映画評

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クルエラ-Cruella(2021/5/29

今日の一言:二人のエマ

ディズニーの映画を作ることは制約との戦いと思う。101匹わんちゃんにでてきた悪役クルエラ。アニメではタバコをふかしていたが、今やディズニーでは喫煙はご法度なのだそうな。だからこの映画ではタバコのタの字もでてこない。他にもいろいろディズニー禁止事項はあるだろうが、それを順守した上ですでに確立されているイメージを壊さず現代の観客に受け入れられる作品にしなければならない。

この映画はその難題に正面から取り組み、少なくとも私をノックアウトするほどの見事な世界を作り上げた。謎の人間との対話中に母親は崖から転落死する。一人になった少女エステラはロンドンでなんとか生き延びる。デザイナーとしての才能をひょんなところから有名デザイナーに見染められ...

この有名デザイナーがエマ・トンプソン、主役がエマ・ストーン。二人のエマの演技力と存在感が炸裂する。エマ・トンプソンのお付きのような地味な男がいるがどこかで見たようなと思えばマーク・ストロング。なぜこんな地味な役をと思えば、やはりちゃんと見せ場がくるのであった。

私のような年代の人間には涙がちょちょぎれるような七十年代ロックの名曲にのせて映画はテンポよく進む。二人のエマに関わるある秘密が明かされたとき「それで腑に落ちた」とクルエラのサポート役が言う。観客たる私も「なるほど」と思う。そしてオチの付け方もまさしくディズニーである。この映画では必要最小限の人間しか死なないし、動物も虐待されない。それでちゃんと物語を成立させてしまうのだから、こちらは驚くしかない。

現在デザイナーの頂点にいるエマ・トンプソンとそれを打ち壊すパンクムーブメントを体現したエマ・ストーン。私はおよそファッションデザインとは程遠い世界にすんでいるのだが、クルエラとしてのエマ・ストーンの姿には驚いた。衣装が美しいし目を引く。さらにエマ・ストーンは衣装に負けない存在感を発揮する。クルエラはヴィランなのだが、それでも観客の心を掴むようなキャラクターでなければならない。それを達成した脚本家、監督、エマ・ストーンには感嘆の他ない。確かにヴィランであり、確かに美しい。

ぐうの音も出ないとはこのことであり、私は頭を振りながら映画館を後にする。この映画はおそらくこれから何度か見ることになると思う。

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注釈