日本="人工知能"

2019-05-28 08:05

私は今朝確信を得た。日本は”人工知能”と大変親和性がよい国家である。

ちなみに私が”人工知能”と””つきで言及する場合、それは2012年あたりから急速に流行りだした機械学習を用いた技術を指す。でもって日本は”人工知能”大国といっていいと思う。かなり昔から。なぜこんなことをいうか。

『ポケットモンスター』シリーズを初めて実写映画化した『名探偵ピカチュウ』は、おなじみのポケモンが多数登場するものの、いわゆる“おなじみのポケモン・ストーリー”ではない。

引用元:『名探偵ピカチュウ』脚本家、ミュウツーを描く難しさとは ─ 『ポケモン』実写化にかけた製作チームの思い | THE RIVER

米国で制作された「名探偵ピカチュウ」を見た。見事な作品だった。私は日本のポケモンが嫌いである。人間どもは傷一つおうことなく、手下のポケモンをどちらから気絶するまで殴り合わせる。そうしておいて

「俺たちの友情は完璧だぜ!」

とか叫ぶのだ。お前はブラック企業の基地外上司か。

映画「名探偵ピカチュウ」ではポケモンというキャラクターを活かしながら、そうした野蛮な要素をちゃんと排除している。野蛮な行為は非合法な地下で行われているのもリアルである。

つまりポケモンをキャラクターとし、その世界観を尊重しながらちゃんと大人の鑑賞に耐えうる映画にしているのである。

毎年日本の夏休みに合わせて「ポケモン映画」が公開される。こちらは完全に子供向け。彼らが作り上げた「ポケモン映画」という様式美に従うだけ。

ここで起こっていることはどういうことか?

ポケモンは確かに任天堂が生み出したキャラクターだ。そこまではよかったが日本人にはそれをストーリーにすることができない。”人工知能”は細かい範囲での有能な働きを見せる。文章を自動生成させると、1文1文はちゃんと読める。しかしストーリーを作ることができない。

こうした観点から私は日本は”人工知能”と親和性が高い国家だと主張したい。太平洋戦争でも、前線の兵士は食料も弾薬もない中で見事な戦闘を見せた。問題は「なんのために戦争をして、どうしたいのか」というストーリーが存在しなかった点。この図式は今日に至るまで変化がない。

をを、自分で書いてなんだがなかなか見事な「人工知能芸」ではないか。どこかこんストーリーを高い金で買ったり、私に講演を依頼したりしてくれないかな。今なら格安でお受けしますよ。


30年前

2019-05-24 07:54

天安門事件から30年とのこと。あの時私は米国某所で、建物全体がセキュリティ管理の下にあるビルで働いていた。(出張だよ)

軍隊が中国国民に向かって発砲したと言うニュースが流れた時、アメリカ人が我々の部屋に顔を出して「軍隊が発砲した」と告げた。我々は「なんでそんなニュースを我々に伝えるのだろう」とぼんやり思った。

思えばあれから30年。政治とかのニュースに多少は関心を持つようになったのかもしれない。今の私なら部屋に帰ってCNNに釘付けになっていたかもしれないけど。

あれから中国は共産党支配のままだけど、資本主義の超優等生になった。次の30年には何が起こるのだろう。


人工知能芸

2019-05-23 08:17

先日来人工知能芸人の芸をあれこれ鑑賞し、分析している。一つ確かなことはシンギュラリティを信じる人も、ディープラーニングに無限の可能性を見出す人も「疑似科学」の人たちとは少し違うということ。

それゆえ、無茶苦茶な発言をしてもそれを識別することが難しい。とはいえこの「マッチポンプ芸」はなかなか見事だ。

日本企業の間でAI(人工知能)の理解が一向に進んでいない。中身はいわゆるIT(情報技術)化のような話が半分以上ではないか。今までもやっていたことをAIという言葉に換えて、マーケティングに利用しているだけ。意味がまったくないわけではないが、それでは世界で勝てるビジネスは生まれない。だから私は「日本でのAIの盛り上がりは中身のないバブル、いつはじけてもおかしくない」と警鐘を鳴らしている。

引用元:日本の社長にお手あげ:日経ビジネス電子版

君がそれを言うか。散々あることとないことをごちゃまぜにしバブルを煽っておいて、この「警告」そして最後の捨て台詞は「若者が素晴らしい!」である。

もはや、勉強もせず自ら動こうとしない企業の経営者に何を言ってもしょうがない。それよりも、やる気のある若い世代にチャンスを与えて、新しいことをやってちゃんともうけて会社を大きくしていけばいいのではないかと思う。やる気のある若い人にチャンスを与えたほうがましだ。(談)

引用元:日本の社長にお手あげ (2ページ目):日経ビジネス電子版

彼は人工知能と人工知能芸の達人であってビジネスの経験はない。それゆえしかたないとはいえ、この捨て台詞にはいささか失望する。あのねえ。GAFAはやる気のある若い世代が「自分で」起こした企業であってねえ。別に古い企業の経営者は関係ないんですけど。

彼の人工知能芸については、このブログにも記載するし今書いている本でも言及する予定。しかしこの捨て台詞から察するにとってもピュアでそれゆえ口がすべっちゃうんだろうなあ。


正しさの意味

2019-05-22 08:04

私は学校では優等生だった。出題された問題に対して正解を素早く、正確に導き出す能力に優れていたからだ。

社会人生活も34年になる。ようやく最近得た悟りというのは

「正しいことにはなんの意味もない」

いや、もっと正確に言えば

「正しいことだけでは何の意味もない」

ということ。

ギリシャ神話のなかで、トロイアの王女カサンドラが授かった予知能力は呪いだった。彼女が予言したことは、すべて現実になったのだ。その問題は、誰も聞く耳をもたなかったことにある。

引用元:「不治の病」は、いつ告知されるべきか? 早期診断技術の進化が生んだ倫理的ジレンマ|WIRED.jp

カサンドラでなくても、世の中には「会社が失敗することを正確に察知した預言者」が溢れている。飲み屋とか金曜日21時過ぎの満員電車はそんなオヤジで溢れている。

しかしそれだけでは何の意味もない。それどころか(これは某プレゼンで使ったネタだが)「正しいこと」は高確率で危険を招く。私はバカなので、学校時代の習慣をそのまま引きずり正解を口にすれば褒められると思っている。それは大間違いだ。

タイムスリップした現代人が「知っている正解」をふりかざし過去で大活躍する物語は星の数ほど存在している。多分それの大多数は間違っている。一人や二人正解を知った人間がいたところで何もおこらないのだ。

なぜこんなことを書き出したかと言えば、あれかな。今人工知能に関する本を書いていて、人工知能芸人を調べ、同じ頃により説得力のある「シンギュラリティは信仰だ」議論が存在することを知り、金を儲けているのはデタラメをふきまくる人工知能芸人の方だということを再確認したからだろうか。


日本の家電凋落の原因は"人工知能"にあった

2019-05-21 07:46

をを、私も結構ありきたりの煽り文句が書けるぞ。この見出しを読むと普通は

「日本企業は人工知能に投資しないからだめなんだ」

という議論に見えるだろう。そんな寝言を言うのは東大教授に任せよう。日本の家電はディープラーニング云々の前から凋落していた。じゃあなぜ”人工知能”が原因だと言うのか。

私は最近用語を定義した。2012年以降騒ぎになったディープラーニングとか機械学習の類は”人工知能”と書く。もっと広い意味の機械で実現する知能は「人工知能」だ。なぜこんな定義をしているかは、本になりいつかAmazonに並ぶこともあるだろう。

さて、”人工知能”の特徴は過去のデータのパターンをあてはめるのは得意だが、それ以上何もできないことにある。それを念頭においた上で次の文章を読もう。

パンを1枚だけ焼くためのトースターが3万円。新興家電メーカーのバルミューダが2万円を超える製品で切り開いた高級トースター市場に三菱電機が参入した。

  網の上に載せたパンをガラス管のヒーターの熱で焼く一般的な方式のトースターであれば価格は5000円程度で収まる。三菱電が4月25日に発売した「ブレッドオーブン」の店頭予想価格は約6倍の約3万円。

 (中略)

  同社営業部の樋口裕晃部長は3万円という価格設定に社内では「いまでも抵抗されている」と話す。

引用元:パンを1枚焼くトースターに3万円-高級機種に人気、三菱電も参入 - Bloomberg

バルミューダが成功している。それを模倣したにもかかわらず「社内ではいまでも抵抗されている」これが日本企業の実態。つまりこれは「過去のデータに存在するパターンを当てはめる」ことしかできない”人工知能”そのものである。

このブログで何度か書いているが、日本社会の得意なことは「型を作り、それに当てはまる度合いを競い出す」ことである。ソニーが成功する。彼らは無意識のうちにSONY型を作り出しそれにはまらない物を全て否定する。そしてSONYは没落する。

つまり日本企業の思考パターンというのは極めて”人工知能”的なのである。そしてそれゆえ「あんな弱小メーカー」と言い放っていた会社に完膚なきまでに打ちのめされる。なぜ弱小メーカーとののしれるか?日本企業が愛する型にはまっていないからだ。

しかし

三菱電機の「バルミューダの模倣ですら抵抗される」っていうのはどういうメンタリティなんだろうね。状況は想像できるけど、ため息しかでない。


正しさの誤謬

2019-05-20 07:52

「正しい道を歩く」ことと「正しく道を歩く」ことは違うのだが、我々は不愉快なほどしばしばそれらを混同する。

「悪い方が良い」原則をご存じだろうか? 私はニュージャージー式「悪い方が良い」原則の信奉者だ。以前参加したあるスマホゲームの開発プロジェクトでその意を改めて強くした。今回はその話をしたい。

引用元:テスト駆動開発とマイクロサービスのせいで短命に終わったスマホゲームの話(6ページ目) | 日経 xTECH(クロステック)

引用元となった記事は今は読めないが、書いてあったことは「ものすごくただしいバグが入り込みにくいプログラム開発でゲームを作ったら、クソゲーができた」というお話。

つまりそのプロジェクトは「道を正しく歩く」ことに関しては満点だったが、「正しい道を歩く」ことに関して0点だったというわけ。

社員の就業規則とかもそれにあたるのではないかと思うのだ。絶対遅刻しない、定められた休憩時間以外は一心不乱に働く。それは悪いことではないが、全く仕事の役に立たない人というのはどこの会社でもいるだろう。

毎朝毎晩神とか仏への祈りを欠かさないが、間違ったことばかりやって周りにも何よりも自分へ迷惑をかけているひともいるだろう。

なぜ人間はこういう混同をしてしまうのか。正しく道を歩んでいるから正しい目的地に到達できると思ってしまうのか。この混同にはいくつか深い意味があるかもしれないし、ないかもしれない。


顔をみよう

2019-05-17 08:45

いや、こんなこと書いていると、きっと遠からず詐欺にあったりするんだけどね。
とはいえ人間の顔つきには意味があるのではないかと思っている。STAP細胞の小保方も最初のニュースを聞いたときは「すごいなー」と思った。ところが実物の動画を見て
「へ?」
と思った。なんだこれは。
あるフィギュアスケートの漫画を描いていた漫画家が「夫はラグビーの人で、スケートを全く知らないはずなのだが選手の顔だけでどれくらいすごい人か大体当てる」
と驚いていた。それくらい人間の顔つきには意味があると思っている。というわけでここ数日話題のこの人である。

丸山ほだか

北方領土にいって、「戦争でとりかえすしかない」とか暴言を吐きその後も暴れ続けている人だ。
最初ニュースが流れたとき、彼が記者会見でしゃべる様子が放映された。それを一目見て
「あ、これは議員にしたらイカン人だ」
と思う。というか維新ってこんなのばっかりだよね。そしてこれに投票する人がいるんだよね。


迷惑電話対策

2019-05-16 08:36

最近は減ったが、一時は結構な頻度で迷惑電話がかかってきていた。貴重な休日に一方的に話まくられると人生が嫌になる。

ネット上での会話が増えても、電話は結局なくならない。結果として世界中で迷惑電話は猛威を振るっているようだ。Googleが開発した人工知能利用の電話応答システムも、迷惑電話の波に埋もれてしまっているらしい。

思うに人工知能はこの分野でこそ真価を発揮するのではないか。「人工無脳」的なチャットボットはかなり昔から存在している。そして中国ではこういう人工知能が開発されているという。

迷惑電話に対抗するため、アリババ人工知能実験室の聂再清研究員は、迷惑電話に自動応答する人工知能チャットボット「アハ」を開発した。迷惑電話のスタッフやチャットボットが興味を持つような応答を自動的にする人工知能で、迷惑電話を受けたら「アハ」に対応させれば、いつまでも適当に応答してくれる。

(中略)

以下、アハと迷惑電話をかけている業者の会話。

アハ:こんにちは。

業者:こんにちは、年利4.35%の銀行貸付はお入り用ではないですか?

アハ:ちょっと待ってください。銀行だということは…どちらの銀行?

引用元:迷惑電話には人工知能が応対。狙いは悪徳業者の業務不効率化 - 中華IT最新事情

これが実用化されれば、迷惑電話はエンターテイメントになりうる。こちらからすれば、人工知能と泥沼のような会話を続ける攻撃者の声は聞いていて実に痛快なものであろう。

人工知能をまともな用途に使おうとすると、やれ背景知識がないだの常識がないのだ、文脈が理解できないだのの問題に突き当たる。そうした「問題」は迷惑電話撃退という観点からは「長所」になりうるのだ。はやくこれが日本でも実用化されないかなあ。


BMWの商法

2019-05-15 07:57

BMWというのは高級車ということになっている。実際値段が高いんだろう。調べたことすらないから知らんけど。

でもって

日本のBMWのサイトに行く。するとBMWの車で動くCaplaryを「購入」することができる。

ちょっとまて。Caplayは別に月額いくらで払うようなものではない。たとえばスズキのカーナビページにはこう書いてある。

Apple CarPlayにも対応
クルマの中でiPhoneを、より安心・快適に楽しめる 「Apple CarPlay」に対応。 通話・音楽再生・メッセージなど、iPhoneをUSB接続 するとiPhoneの様々な機能をナビ画面で操作できます。 また、音声認識機能を使って操作することも可能です。

引用元:四輪車 全方位モニター付メモリーナビゲーション | スズキ

しかしBMWのCarplay購入ページはなかなか巧妙に作られている。

並んでいるのは、オペレーターのサポートとかリモートサービスとかたしかに月額課金で金がかかるようなものなのだ。そこに並べて置くとAppleは何も課金していないCarplayも

「これも月額で払わなきゃね」

と見える。もっと巧妙なのが

音声入力をサーバーベースで処理するオフボード型音声処理により、高度な音声アシスタントの機能が拡大します。

引用元:BMW ConnectedDrive customer portal – connecting to your BMW digitally.

なんのことはない。音声認識を通信を介してサーバーサイドで行うというだけのことであり、AndroidもiPhoneも普通にやっていることだ。そりゃ確かに供給側からしたコストがかかるけど、スマホを使えばあたりまえに行われることに課金するなんて。

とか書いてはいるが、事情はなんとなくわかる。自動車会社にしてみればオンラインで通信機能なんてのは「つけたし」であり、誰もその費用を本体価格に上乗せするなんてことに同意しなかったんだろうな。

かくしてよくある

「社内的事情は理解できるが、消費者から見ると馬鹿げているとしか思えない」

商品ができあがる。BMWを購入しようという人は、こんな「細いこと」にはこだわらないのだろうけど。


コンピューター将棋の世界

2019-05-14 07:57

2年前のコンピューター将棋選手権は、ビッグマウスで無敵チームを率いたチャンピョンが、一人の開発者に負けるというドラマチックな結果だった。

今年はどうだったか。

今回の選手権で目立ったのは上位ソフトが「入玉」(玉を相手陣に進めて安全にすること)を積極的に狙うようになったことだ。
 (中略)

 優勢な局面で相手玉を攻め、寄せて勝つのは反撃されるリスクをともなうが、自分の玉を安全地帯に逃げ込む入玉で点数勝ちを目指すのは逆転負けの可能性が少ない。最新のソフトは早い勝ちより手数はかかっても高勝率の指し手を選ぶようになってきたので、今回の選手権ではどちらも入玉を目指す「相入玉」の展開が増えた。

 また同一局面4回で成立する「千日手」も多くみられた。

引用元:将棋ソフトの頂点に「やねうら王」――入玉と千日手がカギとなった第29回世界コンピュータ将棋選手権(古作登) - 個人 - Yahoo!ニュース

一言でいえば、「入玉」と「千日手」ばかりになった。人間同士の対局とは全く違う「独自の世界」に入った感がある。

この大会に参加しているのはアマチュアばかり。つまり彼らと彼女たちは観客に対してなんの義務も負っていない。だからルールの中で好きなように戦えばよい。

それを認識した上で、無責任な観客の私は

「つまんねえ」

と思うのだ。こうしたボードゲームは先手必勝、後手必勝、引き分けのどれかになることが証明されている。強化学習で五目並べをするプログラムをみたことがある。五目並べは先手必勝と決まっている。そして「ものすごく強くなったプログラム」は後手になった途端、でたらめに石を置くようになった。時間の無駄なので。

今年のコンピュータ将棋はその世界に近づいているように思える。将棋が前にあげた三つのどれになるかはまだわからないが。

私がものすごく強い将棋プログラムに期待するのは、AlphaZeroが示してくれたような「人間だったら絶対にささないが有力だと思われる手」とかであって、ルールにのっとった入玉合戦とか千日手合戦ではない。今回決勝にのこったプログラムは全て同じライブラリを使用していたと聞く。これがそれゆえの一時的な現象であり、何年後にはまた面白い将棋が見られることを祈るのみである。

というかあれだよね。私のプログラマの一種なのだから、文句を言っているくらいから自分で作れってことだよね。


社内抗争

2019-05-09 07:35

何かと話題の「折りたためるスマホ」の続報である。

サムスンは4月、Galaxy Foldを予約注文していた顧客に延期について通知し、「2週間以内に、より具体的な出荷情報」を提供すると述べた。その2週間が過ぎた今も、Galaxy Fold初期購入者は依然としていつ製品を入手できるのか見当もつかない状況だ。

 米CNETのJessica Dolcourt記者を含め、予約注文した顧客宛てに5月6日夜に送られたメールでは、情報という点でほとんど何も収穫がなく、次に最新情報が得られる時期についてもあいまいなままだ。

(中略)
 このメールによると、注文したGalaxy Foldが出荷されるまで支払いは発生しない。出荷前に注文をキャンセルすることも可能だ。また、顧客から注文を継続したいとの連絡がなく、5月31日までに製品が出荷されない場合、注文は自動的にキャンセルされるという。

引用元:発売延期の「Galaxy Fold」、出荷日の目処立たず--サムスンが予約者にメール - CNET Japan

この数週間サムソンの内部で何が起こったかがまざまざと想像できる(あっているかどうかは知らないよ)

指の差し合い、空約束と「そんなことは言っていない」のはてしない繰り返し。最前線では「無理。商品キャンセル」と分かってはいるのだろうが、上層部とか対立する部署は「できるって言ったじゃないか!」と詰め寄る。その妥協が

「5月31日までに商品が出荷されなければ、注文はキャンセル」

という謎対応なのであろう。このおかしな文言は、外部からみると馬鹿げているとしか思えないが、サムソンの社内的にはおそらく意味がある。多分商品の出荷に責任がある部署と、他の部署が別で、「商品出荷部署が5月31日までになんとかできなかったら、損害全部そっちもちな」とかそいうことになっているのではなかろうか。

太平洋戦争末期の日本も似たような状況ではあったかもしれない。どう考えても戦争は負けた。それを誰が認めるか。海軍のせいだ、陸軍のせいだ、ソ連に仲介を頼もう、いや、本土決戦だ。

そうした不毛な議論に終止符を打つためには天皇の判断が必要だった。今のサムソンにはそうした存在がいないということなのだろう。


我はロボット

2019-05-08 07:18

かつて日本の家電メーカーが世界を制覇するのではないかと思われていた。その頃のことが想像できない若者は、以下の記事を読むとよい。当時はこういうニュースは必ず日本からでてくる、と思われていたのだ。

人とロボットが一緒に働くことで、生産性を高めようとするX未来レストラン。人間だからこそできる接客業務という得意分野を最大限に生かすため、ロボットを使う海底撈。そして、低コストのロボット技術だけを選んで使う盒馬鮮生。

引用元:中華料理を自動化せよ――中国「ロボットレストラン」をいく - Yahoo!ニュース

ここでは中国で行われている「レストランにロボットを導入する」試みについて3種類のパターンが取り上げられている。ほぼ全部ロボットにまかせるのか。接客は人間にやらせるのか。実用性をとにかく重視するのか。

前掲のページにでてくる動画を見ると、人間があるく道と、ロボットが動く道を同じにすることの危険性があるように思う。高価な料理を運んでいるロボットが人間と接触し、こぼしてしまったらどうするのか。そう考えると、回転寿司のように専用レーンを作るのが正しいやり方のように思える。あるいはひっくりかえしても問題ない「お皿を下げる」行為だけロボットに任せるとか。

私は常に実際的な視点を重視するので、「ロボットに任せて問題ない行為」だけをロボット化するのが正しいと思うが、最終的にどうなるかはわからない。

しかし真の驚異はそこではない。

こうした試みが実地に行われていることに驚嘆する。日本の「変なホテル」とは大違いで、彼らはそれぞれにちゃんと成功を目指している。失敗も成功もあるだろう。しかしこうした新しい取り組みが実際の社会の中に放り込まれること。それ自体が恐るべき点だ。

日本企業にもかつてはこういうチャレンジをする力がと気力があったのかもしれない。しかしどこかで「それは我が社にふさわしいことか」とか「コンプライアンス云々」とかやらない理由をつけるのが上手になってしまった。結果はご覧の通りである。

では日本のベンチャーはどうだろう。ヤンキー崩れ、チンピラ、体育会、金儲けしか頭にないコンサル。なぜこうなってしまうのだろう。


改元万歳

2019-05-07 06:51

私はひねくれ者なので、平成最後のなんとかとか、令和最初のなんとかとかはしない。しかしTVでだらだらと「改元にまつわるあれこれ」をみているのは実に楽しかった。

そもそも近年改元というのは、天皇の死去とワンセットだった。それゆえあまり騒ぐことはいかがなものかという雰囲気だった。しかし今回は改元だけ単独で行われる。おまけに季節が大変よろしい。誰もどう祝えばよいのかを知らない。

というわけで、年越しそばを食べたり、凧を揚げたり、徹夜踊りをしたり、卵に「令和」と印刷してあったりやりたい放題である。何がめでたいのかさっぱりわからないが、同じ阿呆というやつでこういうのは楽しくやった方がいいのだろう。

なんの根拠もないがバンザーイと叫べば少しは消費も上向くに違いない。景気とはつまるところ、みんなが浮かれてお金を使うか使わないかでもある。こんどの天皇は私より少し年上。私としては彼にできるだけ長い間がんばってほしいが英国女王のようにがんばることはできないだろう。となるとあと30年くらいでまた改元があるわけだ。

その時も「一代限り」とかうるさい事言わないで、生前退位で改元だけ別にやればいいと思う。とはいっても私は多分そのころには脳の活動が低下しているだろうから関係はないけれど。