目的と手段

2016-06-29 07:24

先日こんな記事を読んだ。

日立社内での実証実験では、幸福感の目標値を社内で設定。さらに、これを実行した結果、受注額の上昇に繋がったかどうかも評価するという。「受注額の上昇については、景気動向や市場変化の状況なども勘案しながら評価することも必要になる」としている。

 同社では、今回の試行の成果を取り込んで、国内外の企業や組織に同技術を提供。働く人の幸福感の向上と、それに伴う組織の活性化を通じた企業の生産性向上を支援するという。

引用元:日立、人間の幸福感を高めるAI活用の新技術を開発 - PC Watch

かなり怪しげな手法についてはコメントを差し控える。しかしなぜこの記事に強烈な嫌悪感を抱くのだろう?そう考えてみて

「売り上げが目的。社員の幸福度はそのための手段」

というメンタリティが根底にあるからだ、と気がついた。

「幸福度の目標値を設定」という言葉のインパクトも凄い。人口知能(笑)が送ってくるアドバイスを的確に実行すると社員は幸福になり、その度合いに対して目標値が設定される。

実験をしている企業は名だたるところだ。「幸福になることはあなたの社員としての義務です」と言えるメンタリティには感服する。こういう会社に勤めたら、幸福度センサーをごまかす方法を誰かが開発し、それでもって「私たちは幸福です!」と北朝鮮のような回答をする。

幸福といえば、外せないのがザッポスである。トニーシェイはこう言っているらしい。

靴のオンライン販売で全米最大の企業ザッポスは、「ザッポスは世界に幸せを届ける会社です」と宣言し、顧客と社員に幸せを届けることを企業活動の目的としています。

引用元:「幸せを届ける会社」ザッポスのマネジメント - 水上武彦のCSV/シェアード・バリュー経営論

ザッポスでは幸福が「目的」であり、「生産性」だの「売り上げ」はそのための手段の一つ。文章にすると些細な語順の入れ替えだが、この違いは大きい。

ヒラ社員というものは(私は実際にその専門家だからわかるのだが)経営者の本音を簡単に見抜く。

経営者は、社員の前で、本来の自分ではない人間を演じるスキルは必要だと思いますか? それとも、自分に正直でいることが大切なのでしょうか。

BH:自分を取り繕うことはとても危険です。そこから生じる矛盾をきっと見抜かれます。驚くほど簡単に見透かされてしまうんです。1対1の会話ですら、そうです。全社員の前で自分を偽れば、誰かがそれを見抜いて、それをほかの誰かに話しやがては会社中に伝わってしまう。

引用元:会社にとって利益は「空気」。それはゴールじゃない──ベン・ホロウィッツ|WIRED.jp

会社との関係を円滑にするためには会社が何を欲しているか(言葉で何を言っているかではなく)を見抜きそれに答えることにある。会社が「売り上げの数値」を欲していれば嘘をついてもそれに答える人間が評価される。これは東芝だが、この「幸福センサー」を導入する企業でもそうしたことが大々的に行われるのだろう。会社は従業員を幸福にしたいのではない。「従業員が幸福だ、というデータ」が欲しいのだと。


UPQのバッグ発表&即売会に行ってきたよ

2016-06-28 10:04

そういうブロガー向けのイベントがあると知り申し込んだのはだいぶ前。しかしそれからうんともすんとも返事がない。ブロガーイベントの告知がUPQサイトのトップに移動したことからも、おそらく集まりが期待以下だったのだろうな。

連絡ないまま落選か、と思っていたら前々日の土曜日にいきなり案内が来る。奥様の許可を得て会社帰りにのこのこ秋葉原まで行く。

7時から入場ということだが、7分前についてしまう。案内のホワイトボードをもった男性に聞けば「あっちをまがったところのエレベータで12Fに」と言われる。そちらに向かうがゲートがあり入れない。男性に同行してもらいなんとか上がる。エレベーターの中で白人の数人組と一緒になる。12Fにつくとこんなエリアである。

開設前

先ほどの数人組はカメラをあれこれ設定している。私は椅子にぼんやり座る。そのうち「こちらにプレゼンを投射しますので」と動けと言われる。別の椅子に座る。会場設営はこれから始まるらしい。結局中央を広く開けることになる、また移れと言われる。他にもブロガーの人がいるようだが所在なさげに立っている。机を移動させたり椅子を移動させたり。

椅子がそろい、これでもう動けと言われないだろうと思い着席する。時間がだんだん過ぎていく。7:28頃広報の古田氏が「もう間も無く始まりますので少々お待ちください」という。その時点でブロガーと思しき人は7名。30分なったがまだ始まらない。古田氏が再度登場し「遅れるという人が多数いるため、10分遅れで始めます」とアナウンスがある。そのままぼんやり待つ。前にはヘッドフォンとバッグが置かれている。

箱

バッグにこんな箱をつけるとは。その試みが新しいとは言えるだろう。

それから三人ブロガーが来た。時間になり中澤社長のプレゼンが始まる。本日の題名は「UPQ Bag BP01およびUPQ Bag BP02 miniをご体験、ご購入いただけるメディアやブロガー向けのイベント」だからバッグのすごいところをあれこれ説明してくれるのだろうと想像していた。だからプレゼンが

「今日で中国に初めて降り立ってから一年10日です」

というUPQの立ち上げ苦労話から始まった時は少し意外に思った。遅れてきた女性二人組がノリがよく「私中華料理も食べられないんですよー」と中澤氏がいうとそれに笑ったり、合いの手を入れたりしている。

それからも「UPQの立ち上げ苦労話」が延々と続く。その中で商品ライン、商品数がどんどん増えて行くことを説明する。「商品数を増やすつもりはないんですけど」と付け加える。第2シーズンで52製品になったとスライドには描かれている。

UPQは無意味な機能競争にとらわれず、コスト、機能、デザインのバランスをとった上で、一つつきぬけた点をもたせます、とのこと。15分ほどたちようやく話がバッグになった。

この日あった説明はUPQのサイトに掲示されているのとほぼ同じ内容である。内容なのだが、話がややこしくて何をいっているのかよくわからない。サイトの説明をみてもわからない。話としては、

・PCからも給電できるようにしたい。

・バッテリを外さずバッグにつけたままでも外から充電できるようにしたい。

ようするに内部に収納するバッテリ(これはバッグについているわけではない)からスマホに充電と、バッテリ自体の充電を両方可能にしたがため、どのケーブルがどの用途だかわからなくなっているのだ。こういうのは使っていればすぐわかるものかもしれないが。ちなみにこの充電用ケーブルは「試供品」とのこと。つながらなくても知らんよ、というどこか「小賢しさ」を感じる注釈がついている。

8時10分近くになりようやくプレゼンが終わりに近づく。本日は本来税込21,384円のところを18,000円でお買い求めいただけますとのこと。「本当はお釣り用意するのが面倒なだけなんですけどね」と中澤氏がいう。先ほどの二人組が笑い声をあげる。

といったところでようやくハンズオンになる。前にいってあれこれ触る。実物を見ると(説明にもあったが)ポケットの多さが印象的。亡くなった祖父はポケットがいっぱいついた服が好きだったから祖父が生きていればこれをプレゼントすればよかったかな。説明によれば、ジッパーとポケットの数が増えても製造単価は変わらない、と相手が言ったから「じゃあたくさんつけよう」ということにしたとのこと。背中が当たる面にPCを収納できるのは一般的だが、横にもジッパーがついており、上面を開けなくても取り出せるのは確かに珍しい。ただここを不意にあけて落とさないかという懸念は残る。

中澤氏にいくつか質問をした以下その会話の様子をできるだけ記憶から再現する。

まず「スマホの新しいのはいつでるんですか」と聞く。プレゼンの中で50インチディスプレイと電動スクーターは言及があったがスマホについては全く触れられていなかったのだ。答えは「7月か8月か。今A01XのOSアップデートを優先しているので」とのこと。というわけでA02を待っている人はまだかなり待たなくてはいけないようだ。

先ほど製品に一つとんがったところをつけるとおっしゃってましたが、バッグだとポケットとUSBですか。ディスプレイではなんですか?と聞くと「チューナーを省いて安くしたところです」と答えがある。あそこにあるヘッドフォンは?と聞くと「高音を変にいじっていないところ」とのこと。

そこから中澤氏の説明が始まる。これまでの家電は機能をつけすぎ価格が高すぎ消費者とメーカーの思惑が乖離している。これらの製品は例えば若者が「世の中には音がいいヘッドフォンもあるんだ」という気づきを与えるのに役立てばいいと思う。そのためエントリー価格にしてその範囲で音質を高めた。(ちなみにこの日ヘッドフォンで実際に音を聞く環境は用意されていなかったと思う)

ここらへんからマルコ・ルビオの演説を聞いているような気になる。つまり中澤氏が各所で繰り返してきた「私の思い」をひたすら述べるモードに入った。私は何度か質問をしようとしたが、言葉がよどみなく向かってくる。諦めて「私の思い」が終わるのを待つ。まあこういう「スイッチがはいる」のは誰にもあることだ。

このバッグはノースフェイスの製品によく似ていますが、価格は倍近い。これはポケットの数とUSBで差別化ということですか、と聞く。すると相手は「そもそも競合製品とかあまり気にしていない」と答えるので、さらに「先ほど若者向けにエントリーの製品を作ると話されました。しかしこのバッグはノースフェイスよりはるかに高い。これはエントリーになり得るでしょうか?」と聞く。

するとノースフェイスの製品はあまり知らないが、そもそものコンセプトが違うのではないかと思う、とのこと。なるほど、「同じバッグと思い価格だけ比べて欲しくない」ということか。

私は「そうはいっても若者に2万円のバッグは高くないでしょうか?」と聞く。中澤氏は「コンバースのいいスニーカーと同じくらいです。友達はコンバースもっているから、私はこれを買う、ということもあるのでは」と答えがあった。

カメラマンたち

私は聞くべきことは聞いたと思い、ありがとうございました、という。その間中ずっとカメラで撮影されていた。先ほどの白人グループとは別にアジア人女性二人組がずっとカメラとビデオで撮影をしている。彼らが何の目的で撮影しているのか、その映像をどう使うつもりで写りたくない人はどうすればいいのか(私は気にしないが、世の中には気にする人もいるようだ)会場では全く説明がなかった。

カウンターの上には、バッグの箱が置かれている。最終的に誰がこのバッグを購入したのかは知らない。

案内のメールには

「閉会時刻は20:30ですが、ご退出は自由にしていただいて問題ございません。
お帰りのルートにつきましては、当日スタッフの案内をご確認ください。」

とかいてある。とはいっても退出方法についてアナウンスはなかったから一礼してその場所を後にした。ところがゲートでまたもやひっかかる。カードを持っている人にくっついて退出した。ガードマンがちょっと怪訝な顔をしたが、また12Fまで戻るのは嫌である。

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UPQの説明を聞いていると前後矛盾したところに気がつく。商品数を増やすつもりはないが、とうとう52製品になりました、という。しかしそれは「完売。まだ小売店には在庫があるかもね」という旧製品や、A02のようにそもそもまだ存在していない製品まで含んでいるのではないかと思う。なぜそうまでして数を膨らませてプレゼンするのだろう。

52種類

機能、価格競争ではなく独自のコンセプトを見てほしい、という考え方は悪くない。誰もiPhoneとAndroidで機能の数と価格を比較したりはしない。iPhoneはiPhoneとして高価格でも売れている。

問題はUPQの製品をみていても「独自のコンセプト」が見えない点。今回のバッグについてはCADデータを持ち込んで作ってもらったのだそうな。実物をみて納得できたが、あれだけポケットが多いと構造が全く変わってしまうから「オリジナル設計」というのは少なくともバッグに関しては納得できる。

しかしそれはもっと大きな問題を提示している。「一からCADデータをおこしてつくったのなら、なぜノースフェイス・フューズボックスと同じような形なのか?」という点。

コンセプトが違う。だから価格差が2倍あっても気にしない、という姿勢は正しい。ならばその価格差を忘れて思わず

「これが買いたい!」

と思えるような斬新なデザイン、コンセプトを出すべきと思うのだが。

街中でアルファロメオの車を見ると、思わず目がいく。価格が高かろうが故障しようがあの車に乗りたい、という気持ちにさせられる。

しかしカローラと外観そっくりの車をつくり2倍の値札をつけ「収納とウSB充電がついてます」と主張したところで誰も興味を持たない。ノースフェイスのバッグは初見では「へ?水のタンク?」という奇妙な形だが、見慣れてくると味がでる見事なデザイン。その形だけ真似して2倍だせと言われてもねえ。実物を丹念に見たが、あれが8000円なら衝動買いしていかもしれない。2万円は逆立ちしても出す気にならない。

中澤氏の喋り方は私の言うところの「不敗の立場」である。とにかく相手の質問に何か言い返すが、自分の発言の一貫性には目をつぶる、というものだ。先ほど書いたが、ディスプレーとバッグの価格、コンセプトは一貫しているとは思えない。こういう「不敗の立場」に立った人の議論は不毛だからあまり好きではないが、世の中にはそのようにペラペラ応答する人を見て「この人は考えがしっかりしている」と評する人がいるのは知っている。

結局UPQの最大の「売り」はUPQの創業ストーリーと社長自身なのだと思う。この日はバッグの説明会でありながら、バッグ自体のの説明よりも創業ストーリーが長かったことを思い返そう。

売り方

中澤氏の説明によれば、この社長の90%大写真は、イオンのノリのいいおじさんたちが勢いで作ったのだそうな。私はこの売り場がUPQを象徴していると思う。つまり製品だけでは商品力はない。社長の写真をつけてようやく売り物になる。

もう一つ気がついたこと。中澤氏はしきりに「私はカシオ出身で」と口にする。私の質問に答える時も口にしていたように思う。

私のサラリーマン人生での経験則だが

「自分が過去に勤務した大企業の名前をやたら口にする人間にロクな奴はいない」




提灯メディアと提灯准教授

2016-06-27 06:48

メディアをやっていくのは大変だと思う。特にインターネット上では「講読料」をとれないから、何かでお金をもらう必要がある。

Engadgetというサイトを以前は読んでいたが、実態は「広告チラシ」と違わないことがわかりRSSリーダーから外した。TechCrunchはまだはいっているが、最近になり

「結局ここも金もらって記事書いているのか」

と悟り始めた。例えばこんな記事。

あなたのオルツはクラウド上にいる。このオルツに向かって、ほかの誰かが話しかけると、あなたのオルツは、いかにもあなたが答えそうなやり方で人工合成音声とテキストで回答する。口がパクパクして、目も動くので、それなりにしゃべっているようには見える。どの程度「あなたらしさ」を獲得したかは数値で示されていて、50%を超えてくると、むしろその人らしくない回答を引き出すのが難しくなる、と開発したオルツの米倉千貴氏は言う。

引用元:al+は人格をコピーして、あなたの代わりに仕事をするクラウド上の人工知能アバター | TechCrunch Japan

よくこういう記事を署名付きで表に出せるなあと感心する。金をもらって書いているならネイティブアドと表記すべきと思うのだが。

でもって「さすがに無理がある」と思ったのだろう。(ここら辺の良心のカケラがEngadgetと違うところだ)大学の准教授に推薦の言葉をしゃべらせる、という技に出た。

AI研究が専門でヒューマンインターフェース関連にも詳しい上智大学理工学部情報理工学科の矢入郁子准教授にアイデアの実現性について尋ねてみたところ、「1990年以降のAI 研究で提案されてきたアイディアの1つです。これまでの自然言語処理、知的エージェント、マルチエージェント(知的エージェントの分散協調の研究)、機械学習、ヒューマンエージェントインタラクションなどの基礎研究の成果の統合として、そしてさらに近年のAIブームの火付け役としてのディープラーニングの成果によって実現は可能と思います」との回答だった。

引用元:al+は人格をコピーして、あなたの代わりに仕事をするクラウド上の人工知能アバター | TechCrunch Japan

「AI研究が専門」の矢入准教授なんて聞いたことがない。しかも言っていることは、まるっきり素人のそれだ。なだこれは?と思いサイトを調べてみる。すると次のような研究が並んでいる。

音と触覚を用いた視覚障害児向け中学数学学習コンテンツの開発, 情報処理学会,第117回コンピュータと教育研究発表会,Dec. 9, 2012.
岡本愛弓,福島裕介,矢入郁子
情報処理学会,第117回コンピュータと教育研究発表会   2012年12月   
視覚障害者向けタッチパネル神経衰弱ゲームにおける指操作方法の評価
浦島卓也,碓井啓次郎,福島裕介,矢入郁子
電子情報通信学会技術研究報告(福祉情報工学) WIT2012-65   2012年12月   

引用元:矢入 郁子 - 研究者 - researchmap

へー。AI研究が専門の先生の研究室で、こういう研究ばっかり発表しているんだ。意外だなー(棒読み)

まあこういう専門の先生がコメントをだせば、詐欺としか思えないセールストークに「実現は可能と思います」となってもおかしくはない。しかしなあ。障害者向けインタフェースの研究をしている先生を「AIが専門」と書くメディアもメディアなら、それを承諾する准教授も准教授だ。

というかそもそも大学の教官をしている人にいちいち目くじらを立てるな、ということなのだと思う。香山リカですら立教大学教授なのだ。TechcrunchはRSSリーダーから外し、矢入という名前を研究会でみたら「AI研究がご専門なんですよね?TechCrunchで読みました!」と明るく挨拶しよう。


モービルアイ530をつけたよ

2016-06-25 18:27

私は早期に人間による自動車の運転は違法化されるべきだと思っている。いや、それは極端すぎるだろうという意見もあろう。確かにそうかもしれないが、事故を軽減する技術はそこまで来ているのだ。

自動車会社がほぼ無意味な燃費などでなく、衝突予防の機能を競っているのは良いことだと思う。さて、問題は自分がどうするか。財布の中を覗き込めば、しばらくアイサイト3搭載のスバル車など購入できないことがわかる。そもそも、我が家で運転する人は二人とも下手だからアイサイト3搭載車はでかすぎるし。

ではどうするか。「運転事故死にこれほど世間が無関心なのはけしからん」と言いながら結局丸腰で車に乗り続けている。こんなことでいいのか。後付けで、自動ブレーキでなくてもいいから少しでも改善する方法はないか。Googleの神様にお伺いをたてあれこれ探す。するとモービルアイという製品があることを知る。

定価は15万5千円、それにセットアップが3万5千円+消費税。値段を考えるとやはり動きが止まる。有言不実行とはこのことだと理性でわかってはいるのだが。

などと考えることしばらく。SAM Projectというサイトで21,000円引きのシークレットセールをやっていることを知る。えい、この機会に買ってしまおう。おまけにブログに書くと5000円相当の商品券がもらえるという。ああ、これは私のために存在するセールではなかろうか。

というわけでフォーマットから問い合わせのメールを送る。ぽんぽんと話が進み、手付金を振り込む。一週間の出張があり、それから帰り、時差ぼけが治ってきたところで「取り付けをお願いできませんでしょうか」とメールを出す。幸いにして希望の日が空いていた。

朝の9時半に車を持っていく。インターネットでたまたま見つけたサイトが、私の家の近くだったというのも何かのご縁だろう。車を置くと車で最寄りの駅まで送ってくれる。家であれこれやっていると午後3時前に電話がなる。取り付けがほぼ終わりそうとのことで最寄り駅に行く。するとモービルアイが取り付けられた車でピックアップしてもらえた。実際に動作を説明してもらいながら事務所に戻る。残金を渡し簡単に説明してもらって取り付け完了。いや、すばらしくスムーズだ。というわけで帰り道さっそくあれこれ試して見る。

カメラ

カメラはこんな感じで、ミラーの裏側に取り付けられている。

カメラ

外側からみるとこんな感じこの位置にあった車検のシールは綺麗に傍に移されていた。

シール

ディスプレイはこんな感じ。

ディスプレイ

前に何もいないときは、点が表示されているのだが、前方に車両を検知するとこのように車両マークが表示される。

そして停止する位置が近すぎると警告音が鳴り、車のアイコンが赤くなる。

警告アイコン


一旦停止しても、そこから前にそろそろ動いていくと警告音がなる。これは助かる。当然のことながら反対車線の車にはほぼ反応しない。

細い道を走っていたので人が何度か前を横切ったり、あるいは前方を歩いていたりした。写真はないが、そのたびに赤い人型アイコンが表示される。自転車が前を通った時も人型アイコンが表示されたようなきがするが定かではない。

運転しているうち、私は停車時に車間距離を詰めすぎていることに気がつく。どこにも正解はないのだが、意識して間隔をとることにしよう。そのほうが安全だ。説明をうけた車線逸脱警報は55km以上で動くらしく本日はまだ試していない。

エンジニアの端くれとしては、一つのカメラでよくここまで精度よく車両(距離を含め)検出できるものだと感心する。画像認識というのは常にノイズや誤検出との戦い。それを考えれば、ほぼ間違いなく検出しているのには驚かざるをえない。私なら

「画像だけじゃ無理。レーダーとハイブリッドにしなさい」

というところだが。

まだ少し使っただけだが、このシステムは少なくとも人間の運転を慎重にする効果があると思う。ブレーキと連動していないから自動ブレーキは効かないが、運転手が慎重になればおそらく効果があるだろう。

このシステムをつかいながらあと数年は今の車でがんばろう。その頃には衝突予防装置がもっと進歩していることを願いながら。


言うこととやること

2016-06-23 06:44

空虚なスローガンに価値を見出す人が多いことには、常々驚いている。しかしながらそうしたスローガンには何の意味もない。その会社が提供している製品、サービスをみれば、その会社がどういう会社かはよくわかる。

空虚なスローガンとはどういうものか?例えばこれだ。

2. User First
ユーザ体験を損なうようなことをしない

引用元:なぜレッド・オーシャンのなかビジネスチャットを Wantedly は作っているのか by 岩永 勇輝 | Wantedly, Inc.

これはWantedlyが掲げている三つの行動指針のうちの一つなのだそうな。でもってこの会社が実際に行っていることはこういうこと。

しかし果たして使われるほどの利便性が提供できるのだろうか? そもそもユーザーはどういう質問をするのだろうか? 今の段階で出しても、ユーザーはむしろガッカリしないだろうか? そういう質問に対して相川氏は、次のように語る。

「最初はガッカリさせることもあるかもしれません。でも、それを恐れていたら何もできませんよね。それにチャットだとクエリで検索できないことがどんどん入ってきます。チャットに早く手を出す会社のほうが先に行けると思います」(相川氏)

引用元:ボット相手にチャットで仕事探し―、WantedlyがFacebookボットをリリースするワケ | TechCrunch Japan

ここで同じWantedlyの社員が公言しているのは

「ユーザにゴミのような体験をさせるが、それによって貴重なデータを得て会社は前進することができる!」

という

"Company First"

の宣言である。User Firstが聞いてあきれる。

若いベンチャーだからと生温かい目で見守るべきだ、と理解はしている。しかしこうやってブログなど書き出すのは、私は空疎なスローガンにものすごい嫌悪感を抱くからなのだな。

それは、Sync が Sync の思想を信じるチームによって作られ、
Wantedly のビジョンや文化がそれを支えていることです。
私たちがなんとなくチャットを作っているのであればそれは間違いなく負け戦でしょう。
ですが、「なぜやっているか」を強みだと思っている以上、それは負け戦ではありません。

引用元:なぜレッド・オーシャンのなかビジネスチャットを Wantedly は作っているのか by 岩永 勇輝 | Wantedly, Inc.

こういうことを真顔で書ける人は、間違いなく経営者に愛される。それは経営者及び本人にとって幸せであるとともに、とてもうらやましいことだ。残念ながら私にはできない。


帝国を長続きさせるには

2016-06-22 06:59

軍師官兵衛と真田丸を見ていて思うのは、「代々続く帝国を作るのは難しい」である。織田は信長で滅び、豊臣も秀吉で滅んだ。そう思うと徳川の「賢さ」は群を抜いている。

創業者というのは「俺が一番」というメンタリティを持っていることが多い。問題は長続きする帝国を作ろうと思えば「俺様を2番に蹴落とす人間」を迎え、ちゃんと席を譲れなくてはならない。これが難しい。

どこかで読んだが、そもそもA級の人を雇えるのはA級の人間だけだ。B級の人間はC級以下しか雇えない。後進に道を譲るというのは簡単だが、それをちゃんとできるのは揺るぎない自尊心を持っている人間だけである。というわけで普通の人間に起こることはこういうことだ。

孫社長は60歳の誕生日(2017年8月11日)にアローラ氏に社長の座を禅譲するつもりでいた。ところが、「ソフトバンク2.0(グローバル展開を一段と加速させる新・長期戦略)の構想を強固にし、米通信大手スプリントを真によみがえらせ、その他いくつかのクレイジーな構想を実現するにはあと5~10年は社長として率いて行く必要がある。ニケシュを待たせてはいけない。そこでニケシュと話し合った

引用元:ソフトバンク、アローラ副社長が突如退任 | 通信 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

まあ早い話60になろうが、70になろうが「俺様が1番」から降りる気はない、ということ。本当に有能な人間ならそもそも孫の言葉を最初から真に受けたりはしないだろうから、アローラにとってこれは予定の行動だったのだろうな。

かわいそうなのは、「後継者求む」とかいう宣伝文句をまともに信じてソフトバンクアカデミーに応募してきた人だ(多分何人かはそういう純粋な人がいただろう)

不思議なのだが、こういう「俺様が一番」と言えるくらいの愚鈍さをもった経営者というのは、なぜこうやすやすと「引退」を口にできるんだろうか。自分の口先以外誰もそんなことを信じていないというのに。


Party is over

2016-06-21 07:28

WWDC2016から帰ってきた。ひどい疲労は残っているが、なんとかまともな作業ができそう。となるとやる事は山積みである。

今回は「ベイエリア在住日本人エンジニアの集まり」に参加できた。そこでものすごく日本語を上手にしゃべるアジア系の人に

「なぜ高い金払って会議に参加するんですか?ビデオじゃだめなんですか?」

と聞かれた。

Facebookには今回WWDC及びその周辺イベントに参加した人たちのグループがあり、そこでは

「来年チケットが外れても参加します」

という意見がすでに複数見られる。

アジア系の人の疑問にロジックで答えることは容易ではない。リアルタイムでビデオはストリーミングされるし、最近はサンプルのアップロードも早い。確かにWWDCに行けばラボで直接Appleのエンジニアとしゃべることができるのは確かだが、それだけのために17万7千円はらうのか?今や異常に高騰したSan Fransiscoのホテル代を払うのか?

これをなんとか行ったことがない人にも伝えられないか、というのが今の私が直面している最大の問題である。7月1日に弊社でWWDC情報共有会があるんですよ。そこで最初にしゃべるんですよ。プレゼンの構成はWWDC初日の晩、時差ぼけで眠れないベッドの中で考えた。題名は

"Three messages"

というわけで三つのメッセージの最後の一つはDiversity.ビデオを見直して知ったのだが、キーノートの冒頭黙祷を捧げた時Timはなんどか目を拭っていたのだな。WWDCに行くと本当に色々な人がいる。そして彼らの彼女たちはただ「いいものを作りたい」と思っている。それだからコードを書かない人間には全く何のことかわからない新機能に心からの拍手を送る。

あの場のもつ力をどうしたら行ったことがない人に伝えられるだろう?あと10日あまり。ぎりぎり悩む。




I am going to WWDC!

2016-06-09 07:04

題名はかなーり前の"I am going to Disneyland!"のパクリでございます。いやね、もう来週なんですよ。いつものごとく「何か忘れてるんじゃないか」と不安になるけど来週なんですよ。でもって今朝起きてみると「うぎゃ」っとなるようなニュースが二つ。


今週に入り、突然、アップル社上級副社長のフィル・シラーが電話で独占インタビューに応じたい、という連絡を受けた。
アップルの東京オフィスで電話に出るとシラーは「来週のWWDCではかなり盛りだくさんの発表を用意しているので、これまでにない試みとしてWWDCの前週に、メディアを通して事前にいくつかの発表をすることに決めた」と言う。

引用元:独占ニュース:フィル・シラーが語るApp Storeの3つの改善 | nobi.com (JP) | nobi.com

これには驚いた。ここでシラーが語ったどの内容も、「WWDCで発表すれば拍手喝さい間違いなし」の重要な内容である。(特に開発者にとって)それを事前に発表するとは。

WWDC開発者にとってありがたいのは、こうやって事前に説明しておいてくれるとWWDC会場で実際に「これはどういうことか」とAppleの担当者と議論できる点。サブスクリプションとか有料広告とかあれこれ聞きたい人も多かろう。

でもってもう一つのニュース?WWDCではハードウェアの発表はない、と「信頼できる筋」からの発表があった。しかしこれはなんだー!

中国の信頼出来るサプライヤーによる情報によると、Appleは次期MacBook Airを今月中に発表し、8月から出荷を開始するようだと話しています。

WWDCで発表されるかどうかは不明です。

噂されているように11インチモデルは終了し、13インチと15インチモデルの2種類となるようです。

また、次期MacBook Proも同時に発表され、MacBook Proシリーズは総入れ替えとなるようです。

引用元:次期MacBook Airは8月発売?MacBook Proも総入れ替え? | Rumor | Macお宝鑑定団 blog(羅針盤)

まさか6月中にもう一回メディア向けイベントをやってMacBookを発表するとか?もしこれが本当なら確かに「あまりに内容が多いから、別イベントにしよう」というのもうなずける。いや、しかし。Mac Book Airはなくなるか、あるいは廉価モデルとして残ると思っていたけどそれに15インチモデルがでるとはどういうこと?今ですらMacBook12インチとMacBook Air 13インチは「安い」以外の差がないのにまだMacBook Airは残るわけ?15インチ欲しいんですよ。最近広い画面いいなと思うんですよ。(以下512行続くが省略)

と思いは千々に乱れるのでございました。

2013年のKeynoteの最後にTim Cookが言った言葉は今でも脳裏に焼き付いている。

Have a great conference. Enjoy the week!

自らの幸運に感謝し、この機会を生かそう。


量産される少年・少女兵

2016-06-08 06:56

我が国のスポーツ、芸能界というのはどうしてこう少年・少女兵を量産するのだろう。

バレて謝罪と釈明をするのではなく、自ら積極的に情報を開示した上で、自分としては競技を続けたいという意思をはっきり示したシャラポワ選手。しかも記者会見はたった一人で臨みました。

 それに対して、「自分は二度とバドミントンをできなくなってもいいという覚悟はある」(田児選手)、「どんな処分をくだされてもしっかり受け止めて、しっかりと自分と向き合って、ちゃんと反省したい」(桃田選手)と語り、今後の選手活動については意思を示さなかった二人。

引用元:違法賭博のバドミントン選手に欠けているもの (3ページ目):日経ビジネスオンライン

このバドミントンの中継をみて気がつくのは、選手たちの幼稚園児のような表情。とても20歳を超えた成人とは思えない。

芸能でいえば、事務所が持ち上げる芸能人はなぜこうもそろいもそろって舌ったらずの口調で脳死しているとしか思えないコメントを並べる人間ばかりなのだろう。

野球でいえば先日こんな記事を見つけた。

試しにグーグルマップで「明徳義塾」と検索をかけてみるといい。高知県・横浪半島の山あいにある明徳義塾堂ノ浦キャンパスを目にした瞬間、こう思うはずだ。「これは……逃げられない」と。周囲を山々に囲まれた自然の要塞で、最寄りのコンビニまでは歩いて1時間かかるという。ポジティブにとらえれば「遊ぶところがないから、野球に集中できる」ともいえる。選手たちは相当な覚悟をもって入学してくるのだ。

引用元:「明徳あるある」ロッテか!と突っ込まれる、初戦で負けない理由が… ― スポニチ Sponichi Annex 野球

●●だけやっていれば良い。周りからも褒められ順風そのもの。こういう環境に児童を置くのは、虐待とみなすべきではなかろうか。先日見た「スポットライト」という映画には

「カソリックの聖職者の精神年齢は12-13歳だ」

というセリフがあった。与えられた戒律さえ守っていればよい。それが正しい行動だと教え込んできた結果が幼稚な大人の量産である。何の根拠もないが、私は日本のスポーツ芸能と米国のカソリックには同じ問題が存在しているのではないかと考えている。

心理学とか教育学のほうで、こういう研究ないんだろうか。


あのね、聞いて

2016-06-07 06:52

小さい子供は、親がいやになるくらいあれこれの話を聞かせてくれることがある。誰に教えられたわけでも命じられたわけでもないのに。「物語を語る」ことが人間の進化においてどういう役割を果たしたのか、とかきっと誰かが研究しているのだろう。

いきなり何を言い出したかといえばこれである。

Googleが米国時間6月1日、90秒のピアノの旋律(mp3)を公開した。GoogleがMoogfestイベントで先週発表した、人工知能から独自の音楽や絵画を作り出す「Project Magenta」の一環として、機械学習技術が生み出した初めての芸術作品だ。

引用元:グーグル、人工知能が作り出したメロディを初披露 - CNET Japan

聞くとわかるが、ひどいできである。高校の音楽の授業で私が作った曲よりひどい。理由はこんなことらしい。

Project Magentaの難しい課題の1つは、アートを生み出すととに、人の心をつかむストーリーを語ることだとEck氏は言う。

引用元:グーグル、人工知能が作り出したメロディを初披露 - CNET Japan

そもそもストーリーとはなんなのか。音楽の「曲調」とかになるともっと曖昧模糊としてさっぱりわからない。そもそも我々はどうやってメロディを認識しているのだ。そもそもメロディってなんなんだ?ディープラーニングでなんでも解決するんでしょうかね。

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人工知能はいまバブルの状態にある。いつまでも勉強しないお祭り好きが「シンギュラリティだあ!」とわめくのも毎度のお約束。世の中に「驚き」を増やす一つの方法は、視野を狭くし、思考を浅くし、脊髄反射で行動すること。

バブルの楽しさは、それに反応する様子をみて相手の頭の中身がある程度わかることにある。私が死ぬ前にもう一度から騒ぎを見られるかな?

ちなみに

先日行われたCHIでは多数の論文が発表された。タイトルを検索してみたが、Deep Learningという言葉は一つもなかった。

「Deep Learningを使ったらチャットボットとの会話時間が有意に増えた!」

とか発表する人がいてもいいのに。



Walk this way

2016-06-06 07:01

こういう曲の題名がなぜか日本語では「お説教」になるのはどうしてなのだろう。というか今日は珍しく「自己啓発」的な内容。

先週東本願時の前を通った。改築なったその建物は異常な大きさで「ああ、お金持ちって素敵」という感慨を禁じえない。それはそれとして、通りにいくつか標語のようなものが示されている。ふとこんな文字が目に止まる。

「”これから”は”これまで”が決める」

そうだよなあ。疲れた中年にはそうした未来しか待ってないんだよなあ。であるからして未来ある若者は毎日を大切に、とかそういうことか。と思って再度見てみると、

「”これまで”は”これから”が決める」

と(普通に考えるのとは)逆であることに気がつく。

普段こうした紋切り型の説教には反応しない私だが、これは気に入った。本家に書いたことがあるが我々は理由が大好きである。成功した人には、成功者の過去があり、失敗した人には失敗者の過去がある。

しかし

切り離してみれば、それらは大して変わりはないのだ。最後にくっつくのが「成功」か「失敗」かだけであたかも「それまで」が理由付けに使われるだけ。

Steve JobsのStanfordでの卒業式のスピーチを思い出そう。彼はこういていた。

You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards.
将来を見据えて、点(出来事)と点(出来事)を結びつけることはできません。後で振り返って見たときにしか、点と点を結びつけることはできないのです。

So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.
だから、あなたが方は、とにかく点と点が将来、結びつくことを信じなくてはなりません。

You have to trust in something――
your gut, destiny, life, karma, whatever
自分の直観、運命、人生、カルマ、たとえそれが何であれ、信じなくてはならないのです。

Because the believing the dots will connect down the road, it gives you confidence to follow your heart.
なぜなら、点と点が将来結びつき、道を切り開くと信じることは、自分の心に従う自信をあなたにもたらすからです。

Even it leads you off the well-worn path. And that will make all the difference.
たとえそのせいで、あなたが多くの人が通る道から外れるとしても、それこそが大きな違いをもたらすのです。

引用元:Connecting the dots ― スティーブ・ジョブズが信じたもの | ドイツ語通訳・翻訳 TOMOKO OKAMOTO

「後から見た時点と点を結びつけることができる」とはつまるところ「これから」を知った時にしか「これまで」の意味は確定しない、ということでもある。いや、そんな抽象的な言葉ではごまかされないぞ、という人には私が以前引用し、すっかり忘れていたこと一節を引用しよう。

「心理学者であるバルーク・フィッシュホフは、事実が起こった後では明白で予想可能に見えるが、それ以前にはまったく予測不可能であるようなできごとに対するあと知恵の説明についての研究を行った。
フィッシュホフはさまざまな状況を提示して、被験者にそこで何が起こるかを予測させた。彼らの予測が正答と一致したのは偶然程度の確率でだった。

次に、他の被験者たちを対象とし、同じ状況を今度は実際に起こった結果の記述とともに提示した。そして、その結果がどれくらいありそうなことだったかを判断させた。すると、実際に起こった結果を知っているときにはそれがもっとも起こりそうだと判断され、他のことは起こりそうもないとされた。

実際の結果がどうだったかをしらない時には、それぞれの選択肢のもっともらしさは、まったくこれと異なるように判断されていたのである。ことが起きてしまった後から振り返れば、いったい何があたりまえのことなのかを判断するのはずっと容易なのである。」

引用元:主張

なぜ私がこんなことを長々と書いているか。理由は簡単で自己正当化がしたいから。つまり疲れた初老の男(をを、現実的になった)の「これまで」がなんだったかは、後ろを見た時にしか確定しない。

DotがConnectされることを保証するものは何一つない。Dotは散らばったままで「ああ、散漫な何もなしえない人生だった」となるかもしれない。しかしあれですよ。そこは思い込みというやつで。

というわけでこれを考える時、疲れた老人(をを、もっと現実的になった)の心は少しだけ軽くなる。しかしこんなことを考えているということは、「ひたすら文句を言い続ける」だけの心のゆとりがない、ということでもある。まあのんびり行きますかね。


いくつかの断片

2016-06-02 07:19

今日は一つまとめて書くほどの項目ではないが、何かひっかかるものをつれつれと。

「最初はガッカリさせることもあるかもしれません。でも、それを恐れていたら何もできませんよね。それにチャットだとクエリで検索できないことがどんどん入ってきます。チャットに早く手を出す会社のほうが先に行けると思います」(相川氏)

引用元:ボット相手にチャットで仕事探し―、WantedlyがFacebookボットをリリースするワケ | TechCrunch Japan

求人サイトがチャットボットを始めるのだそうな。現状チャットボットは全く使い物にならない。なぜそれでもやるのか、に対する答えがこれとのこと。

前のめりベンチャーはまあいいだろう。私が気になるのはここに見える

「自分たちの都合だけを考え、ユーザに不便や失望を与えること」

への徹底した鈍感さ。そりゃクエリデータを入手できれば、会社としてはありがたいんだけどさ。「なんだこのクソインタフェースは」というユーザの不快感は無視?Wantedlyってそういう会社?

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効果が一切証明されていないのに美容健康に良いと噂だけが喧伝され、日に日に水素水ブームは勢いを増していく。悪質な中小企業は効果があるよう誤認させる表示を行って消費者庁から処罰を受けるところも…。
そのような状況の中で日本ではあろうことか大手企業もインチキ水素水ビジネスに手を出し始めている。そこでnetgeek編集部ではどの会社が顧客を騙して金儲けをしているのか、まとめ一覧をつくってみた。

引用元:金儲けのために水素水販売に手を出した8つの大手企業 | netgeek

最近は水素水が儲かるらしい。というわけで、KPI達成のためにはこうした手法も有効なのだろう。こういう大企業は無邪気にホメオパシーを信じている人たちより明らかに悪質だ。なぜなら彼らはこれが効果がないとわかってやっているから(慎重な言い回しをみればそれがわかる)

まあソニーのこれといい、名だたる大企業といいながら実質はそんなものだ、という見方もできるだろう。

「ユーザのニーズに応えることが、企業の責務」

という恒例の「説明」もあるが、そのロジックはドラッグの売人も正当化できる、ということは頭のどこかに置いておくべきだ。

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ソニーが決算を発表した。もはやショックも歓声もおきないが、恒例の「セグメントロンダリング」は4ヶ月ぶり11回目なのだそうな。セグメントを変更するたびに生じる膨大な工数を無駄にできるのも大企業の特権というやつか。

セグメントと実態

引用元:市況かぶ全力2階建

セグメントの名称は左、実態は右である。なぜこうなるのかは簡単で、こういうことに意味があるとここから信じられる人間しかSONYでは出世できないから。

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などと書いていて、自分が情報に疎かったことに気がつく。

microSDXCメモリーカード 高音質モデル「SR-64HXA」の一部において、ファイルの追加、ファイルの削除、フォーマットができない、ウォークマン®などの再生機器での使用中に音飛びが発生する、などの場合があることが判明しました。つきましては、対象製品を無償で交換いたします。

引用元:製品に関する重要なお知らせ | 記録メディア | ソニー

いや、これは本当に「渾身のギャグ」としか思えない。

馬鹿は業者の謎理論を独自解釈して御満悦
業者は馬鹿を騙して金儲け
一般人は小金持った馬鹿を笑って溜飲を下げる

ピュアAUは関わった全ての人を幸せにする素晴らしい趣味だよ

引用元:【悲報】ソニーが音質に拘ったSDカード「SR-64HXA」、音飛びする不具合発覚で無償交換祭りに : IT速報

水素水も絵柄は同じか。

などと書いていると気が滅入ってくる。もっとまともなワクワクするようなニュースが聞きたい、とかいっているんだったら自分でなんとかしろ、ということですね。


本当のことを言おう

2016-06-01 07:02

今ではもう誰もが忘れてしまったことだが、少し前まで3キャリアは定期的に新製品発表を大々的に行っていた。DocomoならKenWatanabeとか堀北某、Softbankなら上戸某がでてきてどうでもいいことを言い、カメラに向かって笑顔を見せていた。

それが終焉したのは、そのサイクルでの新製品発表に意味がなくなったから、というのは理由の半分。もう一つの理由は「意味がない」とソフトバンク(だったと思う)が最初に一抜けしたから。

これは別にキャリアが相談して「このサイクルで新製品を発表しよう」と決めたわけではない。なーんとなくそういうサイクルができあがり、一旦できあがるとそれに皆が滑稽なほど拘束されることになる。どの国にもこうしたことはあると思うが、わが国ではそれがかなり極端な形で行われる。

サムソンは毎年律儀にGalaxySの数を増やす。ソニーは少し前まで「完成型」だのを毎年出していた。あげくにはその「型」を維持するためこんなことまでやってのけた。

要は、国内ユーザーは「新型フラッグシップ」を欲しており、フラッグシップとして認知されるには3→4への番号のアップが必須だった、ということでしょうか。

引用元:ソニー、Xperia Z3+をZ4で発売した理由を説明-「日本のユーザーはフラッグシップを欲しているから」 | スマホ評価・不具合ニュース

でもってユーザの(願わくば短期的な)反発を恐れないAppleである。日経がこんなことを言い出した。

Apple will likely take three years between full-model changes of its iPhone devices, a year longer than the current cycle.

引用元:Exclusive: Apple to extend iPhone's product cycle- Nikkei Asian Review

おそらく次の製品に対してはこの考えは正しい。しかし私の考えではこの「サイクル」というのは馬鹿げたものだ。株価の維持がどうの、新商品がでないと販売店がどうのという議論もあろう。日本の自動車メーカーが名前だけ違う同一車種をやたら作っていたのはそういう理由だとか聞いたことがある。

しかし

それらはすべて「供給者側の馬鹿げた論理」であり、本質とは関係ない。大きな飛躍を遂げるのには時間が必要であるならば、それを確保すべき。もちろんそんなことができるのは、懐に余裕がある企業だけだが、Appleはその数少ない企業の一つだ。

とはいえ

私が愛読する(会社の中で貸したら返してもらえなくなったから、今手元にないが)G.M.ワインバーグの本にこういう言葉がある

「新しいものに付き合わなければならないとすれば、一つずつにしよう」

一気にリフレッシュとやって全部再設計を試みるとかなりの高確率で失敗する。iPhoneですらOSのベースはOS Xだったのだ。全部一から造ろうとしたNewtonがどうなったか知っているのは年寄りだけか。

というわけで

今年の秋に発売されるiPhoneで(あえてiPhone7とは呼ばない)Appleはいくつか新しい試みを試験すると思う。仮に外観が6と変わらなくてもその中身にはチャレンジがいくつか含まれる。そして来年発表される新機種ではそれらを踏まえデザインが変更されるに違いない。

何が言いたいかというと

私はまだしばらくiPhone4Sで頑張るということ。今年買うとすればMac Bookだな。。。一年に二つは買えないし。というかもうiPhoneは諦めてiPhone SEでがんばろうかな。。。最近

「このアプリはお手持ちの機種には対応していません」

という悲しいメッセージを見た。これを見ることはこれから増えるに違いない。