理由は « WIRED.jp

日本で「ソーシャルゲーム」を提供している企業は、この記事を「他人ごと」と聞き流すのだろうか?


安易な選択肢でなければ

2013-05-28 06:52

何をするというんでしょうかねえ。

「事業から撤退するのは本当に最後の判断になると思う。テレビについては2015年度には何とか赤字を解消する方針を打ち出している。事業から撤退したら赤字は消えるが、そうではなく、中期経営計画は事業を継続する努力をしながら赤字を消すという表明。携帯電話についても同様で、安易な選択肢を我々は基本的に取らない。赤字の垂れ流しをやめることを明確に表明している」

via: パナソニック、2015年度営業利益3500億円へ--テレビ、携帯電話など5事業の赤字を止血 - CNET Japan

彼らにとって「事業から撤退する」のは安易な選択肢なのだそうな。ガダルカナルは必ず奪還する、という決意表明は立派だが問題はそれをどう実行するかだ。敵は強大だよ?

今年第1四半期(1~3月期)のアンドロイド搭載スマホがメーカー各社にもたらした営業利益の合計は53億ドル(約5410億円)。このうち、サムスン電子が全体の96%を占める51億ドルだった。

via: サムスン、世界で利益独占 アンドロイド搭載スマホで9割以上 (SankeiBiz) - Yahoo!ニュース BUSINESS

でもって事業領域は「お客様から逆算」なのだそうな。

コア事業という意味は一体何なのか。これまでパナソニックは、テレビ事業に徹底的に選択と集中して、一本足で成長と収益を勝ち取ろうとしました。私は必ずしもこういう方法は採りません。あくまでもお客様が何を求めているか、ということから逆算したほうが、間違えることが少ないのではないでしょうか。

via: 津賀一宏の名言|お客様のニーズから逆算することの大切さ

彼が言っていることは基本的に正しい。問題は「お客様が何を求めているか」なかなかわからないことだ。自動車関連でTIer1になる、と言っているので「自動車会社様のご意見を聞く」ということなのかもしれない。下請けに徹すれば確かに外れは少ないわな。

いくつかの記事を読み、遠い昔重厚長大の大企業に勤めていたころのことを思い出した。社長とか所長とか偉い人がおりにふれスピーチをする。基本的にその言葉は全て頭を通り過ぎる。それが終わると昨日と全くおなじ日常業務に戻る。

今覚えているのは所長挨拶の最後にかならず「皆様は会社にとっても家族にとっても大切な一員です。健康に配慮して云々」といっていたことだけだな。


やったもん勝ち

2013-05-27 07:02

というわけで、iCloudがわからない、と書いたのが数日前。などと凡人がぶつくさ言っている間に、もう商売を始める人がいるのであった(やっぱり)

「間違っていることが多すぎるが、解決方法はある意味でわかり切っていた。全部をクラウドに入れて、全部のデバイスからアクセスできるようにすればいい」とSenderekは言った。

それは、もちろんApple iCloudaの約束だ。しかし、その通り働いているようには見えない。

via: Yコンビネーター出身のLoomは、より良いiCloudを目指す | TechCrunch Japan

というわけで、この企業が大成功するか、わるいはどこかが買収してちゃんと継続してくれることを祈ろう。私のMac Book Airの容量はもうかつかつなのだ。

この場合やることはわかっている。これをAppleが提供するなら話は簡単だが彼らはなぜかそうしようとしない。だからLoomは収益化の方法を自分で考える必要がある。ここは頭が必要なところだ。

そして話はまた「良いスタートアップとは」に戻る。

Yコンビネーター出身写真共有サービスPopsetは、スタートしてわずか2月後に、自分たちが間違った問題を解こうとしていることに気付いた。ユーザーはグループ内で写真を共有したいのではない。必要なのは様々なプラットフォームやサービスを横断してフォトライブラリーを整理・管理するためのツールだ。

via: Yコンビネーター出身のLoomは、より良いiCloudを目指す | TechCrunch Japan

彼らもまた方向をすばやく転換した人間の一人であった。であれば彼らはどういう点を考慮されてY Combinatorで選択されたのだろうか。オリジナルのアイディア故でなかったことは確かだ。

つまるところ重要なのは、現実からのフィードバックをちゃんと受け取り、自分たちの仮説が間違っていたことを知れば素早くかつ徹底的に方向転換する決断力ではなかろうか。こう書いていて「そういうのってあまり観たことないなあ」と思うのも確かである。

さて、時を同じくして日本でもベンチャーのイベントが開催されているようだ。

岡島氏:取締役はどうやって決めているのか。

日高氏:藤田の一任で(笑)。人事も福利厚生も「自分で決めよう」と藤田が言っている。

via: 「経営チーム、どうやって作った?」--グリー、サイバー、ミクシィの本音 - CNET Japan

なんというか。。おそらくは同じ「ベンチャー」というくくりで語るのが間違っているのだと思う。性質の違うカテゴリーがいくつか存在しているんではないかな、とぼんやり考えたところで今日はおしまい。


Battle for TV (again)

2013-05-24 08:37

昨日ブログを書きながら、XBOX Oneの筐体をみて

「四角いなあ」と思っていた。その時何かがひらめいた。どこかで観たことがあると思ったらPSXじゃないか(この名称を忘れていて、Google先生に尋ねてようやく思い出したのだが)

xbox-psx.jpg

PSXは白しかなかったら色を反転させたが、ほらそっくりでしょう(強引)

思えばこの頃のSonyはまだ好調だった。やることに意味があると思われていた。そしてゲーム機の機能からTVを攻めようという考え方は今から10年前にも存在したのだな。でもってソニーは簡単に敗退した。

今やその戦いが再現されようとしている。

 米国では、現在、CATVのSTBが草刈り場になろうとしており、AppleやGoogleなども、その市場を睨んだ動きを始めている。ス

via: 【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】Microsoftが次世代ゲーム機「Xbox One」のベールを剥いだ

悲しむべきは、ここでのプレーヤーの中に日本企業が入っていないことだ。逆に日本企業から聞こえてくるのは「TVからいつ撤退するのか」という噂ばかり。

ここで日本企業が言っているTVとApple, Microsoft,Googleが考えているTVとの間にかならいのズレがあることがわかるだろう。

とはいえ、GoogleはGoogle TVで失敗し、私はMicrosfotのXBOX One戦略もTVとの融合としてはうまくいかないと予想する。数年後に「私はこんなことを書いた」と振り返る危険を承知した上でそう断言する。私が驚嘆したIKEAのTVもこんな調子のようだ。

衝撃の「IKEA Uppleva」はいざ蓋を明けてみたら、まだ今のところは「安いウッドの外枠だけが取り柄のホームシアターシステムだった」ということで...。

via: 組み立ては簡単だけど画質はイマイチ...イケアテレビ「Uppleva」現地で不評 : ギズモード・ジャパン

現状のApple TVは"Hobby"にすぎない。大成功はしないが、大失敗にもなっていない。彼らがどんな提案をするか実に楽しみだ、、と思っていると何もでないかもしれないね。来年までには何かでることを期待しましょう。


革新なんて無用です

2013-05-23 07:18

まずはこのグラフを見よう。

現行世代機種の世界での売上である。Wiiの恐ろしいまでの凋落。これは「新しい市場を切り開きはしたけど、そこで成長が止まった」ということなのだろうか。PS3はじりじりと伸ばしたが結局減少し、そしてXBOXだけが順調に売上を伸ばしている。

おそらくこの3つのグラフを重ねてみると、「ゲームコンソール全体の売上」がでて恐ろしい事実がわかると思う。つまり市場自体が急速にしぼんでいるのだ。

この場面で何をすればいいか?三者三様の答えを出そうとした。

任天堂は「あくまでもゲームメーカー」という立場で、「新しいゲームの楽しみ方」を提案しようとした。

ソニーとマイクロソフトは対照的らしい。

SCEはPS4のゲーム機としての側面を強調し、ゲーム体験を豊にする機能とゲームコンテンツの説明に時間を割いた。それに対して、Microsoftはホームエンターテイメントを統合するマシンとしての側面を強調し、ゲーム以外のTVコンテンツとの連携などの機能や再設計されたKinectによるナチュラルインターフェイスなどの説明に時間を割いた。

via: 【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】Microsoftが次世代ゲーム機「Xbox One」のベールを剥いだ

ソニーは「ゲーム。ゲーム」といい、Microsoftはこのビデオをみてもらうとわかるが

ひたすら「TV」と言い続けている。ソニーが家電メーカであることを考えるとこれは逆になってもいいと思うのだけどね。

いずれにせよSony,Microsoft両者とも「地道にがんばりました」というもので何の驚きもワクワクもない。とはいえより保守的なのはSonyだ。Microsoftは少なくとも

「ゲームだけじゃないっす。一家に一台XBOX便利でたのしいっす!」

と家電を指向しているように思える。しかしSonyは急速に縮みつつあるゲームで戦っていこうとしているようだ。ソニーのこうした態度はゲームだけに限らない。

かつては「破壊的な製品」を連続で生み出していたソニーがこう述べているのは、年寄りにとっては悲しいことだ。

13年度は「ソニーの総合力を生かした最新かつ最強の製品をタイムリーに市場投入する」。Xperia Zは大幅に設計リードタイムを短縮してタイムリーに市場投入でき、携帯電話事業者から高い評価を得たという。だが「これは序章に過ぎない」と平井社長。

via: 好調のXperia Zは「序章に過ぎない」──ソニー平井社長、13年度は「最新かつ最強の端末をタイムリーに」 - ITmedia ニュース

彼は「最新最強」とはいっているが、「革新的」とはいっていない。一つの会社が時代の流れとともに別の会社に変わることはありふれているのかもしれない。そしてソニーは普通の会社になったのだなあとの感慨を新たにする。

「ウチはもうエレクトロニクスのビジネスでは稼げないし、今後、どう展開して良いのかについても、ノー・アイデアです。だからエンターティメント事業や金融事業に、しがみついてゆきたい!」


ソニー経営陣がどう言おうと、従業員や株主は、そう受けとめるでしょう。

悲しいなぁ......悲し過ぎる。

おまいら、そんなに臆病なの? 昔のSONYが持っていた、Swagger は、何処へ消えてしまったの?

via: 若しSONYがエンターティメント事業をIPOしなかった場合、それがどんなメッセージを従業員や株主に送るか? - Market Hack

ちょっと年齢が上の人は「悲しい」と思うだろうけど、20代の若者は「はあ?」と思うのかもしれない。

おもしろいのは、ソニーの金融部門は極めて好調だということだ。つまり「ソニーらしさ」はエレクトロニクスではなく金融業で花開いていることになる。ここらへんの分析って誰かやっていないのだろうか。

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追記:XBOX oneが何かに似ていると思ってようやく気がついた。昔なつかしPSXだ。


iCloudがわからない

2013-05-22 07:10

という秀逸な記事を読んだのだが、どこで見つけたか忘れた。

さて、話はiCloudである。容量は5GBなのだそうな。(私の時計で「つい最近」までNiftyserveが20MBの容量を「ホームページ」設置者に提供していたこととか、Biglobeが100MBとか言っていたなあ)

でもって

iPhoneでとった写真は自動的にそこにバックアップされるらしいのだが、そのロジックがわからない。5GB超えたらどうなるのだ。動画はバックアップされないのか、とかね。

結局iCloudとは「なんだかあるらしいな」と思うだけで未だにPC上の写真ファイルとローカルHDによるバックアップに頼っている。

というわけで依然として「ネットワーク」対応はAppleにとっての鬼門である。あれほど素晴らしい製品を作る会社がなぜネットワークになるとこうなるのか。メールアドレスもmeとかの物をもらえるけどありがたいと思ったことないし。

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さて、先日Flickerがアップデートされた。私も滅多に使わないサービスだが、なんと容量は1TBなのだそうな。それが無料。これだけあれば「とりあえずなんでもかんでも放り込んでおく」という使い方ができるきがする。もちろんそれだけに頼るつもりはないけど、一箇所でもバックアップが多い、というのは安心なことだ。

ただFlickerは容量が大きいだけで

It just works

のような使いごこちにはなっていない。未だだれもローカルPCとクラウド上のストレージを It just worksにはできていない。こう書いていて思うのだが、それを実現するとすれば、やっぱりGoogleかな。


第2回Wi2研究会で考えたこと

2013-05-21 07:23

というわけで、Wi2研究会@大阪大学に行ってきたのだった。

いきなりだが、研究会の間になされたあるTweetを引用する。

WI2の研究は,何らかのサービスだったりユースケースを想定したことにして発表する人が多い.けれど,それがあまり練られていないと,採用された技術が妥当かどうか分からない.というか,結構無理筋な想定がされていることがしばしばあるんだよなあ

via: Twitter / ts_pawn: WI2の研究は,何らかのサービスだったりユースケースを想定し ...

このTweetをみて、それまで漠然と抱いていた疑問が明確になった。

こういうことだ。「What to make:何を作るか」と「How to make:どうつくるか」に話しを二分する。でもって工学系の大学の先生というのはほとんどの場合How to makeに重きをおいている人が多い(ものすごい一般化)つまりやれT検定がどうだとか、自然言語処理がどうだとか、クラスタリングアルゴリズムがどうだとか、ね。

でもって研究もそれに沿ったものが多い、、のだがここに問題がある。WI2研究会の場合「◯◯アルゴリズムの最適化について」といった裸の技術が発表されることはあまりない。主眼がそうした「製造技術」にあったとしても、それが「何らかのサービス」の形をとっていることが多い。

ところがこの「サービス」自体が「そんなもんないだろう」と議論になってしまうとそもそもの製造技術まで行き着かないわけだな。

さらに悪い事に「こうしたサービスはありか、なしか」の議論になると名だたる先生が急に「一ネットユーザ」になってしまう。いや、もちろんWhat to makeで教授になった人もいると思うのだけど、あまり数は多くないよね。

もっと悪いことにそういう「サービスかあるかないか」の結論は「結局やってみないとわからないよね」ということになり、じゃあサービスをやりましょう、でもそれって企業がやることじゃなかったっけ、ということになる。そもそも大学の研究室は「人が集まるサービス」を作ることを目指している場所ではない。そうならば、GREEはDeNAは博士号取得者で溢れかえることあろう。

ここらへん、以前より指摘されている「そもそもWeb関連の研究というのは、成り立つのか」という議論にもなるわけだ。

以前に高林さんに言われた「Webに関する研究ってありえないですよ。だって、Webって考えたことがすぐに現実的なものになる世界だから、研究だとか言ってもったいつけないですぐ実験してみればいいんです。その結果、いいものは広まるし、そうでないものは黙殺される。役に立つかどうかよくわからない研究なんかで論文を書いているより、はるかに意義があります」という意味の言葉が未だに僕の胸に突き刺さっています。

via: 長尾のブログ2.0: Google、名大に来る

じゃあWi2研究会いらいないのかといわれればそうでもない。例えば今情報推薦ではどういうことがトピックになっているか、こんなアプローチもあるといった情報共有は企業間ではできないのだ。そうした情報が得られるのは実にありがたい。でもそうした技術が「変なサービス」にくっついていると、、と話はまた元に戻る。

こうした議論を意識しながら、どちらに転げるでもなく位置づけを考えていく、というのは難しいことだよなあ、と一参加者は人ごとのように思うのだった。


なぜ「終わってから」正解に気がつくのか

2013-05-17 06:51

思えば期末試験でもそういう体験をしたことがあると思う。うーんうーん。どうしてもわからない。はい時間です。提出して、とその声を聞いた瞬間答えが頭に浮かぶ。

会社にはいる。コードを書く。動かない。うーんうーん。もうつかれた。帰ろう。とぼとぼと歩いて車に乗り込みキーを回す。あ、そうだ。

アメリカ流に言えば「シャワーを浴びているときにいい考えを思いつく」というやつだ。以前「なぜか」という記事を読んだが全く納得できないものだった。曰くシャワーを浴びるとリラックスるできるからとかそんなのはどうでもいいんだよ。

でもって心理学の世界ではきっと定説とかそういうものなんだろうなあと思っていたが今まで既存研究にお目にかかったことがない。昨日こんな記事を見つけた。

カーネマンはヒトの心は2つのシステムでできていることを示しました。

「システム2」は高度なシステムであり、分析的、数学的で合理的に考えています。しかしこの思考には時間と努力が求められます。

「システム1」は、非常に迅速で、感覚的、直感的で、しばしば間違った判断をしますが、しかしすぐに答えを出します。このシステムのスイッチを切ることはできず、つねに働き続けています。

カーネマンはこの2つに驚くべき関係があることを発見しました。システム1はシステム2が働くための仮説群を提供していたのです。

via: JavaScriptのプログラミングスタイルはどうあるべきか? 重鎮Douglas Crockford氏が脳の働きとの関係を語る(前編)。QCon Tokyo 2013 - Publickey

もう一つ参考になるのはこの意見。

というわけで私は勝手な仮説を作る。

システム1がカオスな状態。システム2がロジカルな状態。何かの問題にハマり込んで、どうしてもとけなくなっている状態というのは、ロジカルな方に寄りすぎて動きが取れなくなっている。その時点でもシステム1は仮説を提供し続けているのだが、システム2が動きすぎていていそれを聞いちゃいない。それを

「ふっ」

とカオス=システム1との中間点に持ってくる。すると、システム1が提供する仮説がシステム2のロジックをうまく噛合い、「正解」を導き出す。


こんな説はどうですかねえ。心理学の人。


世界で生き残ってなくちゃ

2013-05-16 07:10

最近こんな記事を目にした。

ドコモのiPhone導入に向けた真の障壁は何なのでしょう。個人的には、親会社NTTの最大の株主がいまだに日本国であり、"国策企業"であるか故の苦悩がそこにあるのではないかと思えています。すなわち"国策企業"NTTドコモは、iPhoneを導入した場合に国内産業に対していかなるマイナス要因を及ぼすのか、それを常に考えなくてはならない立場にあるのではないかと。

via: "一人負け"ドコモが、それでもiPhoneを導入できない理由(大関暁夫) - BLOGOS(ブロゴス)

これが本当かどうかは私にはわからない。しかしこの意見の尻馬にのるような意見があるのも確かである。

一部では国内メーカーの復活の兆しも見えつつある。

現状では韓国のサムスンや中国のファーウェイなどの"海外端末推し"の印象が強いドコモだが、ここは一つ国策企業の原点に立ち帰り、国内メーカーと共に歩んでいく姿勢を明確に打ち出して、支持率回復を目指す手もあるのかもしれない。

via: "一人負け"ドコモは「国策企業の原点に戻るべき」論が勃発!!?(EXドロイド) - エキサイトニュース

しかしこうした議論はまやかしにすぎない。というか「ここは旧ソ連でしょうか」とも思える。もちろんこういった議論がまかり通る分野もあるのだろうが、現実を見ようじゃないか。

そもそもAppleとサムソン以外スマートフォンで(ほとんど)利益を出してはいないのだ。ではシャープだのパナソニックは何をしているのだろう?それは彼らにしか分からない。

DocomoがiPhoneを扱うかどうかわからないが、もしDocomoが国内メーカーに配慮していたとすれば、これは「決別の辞」ではないかと思うのだ。

2機種については2年契約を前提に「特別価格」とし、さらにiモード端末からの乗り換えユーザー向け「はじめてスマホ割」で1万円引き、ドコモを10年以上契約したユーザー向け「ありがとう10年スマホ割」で1万円引きの合計で最大2万円値引き。Xperia Aは実質負担が最安で「5000円程度」になるという。

via: GALAXY S4とXperia Aは「ドコモのツートップ」 夏モデル、価格も武器にiPhone対抗 - ITmedia ニュース

いままでずっとガラケーつかってたけど、そろそろスマホというDocomoの人は間違いなくこの2機種を選ぶ。逆に言えば「あとのメーカーはどうなろうが知ったことじゃない」ということだ。一件厳しいようだが、現実は既にだいぶまえからそうなっていたわけで。今から考えれば早々と携帯事業に見切りをつけたDENSO,三菱電機は正しかったということだな。

未だに幻想にしがみついているシャープ、NEC,パナソニックがそろって大赤字を計上しているのは偶然の一致だろうか?

私はヒラのサラリーマンなので、こういう時どうしても最前線のエンジニアたちの事を考える。やれiモードだ、iアプリだ。ezアプリだ、ガラケーサイトだ(もうそんな言葉誰もしらないでしょ)と苦闘して突然「Androidをやれ」と言われ、なんとか形になったところで「ご苦労様でした!」と言われる。

まあサラリーマンだからねえ。


"Disrupt or die" or "disrupt and die"?

2013-05-15 07:06

昔なつかしシノフスキー粒子が面白いことを書いていた。

"Disrupt or die" or "disrupt and die"?


「破壊しなければ滅びる」か「破壊すると滅びる」か。日本の大企業は99%後者をとっている。革新は常に敵。スマートフォンという破壊的なテクノロジーに対応する際も必ずその企業にとって革新的でない無害な形にしてから取り入れる。パナソニックのスマート家電をみればそのことがよくわかると思う。

さて、問題はシノフスキー粒子が手がけたWindows 8である。おそらくMicrosoftは"Disrupt or die"の戦略をとったのだろう。先日こんな記事を観た。

わずか2年後の2015年には、インストールベースではスマートフォンとメディアタブレットの合計値がPCの2倍に達するとの予測をSamsungが挙げていた。

via: 【福田昭のセミコン業界最前線】DRAM開発の主役から外されるPC向けDRAM

未来の予測は常に気をつけて見る必要があるが、この予測には私も賛成だ。というわけで、PC市場の王様は「国民が誰もいなくなる」状態に怯えている。

さて、どうしよう?とはいっても今までの膨大な遺産は生かさなくてはならない。という難題にとにかく答えを出したことは尊敬に値する。日本の大手企業ならそのまま何もせず座して死を待つところだ。

私は彼らがくだした「PCとタブレットのOSを共通化する」という判断は間違っていたと思うがそれは判断。というわけで、Disrupt or dieをとったシノフスキーはこう言う。

実際MicrosoftはXBOXでこの戦略をとって成功した(相手が勝手にコケてくれたからだが)Windows8も10くらいで「あの時の判断は正しかった」ということになるかもしれない。ならないかもしれない。

最もMicrosoftに好意的な記事でもこうしか書けない。

大事なのは、あくまでコンピューターの未来がどうなるかってことです。ユニファイド・コンピューティングの未来がどんなものになるのか、まだざっくりとしたイメージしかありません。それでも今、マイクロソフトがすべきなのは、この穏やかでない現状を恐れずに切り抜けて未来を描き切り、ユーザーが未来に追いつくのを待つことなんです。

via: Windows 8が軌道修正? それでいいのかマイクロソフト : ギズモード・ジャパン

しかし少なくとも私のような野次馬にとっては、Microsoftのチャレンジは興味深いし、Microsoftの株を持っているわけでもないので「がんばれー!もっとやれー!」と遠くから声援を送りたくもなる。Metroのアプリ作っただけで金をくれるとかあれこれ細かいことは気にせずに。

So, will Google's I/O conference -- set to kick off this Wednesday -- bring news of the Nexus Q's fate?

No, it won't.

via: No Nexus Q News at Google I/O This Year - Mike Isaac - Mobile - AllThingsD

GoogleのNexus Qもどうやら日の目をみないままお蔵入りとのこと。もちろんNexus Qを批判することは簡単だが、ではPanasonicのスマート家電と比べてどちらがマシかと言われれば、私はNexus Qと答える。

さて

ここ10年は少なくともDisrupt or dieの立場をとってきた(最も売れていたiPod miniをiPod nanoで置き換えるような芸当はAppleにしかできないと思う)Appleは今年、そして来年何を見せてくれるだろうか。あとひと月か。。


ハフィントン・ポストに見出した希望と絶望

2013-05-14 06:47

先日ハフィントン・ポストなる新しいメディアに対する失望を書いた。しかしそれは早計だったかもしれぬ。

そんなことを考えたのはこの記事を読んだから。

世の中には自分の性癖が刺さる人間が必ずいると信じて、異性に接近する回数を増やせばよいだけだ。今はインターネットの発達により、不特定多数の人間に向けて自分の性癖を露出することも容易になった。

じっくりと発酵したくさやがコアなファンをつくるように、あなたも臭ってくるほどの性癖を見せつければ間違いなくモテるようになるはずだ。ぜひ、今日からはポジティブなオタクや変態として生きてほしい。

via: 堀川大樹: オタクと変態はモテる

いや、すばらしい。クマムシ博士がいることは知っていたが、彼は「やはり」バッタ博士とお友達だったのだ。バッタ博士がまだ元気に生息していることもわかったし。こういう記事を載せるとはハフィントン・ポストもやるではないか。

と思ったのだが、そこからはてなブックマークを参照して少し考えがかわった。

デジャブだなぁと思ったら、今年2月に自身のブログでホッテントリになってるじゃん http://d.hatena.ne.jp/horikawad/20130221/1361403176

via: はてなブックマーク - 堀川大樹: オタクと変態はモテる

なんと使い回しであった。いや、ハフィントン・ポストはコメントでの議論がウリというではないか。使い回し大いに結構。ではコメントを見てみよう。

確率・統計は母集合に関する言明であって個々人、個々の事象について予知能力を持つものとはいえません。
カミングアウトして、いろいろ台無しになったら寄稿者は責任を取れるでしょうか。
きっと責任はない、自己責任だといったことをおっしゃることでしょう。
とすると、この記事から何を得ればいいのでしょうか。
まずは断定的な見出しを変えることを検討いただきたいです。

via: 堀川大樹: オタクと変態はモテる

このコメントのノリはどちらかといえばYahoo掲示板とかTwitterに近い。というかこれほど的外れなコメントは久しぶりに観た。

はてなブックマークについたコメントと比べると明らかにハフィントン・ポストのほうが低い。何が低いかというと、書いている人の年齢が低いように思われる。

表紙を見る。「有名人」の記事が並んでいたのはどうやら最初だけで今は観たことがない人が並んでいる(これはいいことだと思う)しかし見出しを観ただけで読む気がおきないのは問題だ。

議論が売りでこれでは、、と彼らと彼女たちの前途について考える。こういう事業はどこに「当たり」があるかはさっぱりわからない。出した後の舵取りが難しいと思う。なんとか独自のポジションを見出してくれると読んでいる方としては助かるのだが。

日本語の記事ではあまり見かけない「データにきちんと基づいた分析記事」なんてのが集まるようになればいいなあと個人的には思う。それでも今のようなコメントしかつかないのであれば、誰も投稿しようと思わんだろうが。


メディアに対するには

2013-05-13 06:44

マスゴミとかなんとか言うのもいいが、やはり誰かが調べてまとめてくれる、というのはありがたい。

というわけで問題は「どこの誰が言った話か」ということを考えるべきだ、というのがここ10年くらいで気がついたこと。学校でもこういうこと教えるといいと思うんだけどね。最近はニューヨークタイムスに何が載ろうと気にしなくなったし。

たとえば少し前にこんな記事があった。

米アップルはアジアを中心に最大28億件に上るスマートフォン(多機能携帯電話)の新規契約獲得のチャンスを逃しつつある。

via: 米アップル、iPhone新規顧客の獲得機会逃す (Bloomberg) - Yahoo!ニュース BUSINESS

28億件ってすごいねえ。例によって事実と憶測を混ぜこぜにして自分が言いたいことを言う、という記事だ。ちなみに情報の発信元はブルームバーグ。そうした仕組みはこの記事に詳しい。

「会議終了後、Bloomberg のレポーター(単数)が私のところへ来て、いくつかの特定製品の数字を聞き出そうとしました。特定の製品や顧客についてのコメントはしないとハッキリ拒否しましたが、それでもなお彼は他の問題についても質問を続けました。私の発言として彼が記事で引用した『価格は安定しているので、需要の減少によるもの』とか、『ほぼすべての項目がマイナスの方向へ推移している・・・』、『タブレットに限らず、電子書籍やゲームコンソールについても』という文言は確かに私の発言です。しかし特定の製品に関してはいかなる発言もしていません。」

via: アップルのネガティブ報道が生まれる仕掛け | maclalala2

こちらも元の記事はブルームバーグ。と私にとって疑問符がつく報道が続いたところでこのニュース。

ニューヨーク・タイムズは記事の中で「1990年代にブルームバーグがニュース部門を立ち上げた際、記者がユーザーの端末利用状況を取材に活用することを奨励した。そして端末を営業して回る際、記者をセールスに同伴させ、端末の営業を促進することもした。このためブルームバーグのOBの多くは、ブルームバーグはより多くの端末を売るためにニュース部門を抱えていると感じている」と批判しています。

via: ブルームバーグの企業倫理が問われている! - Market Hack

おそらくブルームバーグのニュース部門にとって第一のミッションは端末を売ることであり、報道の正確性とかそういうものは2の次なのだろう。

私はここで「ブルームバーグ」を一括してゴミ箱に放り込むという一般化を行なっている。これは正しいことかどうかわからない。朝日新聞にも毎日新聞にも頭のまともな記者は存在する。

しかし今後ブルームバーグの報道には注意をしていかなくてはならない。

同じようなことは日本経済新聞やNHKにもあるのだろうが、こちらは永遠に表に出ない気がする。我が国ではいいにつけ悪いにつけ、白黒はっきりしないことが多いからねえ。


ロボカップ@玉川大学に行ったよ

2013-05-10 07:21

どこかで「ロボカップやってます」という広告を観た。5/6は父親と子供二人で暇な時間があることがわかる。長男はロボカップに行きたいといい、長女は映画に行きたいと言う。二人のあれこれの交渉の結果長女が長男からいろいろの譲歩を引き出した上でロボカップに行くことになる。

玉川大学とは名前だけ聞いていたが、行くのは初めて。まず入り口のところでサッカーだかフットサルのグループが「サッカーボールを蹴ってコーンを倒したら何か商品がもらえる」というのをやっている。長男がさっそく挑戦。3回けって一個おとした。長女はやらないとのこと。

そのあと手荷物検査がある。私たちの後ろに大きなバックパックを背負った男性がおり、

「え、検査するんですか?カメラたくさんいれているんで(金属探知機)がなりまくりだと思います。え?開けるだけでいいんですか?」
(かかりの人)「ええ、開けるだけでいいことになってます」
(男性)「ええ、せっかくだからちゃんと検査してくださいよ!(同じ叫びを数回繰り返す)」

こうした雰囲気は会場のそこかしこに見られる。私としてはこういう空間のほうが居心地が良いのは認めなくてはならない。

スタンプラリーがあり、広い大学構内の会場をくまなく回るようにできているのはよい仕組みだと思う。玉川大学は思ったより広く、そして起伏に富んでいるのでなかなか大変だ。今だからいいが雨が降ったり、暑かったりしたら奥の会場には誰もきてくれんだろうな。

ロボカップ@Homeという競技の決勝を見る。まず最初タイのチームがでてくるが、そもそもろくに動かない。この@Homeはプレゼンとロボットの動きがセットになっており、ロボットが動かなくても、間が持つのはいいことだ。しかし全く動かないというのはどういうことだ。

次に日本の大学がでてくる。セッティングで、ペットボトルが2つおかれた机との距離をメジャーではかってロボットを設置する。その上で

「透明な物体がはいったペットボトルと、そうでないものを見分けます」

とデモを行う。なんだこれは。メジャーではかって距離を設定してるなら簡単じゃないか。そもそも画像認識部分は全部Kinectだし。

ここで子供があきてしまい別の会場に移動する。ロボットサッカーの決勝戦をあちこちでやっている。人型ロボットの小さいものはPK戦になっているのだが、そもそも審判もPKのルールをよく知らないらしい。進行がとても遅い。

これを見ていると人型ロボットというのは、いかに「未来」にあるものかがわかる。人型でないロボットは素晴らしい速度で動き、フォーメーションとか見せてくれるのだが、人型ロボットは正しい方向に歩くだけで一苦労である。

レスキューロボというものあるのだが、ある大学のロボットがゆっくりゆっくり動いていく。なぜか長女はそちらがきにいったらしくそれを見ている。

そのあと地下で行われる「ロボット買ってきてサッカーやらせる」競技の決勝を見る。台湾の大学同士の対決だ。なぜか4体対3体。なぜかというと5体まで出していいのだが、ロボットが一台100万するのだそうな。練習ではどちらのチームも見事にボールを見つけてシュートしていたが、試合になると話は別である。そもそもコートの半分以上離れたところにあるボールを見つけることができないし、どちらが自分のゴールかもよくわかっていない。だからown goalの危険性がとても高く、ゴール前でのロボットの動きには観客もはらはらさせられる。いや、別の意味で楽しい。

といったところでだいたい見物はおしまい。

@Homeの完成度の低さには正直驚いた。予選ならともかく決勝であの程度とは。。もちろんデモの本番でシステムがへそを曲げるのは私もよく経験したから理解できるが、彼らのプレゼンを見る限り、システムが完璧に動いたとしてもそもそもそんなに面白いことをやってくれそうにもない。

レスキューロボットも、「将来的な実用を目指す」というよりは「大学生の思い出作り」が目標ではないかと思えた。もちろんそれで十分という意見もあろうが、どことなく「ロボコン」と似通った「ルールの中でがんばっている」気持ち悪さを感じる。今や「ルールを新しく見出す」ことの重要性に着目するべきではなかろうかなあ。それができないがためにやられっぱなしではないか。あ、日本は大学はそういう役割を期待されてませんか。

とはいえ子供はご機嫌であった。そういえば小学生の部もあったなあ。ちなみに一番驚愕したのは、玉川大学内部になる幼稚園の豪華さであった。


カーナビの運命

2013-05-09 06:55

というわけでカーナビである。

JVCケンウッドは5月8日、ケンウッドブランドからカーナビゲーションシステム「MDV-737DT」に、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を組み合わせた「MDV-737HUD」を発表した。独自のD-ILAデバイスを採用し、高解像度の画像表示などに優れる。発売は5月中旬。店頭想定価格は25万円前後になる。

via: ケンウッド、「彩速ナビゲーション」と組み合わせられるHUDユニットを発表 - CNET Japan

パイオニアは5月8日、カーナビ「カロッツェリア サイバーナビ」シリーズの新製品7機種を発表しました。いずれも6月上旬に発売予定でオープンプライス。実勢価格は15~34万円前後の見込みです。AR(拡張現実)情報を表示する「ARスカウターモード」(一部機種は非対応)に加え、車載カメラの撮影画像をドライバー間で共有できるようになりました。

via: 車載カメラの撮影画像を共有、パイオニアの新「サイバーナビ」 - Engadget Japanese

重厚長大路線のカーナビが生き残ろうと思えばこの方向しか無い。拡張現実とか、ヘッドアップディスプレイとかとにかくスマートフォンができないことをやるのだ。

しかしこの価格はどうだろう。一昔まえならPCが34万といえば「そんなものかな」と思った。今なら気が遠くなるような高値だ。

商売上の発言か、あるいは本心かわからないが価格.comにはこんなコメントが載っている。

この時代に車にカーナビは標準装備なんじゃ?
むしろ、標準じゃない方が珍しいでしょ。
わざわざ、iPad miniをカーナビ替わりにするメリットてあるんですか?
それも、iOS6の標準Mapですよ.....
それとも、iPad miniの携帯性に目を奪われてiOS6のMapの酷さを忘れましたか??
言っときますが、Minor Version UpであのMapが改善されたとでも?
代替えのMapを使用する方法を考えているかもしれないけど、
いちいち運転中に操作するのですか?
道交法違反になりますよ。
車標準搭載のカーナビか、新規取り付けのカーナビの方が遥かにまし!

via: 価格.com - 『カーナビメーカにとどめをさしたiPad mini』 APPLE iPad mini Wi-Fi+Cellular 16GB au のクチコミ掲示板

「時代」という何を言っているかわからないキーワードが愛おしい。なるほど。では差額を出してください、といいたくなる。25万出してくれるなら喜んで純正カーナビを付けます。

どこかこんな商売やらないかな。iPadmini3Gモデル+格安MVNOSIM+iPad上のカーナビソフト+ホルダーのパッケージ販売、もしくは取り付けサービスだ。初期費用はどうみても8万円。維持費は月490円か980円。地図はGoogle or Appleが常に最新にしてくれるし、おまけに取り外せばiPadとしても使えます。

車のディーラーがこういうことをやらないのは、そりゃ自動車メーカーとの関係があれだからだろうな。じゃあガソリンスタンドがこういうサービスを提供するというのはどうだろう。修理とか点検の場所と人材は揃ってるわけだし。というかソフトバンクがやらないのが不思議なくらいだ。怪しげなフォトフレームなんか売るくらいだったら、こういうまともな物を売ってはいかがかな。あっそうか。これだと通信費で儲けられないのか。

車には乗るが、スマホとかよくわかんない、って人は多いと思うんだよね。そういう人にワンストップのサービスを提供すれば売れるんじゃなかろうか。言ってるくらいなら自分でやれって?すいません。

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何十年にもわたってiTron上でソフトウェアを開発してきた人たちには気の毒としかいいようがない。しかし現実を見るべきだと思う。何度も書いてきたことだが、日本のカーナビメーカーが投資した金と人はおそらくAppleがiOSを開発するための投資の数倍に達していると思う。(あるいは数十倍かもしれない)

しかし結果はどうだろう。

こういうことについて決して考えず、もし頭に浮かんでしまったら

iPadを車載する場合のペケ
・運転中のがたつきが気になる
・反射で画面が見えない
・バッテリーが持たない
・カーナビとしての性能や操作性は、やはり専用機にはかなわない
・運転中についついiPadを操作してしまい、細かい操作になるから事故る確率が高くなる

こんな感じでは、私はカーナビに戻しました。

via: 価格.com - 『カーナビメーカにとどめをさしたiPad mini』 APPLE iPad mini Wi-Fi+Cellular 16GB au のクチコミ掲示板

こういう意見をみて「まだまだカーナビにはやることがある」と心の平静を取り戻し、下請けに休日出勤を強制する。それができなくては日本の大企業には勤められんわな。


メディアの問題はどこにあるのか?

2013-05-08 06:58

というわけで、新しいメディアなのだそうな。

米国で月間4600万人が訪問するニュースサイト「ザ・ハフィントン・ポスト」の日本版が7日、創刊した。

via: ハフィントン・ポスト日本版創刊、ネット上に「良質な言論空間」を -INTERNET Watch

さっそくトップページを見てみる。朝日新聞が関わるとなんでもこうなるのかね。

ふたを開けてみたら特ダネもなく、投稿者は他サイトでも見慣れたネット系著名人や政治家たちが並んでいた。

via: ハフィントン・ポスト日本版は失敗する(藤代 裕之) - 個人 - Yahoo!ニュース

執筆者の顔ぶれを見るだけでげんなりする。またこいつか。「手垢がついた」としか表現しようのない人たちの記事を誰が読みたいと言うのだろう。という意見には「馬耳東風」のようだ。

ジャーナリストの藤代裕之さんがYahoo!ニュース個人に公開した「ハフィントン・ポスト日本版は失敗する」という記事が公開されたが、「記事を読んだが、愛があふれる叱咤激励だった。改善すべき点はユーザーの声を聞き、次のステップに進めれば」と批判も歓迎。

via: ハフィントン・ポスト日本版オープン 読者参加による「ポジティブで良質な言論空間」へのチャレンジ - ITmedia ニュース

まるで

「鳩山がんばれ、という気持ちをいただいた」

の元首相のような言葉。日本のマスメディアをみて一番げんなりするのは、既得権益の上にどっかりをあぐらをかき、他者への「絶対自分が安全とわかっている」批判は大得意だが、自分たちに火の粉が降りかかるのはNo thank you.自分たちへの批判は中国共産党か北朝鮮のように扱うその傲慢さ。

そういや「あらたにす」なんてのもあったねえ。一度も見なかったけど。

しかしこういう企画が社内で認可されるのはよくわかる。これからはネットも取り入れなくては。そしてアメリカで実績のある会社が組んでくれます、ってこれは私の経験内では「典型的な失敗パターン」だ。

まあそうやって彼らは緩やかな死に向かっていくんだろうな。

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不思議なことにスポーツニュースといえば、今でもプロ野球が中心のようだ。でもって連休中に興味深いイベントがあった。その視聴率。

12.9% 12:45-15:00 長嶋茂雄&松井秀喜W国民栄誉賞!独占生中継スペシャル
*7.4% 15:00-16:55 日本プロ野球Dramatic Game 1844・巨人×広島
15.3% 17:30-18:00 笑点

via: 5/5の国民栄誉賞中継|プロ野球の視聴率を語るblog

もはや「今の」プロ野球は誰も見ていないのだ。というか「笑点の半分」というのは少し驚き。昔の思い出に浸りたい人はいるみたいだけどね。


これからはデザインや!

2013-05-07 06:48

よく知られているこの言葉。

1951年  アメリカ視察から帰国した松下幸之助氏は、羽田で「これからはデザインや」と興奮気味に話したという。

via: JDN /デザイン ゼミ /07 「企業デザイン」の系譜 -10

でもってほら,Steve JobsでもってAppleはデザインで成功しているんだよ。

というわけなのだが、古今東西普遍の法則に従い、成功例が一つあれば失敗例はその数十倍存在している。「はてなブックマーク」の改悪も記憶に新しいが、こんなサイトもあるようだ。

ウェザーニューズ

以前はiPhone/iPadのお天気アプリはウェザーニューズだった。インタフェースが変になり、会員制がどうのこうのやりだしたところでアプリを削除した。

思うにこの会社の誰か上の人が

「デザインが重要や!」

とかいってるのではないかと思う。でもって前掲したとんでもないデザインのサイトができあがる。すごいよねえ。「サービス一覧」のボタンがどうみてもWindowsなところといいポイントが高い。画面上部に「知りたいことを入力してください」とあるから「過労死」と入力したら数秒ごとに真っ白な画面が表示された。いや、何か一言くらいあってもいいと思うんですけど。

インタフェース設計について客観的に評価できる指標は存在しない。(だから論文がどうのこうのもあれだけ揉めるわけだけど)でもって結局「社長の趣味」が出てしまうわけだ。

というわけで「デザイン重視」とはその会社の社長がどんな人間かひと目で分かるようになるよい傾向、といえないことはないかもしれない。


Pixar in trouble : continues

2013-05-02 07:20

今年の夏のPixar作品は、Monster Universityだそうな。うん。Monsters Inc.はおもしろかったよ。でもってその続編。

予告編はいやというほど見せられているが、どうにもしっくりこない。なんというか「をを、これはなんだろうか?」という意外性がないのだ。一つ目小僧がMonsters Universityに入学した。でも誰も怖がってくれない。そんなこんなやっているうち人間世界に取り残されてしまった。救わなくちゃ、とかそんなお話だろうと思う。

で今後はどうなるのか?

Pixarのサイトにはこう書いてある。

2013:Monsters University / June 21, 2013
2014:The Good Dinosaur / May 30, 2014
2015:Inside Out / June 19, 2015
2016 ? :名無しの映画(Dia de los Muertos)

ここにファインディング・ニモの続編Finding Doryが割り込むことになったという。


映画『ファインディング・ドリー』は2015年11月25日より全米公開予定


via: 『ファインディング・ニモ』続編製作決定!今度はドリーが行方不明に! - シネマトゥデイ

もし全てが正しければ、Pixarは2015年に2本映画を発表することになる...しかしそうだろうか?普通に「邪推」すれば、Inside outが完成する見込みがなく、その代わりに急遽「続編」を割り当てた、と考えたくもなる。
であれば、どこかの時点でFinding Doryの完成が夏休み前に早まるのではなかろうか、とかね。あるいはそれは確定していなく、保険なのかもしれない。しかし保険を発表せねばならぬほど状況は悪いのかもしれない。

Cars2, Braveと「2打席連続デッドボール」を食った身としては、来年のThe Good Dinosaurを期待20%,不安80%で見守っている。どこかで「本来の調子」を取り戻してくれる筈だ、と期待してはいるが今回の「ファインディング・ドリー」発表を聞く限り不安が皿に増しそうだ。もちろん一映画ファンとして私はただの心配性であることを心から願っているが。


Work in Japan

2013-05-02 07:03

ここ数日で2つの記事を読んだ。

「『最近日本の家電業界、メーカーは元気ないよね』と言われるが、日本は世界で一番家電の開発や販売をすることにたけた人が集まっている国。米国、韓国にも負けていない。このリソースは最強。だから僕らは日本でハードウエアを作って世界に売っていこうという会社を始めた」

 こう熱弁をふるったのは、PC不要でニコニコ生放送やUstreamなどに映像を配信できるハードウエア「LiveShell」を開発・販売するCerevoの代表取締役である岩佐琢磨氏。

via: 「起業するなら今、日本の家電力は世界一」、ハードウエアベンチャーがニコニコ学会βで熱弁:ITpro

そしてもう一つ。

今から1年前にガジェット特化型クラウドファンディングサイト「Cerevo DASH」で資金調達に成功し、量産へ向けて開発が進められていた、巻尺つき iPhone ケース「iConvex」が開発中止となりました。開発にあたっていた Cerevo では、「大幅な期間超過と必要な第三者機関による認証取得遅れ、iPhoneの接続端子規格変更等の事由が重なり」、開発中止へ至ったと経緯を説明しています。

via: 巻尺つきiPhoneケース「iConvex」開発中止、支援者へは全額返金 - Engadget Japanese

もちろんどの世界でもこういうことはあるのだろうが、日本のベンチャーというと

「無責任に景気のいいことを吹きまくる」

人間ばかりが目立つように思うのは何故だろう。米国で成功している日本人とは明らかに何かが違うような気がする。

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もう一つ。

・中島聡が2000年にシアトルで創業した会社
・ちなみに中島聡っていうのはマイクロソフトでWindows95とかIE3.0とかのチーフソフトウェアアーキテクトやってた人

via: UIEvolution株式会社のソーシャル求人 - Wantedly

私が以前勤めていた会社が人材を募集しているそうです。とはいえいまでも「中島聡」を求人記事のトップに持ってくるのには驚いた。

この名前で調べれば彼のブログに辿り着く。そりゃ昔の記事は良かったよ。でも最近の記事をみてはたして「この人と一緒に働きたい!」という人はいるかな?そりゃいると思うよ。山本太郎だって支援者に囲まれてるんだから。

だけどUIEvolutionはそういう人間を求めているのだろうか。私があの会社を離れて随分たつから雰囲気も変わったのだろう。

ちなみにこれは応募者、会社双方にとって重要なところだが

・アメリカの一番大きな顧客はDisney、日本はトヨタ自動車。それ以外も大手企業が取引先で二次受けみたいなことはしない

via: UIEvolution株式会社のソーシャル求人 - Wantedly

2次受けではないが、自分が主体としてビジネスをやることを指向してはいない。あくまでも

「大企業から面白い仕事をもらう」

ことが目標です。ここは人によっては重要なところだからよく考えておきましょう。


Born in the U.S.A.

2013-05-02 06:51

今朝このようなニュースを読んだ。

 【シカゴAFP=時事】米南部ケンタッキー州カンバーランドで4月30日、自宅にいた5歳男児が誤って銃を発砲し、撃たれた2歳の妹が死亡する事故があった。
 銃は2012年に男児にプレゼントされ、男児はこの銃の扱いに慣れていたという。

via: 5歳男児が誤射、2歳妹死亡=米 (時事通信) - Yahoo!ニュース

最初に思ったのは

「5歳の子供に銃をプレゼントする?アメリカだから頭のおかしい両親もいるわな」

というものだった。しかし私は間違っていた。

英文記事から、単語を拾ってみるとCricketという「子供向けライフル」がれっきとした製品として存在している。そのページをみれば銃をもった赤ん坊や子供がにこにこしている。


つまりこの事件は「頭のおかしい両親の家」でおこった事件ではなく「普通の家庭」(アメリカに"普通"があるのか、という議論はさておき)で起こった事故なのだ。この頁をみて、日本で生まれ育った私はなんとも言えぬ恐怖を感じる。こうした事故が「たまにしかおこらない」のはちょっと驚きだ。ちなみに「ママ」向けのピンクのライフルもあるよ。

痛ましい銃乱射事件が起こっても

「問題は学校に銃がないことだ!TVゲームが問題だ!」

などという日本人からすると理解しがたい発言が堂々となされる背景にはこんなことがあるのだな。というか「常識」のギャップは私が思っていたよりはるかに大きい。



イノベーションの解

2013-05-01 06:44

というわけで、私がこのブログに書くことは、8割程度「世の中に対する悲観的な見方」もしくは「愚痴の類」である。

しかし

常に「何か道はないか」と思っているのも事実だ。というわけでここ数日仕事の合間を縫ってこの人に関する記事を読んでいる。

ビジネスデザイナーZIBA濱口秀司さん のシンプルな図解とフレームワーク



濱口さんは本も出版されていない。だから、自分の勉強用にWeb記事や講演を聴いた方のBlog画像を狩猟しまし


via: ビジネスデザイナーZIBA濱口秀司さん のシンプルな図解とフレームワーク - NAVER まとめ

極めて面白い。何よりも自分が講演で強調しているように「大学のセンセイではない」ので彼の実成功体験に裏打ちされているところが良い。世間に流布されている「イノベーションマネージメント」の類とは一線を画している。

特に面白いと思ったのは「イノベーションを起こす方法の一つは、バイアスを壊すこと」という類だ。ではちょっと自分でやってみましょう。

図形を描くソフトについて。2次元と3次元という軸があります。使うのに易しい、難しいという軸があります。

ch0.png

既存のソフトをプロットしてみると、2D-易しい象限。それに3D-難しい象限に多くあります。2D-難しい象限にはPhotoshopとかはいるかもしれません。

というわけで2D-易しくできる。3D-難しいという「バイアス」が存在しているわけです。

これを壊してみましょう。

ch1.png

ほら。東大の五十嵐さんが開発したTeddyはここにきます。これでTeddyの何がイノベーティブかが図で簡単に理解出来ますね。ををこれは便利(これを自画自賛と言います)

一つ提案だけど、WISSとかで「自分の着眼点の何が新しいか」を説明するのにこういうチャートを作成することを義務付けてはどうでしょうかねえ。もちろん研究というのは着眼点勝負だけではないのだけど。既存研究(あるいは従来技術)はこういう象限にあります。私はそうではないここを狙っています、というのがあると読んでいるほうもすっとわかると思うのだけど。

バイアスとは常識でもある。それを裏切る研究に触れると我々は「おわっ」と思うのではなかろうかな。

---------------------

濱口氏はこうも書いている。

だから僕の場合は、社内教育に限らず、オープンセミナーなどをやる際に実践しているのが、あえて「ある塊は論理的に見せるが、包括的な概念や各塊やその理論の繋がりは意識的に説明しない。全体像としてはミステリアスにしておく」というフォーマットで進めます。

via: ビジネスデザイナーを育成する方法-ZIBA濱口流"知識の移転"(3/3):企業のIT・経営・ビジネスをつなぐ情報サイト EnterpriseZine (EZ)

彼が発言している内容、あるいはプレゼンを聞くと確かにこのとおりだと思う。個々の要素はとてもおもしろいのだが、そのつながりが意図的に隠されている。つまり彼の言ったことを勝手に自己流に解釈してもいいわけだ。Creative Commonsバンザイ!

ブレーンストーミングは、「バイアスをあぶり出すために行う」という彼の主張は大変おもしろい。そこで「日本人には八百万の神の視点があるからイノベーションに向いている」という意見については、賛成したい気持ちと反対の気持ちが半ばする。彼の理論によれば、「バイアス」はイノベーションを殺す一番の敵だ。そして日本では無言のバイアスが常に強く働いている。

何度も書くが、これは悪いことばかりではない。大震災の後、(もちろん犯罪はあったのだろうけど)多くの人が(相対的に)安心してよる自宅に帰りつけたのはこの強力なバイアスのおかげだ。-他の多くの国では間違いなく暴動が起こっていただろう-

しかし大企業の人に新しいideaを話すときは常にこの「バイアスとの戦い」を念頭においておく必要がある。彼らが決して明示的に語らないバイアスをうまく避けなくては、彼らに話しを聞いてもらえないのだ。

というわけで

上記の「バイアスを図にしてあぶり出す」という方法はとても良いと思う。なによりも彼らの「不文律」を形にすることで、それを一旦客観的な形に変換することができる。言葉で彼らの「不文律」に逆らうのはとても危険な行為だが、図の上で「ほら、ここが開いてますよね」ということはお互いにとってより安全な行為だ。

コンサルタントとしては、図だけ書いておき、顧客に「ここに新しい領域があるじゃないか」と書かせるのが一番いいのだろうな。手柄は顧客に。

彼がプレゼンの中で述べている「桃太郎を壊してください」という課題は面白い。この問題に取り組むためには「桃太郎があなた達の中で象徴しているものはなんですか」という問題を明らかにする必要がある。「桃太郎」は文字に書かれた物語ではなく、それを読んだ人が考え、イメージを持つものなのだ。それは何か。それが明らかになれば壊すことが可能になる、と。

というわけで、この内容を「ユーザインタフェース開発失敗の本質」第3版に追加しようと思いながらあれこれ考えているうちにあることに気がついた。明日は(覚えていれば)その話しを。