人工知能に奪ってほしい仕事

2019-02-28 07:03

センセーショナルな見出しは常に「アクセス数」を集める。だから本気でそう考えていようがいまいが

「AIにより職が奪われる」

と書きたい気持ちはわかる。

しかし 多少なりとも現実を見つめたいと思うのならば、世界最高峰のAIに関する実用化、研究を行なっている企業を支えるため、過酷な労働に従事せざるを得ない人々に目を向けるべきだ。

トラウマの館

引用元:Verge

Facebookが人工知能技術の成果を声高に語ろうとも、違反とレポートされたコンテンツの検閲は依然として人手に頼らざるを得ない。そうした「労働集約型」の仕事にFacebook自身は手をださない。下請け企業の一つ(?)がArizonaにある。以下記事の内容によってその様子を記述する。

Facebookの平均的な社員の年収は $240,000(日本円で2500万円)対してコンテンツの検閲を行なっている人たちの年収は300万円ほどである。これでもArizonaの最低賃金より、時間あたり$4高いし、ほとんどの小売業で働くより稼ぐことができる。

ある訓練生は三週間半のトレーニングの後あるタスクを課せられた。同僚の訓練生が見ている前でコンテンツを検閲する。映し出された映像は男が何度も刺されるもの。男は悲鳴をあげ命乞いをしていた。この動画の何がFacebookの規約に違反するかを述べるのが訓練だった。

こうした訓練を経て社員になったとする。仕事はこうしたコンテンツをひたすら閲覧し検閲の対象となるか判断すること。その結果PTSDのような症状を示す、あるいは検閲の対象となるべき陰謀論、地球は平らだという説を信じ始める人がでてくる。精神的ストレスから職場でマリファナを吸う人も多い。

記事に出てくる人の何人かは1年で仕事を辞めている。

機密保持の点から彼らと彼女たちは仕事場でスマホはおろか、紙を持ち込むことすら禁じられている。「品質」は常にモニターされており成績が規定を下回ると解雇。映像および文字情報を閲覧し、問題の有無を判断する、という点を除いてはまさに機械部品のように扱われている。

この人たちがやっているのは、最近人工知能と呼ばれるものが一番得意なはずの「パータン認識」。であれば人工知能はこうした仕事こそまっさきに「奪う」べきではないのか。

あたかも「人工知能」が人間の仕事を奪うことを前提としてあれこれの議論にふけっている(ついでにそれで結構な収入を得ている)人たちは、この現実をどう説明してくれるのだろう。

5年以内の短期的では、各分野、特に法律や医療、会計、税務などのデータに基づく、かつ現在多くのコストが支払われている分野でビッグデータ化、人工知能化が進み、一部の作業が自動化されていくでしょう。

5〜15年の中期的では、いまは監視員や警備員などが担っている監視系業務、商品の数を数えたり店の売り上げをエクセルにまとめるなどのルーティーンワークがコンピュータによって置き換えられ、ひとはよりクリエイティブな仕事に専念できるようになります。

引用元:人工知能に仕事を奪われる前に!今から学習すべき3つのテーマ | 未来を変えるプロジェクト by パーソルキャリア

肩をすくめて、「こんなのは過渡的な事象にすぎない」とでも嘯くつもりなのだろうか。



厄介な狂人の下で働く事

2019-02-27 07:15

何度も書いているが、イーロンマスクは狂人である。私が想像もつかないほど確信的な企業を「いくつも」たちあげ、多くの人に職業を提供しているが狂っていることは疑いようがない。

マスクは次のように話している。「わたしは今年、自動運転が『完全な機能』になると考えています。つまり今年中に、クルマが駐車場であなたを見つけて乗せて、目的地まであなたの手を借りずに送り届けるようになるでしょう。わたしには自信があります。疑問の余地はありません」

引用元:テスラは2020年に「完全な自動運転」を実現する:イーロン・マスクが宣言|WIRED.jp

トランプが何を言っても誰も相手にしないように、マスクのこの言葉も誰も額面通り受け取っていないと思う。実際彼は本気で数年前に自動運転が可能だと思っていたのだ。

マスクはずいぶん前から、いつかはこれができるようになると語っている。2016年10月から18年10月にかけては、「完全自動運転」機能のために、顧客が追加で3,000ドルを支払うオプションさえ設定されていた。

テスラは将来的にソフトウェアのアップデートを提供することで、この機能を有効にすると約束していた。実際に同社は16年10月以降に生産されたすべてのクルマには、完全自動運転に必要なハードウェアが搭載されている説明している。しかもマスクは17年1月、この機能のいくつかは3〜6カ月以内に展開が始まるだろうと語ってさえいたのだ。

しかし、実現しなかった。約束の期限が守られないのは、これが初めてではない。マスクはこれまで、野心的なプロジェクトを完成させるために必要な時間を、何度も過小評価してきた。

引用元:テスラは2020年に「完全な自動運転」を実現する:イーロン・マスクが宣言|WIRED.jp

狂ったCEOはそれでいいとして、私は彼と何度も顔を合わせなくてはいけない哀れなマネージャーの運命に思いを馳せる。もしその男がマスクにホラを吹いたのならば自業自得。しかし多少でも知識がある人がそんなことを考えるはずがない。

となると狂ったCEOが行った発言の責任を取らされ首を切られたに違いない。今の世の中だったら自動運転の仕事をしていたといえばどこでも職が見つかるとは思うが、それは楽しい経験とは言えまい。

それをずっと縮小したようなことはZOZOTOWNでも起こっていると思う。「身体の採寸が可能かもしれません」がいきなり「可能になった。無料で配る」になり、方式を変更し、はてはロクでもない結果に陥る。

CEOは気が狂っているのだが、その会社の中では法律であり神である。哀れなエンジニアリング・マネージャーはどういう目にあったんだろうね。東芝くらいになると内幕を本にしてもらえるが、ZOZOでは誰も記事にもしてくれないだろうし。


VR信者の歌

2019-02-25 07:08

私がApple原理主義者であるのと同じように、VR/ARにも信者がいる。信仰とはそもそも「証明できないものへの確信」であるからして、議論がなりたたない。

現在のスマートフォン(スマホ)を舞台とした市場は大手が押さえており、勝つのは難しい。「オセロゲームでいえば、すべて相手の色にひっくり返された盤面の状態。だから新しい盤面で戦うしかない」。逆転の切り札になりうるとみているのが、起業してでもやりたいと考えていたVRやARの技術だ。

DMMでもCTOの直下に事業組織を立ち上げ、自ら研究開発の先頭に立つ。現在は高性能なパソコンが必要なヘッドマウント型ディスプレーなどが中心で使い勝手が悪いが、いずれもっと軽量で使いやすいデバイスが登場してくるとみる。「スマホから主役が交代する瞬間に、対応したコンテンツやサービスを投入できるよう準備を進めておく」

引用元:「DMMをつくり変える」 29歳CTOのエンジニア魂|出世ナビ|NIKKEI STYLE

VR/ARに夢を見る人は多い。困ったことにそれを実現する人がいない。今はデバイスがダメだけど、そのうち改善されるさと言われ続けてはや数十年である。

新しい技術を流行する前に捕まえることは困難だが不可能ではない。ディープラーニングの技術を披露したHinton教授をGoogle, Apple,Amazonはいずれも「これが未来だ」と予感していた。そしてGoogleが買収した。それとただ漠然とVR/ARに掛け金をはる人たちを一括りにするのはどうなのだろう。

別にVR/ARに掛け金をはっているのはDMMだけではない。Tim は何度もARに可能性を感じている、と公言している。私はJobs後のAppleのTrack Recordから、彼らが製品を発表するとすれば、それは実際に使えるものである可能性が高いと思っている。Appleだけではない。Facebookは何年も前からVRに投資をしていることを公言している。DMMは「新しいフィールド」に挑んでいるつもりでありながら、Occulusを買収したFacebookやAppleと同じ土俵で商売しようとしている。

なのに、信者は「VR/ARは勝負できる土俵だ」と言い張る。だから信仰篤き者とは会話ができない。


人類の未来

2019-02-22 07:13

私が子供の頃は「日本は人口過多」と言われていた。狭い国土に人間が増えすぎる。戦前の海外侵略を正当化する理由にも使われたと想像している。

それが今や少子高齢化である。おかしい。人口増加が問題だったなら、今はその難問が解決されたユートピアのはず。しかしもっと大きな問題がある。それは日本だけの問題ではないのだ。韓国、中国は日本以上の少子高齢化社会になろうとしている。

もっと問題がある。それは東アジアだけの問題ではなさそうなのだ。

米国で2月5日に発売された新刊『Empty Planet(無人の惑星)』で、カナダ人ジャーナリストのジョン・イビットソンと政治学者ダレル・ブリッカーがたどり着いた結論だ。彼らは数字の山を自ら丹念に読み解き、従来とはまったく違った、わたしたちヒトの未来予測を提示する。

「およそ30年で、世界人口は減り始めます」と、彼らは言う。「いったん減少が始まれば、二度と増加に転じることはありません」

引用元:「世界人口が今後30年で減少に転じる」という、常識を覆す「未来予測」の真意|WIRED.jp

文明が発達し、女性が男性と区別なく働くようになる。すると出生率が必ず下がる。そして人口は減り始める。

わたしたちは26カ国の女性たちに対して、子どもは何人欲しいかと尋ねました。どこの国でも、答えはおしなべて2人前後でした。あらゆる場所において、人々に大家族をもつことを強制する外的要因が消えつつあります。この変化が最も急速に起きているのが発展途上国です。例えばフィリピンでは、2003年から2018年の間に、出生率が3.7から2.7まで減少しました。わずか15年で、各家庭から子どもが1人減ったのです。米国でこれだけの変化が起きるには、1800年ころからベビーブームの終わりまでという、はるかに長い時間がかかりました。こういったシナリオを、わたしたちは読者に考えてほしいのです。

引用元:「世界人口が今後30年で減少に転じる」という、常識を覆す「未来予測」の真意|WIRED.jp

皮肉なことに「文明を発達させる」ことで数を増やして来た人類は、それゆえに絶滅への道を辿りつつあるのだ。(かもしれない)

しかしここで考えるべきは

じゃあなんだったらいいのか?ということである。人口増大はけしからん。人口減少もけしらかん。じゃあどうする。例えば世界人口が10億人くらいで均衡すればいいのか。人口が10億を切ったところで「産めよ育てよ」運動が勃発するとでもいうのか。

人口が減れば、土地の値段が下がり皆が豪華な邸宅を持てるようになるという夢はどこへいったのか。つまるところ何がおこっても「けしからん」ということなのではなかろうか。


双発

2019-02-21 07:04

第2時大戦前にエンジンとプロペラが二つある戦闘機が流行ったのだそうな。馬力は2倍。だったら早く、遠くに飛べて機関銃もたくさんつめる。


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というわけで、がんばって戦闘に臨んだもの、単発戦闘機にいつも惨敗。結局ものにならなかった。おそらく類似の理由で「2画面スマートフォン」もなんどもなんども登場する。

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サムソンが噂されていた「折りたたみ式スマートフォン」を発表したらしい。これはいかにもサムソンらしい「とにかく作ってみました」としか見えない。ディスプレイが巻き取り式になればとか折りたたみ式になればとかは何年も前から言われているが、問題は

「画面が二つになったからといって、それほどうれしいわけではない」

という問題から目をそらしているところにある。分厚くて滅多に広げないスマートフォンなんかもつよりは、画面が一つのもってそのまま使った方がいいわねえ。

「変態端末」と呼ぶ声も聞こえるように、現在のところMは珍しいカタチのスマホだが、数年後には、かつての折りたたみケータイのように、2画面スマホが新しいスタンダードになる可能性を秘めている。

引用元:ドコモはなぜ今、2画面スマホを復活させたのか - ITmedia Mobile

今検索して初めて知ったのだが、2017年にも2画面スマホを出していたのだね。そしてその意気込みとは裏腹にまーったく話題になっていなかった。

ということは「折りたたみ2画面いけます!」というのは誰もが取り憑かれる妄想で、ネタがなくなるとそれが具現化される、ということなんだろうか。


人工知能芸人列伝-東大松尾准教授(農業編)

2019-02-20 07:04

人工知能に関して、景気のいいことを吹きまくる芸人がたくさんいる。それが金になるからなのか、あるいは本来の性格としてそうなのか。

東大の准教授がこういう景気のいいことを言っている。

これらが可能になった背景には、画像認識という「目」が人工知能に誕生したからです。目が見えると、農業、建設、食品加工など、基本的に人間が目で見て作業をしていたことを、ロボットや機械ができるようになります。

例えばトマトを収穫する際に、ロボットが「いいトマト」と「そうでないトマト」を見分けることができるようになりました。ロボットを使えば、大幅なコストダウンになりますし、病気の判定もできます。さらに進化すれば、ほぼ100%機械化されたトマト農場を、そのまま海外に輸出することもできます。

引用元:松尾先生、人工知能と広告の未来はどっちですか?(前編) | ウェブ電通報

「ほぼ100%機械化されたトマト農場」という言葉に私は息も告げないほどだ。さすが東大の准教授になると簡単に言ってくれるねえ。ディープラーニングさえあればトマト農場なんて簡単さ!

こうした芸人を観察するのは楽しいが、実際的な意味はほとんどない。実際にディープラーニングの技術を携えて中国の養豚業近代化に取り組んだ青年たちの姿を見よう。

しかし、アリクラウドと20名のエンジニアチームは現状を見て失望した。どこから手をつけていいのかわからない。エンジニアチームが麻衣村に到着した最初の晩、チーム内は大ゲンカになったという。人工知能を応用するにもデータを収集するデバイスが何もない。こんな不衛生なところで働くのも嫌だった。騙された、できるわけがない。エンジニアの誰もが弱音を吐いた。

引用元:人工知能が豚を育てるIoA。四川省の養豚場にET産業ブレインを導入 - 中華IT最新事情


養豚場で大げんかしながらも、成果をだしつつあるエンジニアチームを私は尊敬する。松尾准教授も一度こういう思いをした後に「ほぼ100%機械化されたトマト農場」と発言するのならその言葉に重みもでてくるのだが、今は芸人にすぎない。


科学の力

2019-02-19 07:03

科学とはなんだろう、という難しい定義はどうでもよろしい。客観的と思われる事実を記述することによって積み重ねが可能となった。一つの世代が活躍できる年月を超えて、知識が積み重ねられていく。

それがなくても、年月はすぎる。しかし進歩がない。

英イースト・ミッドランズにある洞窟「クレスウェル・クラッグス」の壁に数百もの「魔よけ」が刻まれていることがわかった。専門家からは、見つかった魔よけの数は英国でも最多との見方が出ている。
魔よけがあることが判明したのは昨年10月。それ以来、調査が進められていた。
いつごろ作られたものなのかは不明だが、一部の魔よけについては、1550~1750年ごろに建設された家屋で発見されている。

引用元:CNN.co.jp : 洞窟内で数百の「魔よけ」発見、数・種類ともに過去最多か 英

一番古かったとしても、信長が死んだのがイチゴパンツ:1582だからその時代である。そう遠い昔ではない。人を殺す技術は鉄砲とともに進歩したが、当時病を避けよとすれば魔除けを彫るしかなかった。そういえば秀吉の息子が病気になったとき、坊主が祈りを捧げていたな。

今の所という強固な条件つきだが、科学の進歩はこうしたまじないをある程度不要にしてくれた。子供が病気になったら壁に魔除けをほるよりお医者さんに見てもらう。こういうことができるのは実にありがたいことだ。


観察するのだ

2019-02-18 06:54

聖書というのは学べば学ぶほど面白い。支離滅裂で嫉妬と虐殺とわけのわからない記述の塊なのだが、キリスト教の人はそこに意味を見出そうとし、実際に意味を見出してしまいそれだけではあきたらず人にまで説教を始める。

聖絶という言葉がある。要するにヤハウェの意に染まない人間は皆殺しにするのであり、聖書には何度も出て来る。ではこれをどう現代風に擁護すればいいのか。

申命記7章1、2節で、イスラエルがカナンの地の七つの異邦の民を聖絶するとあるのは、イスラエルとカナンの民の民族同士の争いについて語っているのではなく、罪の目盛を満たしてしまったカナンの民を、神が御自身の聖さのゆえに滅ぼすことを示しているものです。

引用元:これって何が論点?! 第16回 「聖絶」と戦争は違うの? | 月刊いのちのことば

ふーん。でもって結局イスラエルの人間がカナンの人間をヤハウェの言葉を聴いたと称して皆殺しにするんだよねえ。カナンの人間というだけで子供も赤ん坊も皆殺し。でもってそれは神の尊さの故正当化される、と。

きっとキリスト教の人もどっかで「聖書ってなんとかならないですかねえ」と考えたに違いない。しかしその時はもう遅い。権威が確立したものを動かすわけにはいかない。かくして聖書を掲げるしかなくなった。

キリスト教の人の「言い訳術」にはおそらく見習うべき点があると思う。私のような浅学の人間には尻尾を掴ませないだけの言い訳術を数百年にわたって発達させてきたはずなのだ。引退したらそういう本でも書くかな。


感情詐欺

2019-02-15 07:09

歳を重ねるにつれて、人間は感情の動物であるという言説が真実のように感じられる。理屈のほとんどは後付けなのだ。

でもって

その感情を理不尽に揺さぶるのが恋愛というものらしい。

連邦取引委員会(Federal Trade Commission, FTC)が発表したデータによると、昨年同機関に報告された消費者詐欺の中で被害総額がいちばん大きいのは恋愛詐欺であり、しかも問題は悪化している。恋愛詐欺の犯人たちはデートサイトやデートアプリ、またはソーシャルメディアでターゲットをねらい、多くの場合偽のプロフィールと泣かせるような話(お涙ちょうだい話)を使って被害者を信用させ、巨額のお金を送らせる。
引用元:Techcrunch

愛はいろんな場面で理性を超える。そりゃ美しいお話にもできるだろうけど、詐欺の格好の対象でもある。しかしこの話は米国のものらしいが、わが国ではあまり聞かないね。話題になってないだけかな?

我が国にもデート商法とかラッセンの絵を買わせたりいろいろあるらしいがそこにもIT技術による革新が起こるのだろうか。


Deep Tech

2019-02-14 06:58

ディープテックという言葉がある。

DVDも含めたこれらの規格や製品は、現在スタートアップと呼ばれているような小さな企業からではなく、筆者が所属していたような大企業の研究所やプロジェクトから生まれている。

引用元:かつてディープテック大国だった日本 | 世界の新潮流「ディープテック」とは何か|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

オープンなコラボレーションで万事解決的な視野の狭い人たちに悩まされている今日この頃。というか言っても無駄だな。

昨日我が家にルンバが来た。何も喋らないが家を掃除してくれるらしい。(まだ試していない)それで十分だ。プログラムに従って発声したり、天気を読み上げてくれなくていい。

ルンバはアメリカの会社が設計し、おそらくは中国で作られている。なぜこうなってしまったのだろう。かつてディープテック大国だった日本はなぜこうなってしまったのだろう。

それに対してろくな答えを聞いたことがない。だから自分で考えるしかないのかもしれない。


昨日の補足

2019-02-13 06:59

視野の狭い若者の言葉

渋谷系IT企業でエンジニアとして働くと「終身雇用は完全に崩壊し、アメリカっぽい働き方になりつつある」と強く感じますね。

引用元:進撃する人@現役エンジニアさんのツイート


より経験を積んだ人の言葉

アメリカ合衆国では、州ごとに、また業種ごとに、歴史的背景や法規制の内容がかなり違うので「引き継ぎ」もまた、州により業種によって、かなり違うようです。

私がアメリカ国内で勤務したことのある業種は、すべて、カリフォルニア州内の非日系ハイテク企業で、ほかの業種に関しては現場体験がまったくありません。ですので、カリフォルニア州内のハイテク業界についてだけ説明します。

引用元:アメリカでは仕事をいきなりクビになることがあると聞きますが、そのクビになった人が持っていた仕事はきちんと他の人に引き継がれるのでしょうか? - Quora

何度も心に留めようと思い、そのたびに忘れる言葉だが

"Generalization is always wrong":一般化は常に間違っている

この言葉自体一般化しているようにも思うが気にしない。そもそも「アメリカ」なんていう一枚岩の国は存在しないのだ。



多様性

2019-02-12 06:54

いろいろな会社や職業の話を聞いて思うのは「多様性」。本当にいろいろな仕事があり、いろいろな働き方がある。若者はこう考えがちだ。

渋谷系IT企業でエンジニアとして働くと「終身雇用は完全に崩壊し、アメリカっぽい働き方になりつつある」と強く感じますね。

引用元:進撃する人@現役エンジニアさんのツイート

年寄りはふっと笑う。そういう世界もある。そうでない世界もある。終身雇用を前提として、長年かけて教育し経営幹部を見出す会社もある。そうでなければできない仕事がある。このまえ娘の授業参観でみた植林なんて、自分が植えた木は自分が行きている間に収穫することができない。鬼速でPDCAサイクルを回すのは結構だが、それができない職種もあることを忘れるのは微笑ましいことだ。

私も含めてほとんどの人は自分のまわりだけみてそれが世界だと思い込む。

「完全に崩壊」

いい言葉ですね。あなたの周りの世界ではそんな概念は最初から存在しなかったのだけどね。


Appleが内製するもの

2019-02-08 07:41

AppleがiPhoneのCPUを自前で作る、ときいたときには「変なことをするなあ」と思った。今にしてみればそれは正解だった。QualcomとAppleは今闘争を繰り広げている。スマートフォンにかかせないモデム-通信のかなめの部品-はQualcommが一番いいものを作っている。

AppleはそれゆえIntelのモデムに頼らざるを得ない。そしてこのニュース。

ロイターが、Appleの開発に詳しい2人の情報筋から、Appleは、モデムチップ開発組織をサプライチェーン部門から自社のハードウェア技術グループに移動させたと伝えています。

Appleのハードウェアテクノロジー担当シニアヴァイスプレジデントJohny Srouji氏は、2019年1月に同社のモデム設計の取り組みを引き継ぎ、自社開発を加速する狙いがあると考えられます。

引用元:ロイター:Apple、モデムチップ開発組織をサプライチェーン部門から自社のハードウェア技術グループに移動し、自社開発を加速か? | Rumor | Macお宝鑑定団 blog(羅針盤)

Androidのスマホについては詳しくないが、日本製のもののCPUは概ね「スナドラ」と呼ばれるQualcom製のCPUを使っているらしい。

Appleは部品メーカーにiPhoneの命運を握られることを好まない。OLEDはその点で断腸の思いだったと思うが、そろそろ複数サプライヤーの目処が立ってきた。次のMicro LEDについては自社で準備をしている。さて、次は何を自社でつくるだろうか?

彼らがバッテリーを自社で作ろうとしないのは不思議だと何度も書いてきた。おそらく私がこんなところから想像するよりずっとあれこれ研究・検討しているんだろうな。


性能向上のジレンマ

2019-02-07 07:01

昨日興味深い記事を見つけた

ユーザーは相性のよいパートナーを見つけると、定額制サイトから退会するので会社の売上げとキャッシュフローが減る。このため、利益の最大化を目指すサイトが果たして、最も効果的なマッチング技術を追い求めているのかは、定かでない。あるいは、技術革新の優先度を下げているかもしれない。

引用元:マッチングサイトが定額制を採用するがゆえの葛藤 | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

就職でも、パートナー探しでもいまはいろいろなサービスがある。さて仮にそこに登録して使用する際の料金を「毎月定額」にしたとしよう。

するとできるだけ長い間使ってもらった方が、サービスを提供する企業としてはもうかる。しかし使う方としては「さっさといい相手と出会えたほうがよい」ということになる。

ビジネスを理解しないエンジニアは複雑怪奇なアルゴリズムを考案し、いい相手に少しでも早く出会えるようにする。ところがそれをやられると企業の収入が下がるのだ。

となると

サービス提供側としては「生かさず殺さず」の姿勢をとりたくもなる。うーん、悪くないけどもうちょっといい相手が、といつまでも思ってもらえるのが最適ということになる。いや、面白い。

このジレンマを解消するには料金体系を変えるしない。しかし例えば「相手に声をかける際に課金」とかやると誰も声をかけなくなる。となると面倒でない月額定額ということになるんだろうな。

私は親戚の紹介で見合いしたが、私の子供はこうしたサービスで伴侶をみつけるかもしれない。その時どんな課金モデルになっているかとても興味がある。子供に相手の話はいいから、どんな様子かだけ教えてもらうことにしよう。


IT業界に巣食う山師列伝

2019-02-06 07:20

日本のIT関連業界にはメディア露出が大好きな山師がたくさんいる。頓知ドットとかテレパシーの井口尊仁氏がそうだし、この人もなかなかもののだ。

ヒト型ロボット「Pepper(ペッパー)」の開発に携わったことで知られるGROOVE Xの林要が、“家族型”を謳う新しいロボット「LOVOT(ラボット)」を発表した。まるで生命が宿ったかのように生き生きと動くLOVOTは、「役に立たない、でも愛着がある」というコンセプトでつくられた。ヒト型ではなく、既存のどんな生物にも似ておらず、しかも便利なわけでもないロボット──。こうした発想は、なぜ生まれたのか?

引用元:インタヴュー:LOVOTをつくった林要が考える、ロボットの「新しい宿命」|WIRED.jp

こうした発想はなぜ生まれたのか?山師だからです。というかそんな発想は何十年も前から存在しており、製品も山のようにある。時を同じくしてアメリカではそうした方向で2社のベンチャーが活動を停止した。

KuriとJiboはできることが少なかった。Kuriは確かにかわいかったが、できることといえば動き回って人間と少し交流することだけだった。Jiboは天気予報を教えたりアラームをセットしたりしてくれるが、カウンターの上から動かず、実質的には「Alexaの賢さに遠く及ばないが900ドルもするパーソナルアシスタント」となってしまっていた。

家庭用ロボットに本当に期待されていることは、「さまざまな作業をこなす器用さ」と「動作」である。それは同時に、AIアシスタントとの差異化要因でもある。

引用元:SFに登場する「お手伝いロボット」はどこに? 期待と現実の間で板挟みになる家庭用ロボット|WIRED.jp

工夫なしに突撃しても、玉砕に終わると知られていながらそこに何の工夫のなしに何度も突撃する。これは帝国陸軍の十八番だが、その伝統は我が国に脈々と受け継がれている。それをメディアが称揚するのも伝統の一部か。何が玉砕だ。そんなものただの「無益な全滅」だ。

このWiredの記事が「有料広告」ではないことに絶望を覚える。こんな記事書いて楽しいか?売れるから書くのか?


ソフトバンクの商法

2019-02-05 07:00

100億円バラマキで名を挙げたPaypayがまたなにかやるのだそうな。でもってその説明がすばらしい。

PayPay残高かYahoo!マネーで支払った場合は20%、Yahoo! JAPANカードで支払った場合は19%、Yahoo! JAPANカード以外のクレジットカードで支払った場合は10%を還元する。なお、20%還元とやたら当たるくじの1回あたりの還元額は最高1000円で、キャンペーン期間合計では20%還元が最大5万円、全額キャッシュバックは最大2万円までとなる。

引用元:「PayPay」が100億円キャンペーンを“おかわり”--2月12日から20%を還元 - CNET Japan

うん。全然わかりません。

なんで携帯電話文化をもった企業がやるとこうなっちゃうかな。ごにょごにょいってなんだかわからないうちに高額をまきあげるソフトバンク回線にはうちの奥様がひどくやられた。当時は奥様一人で月8000円も払っていたのが、今や家族4人で5000円も払っていないのだ。

なぜこんな複雑な条件になっているか?金を恵む側として普及させたいものがあるからだ。そうした都合はわかるのだが、それを露骨にユーザーに押し付けて来る態度には感銘を受けざるを得ない。ユーザにとってわかりやすいか、メリットがあるかなんて頭の片隅にもなく、「自分達の売り上げ・普及率」というKPIの数値しか頭にないんだろう。

こういうやり方でも、配られるお金に殺到する人たちはたくさんいる。どっかのZozoの社長にしてもそうだけど

「ほら、金やるぞ。みんな集まれ」

といって群がってくる人々を眺めるのは、ある人たちにとっては楽しいことなのだろうか。私はそうやって金をばらまく人間、それに群がり手を伸ばす人間をみて絶対ソフトバンク、ヤフーの商売からは距離を置くぞ、と決意する。


Too Important To Fail

2019-02-04 07:17

Too Big TO Fail-大きすぎてつぶせない、とは企業とか銀行に対して使われる言葉。でもって新聞は「大事すぎてつぶせない」のだそうな。

そう、新聞が滅びると、真っ当なジャーナリズムも日本から姿を消してしまうかもしれないのだ。紙の新聞を読みましょう、と言うつもりはない。

だが、タダで情報を得るということは、事実上、タダ働きしている人がいるということだ。そんなビジネスモデルではジャーナリズムは維持できない。

誰が、どうやって日本のジャーナリズムを守るのか。そろそろ国民が真剣に考えるタイミングではないだろうか。

引用元:新聞部数が一年で222万部減…ついに「本当の危機」がやってきた(磯山 友幸) | マネー現代 | 講談社(3/3)

米国では紙の新聞媒体は日本よりずっと衰退しているが、じゃあ米国のジャーナリズムが死んだとかそんな話は聞いたことがない。

筒香が指摘した「新聞社が主催しているので、なかなか現状が伝えられていない」という高校野球への指摘は「毎日」も「朝日」も書いていない。

引用元:「新聞社が主催」筒香嘉智の発言を報じない朝日と毎日の矛盾 - ライブドアニュース

それでいて 自分達に都合が悪いことは一切報道しない。その上で「いいのか?俺たちがつぶれたら日本がダメになるぞ」と言い切る神経は見習いたいと思う。

というかこうした態度が白日のもとにさらされることになったのは、インターネットの効用だと思う。以前はメディアしか意見を述べることができなかったからやりたい放題だったけど。


イノベーションとは何か

2019-02-01 07:18

出張から帰って来た。スタートアップでユニークなビジネスモデルで孫が何もかも決める組織で、オープンなコラボレーションでイノベーションだという話を2泊3日聞かされた。

聴きながらずっと考えていた。あんたの言うイノベーションって何?私が考える21世紀のIT業界でもっとも大きなイノベーションの一つがこれだ。

Operating income for AWS in the quarter was $2.18 billion, exceeding the $2.09 billion FactSet consensus estimate. The unit accounted for 58 percent of Amazon's overall operating income.

引用元:AWS earnings Q4 2018

Amazonっていろんなものが売っているECサイトだと思ってる?今やその売り上げは半分以下なのだな。58%はAWSつまりコンピュータを貸すビジネスで成り立っている。

これは驚くべき偉業だ。何度も書いて来たが、とにかくその数字には驚かされる。でもって聴きたいわけだ。これがコーワーキングスペースを作り、オープンなディスカッションをすることで生まれるイノベーションなのか?