セカンドライフという虚ろな存在

2007-05-28 00:00



いきなり引用からスタート


電通、「セカンドライフ」内で都市開発・販促で企業間連携提案

 電通はネット上の仮想都市ゲーム「セカンドライフ」内で、都市開発事業に乗り出す。7月上旬に仮想都市「バーチャル東京」を開設、企業を誘致して“土地・建物”を提供するほか、イベントを開催するなど都市の運営全般を手がける。異業種企業が販売促進で連携するなど、セカンドライフを生かした新たな広告・宣伝手法も提案する。

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「セカンドライフ」利用支援のメルティングドッツ、登録者1万人超に

 仮想世界「セカンドライフ」への参入支援を手掛けるメルティングドッツ(東京・新宿、浅枝大志最高経営責任者)は25日、同社のサイトでセカンドライフを始められるようにしてから約1カ月半で、日本人登録者が1万人を超えたことを明らかにした。登録者の年齢分布では27―31歳が最も多かった。

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この「セカンドライフ」なるキーワードがネット上に現れたのはいつのことだっただろう。最初は「やってみるか」とも思ったが、そのうち何かがひっかかるようになった。「煽り」の雰囲気を感じるのだ。


そのうちニュースは「煽る立場」のものからばかりで、ユーザからの言葉がさっぱり聞こえてこないことに気がついた。その時点で「これは広告代理店がしかけた空虚な騒動なのだろう」と思い出した。しかしそこでユーザの声が聞こえてきた。これはどうしたことか。私の想像は的外れだったのか。そう思い内容を読んでみる。


しかし、これは政治的には使えるのではないだろうか。勝手に中国大使館を建設し、江沢民や胡錦濤の肖像画を掲げておいて、表示クオリティを下げた大量のPCを使ったりネットで有志を募ったりしてサクラをアホほど動員し「中国バーカ」とか「民主主義万歳」とか世界中の人たちが中国に対してデモりたいときに使う聖地を用意するのである。

切込隊長BLOG(ブログ): セカンドライフは使えるかもしれない切込隊長BLOG(ブログ): セカンドライフは使えるかもしれない


ううむ。確かに使えるかもしれない。先日「ブラッドダイアモンド」という映画を見た。現政府にどんな不満を抱いていようが、無政府状態ほど悲惨なものはないことを思い知らされた。


セカンドライフはその教育用に使えるのではないか。↑の記事によればセカンドライフ内ではRPGの購入もできるとのこと。そのような恐ろしい世界に入ったあと、現実世界をみれば、少しは「ああ、平和って素敵」と思えるのではなかろうか。




忘れないように

2007-05-24 00:00



本当の謙虚さは、立場をわきまえることでもなく、身分にふさわしいことをすることでもなく、立場を乗り越えて人間の価値を対等に認める「心の習慣」だと思います。習慣である以上、言葉によって教えられません。残念ですが、傷つけられたり恐怖に怯えたり、苦難に遭ったりしないと、なかなか心に宿ってくれない習慣です。 偉くない人が謙虚に見えることは、偉い人が傲慢に見えることと、そう変わりません。偉くても弱い人と対等につき合える人こそ、謙虚な人だと思います。弱くても偉い人に媚びない人こそ、謙虚な人だと思います。 謙虚の心を持つには、かなりの人生経験を通じて勝ち取った自信を持つことが必要です。この自信は地位、金銭などの成功によってもたらされるものではなく、その人に内在するものが成熟することによってもたらす絶対的なものです。

「謙虚」を説く人の「不謙虚」 (宋文洲の傍目八目):NBonline(日経ビジネス オンライン)「謙虚」を説く人の「不謙虚」 (宋文洲の傍目八目):NBonline(日経ビジネス オンライン)




覚えておこう。これを忘れる時、私はとんでもなく嫌な人間になることを知っている。不幸にしてそれを知ったのは自分が愚かな振る舞いをした相当後になってからだ。


そう残りが多くない人生であれば、生きている間に少しは自分の無力さとその中にある力を信じて行動できる機会が多くなることを。




Controlled Chaosを維持するために

2007-05-21 00:00



Googleとはてなについて調べるたびに嘆息することが多い。彼らに共通するのは以下の認識だ。


――あなたの役職で難しいことは何でしょうか。企業の超高成長率とも関係するかも知れませんが。

 もっとも難しいことの1つは、われわれがGoogle的な従業員に備えて欲しい資質を持った人材を雇用するよう務めることだと思います。Google的というのは、非常に柔軟性、適用性があり、肩書きや階層構造には拘らず、とにかく仕事を片付けることです。

グーグル文化の担い手S・サリバン氏の仕事 - CNET Japanグーグル文化の担い手S・サリバン氏の仕事 - CNET Japan


採用。これがキーでありこれなしには何も起こせない。創造的でありながら企業の目的に合致し、自由に振舞わせながらそれを収益に結びつける。これを仮にControlled Chaosと呼ぶとすれば、それを実現する唯一の方法は、Controlled Chaosという言葉の意味を理解し、それを実施できる人間を集めることなのだ。


しかし私が知る限り信じられないほど多くの企業が、たとえばGoogleの


「20%の時間は本来の業務以外のことを行う」


といった形式だけをコピーし、それで


「どうして、新しいものを生み出さないんだ!」


と社員を怒鳴りつけている。


では次の質問


「Controlled Chaosを理解し、それを実践できる人間を採用するにはどうすればよいか?」


答え:前述の記事にあるとおり、専門の役職を作りそれについて担当させるのもいいことだろう。しかしより重要なことは


「Controlled Chaosを理解し、それを実践できる人間に、採用における重要な役割を担わせること」


私も年をとり、採用する側に関与するようになり、その「基準」にあきれたことが何度もある。人は自分の立場から見たものだけで判断を行う。Controlled Chaosの何たるかを体感していない人間に、中身のないハッタリ屋と優秀なエンジニアは区別できないのだ。




TVでの討論を見ながらぼんやりと考えた

2007-05-18 00:00



昨日TVを見ていたら「地上デジタル云々」に関するパネルディスカッションをやっていた。2011年の「地上波停止」までにどれだけの世帯が地デジ対応に移行するか、という問いかけに対して、参加者がそれぞれの推定を述べる。


パネラーはTV局の人、その関係者など。みんなネクタイを締めスーツを着ている。そしてそれぞれの立場から自分の意見を述べる。


それを見ながら私はなんとなく彼らが「場違い」であるかのような感覚を持つ。どうしてか。


2011年だか2015年だか知らない。しかしその頃にユーザが現在TVの視聴に使っている時間について考えているのは、このパネラー達ではないのではなかろうか。それがGoogleだかYoutubeだか任天堂だかAppleであるかはわからない。今はまだ私が名前を知らない企業かもしれない。


しかし多分この人たちではない。


そう考えた自分に少し驚いた。私は「これからは若い人の時代だ」的な考えにアレルギーを持つ人間だからだ。


しかし最近の自分の「TV視聴傾向」を客観的に振り返れば、そう考えるしかない。


なぜ起業が難しいか、なぜベンチャーが大手企業に発展できないか。「日本人の若者がやる気が足りない」とか、「ハングリー精神が足りない」とかの議論に賛成できません。

 僕はこの背景に戦後の製造至上主義がもたらした多くの政策、慣習と固定概念があると考えます。

長男「セイゾウ」がそのお下がりを弟たちに着せる (宋文洲の傍目八目):NBonline(日経ビジネス オンライン)長男「セイゾウ」がそのお下がりを弟たちに着せる (宋文洲の傍目八目):NBonline(日経ビジネス オンライン)


↑の文章を読んだときまたそのことを思い返した。あのパネラーたちはまさしく「セイゾウギョウ」の世界で出世し、所属企業、団体を代表してあのような場で意見を述べる人たちだったのだ。


どこかの段階で、そうした「既得権益の中で出世した人たち」の努力、強制が滑稽に見えてしまう時期が来ると思う。おそらくソ連が崩壊した時、それまでのクレムリンで行われていた出世競争がジョークのように見えたことがあったのだろう。それがそう遠くない時期にやってくる気がする。JASRACや松本氏がいかに努力しようがその流れは止められない。




「先進的「ウェブ・サービス」を中心とする情報技術ロードマップ策定

2007-05-10 00:00



IPAからいきなりこんなメールが来た



未踏事業関係者(PM・開発者)各位(BCC)


平素よりお世話になっております。


IPA未踏ソフトウェア創造事業事務局です。


IPAでの意見募集(パブリックコメント)についての


ご協力のお願いにつきましてご連絡させていただきます。


下記内容をご参照いただき、何卒ご協力の程、宜しくお願い申し上げます。



普通はこういう「お願い」は無視するのだが、指定されたサイトからPDFをダウンロードした。(http://www.ipa.go.jp/about/pubcomme/200704/index.html)そのあと忘れていたのだが、「何だこのファイル」と中をあけてみて、じょろじょろ読んだ。何か言いたくなったので以下のコメントを返した。





<該当箇所>3.5ポストWeb2.0


<意見内容>Second Lifeをやけに持ち上げていますが、実際に調査をされているのでしょうか?Second


Lifeの「本当」のキラーコンテンツはエロとカジノ(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0703/07/news074_2.html)ということはご存知の上で「Web2.0のその先のサービスを既に包含している」と書いているのでしょうか?


<該当箇所>全般


<意見内容>非常に日本的な報告書、という印象があります。技術やトレンドの羅列ばかりで「人」の問題が全く無視されているからです。


Webサービスで有名な米国Googleと日本の「はてな」には共通項があります。採用の際にきわめて厳しい選定を行い、そうして獲得したエンジニアに創造性とソフトウェア開発能力を発揮させるために様々な工夫、投資を行っているという点です。旧来の日本型のソフト開発の特徴である


「とにかく人月さえつぎこめばよい」


というソフト開発者を奴隷扱いするようなマネージメントとは大きな違いがあり、そうしたエンジニアの能力を最大限に発揮させる、というポリシーが新しいサービス創出の原動力になっています。


しかし本報告書にはそうした観点が全く見受けられません。ここで私が指摘したことが「技術課題ではない」というのであれば、それは問題の本質を全く見失っています。先進的「ウェブ・サービス」とは技術の寄せ集めではなく、人の力と知恵を結集する新しい仕組みづくりのことです。そうした本質の把握なしに技術用語を羅列されても何の意味があるのか理解に苦しみます。


以上



Second Life礼賛にひっかかって書き始めた文章だが、気がついたら後段の方が主になっていたな。