ホンハイによるシャープ買収の裏にあるもの

2016-02-29 07:06

聞きかじった記事を組み合わせてデマを流そう。なぜホンハイがシャープ買収を目指すのか。その後ろにはAppleがいる、という意見は根強い。

アップルが要求する品質と量の有機ELパネルが生産できるのは、現時点で韓国のサムスン電子のみ。なんとか間に合いそうなのが同じく韓国のLGである。日本のシャープとジャパンディスプレイ(JDI)は周回遅れ。サムスン頼みを避けたいアップルがホンハイの背中を押し、シャープにテコ入れさせた、と見るのが妥当であろう。

引用元:鴻海テリー・ゴウが描くシャープの「使い道」 (2ページ目):日経ビジネスオンライン

iPhoneのキーとなるコンポーネント、それはCPUと通信用チップとディスプレイとバッテリー。Appleの考え方をなぞればそれを自分たちの手でコントロールしたいという野望を持つだろう。CPUは今や自社で設計を始めている。ディスプレイはホンハイ経由でシャープを買収させる。バッテリーに対して彼らが何もやっていないとは思えない。今やMac BookでもApple Watchでもバッテリーは重要なコンポーネント。それをベンダー任せにするなどということはAppleのやり方からしてありえない。いや、先を急ごう。

さて前掲の記事はホンハイのもう一つの野望はEVだと説く。

日本にもゴウ氏が親密な起業家がいる。日本電産の創業者、永守重信氏とソフトバンクの創業者、孫正義氏である。日本電産の得意分野はモーター。ソフトバンクは言わずと知れた通信会社だ。シャープ買収は、EVが自動運転で走る「未来」をにらんだ、ホンハイの第一歩かもしれない。

引用元:鴻海テリー・ゴウが描くシャープの「使い道」 (3ページ目):日経ビジネスオンライン

このくだりを読んで先日みつけたこのくだりが思い起こされた。

Do you foresee a day when a manufacturer would make an automobile on a contract basis for someone else?

I think it does exist today, but I don’t think it’s the model for the [auto] industry. It’s not how it was born. That industry was born much like the industry that we’re in, the electronics industry: People began doing their own manufacturing, and then over time it became clear that specializing would probably be a better way to go from the supply-chain point of view. And so most companies begin to go in that way, at different levels and maybe in different ways.

引用元:Exclusive Q&A: Apple CEO Tim Cook - Fortune

Cookの主張はこうだ。現在自動車メーカーは製造請負をしていない。しかし電気関連がそうなったことから、将来自動車もそうした方向に向かうのではないか。

前述の記事をこのコメントを考え合わせたとき、Cookとゴウが描いている未来はなんだろう?

ゴウはEVの製造請負メーカーになるつもりなのだ。そしてその最初にして最大の顧客がApple。Appleが自前で自動車の製造工場を抱えるとは考えられない。であれば、彼らは製造下請けを見つける必要がある。現在ホンハイやFoxconにしているように。

この考え方には一種疑念もあるが、将来電気自動車になったとき自動車の中身は半分くらい変わる。トランスミッションとエンジンがごっそり変わるのだ。その時製造ラインに変化が起こる、というのが一つの見方。(車輪と構造は今の技術を使うけど)そのタイミングでゴウとAppleは自動車に進出する。

EVとiPhoneの共通重要コンポーネントは何か?バッテリだ。それゆえ我々が知らないところでAppeはバッテリの支配についても何かを行っているにちがいない、とこういう妄想は楽しい。

しかしあれだな。私が生きている間はEVは高価なままだろう。Appleはその売り方を見つけるかもしれないが、値段が下がるとは思えない。iPhoneが高価なままなのと同じように。ということは、私には手が出ない、ということ。いかにApple原理主義者でもこれはなんともならない。

まあいいや。道の上を走る"nothing"とIveがいうような車が少しでも減れば。


年功序列万歳!

2016-02-26 07:11

いや、私年取ったから、年功序列が大好きなんだよ。自動的に偉くなれるから。しかし以下の記事には納得せざるをえない。

ここ10年ほど、多くの大企業で早期退職募集が行われていますが、そのほとんどすべてにおいて「45歳以上」というような年齢条件が付されています。たっぷりリソースをつぎ込みウン十年とかけて育成したはずの“人材”が、やはり戦力とはなっていないということでしょう。

本来であれば早期退職者の募集は「経験の少ない40歳未満限定、会社にとって貴重なノウハウを持つ40歳以上は対象としない」とあるべきです。

引用元:40歳以上はいらん!とトップに言われた時に読む話

考えてみれば「45歳以上を対象に首をきる」というのは実に馬鹿げた話だ。50歳だろうが使える人は使えるし、20代でも「なんでこんなのを採用したんだ」と言う人もいる。

なのに年齢で一律に処する。これほど馬鹿げたことはない。前掲の記事には同意することばかりだ。そもそも「いざというとき首を切りたい」人間であるならば、なぜそんなのに高い給料を払い会社の舵取りを任せるポジションにつかせるのか。

ここ数年、「日本企業の弱みは、バカを出世させる仕組みにある」と考えるようになった。これは大企業だけではなく、「日本のベンチャー」と呼ばれる気持ち悪い集団の中でも事情は同じ。ちゃんと商売をやっているベンチャーではなく、「お友達付き合いが上手で、メディアとよい関係を保っている」ゴミのような会社ばかり持ち上げる。

そんなことを考えながら今年のインタラクションのプログラムを見る。

本セッションでは,日本のハードウェアベンチャーを牽引する(株)Cerevoの岩佐琢磨氏を招いて,このような日本/世界のハードウェアベンチャーの現状と,その立ち上げを支援するサポートシステムについて俯瞰し,インタラクション研究の出口としての可能性について議論する.

引用元:KEYNOTE | インタラクション2016|Interaction 2016

勘弁してください。こんな想像力のかけらもない製品を作っている会社の講演なんか聞いてどうするの?

ネット接続型家電の企画・開発を手掛ける株式会社Cerevoは、アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」(製作: サイコパス製作委員会) に登場する「ドミネーター」を1/1サイズで精巧に再現した「DOMINATOR MAXI(開発コードネーム、読み:ドミネーター・マキシ)」を開発しました。

引用元:「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界観をリアルに体験できる「ドミネーター」開発 | Cerevoからのお知らせ

インタラクション系の研究をやっているというのなら、Boston Dynamicsの人をつれてくるとかさ。いや、実際にプログラム委員やって呼んでくるのが大変だってのはわかるけど、ハードウェアベンチャー呼ぶならバルミューダにするとかさ。



VRは変

2016-02-25 07:14

というわけでこの写真を見よう。

バルセロナ

引用元:Facebook

目の前にディスプレイをくくりつける形式のVRはつけている人間と周りに笑いを提供してくれる。これをつけて顔を振り回している人間は客観的に見るととても変だ。すぐ隣をザッカバーグが歩いているのにも気がつかない。滑稽なのは、観客がヘッドセットを外し、舞台にザッカバーグが立っていることに気がつくと、舞台の周りに殺到し写真を撮りまくったこと。この全体像は確かに「面白い」

視覚は確かに多くの情報を伝えるが、こうもいろいろな会社がVRヘッドセットを出してくるとひねくれ者の私としては、何か違う道を通りたくもなる。

ザッカバーグはスピーチの中で「体験をシェアすること。それができるからVRに投資している」と述べている。目の前にディスプレイをくくりつけることだけが体験をシェアすることではなかろう。文章、音声で語りかけることもそうだ。

おそらく一つの問題はVRは視覚と音声をあまりにも容易に共有できてしまうため

「体験をシェアするためには、情報の編集がかかせない」

ということを忘れてしまうところにあるのではないか。平たく言えばこうだ。未だ誰もVRヘッドセットを「普通の人」が購入するに足る理由を発明した人はいない。

It's the application, stupid.

なのであり、過去の多くの失敗例が示しているとおり「そんなのは簡単な応用問題。誰かが作るよ」と言っている人間は必ず滅びる。こうした図式は1990年に初めてVRというものに私が触れたときから何も変わっていない。

というわけでどこかの天才がアプリケーションを発明するまでの間、私は目の前にディスプレイをくくりつけた人の姿をみて楽しませてもらうことにしよう。


4年かかって崩壊するバブル

2016-02-24 07:25

これだけ長期にわたって「持続」できたのであれば、もうバブルと呼ぶべきではないのではなかろうか。2011年に日立建機は強気にこう述べた。

一方で「中国市場が高い成長を続ける」と予測する日立建機。「前年度は50%の伸びだった。今年も20%は堅いと見ている」と三原新一専務は話す。

 販売した建機に取りつけた情報端末から収集した稼働率のデータを見ても建機の稼働時間に異変は見られない。沿岸部では油圧ショベル、東北地方や華北地方では鉱山で使う大型建機の販売が好調で、4月に入っても受注に目立った落ち込みは見られなかった。  

「最近2年間の市場成長が急激だった反動はあるかもしれないが、今期も高い伸びが見込まれる」(同社)として、現地での生産能力の増強や営業体制の強化を急ぐ方針だ。 市場のあまりに急速な成長に、昨年から建機業界で「中国バブル」の言葉がささやかれているのは事実だが、今のところ、建機各社は現実に販売を伸ばし続けている。今回、コマツが予測のベースとした4月の実績も、最需要期が終わった反動からたまたま落ち込んだだけという可能性もある。

引用元:コマツ、中国減速を警戒:日経ビジネスオンライン

一方コマツは「肌感」で「そろそろ危ない」と考えていたのだそうな。でもって2015年末両社揃ってこんな状況らしい。

さらには日立建機も11月中旬から、本社での早期退職募集に踏み切る。対象は35歳以上の社員。人数は明らかにしないが、桂山哲夫CFOは「業界で取り残されず、20年、30年先も生き残れるように体制を築く」と意義を強調した。構造改革費用を今期112億円計上、類似製品の生産集約も進める。同業より高い販管費率を引き下げ、減収でも利益を捻出できるよう、体質改善を図る狙いだ。

引用元:コマツ、日立建機が直面した中国市場不振 | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

大学の同期が日立建機に勤めていたがどうなったかな。大丈夫だろうか。

しかし「変調」が伝えられてからバブル崩壊が明白になるまで4年というのは素晴らしい。どっかでちらっと読んだが「バブルにバブルを継ぐ」手法が「功を奏した」ということなのだろうか。

中国政府の「経済の舵取り」はまあいいとして、こうした状況は誰もが予測できたはず。問題はそれに備えることにある。

コマツは壁にぶつかっているのでしょうか。

遠藤:根深い問題だと思います。金融や流通の企業は自分たちのドメイン(事業領域)を広げて、顧客に提供する価値を広げようとしています。それに対してメーカーは、自分たちの狭い領域だけで考える傾向が強い。せっかくよい技術を持っているのに、世の中の潮流に乗り遅れています。

 日本のメーカーは相変わらず、自社のモノ作りに誇りを持ち、商品に自信を持っています。確かにそうかもしれませんが、もっと視野を広げることで競争力が高められます。そういう発想を持たないメーカーは、本当に危険だと思います。

引用元:コマツが直面する「ダントツ」戦略の曲がり角 (4ページ目):日経ビジネスオンライン

問題を指摘することはできるが、解決するのは簡単ではない。コマツや日立建機にいる「賢人」たちが備えを怠った(結果的に)からといって批難するは簡単だが、それに変わることは容易ではない。彼がここで「日本企業はこれだからダメだ」としている

「モノ造りに誇りをもち、商品に自信を持っている」

姿勢は(この専門家が知っているとは思うが)Appleも同様である。もちろんiTunesとかAppStoreとかからも収益は上がっているが、彼らの主たる収入源はiPhoneの製造、販売なのだ。Tim Cookの言葉を日本語に訳せば、彼らは間違いなく

「ダントツのスマートフォン」

を作ることでものすごい収益を上げている。そしてAppleもコマツや日本メーカーと同じく、その上にのるサービスを作り上げるのはちょっと苦手。

いつの日かAppleがまたダメ企業になった時、多くの「経済評論家」がうれしそうに論評する姿までが目に見えるようだが、私も歳をとってきたのでそういう「預言者にいっぱい食わせよう」という遊びには飽き飽きしている。


地獄のビジネスモデル

2016-02-23 07:08

アメリカで連休にオーランドのあれこれに行ったことがある。確かに並んではいたな。でもクリスマスに行った時はそんなに混んでいたイメージがない。

それに比べると日本のテーマパークは地獄としか言いようがない。一昨年の年末USJにいった。むちゃくちゃ高かったが、その余分の出費のおかげであまり待たずに回れた。しかしアトラクションの待ち時間が5時間というのは。。あんな出費は2度と許容できない。ディズニーランドは数年前に家族で行って懲りたから、日本では2度といかないと思う。

しかし

不思議なことにそこに大金払って行く人は後を絶たない。というわけで両テーマパークは毎年「強気の値上げ」をする。

SMBCフレンド調査センターの田中俊アナリストは「欧米のテーマパークに比べると、日本の入場料はまだ割安。東京ディズニーリゾートは1万円近くまで値上げの余地があるのでは」と、会社の強気の姿勢に一定の評価をする。

 ただし「キャパシティーの限界」と「顧客満足」という問題、さらに許容される価格水準はどこにあるか、これらの要素は相互に関係し合うだけに、慎重な戦略策定が求められる。

引用元:USJ・ディズニー入場料、連続値上げの勝算は (2ページ目):日経ビジネスオンライン

そりゃ確かに「割安」かもしれないが、あの無茶苦茶な混雑は日本特有ではないかと思う。いっそのこと入場料2万円くらいに値上げするといいのではなかろうか。3倍にして入場者数が1/3に減ればちょうどいい具合ではないかな。いや、それでも待ち時間が1時間ちょっとになるだけ。割に合わない。

つまり

両テーマパークはとっくに破綻していると思うのだ。パチンコ、ソーシャルゲームと同じくわけのわからないものに律儀に大金をつぎ込み、混雑と待ち行列を「当たり前」とみなす日本人の特性にすがって生きているにすぎない。というかあれだ。タバコと同じだ。私が子供の頃はタバコは一箱百円とかだったように記憶している。いまや同じセブンスターは440円。それでも吸う人は吸う。デニーズランドが一人3万円になっても行く人は行くだろう。そして混雑は大して緩和されないにちがいない。

それでも「夢と魔法の国」だからいいではないか、と考えるのがKPIというもの。売り上げ利益過去最高額を更新!願わくば私が生きているうちに彼らが破断面を超えるところを見たいものだが。


皆を幸せにするために

2016-02-22 07:05

戦隊ヒーローに聞けば、多分「みんなの笑顔が見たいんだ」とか言うだろう。気の毒な悪の組織のしたっぱを虐殺する行為をそうやって正当化するのだ。

でもってこの話題。

最近よく考えることに、人間を強制的に幸福にするユーザーインターフェースは作れないか、という着想がある。100万ユーザー級のアプリのUI改善に何本か関わった結論として、単に使いやすいインターフェースや、KPIアゲアゲの設計とかに飽きた。

引用元:人を強制的に幸せにするデザインとインターフェース | fladdict

上の記事で提案されているのは、「笑う角には福来る」インタフェースであり、これも一つのやりかた。しかしなんとなく思うのは

「人間は飽きる」

である。最近ぽちぽちと「そもそも人間が満足するにはどうすればいいのか」あれこれ考えたのは仏教ではないかなと思うこともある。

煩悩は、(なかには「修行によってなくすことができる」という方もいらっしゃるのでしょうが...)普通の人間であれば、少なくとも死ぬまでは、なくしてしまうことはできません。そして、煩悩を満足させる方向にいくら行動しても、決して満足はもたらされず、結局は苦しみにつながってしまいます。なぜなら、仮に「満足」したとしても、それはほんの一瞬だけのことで、すぐに、より一層大きな貪りや怒りなどが生じてしまうからです。例えるならば、強い喉の渇きを覚えて濃い塩水を飲み干しても、さらに激しい渇きに襲われて、また塩水をがぶ飲みする...この繰り返しです。それは苦しみ以外のなにものでもありません。

引用元:ダライ・ラマ14世 『幸福論』 より  - 心に響いた本の言葉

ここで言っている「塩水をがぶ飲みする」の末路が清原である、とかなんとか。ザッポスのCEOは幸せについて研究し、こういう結論を得たらしい。

幸せの研究を通して僕が辿りついた結論ですが、人が幸せであるための必須条件のひとつとして、「常に前進している」ということがあると思います。だから、幸せを目的地と考えて、「ようし幸せになった。これで終わり」というのは、あり得ないと思うんですね。前進するのを止めた途端に、人は不幸せになってしまうと思うので。

引用元:ザッポスCEOトニー・シェイの定義する「幸せのフレームワーク」とは

この「常に前進している」と「賽の河原」は現象としては同じかもしれない。それゆえ、賽の河原で、鬼に石を蹴飛ばされている人たちは実は幸せなのかもしれない、とかなんとか。

不思議なことにあまり大声で議論されることはないが、「幸せになるためには」について考えを巡らした人は多く、定説があるわけではない。しかしそれぞれの考えに基づく情報システムがあってもいいはずだ。

「そもそも幸せになるためには」を真面目に考え、それをKPIだかKGIにする、というのは真っ当な方法のように思える。ここからいささか注意を要する記述になるのだが、私が今働いている会社は

ランキングトップとなったのは三菱商事で、第2位に住友商事、第3位にリクルートホールディングスがランクインした。そのほか、総合商社は伊藤忠商事(第8位)、三井物産(第9位)、丸紅(第17位)と、トップ20に5社がランクインする結果となった。

引用元:新卒で入社して良かった上場企業、第2位は住友商事、第1位は? | マイナビニュース

というランキングで12位になったのだそうな。丸紅より上。すごーい、と人事と経営者なら叫ぶところだ。我が社は

「この会社にはいってよかった」

と笑顔でいる新入社員で溢れている。それはいいことなのか?



一旦更地に

2016-02-19 07:14

ベースボールではなく野球の気持ち悪さについては以前に書いた。このニュースを読もう。

同校は13年に上級生による下級生への暴力が明らかになり、対外試合禁止の処分を受けた。関係者によると、そうした古い体質をわずかながらでも知る現在の部員が卒業した後、17年4月入学の一般生徒で入部を希望する者がいれば、野球部の活動を行う可能性があるという。既に新しい室内練習場も着工している。

引用元:PL野球部“休部”経て17年度から再開も 今夏大会後に部員ゼロ ― スポニチ Sponichi Annex 野球

これもどうやらスポーツ新聞お得意の「誰かの弁明」らしいのだが、いずれにせよPL学園が一旦野球を更地に戻そうとしていることは確かだ。これは正しい態度だと思う。野球さえうまくやればなんでも許されると思っている少年兵をこれ以上増やすべきではない。覚せい剤中毒者にこんな声援を送っていた人たちは何か考えることがあるのだろうか。

闘え士(つわもの)よ 傷だらけのその体で
輝けこの場所で 威光(いこう)放つ男
【コール:清原! 清原! かっ飛ばせー 清原!】

引用元:清原和博  応援歌(オリックス)

というかプロ野球の「応援歌」というものを初めてまともに読んだのだが、まるっきり「夜露死苦」の世界。ちゃんと後継者も育っている。

極めつけは!!
高校生時代の逸話です。

同級生を虐める先輩が許せず自らの手で先輩の頭を「乾燥機」の中に突っ込み「公開処刑」したと自身が語っています。

ん! 金のネックレスなどを身につけ、ルックスは強面であり、マスコミは、「清原Ⅱ世」と名付ける。
「悪童」のレッテルを貼られている訳ですが・・

こんな後輩思いの「漢気」のある一面も持ち合わせているのです。

引用元:【豪快】日ハム中田翔の知られざるプライベートが豪快すぎると話題に!!大谷選手との逸話とは・・

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話は少し変わる。最近KPIとかKGIについて考えることが多い。KGIってのはゴールとすべき指標。でもって営利企業の場合大抵「売り上げ」とか「利益」になる。

そう考えれば、少子高齢化でますます競争が激しくなる私立高校がKGIを達成する手段としてスポーツ少年兵を量産するのは理解出来る。

しかし

このKGIとかKPIというやつには「本当にそれでいいのか」という視点が欠落する、という問題がある。清原のような人間を量産することで利益を上げる。KGI超過達成。素晴らしい経営者、ということなのだが。

すべての企業活動は「変化を起こすこと」だと思う。それゆえ何かを成し遂げれば必ず何かを失っている。

その企業活動はその「差し引き」で評価すべきと思うのだ。片方だけをKGIとして定義し数値を眺めるのではなく。


自家用車とどう向き合うか

2016-02-18 06:57

今の家に引っ越してから車を持っている。本当は持ちたくないがしょうがない。

とはいえ事故に関する恐怖はいつも私の頭の隅にある。自分たちが被害者になるのも恐ろしいが、同じくらい恐ろしいのは自分が加害者になる可能性だ。想像しただけで身の毛がよだつが、それは実際に起こりうること。

今使っている車は、あと数年で変えねばならんだろう。その場合何を買うかが問題になる。ハイブリッドは論外。高いし。お稽古事に通うため高速に乗る必要がある。それゆえ奥様は軽自動車に反対しているのだが、もうお稽古事は公共交通機関で行ってもらい軽自動車にしたい。どうせ近所をちょろちょろしているだけだし、維持費やすいし、止められる場所も増える。

でもって

前述の恐怖と向き合うために「安全装備」が充実した車にしたいわけだ。

自動ブレーキなど先進的な安全装置を搭載したクルマは、2017年から保険料が平均で10%程度安くなる見込みですが、自動ブレーキ搭載車は事故率が約6割も低いことが判明。なのに、なぜ1割引なのでしょうか。自動車保険は今後、大きな変化を迫られるかもしれません。

引用元:自動ブレーキで事故6割減 変化迫られる自動車保険 | 乗りものニュース

万が一のことを考えれば、アイサイトを搭載したスバルにするのもやむおえない、と考えたりもする。

少なくとも現時点では、各社の「自動ブレーキ機能」に大きな差がついているのが面白い。どうせシステムを提供しているのは部品メーカーなのに。もっと不思議なのは、高価な車より軽自動車の方が停止性能がよかったりすることだ。これは私が車を買い替える頃には変わってほしい。

でもって

もう一つ願っていることがある。このサービスの日本版がでることだ。

そこでWrapifyというスタートアップはカー・オーナーが維持費のいくぶんかをキャッシュで取り返せる方法を提案している。半年前に創立されたWrapifyは、車にペイントされるラップアップ広告を掲出したい広告主と車のオーナーを仲介することがビジネスだ。

引用元:ユーザーの愛車をまるごと広告スペースにするWrapifyが毎月100%で急成長中 | TechCrunch Japan

私にとって、車の外観は全く価値を持たない。であれば自由に広告でもなんでも使ってほしい。それでお金がもらえるなら万々歳。

日本だとあれだよ。個人と契約してカバンとかリュックに広告をつけるサービスがでてもいいと思う。通勤電車の中が色鮮やかな広告で飾られるわけ。効果測定には工夫が必要だが、車の外観と同じくらい自分の外観に気を使わない私にとって、「ちんどん屋」になって小銭を稼ぐことに何の抵抗もない。

今でも時々背中を丸めたおじさんが、看板をもって街角に立っているのを見つけることがある。いやそれ、私やりますから。なんなら広告のついた派手な帽子をかぶって毎日通勤してもいいです。

「君に頼むと、かえって広告主のイメージダウンにつながる」

と拒絶される可能性にふと思い当たったが、考えなかったことにする。


日本の国技

2016-02-17 07:18

相撲もかなりなものだが、ベースボールではなく「野球」の気持ち悪さには辟易している。

清原という元選手が逮捕された。普通に考えれば

「まだ逮捕されなかったの?」

というところだが、ここ最近「復活」の兆しがあったことも確かだ。

薬物報道以来、公の場から姿を消していた清原容疑者だが、昨年4月のTBS系「中居正広の金曜日のスマたちへ」に出演。薬物使用を否定し、自身が四国のお遍路をしていることを放送した。

 さらにCMやバラエティ番組への出演など、騒動前の姿と変わらぬ形で「復帰」した。これには、大手芸能事務所が力を貸したという説が流れているが、その真相は定かではない。

引用元:「またやってるらしい…」昨秋から再燃した噂 【清原和博・逮捕の衝撃④】 | BASEBALL KING

この「復活」は社会主義国におけるものだから、視聴者が求めたものではない。供給者側の都合によるもの。「大手芸能事務所」は何を考えていたのだろうね。そして「世論の盛り上がり」を演出した後はどこかの監督だかコーチだかに押し込むつもりだったのだろうか。

そしてこの「野球の盛り上げ」には自民党も一役買っているらしい。

2014年春に自民党が「16球団構想」を提言したことを覚えているだろうか。あれから約2年…。15日の衆院予算委員会にて、石破茂地方創生担当相がその構想に関して言及し、「政府として検討」することを明らかにした。

引用元:“プロ野球”で日本を元気に…「16球団構想」を今一度考える (ベースボールキング) - Yahoo!ニュース

こうした「官」からの振興というのがまた社会主義国らしくてよろしい。こうした発言は気が狂っているとしか思えないがなにか供給者側の都合があるんだろうな。なんたってチンピラを「番長」とか呼んで持ち上げようとしていたくらいだから。

子供向けの「巨人軍入門」という本が売れていた40年前とは違うのだ、ということはわかってはいても供給者は自分たちの都合による行動をやめない。私が年をとって世の中の仕組みを知るようになったのか、状況が変わったのかわからないが、どうもここのところ「社会主義国の虚構」が剥がれてきているように思う。旧ソ連のように一気に崩壊することは我が国だからないだろうけど。


華氏451度

2016-02-16 06:52

昨日なかなか家族がかえってこず、(しかもいつ帰ってくるかわからず)すきっ腹を抱え1時間半ほど何もできない時間を過ごした。こういう時新しいApple TVは偉大だ。何の役にもたたないアメリカ東海岸の大寒波とか大統領選挙とかいろいろ詳しくなった。

でもって

アメリカの天気予報では、温度が華氏で表示されている。華氏でマイナスの値がでていると、尋常ではないことがわかるが何度かまではわからない。40-80あたりだと体感的にわかるんだけどね。

どこの国でもあるとは思うが、保守と革新がいりまじる様は他の国からみると面白い。かの国では頑なに「華氏」を使っている。じゃああのへんてこな単位系に何のメリットがあるのか?

今何度?

引用元:xkcd

この漫画を読んでいて「なるほど」と思った。アメリカが頑なに華氏を捨てないのは単に彼らがトランプを支持するようなバカだからだが(これは下手な冗談ですからアメリカの人、怒らないでください)、何事にも理由はつけられる。

・華氏0度〜100度は人間にとって感覚にあっている。(欧米人にとっての生存圏がそのあたりということ。−17.8℃〜37.8℃にあたる)

・70度台、80度台という言葉に意味がある。華氏の70度台は快適ゾーンだというのは私でも知っている。摂氏の「20度台」は肌寒かったり、蒸し暑かったりいろいろだ。

私が特に実感するのは2番目に挙げた理由。いつも思うのだ。摂氏は目盛りの感覚が広すぎる。5度違っただけで快適と不快に広く別れてしまう。ああ、こんなに寒くなったのに気温の違いはたった5度か、と思うたび絶望感にとらわれる。というわけであれですよ。℃を0〜200にしませんか?そうすると人間の平熱は73度になる。小数点使わなくていいから子供にもわかりやすい。というか別に子供でも何の苦労もなく「36.5度」とかいっているからそんなことはどうでもいいんだよね。



F●ck KPI and KGI

2016-02-15 07:15

いきなりタイトルに伏せ字がはいっていることをご容赦いただきたい。しかし心情的にこの言葉以外使いようがないのだ。ことの起こりは先日見つけたこの図である。

KPI-KGI

◆そもそもKPIツリーとは?

KPIツリーとは、例えばアプリのKGIを売上とした場合、売上を構成する要素を分解して施策が実行可能になるレベルまで落とし込まれた指標(KPI)の一覧です。

引用元:【決定版】アプリ事業のKPIツリー! | Growth Hack Journal

私はこのチャートは二つの意味で素晴らしいと思う。というか何故これが今までなかったのだろうと思う。もちろん意見はいろいろあるだろうが、こうやって可視化するのは実に有益なことだ。これがあればくだらない意見のすれ違いを大幅に減らすことができるのではないか。

もう一つ素晴らしいと思う理由は

これを見ると「うげっ」となるからだ。営利企業だから売り上げ-利益を最大化するのが目的というのも全くもって正しい。

しかし

これがお前のやりたいことなのか?各指標が順調に伸び、売り上げが上がればお前は幸せなのか?

この問いにためらうことなくYesと答えることができる人はGREEかDeNAで働くと良い。ゴミだろうが、倫理的に問題がどうの、と非難されようが売り上げが上がれば勝ち。時価総額、株価は正義。

しかし例えば明和電機の人ならば

「違う。売り上げ/利益は目的ではなく、手段だ」

と答えると勝手に想像する。つまり「売りあげ」はKGIではなく、KPIなのだ。

こまったことに

会社において「数字」はとても強い。それゆえほとんどの人は日夜数字の浮き沈みに一喜一憂している。あたかもそれが唯一最大の目的であるかのように。

思うに

問題は「本当の目的」を定量的に表す指標が存在していない、あるいは広く普及していないことだと思う。今のところそれは属人的にしか存在しておらず、わからない人間には何度言ってもわからない。「良さ」をどうやったら指標化できるのだろうね。



Appleとリビングにあるディスプレイ

2016-02-12 07:41

AppleがTVのWebサービスに取り組んでいるというニュースを聞いた時「?」と思った。噂に推測を重ねるあやふやな話だが、今朝こんなコメントを知る。

Recently, however, reports have claimed that Apple’s talks with major networks have stalled. Now, speaking to CNN, CBS CEO Les Moonves has confirmed that talks between Apple and CBS have stopped recently.

引用元:CBS CEO now says company has had no ‘recent talks’ with Apple about streaming TV service | 9to5Mac

自動車開発の頓挫が先日伝えられたが、TVのストリーミングサービスも頓挫しているらしい。

これをもって「Jobsがいなくなったから」と嬉しそうにしゃべる人は多いだろうが、不幸にして私はそうしたメンタリティを共有していない。仮にこれが実現したとしてもアメリカのサービスだから私には関係ない、というつもりもない。TVはもっとよくなれると思っているからだ。

とはいえ

以前「もうコンテンツ制作から全部Appleでやるべきだ」と書いたような気もするが、少し前にこういう考え方があることを知った。

多くの企業が新分野に挑戦する際に「スタックの誤謬」を犯し、その結果、劇的に失敗する。

伝統あるデータベース企業が「アプリ化なんか簡単だ」と思ったり、バーチャル・マシンの企業が「ビッグ・データなんかなんということもない」と思ったりするのがよい例だ。われわれはこういう考え方を「スタックの誤謬」と呼んでいる。

スタックの誤謬とは、企業がこれまで積み重ねてきたさまざまなレイヤーの上にもう一段レイヤーを重ねる〔スタックする〕ことを「ごく簡単だ」と思い込むことと定義できる。

引用元:スタックの誤謬―大企業が新分野参入でいつも失敗する理由を考える | TechCrunch Japan

私はこの「スタックの誤謬」は数多くの失敗と成功を説明するすばらしいアイディアだと思っている。Google+とiCloudがなぜ失敗したのか。この理論による説明が一番説得力があるように思う。

そう考えれば

私がわめいていたような「Appleがコンテンツまで作るべきだ!」というのは実にありふれた

「思い上がったあげくの死亡フラグ」

であることに気がつく。そう考えれば私はAppleがストリーミングサービスを行うことは筋が悪い。ではどうするべきか。前掲した記事のコメント蘭に面白い言葉があった。

I’ll say it again. Forgot the networks. Let them do whatever they want. There are far more things more important to Apple TV than the networks.
Gaming, making, cloud service integration, making it a better platform, a news service, interactive home screen instead of a static one, I mean the possibilities are endless.

引用元:CBS CEO now says company has had no ‘recent talks’ with Apple about streaming TV service | 9to5Mac

適当な訳:もう一度言う。TVネットワークは忘れろ。なんでも好きなことをさせておけばよい。Apple TVにはTVネットワークよりずっと大事なものがある。

ゲーム、making?クラウドサービスの統合、もっといいプラットフォームにする、ニュース、静的ではなく、インタラクティブなスクリーン。可能性は無限だ。


思うに

Appleは独自のアイディアを生み出すのに長けている企業ではない。存在はしているがダメなものを素晴らしいものに変貌させることは得意だが。解がどこにあるのかわからないが、ひとつの可能性はTVではなく、リビングルームにあるディスプレイと考えることだと思う。はたしてAppleはその上でよいアプリを生み出せるだろうか?できなきゃどっかから買ってくるのでもいいよ。今TVネットワークが持っているコンテンツ買うんじゃなくてさ。



自由に自分を表現しましょう

2016-02-10 07:05

芸術っぽいカルチャー教室にいって「自由に自分を表現してみましょう」といわれても、どこかで見たオブジェもどきしか作れない。それが凡人というものだ、とはOL進化論にあったセリフ。

「自由にやってよい」と言われて「待ってました」と思う人はめったにいない。ほとんどの場合は「どうしたらいいのか」と戸惑うばかり。こういう時は成功事例に学びましょう、というわけでこんな研究があるらしい。

というわけで、「小説家になろう」というサイトがあることを知りのこのこ見に行った。そしてこの研究通りの内容なのに驚いた。ランキングはこんな感じである。

+第1位+
無職転生 - 異世界行ったら本気だす -

+第2位+
謙虚、堅実をモットーに生きております!

+第3位+
八男って、それはないでしょう! 

+第4位+
異世界迷宮で奴隷ハーレムを

+第5位+
ありふれた職業で世界最強

+第6位+
デスマーチからはじまる異世界狂想曲

+第7位+
転生したらスライムだった件

+第8位+
盾の勇者の成り上がり

+第9位+
蜘蛛ですが、なにか?

+第10位+
異世界食堂

引用元:小説家になろう

なんでも「異世界」と「転生」がキーワードなんだそうな。「売れ筋」を分析し、見事なマーケティングとか少し皮肉交じりに書いてみたくもなる。あるいは「若い人の自由な発想は素晴らしい!」とでもいうか。

私はマーケティングとかKPIというものに疎いのだが、こうした「指標だけみれば素晴らしいが完全に狂っている」状況を表す言葉が何かあるべきだ。どれだけ書籍化されました!アニメ化もされました!といわれようがなんだろうが、私がここに見るのはヲタ芸と同じ狭い範囲での気持ち悪いなれあい。しかしおそらく指標としてみれば正しいのだろう。

いや、「なろう系」に話題をしぼって矮小化する必要はない。ベトナム戦争のときの国防長官はマクナマラという男だった。彼はこう評されている。

そう、ベトナム戦争で米軍増派を繰り返し戦争の泥沼化を招いた彼の初期の決断は、数万の犠牲者を生んだかもしれない。だがそれ以前フォードにいた頃の彼の行動は、長期的により多くの人命を救った、というわけだ。

引用元:追悼マクナマラ、計算高い泣き虫男 | アメリカ | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

マクナマラは(当時この言葉はなかったと思うが)KPIと定量分析が大好きだったらしい。そしてその国防長官を辞する時には、その観点から「ベトナム戦争は失敗だった」と反省していたのだそうな。

つまり

こういうことだ。KPIだのマーケティングだの定量評価だのは時として完全に狂った結論を正当化されるのに使われる。我々はそうした厄災につけるべき適当な名前を持っていない。そしてなぜそのような「正しいKPIによる惨劇」が起こるのかについてもまともな考察、分析がなされていない。それはwisdomとか英知とかいう言葉でごまかされている。まずは適当な言葉を見つけることが必要と思う。


Hard Ball

2016-02-09 06:59

アメリカの大統領選の面白いところは、それがガチの殴り合いということ。いや、もちろん「ここで降りるから副大統領に」とか「国務長官やらせて」とかいろいろあるんだろうけど、少なくとも最初は正面から公開の席での殴り合いだ。

今回KOされたのは、軽いとっちゃん坊やことRubio君である。

ニューハンプシャーの予備選を前にした共和党のディベート。Rubioはこう指摘された。

「これがWashington DCのやり方だ。最初に適当なことを叫んでおき、そのあとに記憶しておいた25秒のスピーチをつなげる」

ちなみにRubio君の「適当なこと」は「バラク・オバマは自分が何をやっているかわかっている(そのあとにオバマがやったことを並べ、自分は違うことをする、アメリカを偉大にするんだ!としめくくる)」

Rubio君がどうしようもないのは、こう指摘されたあとまた同じことを言ってしまったことだ。会場からのブーイングにもかかわらず。

彼には気の毒だが、見ているほうにとってこれほど面白い見世物はない。選挙権を持たない極東の島国にいるよれよれ男も面白がっているほどだ。まあ若いんだから、また挑戦のチャンスがあるよ。(適当)

というわけでこのやり取りは今後長きにわたって「大統領予備選での失敗例」として何度も何度も繰り返し見られることだろう。

しかし

ふと思う。トランプは「一発退場」クラスの暴言を何度もやっている。しかしRubioのような愚かなやり取りはしていない。そしてどうやらニューハンプシャーで勝ちそうな勢いだ。この差はなんなんだろうね。

思うにトランプがやっているのは「失言」ではなく「暴言」なのではないか。彼は自分が何を言っているのか理解している。とはいえ(これも何度も書いているが)彼の顔を見るのは控えめにいっても気が滅入る経験だ。遠くから見ていると「ジェフ・ブッシュでいいじゃん」と思うがまあいろいろあるんだろうな。


出世するのに必要なこと

2016-02-08 07:00

夜の街には「社長さん」がたくさんいる。日が昇るとそのほとんどは消えてしまう。何度か書いたことだが、ある組織で出世する、というのはその組織が許容する文化との親和性が高い、ということでありその人が有能だとか頭がいいとか部下に尊敬されている、ということは一切関係がない。

だから今はやりのYoutuberというのも「Youtuberとして集客をする」ことにたくみな人が「出世」する。

切込隊長がマックスむらいにラッシュかけているが、報告書関連はシカトしつつも宣伝ツイート混ぜて暴力団関係ありましぇーんとやっているマックスむらいを見ると、やはりこれほど図太く無ければユーチューバーは務まらんのだろうなと妙に感心する

引用元:dragonerさんはTwitterを使っています

でもって日本の家電メーカーでもその会社の文化に適合した人が出世する。その結果が「異なる文化」を持った人からみてどう見えるのか。

特に若い社員、40歳以下の社員を切ることはない。先ほど言ったように、出資については、シャープの若い人たちに出資しているという認識。特にシャープの若い人たちはイノベーションの考えを持っている。必ず成功すると思っている。

引用元:シャープと鴻海、8時間交渉でも埋まらない溝 (東洋経済オンライン) - Yahoo!ニュース BUSINESS

このセリフを聞いて、シャープに勤務している40歳以上の人はどう思うのだろうか。いや、俺はシャープの部長だぞ!と威張ってみたところでその首はもはや飛んだも同然。ジューコフが帝国陸軍に対して述べた言葉は何度でも私の脳裏に蘇る。

ノモンハン事件でソ連軍を指揮したジューコフ将軍が相手の日本陸軍を評して「日本陸軍の下士官は非常に優秀であり、兵士と下級将校は狂信的な勇敢さで戦うが、高級将校は無能である」と述べている。
そのいっぽうで、アメリカ海軍太平洋艦隊司令長官のニミッツ元帥は日本海軍に対して「最もすぐれているのは下士官、兵士と下級士官がそれに次ぎ、高級士官がもっともよくない」と語ったという。

引用元:世界最強の軍隊: 三十一提督の愚痴の捨て所

ホンハイ会長の言葉と恐ろしいほど重なる。なぜこうなってしまうのか?出世すると馬鹿になるのか、馬鹿が出世するのか。具体的な事物には対応できるが、抽象的な管理、経営には無能だというのか。きっとこの問題について考えた先人はいるにちがいない。といってまず「検索」からはいるところが、最近の年寄りの悪いところだな。


Shut up and Smile

2016-02-05 07:02

私が海外で暮らしたのは2年10ヶ月に過ぎない。そして今後は海外で暮らすこともないだろう。

であれば、日本の流儀に従って生きるのが一番良い。ローマに行けばローマ人のように振る舞うのは古今東西の真理である。先日こんな文章を見た。

欧米人自身は、多くの場合そのことに無意識ながら、彼らが空気を読む人を評価しないのは、本質的には実はそれが弁証法的な批判精神を欠くからなのです。なぜって弁証法的な史観に立てば、批判と対立なしには人類の発展はストップしてしまうのですから。

引用元:「空気を読む人」が海外で評価されない、実はとても哲学的な理由 - piano-treeの日記

私の経験した範囲では、日本で働いているのと米国で働くのとそれほど大きなギャップを感じたわけではない。しかし日本でサラリーマンを長くやるにつれ少なくとも日本では

「黙ってニコニコしている」

のが一番正しい姿勢だと確信している。

他人への批判、批判と受け取られないような意見の表明は絶対に避けなければならない。ネガティブは絶対に忌避すべきであり、現実がネガティブな時はそれを知ってはならないし、知っても口にするのは忌避されるべき態度。学校で試験の答案を目の前にすれば、正しい答えを導き出すことが正義だが、会社ではそれは危険な行為である。仮に正しい答えを導き出したとしても、黙ってニコニコしているべきだ。そうであってこそ場の雰囲気を読む正しいサラリーマンと言える。嘘だと思うなら東芝の社員に聞いてごらん。

「こんな馬鹿な決算をするなんて!」

と「正しい」ことを言った人はとうの昔に粛清されているはずだ。

思うに

理由はよくわからないが、日本では個人が持つ意見と、個人が一体化しているのだと思う。少し前にも書いたが、人と一体化した意見に反論するのは敬虔なイスラム教徒に向かってコーランを批判するようなものである。それゆえ建設的な議論、といったことが行われにくい。

なぜ、いわゆる「空気を読む」人を評価しないのか?と欧米人に聞くと、おそらく多くの人はなぜだろう、としばらく考え、「それは自分の意見を持っていないことを意味するからだ」というようなことを答えるでしょう。

引用元:「空気を読む人」が海外で評価されない、実はとても哲学的な理由 - piano-treeの日記

日本に長くいる私は、この文章を読むと

「自分の意見を持つことは危険だ」

と反射的に身構える。仮に自分の頭の中に意見が出来てしまったときは、それを周囲に知られないように全力を尽くすべきだ。なぜ私はこう考えるようになったのだろうね、というと長い話になるのだが。


本命不在の大統領選挙

2016-02-04 06:53

アイオワの予備選を横目で眺めながら働いていた。ABCのアプリを見ていたのだが、放送のしかたがほとんどTalk Showみたいなのに驚いた。

でもって

決着がついたりつかなかったりしたのだが、3人の「勝利宣言」の感想を書く。

共和党で勝ったクルーズ:とにかく長い(番組の司会者にもそう言われていた)そもそも最初の言葉が「これはアイオワの保守層にとって偉大な勝利」ってのはどうなんだろう。あんた目の前しかみてないだろう。最初の予備選ということで全米の注目があつまるのに。

それからもダラダラとローカルニュースのような言葉が続く。こいつはだめだ。

民主党で僅差で勝った(この時点では引き分け)ヒラリー:さすがにしゃりなれている。しかしなんというか軽い。表情やイントネーションを「作って」みせるのだが何を言っても全く印象に残らない。

民主党で僅差で負けた(この時点では引き分け)サンダース:ヒラリーの対抗がこの人だと聞いた時「なんだこのよぼよぼのじいさんは?これはヒラリー楽勝だな」と思った。しかし勝利演説で一番よかったのがこのじいさんだった。

若者が大学に行きやすくする。そもそも上位ほんのすこしの人間がアメリカの富の半分を所有しているなんておかしい。Let's go radical.さすが社会主義者。しかし貧富の差が拡大していることは事実であり、確かにこの人の言葉は有権者に届く。そしておそらくこのアイオワでの演説が「全国区」であることを正しく認識していたのはサンダースだけではなかろうか。

共和党で3位にくいこんだルビオ:おまえはアホな若者か?2008年のオバマの勝利演説をパロディにしたようなネタをかましているが、そんなものおもしろくもなんともないんだよ。

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ゲンナリしたので、2008年のオバマの演説を見返してみる。この時点ですらこの演説は印象的だった。彼はあたかも自分が大統領に当選したかのように語った。そしてその通りになった。彼はこのチャンスを最大限に活用したのだ。

それに比べるとやはりこの4人は(トランプは論外として)迫力に欠ける。唯一聞く意味があるのはサンダースだが、もうちょっと若ければなあ。。まあいいや。どうせ私は野次馬だからこれから「サンダース推し」で大統領選を楽しむことにしよう。


「好き」の反対は

2016-02-02 07:07

「嫌い」ではなく「無視」だと誰もが言葉では知っている。しかしこの言葉を読むと、やはりなんらかの感慨が沸き起こっている。

Windows Phone 7 RTM Parade

引用元:Flicker

Another sign that the platform is dead: I don’t see anyone complaining about the lack of apps and developer support any more. It’s just accepted that Windows Phone doesn’t have the apps that iOS and Android do.

引用元:Daring Fireball: Microsoft's Devices: The Great, the Good, the Unfortunate, and the Invisible

もはや誰もWindows上でスマホ向けのアプリを作るのが難しいとか文句を言いもしない。ただそれは存在を無視されるようになったのだ。蜀はまだ存在しているかもしれない。ただ誰も語らなくなった。

Microsoft自体は商売でうまくやっているようだ。

“Businesses everywhere are using the Microsoft Cloud as their digital platform to drive their ambitious transformation agendas,” said Satya Nadella, chief executive officer at Microsoft. “Businesses are also piloting Windows 10, which will drive deployments beyond 200 million active devices.”

引用元:Microsoft Beats On Strong Cloud Revenue With $25.7B Revenue, $0.78 EPS | TechCrunch

Appleが全く手が出ないクラウドの分野で、元OSメーカーはうまくやっている。Amazonもデバイスでは苦闘が続いてるが、それでもAWSの支配力は圧倒的。不思議なことにGoogleはAmazonにもMicrosoftにも遅れを取っているように見える。

このように会社が強い部分、弱い部分を見るのは実に興味深い。会社の「文化」と何か意味がある関係があるのかないのか。ビジネススクールの人だったら格好な論文の題材だと思うし、すでにそれを試みている人はたくさんいるのだろうけど。

iPhoneが(伸びは止まったと言え)絶好調のAppleだが、自動車の道は平坦ではないようだ。

Apple VP of Product Design Steve Zadesky, who was believed to be leading Apple's electric vehicle development efforts since 2014, has informed colleagues that he will be leaving the company, according to The Wall Street Journal.

引用元:'Apple Car' Project Lead Steve Zadesky to Leave Apple - Mac Rumors

Appleが試みながら日の目を見なかった製品はいくつもある。自動車がそれになるのかどうかはわからない。