プレゼンテーションを行う上で考えるべきたった2つの事柄

2014-03-31 07:45

少し前に表のブログに「プレゼンスライドを作る前に考えるべきこと」という文章を書いた。かなり直接的に書いたので、ひょっとするとお叱りもいただくかと覚悟していたのだが何も起こらなかった。

もちろん内容がアレということなのだろうが、あまりにだらだら長すぎたのではないか、という反省点もある。というわけで、より簡明にプレゼンテーションを行う上で守るべき事柄を2つに絞ろう。

その1:「しゃべる内容」は「しゃべりたい内容」の半分以下にする。

その2:「しゃべる言葉」は画面上に書かない。

たったこれだけ。簡単でしょ?

その2については表のブログを参照してもらえば私が言わんとしているところはわかってもらえると思う。その1については表のブログはかなり舌足らずだった。というか今回面白い記事をみつけたのでそれを引用しておく。

"A lot of speakers try to fit 10 pounds of information into a five-pound bag,"

via: The Startup That Wants to Change The Way We Do Presentations | Fast Company | Business + Innovation


多くのプレンセンターは5ポンド用のバッグに10ポンドの情報を詰め込もうとしている。

そんなに書いたって誰も読まないんだよ。私の考えでは受け取る側が受け取れる以上の情報を詰め込んだ「スライド」は言い訳のために存在しているに過ぎない。不思議なことだが、ほとんどのプレゼンターは自分が観客としてプレゼンを聞いたことがあるはずだ。その時のことを思い返せば、自分がどれだけの情報を受け取れるかわかるはずなのに、その軽く倍は詰め込もうとする。

そういえばボートの3人男にもこんな下りがあった。皆で持っていくものリストを作る。しかし「これだけ積んだら、ボートが沈没」という状況になりリストは破綻した。そこでジョージ(?)が「使うかもしれない物を積んじゃだめなんだ。ないと困るものだけ持っていくことにしよう」と提案する。

George said:

“You know we are on a wrong track altogether.  We must not think of the things we could do with, but only of the things that we can’t do without.”

via: Three Men in a Boat, by Jerome K. Jerome


プレゼンを行う際にも必ずこれをやる。「これも書いておこう。あれも聞かれるかもしれない」と詰め込んだらプレゼンは沈没する。「ないと困るもの」は何なのかを考える。すると必然的に

「聴衆は何に興味を持ってくれるだろう。自分が売り込みたいアイディアはなにか?そしてそれをわかってもらうためには何を聞いてもらわなくちゃいけないのか?」

とストーリーを考えるようになる。ちなみここで

「何を言わなくちゃいけないのか」

とやったら失格。だらだらプレゼンの出来上がりだ。プレゼンの制限時間内に何をしゃべるかはプレゼンターの自由だが、「何を聞くか」は聴衆の自由である。そしてプレゼンは朗読会ではないから、

「聴衆が何を聞き、何を考えてくれたか」

が成否を決める。この

「自分が何を話したいか」

ではなく

「相手は何を聞いてくれるか」

考えるというのは小さいようで実に大きな違いという気がする。多分他のところでも使える考えたのように思う。


トラブルシュートの思い出

2014-03-28 07:27

今日は少し昔話をしよう。私が社会人になって一年目。「無人で空をとぶ機械」の担当になった。秋にその機械の試験が行われ、途中でエンジンが停まった。

さあ困った。というわけで原因究明が行われる。無人の機械だから状況を把握する上で頼りになるのは電波で送られてきた各種データだけである。

あれやこれや検討していって、どうやら燃料供給が絶たれたらしい、ということになった。次に問題になるのは燃料制御を行っていた信号がおかしくなって供給を絶ってしまったのか、あるいは信号はちゃんと送られていたが、機械的に何かがおこって燃料が止まったのか、という切り分けである。しかしそれを直接示す信号はない。さて困った。

しかしある時誰かが「バッテリー電圧の信号が小刻みに上下している」ことに気がついた。その周期を計測してみると燃料制御信号の周期と同一である。これはおそらく燃料制御の信号がちゃんと出力されており、かつ制御機器も動作していたことを示すものではないか。(機器が動作すれば電力を消費するので電圧が下がる)

これで少しは原因探求が進んだ。なぜこんな事を書き出すかといえば、この記事を読んだからである。

マクローリン氏によると、技術者らは「6、7日ぶっ通しで働いた」。さまざまな国籍のメンバーから成るチームは社内のジムで体をほぐし宅配ピザで空腹を満たしながら昼夜兼行で作業を続けた。

チームがマレーシア機の飛行経路を絞り込むために使ったのは、ドップラー効果だった。これは列車が音を発しながら近づいてくるときと遠ざかるときでは、音の高さが違って聞こえるように、音波などの発生源の動きによって、その周波数が異なって観測されるというもの。インマルサットのチームは飛行機の衛星に対する相対的な速度に着目して謎解きを試みた。

via: 消えたマレーシア機の謎解き、ドップラー効果とピザが役立った (Bloomberg) - Yahoo!ニュース BUSINESS


こういう状況においては、大きな声で正論など叫んでいてもなんの役にもたたない。必要なのは、静かに、客観的に、冷静に考える力だ。「はやぶさ」のトラブル対策もこうした「謎解き」の連続だっただろう。川口PMもこう言っている。

チェックシートやマニュアルから離れることこそ、最大のリスク管理であり、それが創造というものである。創造こそが、inspirationこそが、最良のリスク回避策であることに気づいて欲しい。情報社会、オペレーション、それらは管理という、視野を既成範囲にだけせばめる環境を作り上げてしまいがちである。Inspiration,情報社会が進めば進むほど、その重要性を増している。:引用元 情報処理学会の雑誌だったかな?


事故のことを考えると気持ちがふさぐが、インマルサットチームの努力と想像力には感服する。彼らは直接的に利害関係のある組織ではないから、「できることはここまで」とケツをまくることも可能だったはずだ(想像だが)こういうチームで働くのはエキサイティングで有意義だろうな。


SFってすごいんですね!

2014-03-27 06:54

前にも書いたネタだが、こんな記事を見かけたので再度書きたくなった。

「アイデアはすべてSFアニメの中にある。こうした作品に描かれている近未来の世界に多くの人が関心を示すべきだ」

via: 近未来のアイデアは「すべてSFアニメの中にある」--ウェアラブルへの期待と不安 - CNET Japan


アホか。


そりゃそうだ、SFですら、よってたかって「バーチャルアイドル」を想定しても、

初音ミクを想像的なかったんだから。


過去のSFが想像できたのは、シャロン・アップルであり、伊達杏子であり、江口愛実であって

初音ミクではなかった。


政府機関、芸能プロダクション、なにか巨大な組織が大衆を操るためにトップダウンするものであり、

ボトムアップで「女神」を生み出すバーチャルアイドルを、過去のSFは想像できなかった。


凄いことなんだぞこれ。

人類の過去の想像力をはるかに超えた存在を、日本は生み出したんだ。

via: 「初音ミクは神そのもの」 21世紀から新しい宗教が生まれるとすれば、それは初音ミクのようなものだろう。:【2ch】ニュー速VIPブログ(`・ω・´)


しかしなんだね。こういう陳腐な妄言を並べるだけでものすごい出演料がもらえるのだろうと思うと、羨ましさを禁じ得ない。金儲けの才能に長けていることは認めなくてはならない。

同じイベントで発表されていた「未来型デバイス」(笑)

発表から約半年を経て、開発段階にある同製品だが、すでに見た目はコンセプトムービーで紹介されたイメージと同様の完成形に近い印象。操作は時々うまくいかないこともあり、何度かトライする場面も多く見られたものの、わずか半年足らずという開発期間を考えると、驚異的なスピードで、会場からも感嘆の声が上がっていた。

via: 会場から感嘆の声--1日半で25万ドル集めた指輪型入力デバイス「Ring」実演 - CNET Japan


別にリングだろうと、スティックだろうとどうでもいいんだよ。問題はアプリケーション。wiiリモコンでもいいけど、全部ジェスチャで何か触ってみな?普及しない理由がわかるから。なのだがなぜこういう

「誰もが躓くところまでは全力で走り、達成感だけに包まれる」

試みに多くの人がひっかかるかね。


萌え・KAWAIIと禅

2014-03-26 06:58

この前のロンドンオリンピック開会式、閉会式には圧倒された。英国が持っている「世界に通じるコンテンツ」を(Mr.ビーンも含め)惜しみもなく投入し、しかも「オリンピックに国を賭けるなんてね」と笑い飛ばす余裕までみせたのだ。
問題はその8年後には日本がオリンピックを主催しなければならない、という点にある。それに秋元某が絡んでいるというのは悪夢のような状況だ。例えばこんなものを出すのだろうか。

top
近年、設置すれば自動で床をきれいにしてくれるロボット掃除機が多数登場していますが、日本では会話も出来るロボット掃除機が発売してるって知っていました?  シャープから登場している『ロボット家電・COCOROBO(ココロボ)』は“人工知能・ココロエンジン”を搭載し、充電量などの自分の状況やお部屋の状況などを言葉や光といったリアクションで表現し、コミュニケーションが取れるのです!

via: ロボット掃除機×萌えキャラ!? シャープが本気で“妹キャラの掃除機”を開発している模様 – ガジェット通信


溺れるシャープは萌えにすがる。こういう「お前らこういうもの見れば喜ぶんだろう」みたいなもので誰が釣れるのだろう。
しかし「今の日本」にできることはこんなことでしかない。歴史的に見て日本にはこういう「デザイン」しかできなかったのか?そんなはずはない。「禅の心」はちゃんと世界で受け入れられている。

Apple TV Concept


インタフェース、余計な装飾を極限まで削った美しさ。ちなみにこれは次期Apple TVの「コンセプト」である。つまりFake.しかしリモコンをiPod式にしインタフェースを手元に持たせるなど実によくできている。
こうした「余計なものを脱ぎ捨てた美しさ」はかつての日本が得意としたものではないのか。確かに東照宮みたいなものもあるよ。でも世界に受けいられれているのは東照宮ではなく、枯山水のはずだ。

枯山水

この写真に近いのはシャープの掃除ロボットか?それともApple TVのコンセプト画像か?

東京オリンピックの開会式は萌えになるのか、それとも禅になるのか?後者を望むが、現実には萌えにKAWAIIだろうな。大丈夫。変なものに気をそらせなくても十分人生はおくれる。


教育するのだ

2014-03-25 08:55

というわけで今朝見つけた文章。

体験会で操作している様子から、子どもにとってアプリが楽しいものなんだろうとは思いましたが、それでも念のため「どう?」 と聞いてみると、あるお子さんは、iPadの画面から目をそらすことなく「たのしい」とコメント。人の目を見 て話す、という教育はまだできていないようですが、少なくとも夢中で遊べるようなコンテンツになっています。

via: DeNA が小学生向け学習サービス「アプリゼミ」開始、専用端末不要で月額980円 - Engadget Japanese


DeNAにしてみれば「子供を飽きさせず、月980円払い続けさせられれば勝ち!」ということなのだろう。この記事のそこかしこにそうしたDeNA の姿勢に対する反感が見え隠れすると思うのは考え過ぎだろうか。まあしかしDeNAという会社の体質を考えれば「教育とはなにか。それをサポートする アプリはどうあるべきか」より「いかにして子どもとその後ろにいる親から金をむしり取るか」がKPIになっていても驚かんわな。

というわけで学校ではましてDeNAは決して教えてくれないが、誰もがどこかで学ばなければならない「会話の秘訣」

1. Get out of yourself and make it about the other person

Have you ever had someone talk endlessly about something that you didn't have the slightest interest in? It probably felt like they were having a conversation with themselves and you just happened to be there. These people seem to be oblivious to the idea that you may not share their interest.

via: 5 Ways To Have Great Conversations | Fast Company | Business + Innovation


歳を重ねるごとに実感し、確信が深まることだが人間は真実、ましてや他人に興味など持っていない。とにかく自分のこと、自分が大事と思っていること を述べるのが大好きなのだな。男だろうと女だろうと相手に回答を求めていたりはしない、と最近は信じるようになった。

A「なんか最近だるいわ」
俺「へぇ。睡眠不足なんじゃない?夜更かししないで早く寝たら?」
A「…」
俺「…」

via: 何 気ない会話の難しさは異常 : まとめでぃあ


先ほどの引用した文章もよい内容だと思うが、こちらのほうが要点を端的に表していると思う。

うちの子供も今はまだお父さんの言うことに耳を傾けてくれるから、その間にこのことだけは伝えておきたいなあ。まだちょっと理解してもらうには早い かな。



クラウドサービスを使う、ということ

2014-03-24 06:52

今から四半世紀前のことだが、Newsgroupなるものが存在していた(多分今も存在するのだと思う)それについて書いた本がこう述べていた

「この機能を使うと、秘密のグループを作る事もできる。ドラッグの売人はこうした機能を使えばいいと思っているかもしれない。まあがんばってほしいものだ」(うろ覚え)

おそらくその本の筆者が述べたかったことは「秘密のグループといってもいざとなったら筒抜けだよ」ということなのだと思う。そしてその事情は今日も変わっていない。

米連邦捜査局(FBI)によると、マイクロソフトは2012年、独自ソフトウエアのソースコードを元従業員が匿名のブロガーに漏らしたことを突き止めた。このソースコードがハッカーたちに利用されることを恐れたマイクロソフトは、ブロガーのアカウントにアクセスし、「ウィンドウズ・ライブ」上のメールやインスタントメッセージを詳しく調べた。その結果、レバノンを拠点とするマイクロソフトの元従業員アレックス・キブカロ容疑者が今月19日に逮捕された。

引用元:CNN.co.jp : 緊急時の個人メールへのアクセス、MSが正当性を主張

この件で注意するべきは、マイクロソフトは裁判所からの命令があってメールの内容にアクセスしたのではなく、「自らの判断で」そうした行為を行った、ということ。

つまりマイクロソフトは自分の判断で、ユーザのメールを覗き見してもいいということである。これ自体は「確かにそうだな」と思う訳なのだが、ではこれはどうだろう。

Microsoftは、「Outlook.comはGmailと異なり、ユーザーの電子メールの中身を読んで広告を表示したりしない」と主張している。

引用元:ニュース - 「Gmailにだまされるな」、Microsoftがネガティブキャンペーン開始:ITpro

これも事実として正しい。確かにoutlook.comでは広告は表示されない。しかしoutlookはユーザのメールの中身を読まない、というのは「マイクロソフトが不必要と考える範囲において」ということは注釈をつけるべきだ。(この内容はこのブログポストの内容を読んで考えた事である)

いずれにせよネットに接続している限り秘密を保つのは難しい。先日同期生に聞いたのだが、同期の娘がLINEで「プライベートチャット」のようなところで「好きな人誰?」と聞かれ、答えた内容をばらまかれたと泣いていたとのこと。こうしたネットとプライバシーに関する教育というのは、多分学校ではやってくれないから自分でやるしかないのだろうな。


Appleを憎む人達

2014-03-20 07:07

先日ある場所で聞いたのだが、メディア関係者の中には、Appleを憎んでやまない人達がいるのだそうな。もちろん私のようなApple原理主義者がいるからには反対のポジションをとる人がいてもおかしくないし、そうやって世の中のバランスはとれているのだと思う。

前に書いたと思うが、「Appleは意図的にiPhoneが壊れるようにしている」という妄言を広めようとした女性が米国に居た。一つ我が国と違うところは、そうした妄言をTVで木っ端みじんにされていた点だ。

さて、米国では最近こうした本が話題になっているらしい。

元Wall Street Journal記者のYukari Iwatani KaneがAppleについて書いた、Haunted Empireという本がある。KaneはWSJで長年にわたりAppleの脈動を報じてきた人物であり、この本はスティーブ・ジョブズの在籍中と、CEOをTim Cookが引き継いだ後とで、カルチャーにどんな変化があったかの焦点を当てている。

引用元:Apple CEO、ティム・クック曰く:『Haunted Empire』はナンセンス。会社もカルチャーも正しく描かれていない | TechCrunch Japan

私が驚いたのはTim Cookがそれに対してコメントしていることだ。Appleに対する馬鹿げた言説は多いが、多忙なCEOがそれに対してコメントするのは何か理由があるのだと思う。

この本が翻訳されるかどうかはわからない。私が読むとすれば図書館で借りるとか、落ちていた本があれば拾うくらいのものだろう。

The book concludes exactly how it has been prepared to conclude

引用元:Book Review: Haunted Empire, Apple After Steve Jobs | 9to5Mac

このレビューによればこの本は最初から「Appleはもうダメだ」という結論をもって書かれたものであるらしい。そういう本はあまりおもしろくないぞ、と私の中の経験が語っている。

日本のメディア界に存在しているApple Hater達は喜んでこの本を翻訳するかもしれない。"Tim Cookが激怒!”とかいう帯をつけて。

長年に渡るApple原理主義者としては、今年のWWDCにもう心は向かっている。今年は参加することができるだろうか。


SmartWatchのUIってどんなの

2014-03-19 07:28

別に今ユーザがその問題を認識しているかどうかとは関係なく、興味深い製品というのは興味深い問題を解く物だ、としておこう。

さて、ウェアラブルデバイスである。問題は一部の業務用機器を除いて誰もその「解くべき問題」が見つけられない点にある。

しかしそういう根本的な問題は少し脇に置き、このGoogleの提案を観よう。

少なくとも「なるほど。こういうスワイプを主体としたジェスチャにするのだな」と納得させられる出来ではある。

なぜこんなことを書くかと言えば、我が国が誇るこの企業の製品と比べたくなったからだ。

なんというか創意工夫とか問題意識のかけらもない。「言われたからスマートウォッチ用のUI作りましたよ」という言い訳仕事の結果としか思えない。この点に関してはスマートフォンで世界で唯二利益を上げている企業も似たような物だ。

最近Facebook paperを触ったり調べたりしていて、小型でバイスのUIというのは

・全画面に広がるコンテンツ+スワイプによる操作

であるべきではないかと考えている。ホールドした状態で一本の指ですわすわ使えなくてはならない。小さいボタンを押させるのはできるだけ避けて。

そのためには操作のコンテキストを注意深く設計しなければならない。ボタンならべておいて「好きな方に行ってください」というデザインは成立しないのだ。ユーザにとって自然でありながら、実は決められた道を歩ませる。もちろん音声によって「飛ぶ」ことも可能なのだけど、"OK Google"はどう観てもぎこちない操作だ。

などとうだうだ言っているのは、GoromiTubeのメニューをなんとかできないかと苦闘して結局もとのメニューに戻りそうなフラストレーションからなのだが。


商売人

2014-03-18 07:15

最初にDocomoがiPhoneの独占販売権を得ていたら、iPhoneは日本で普及しなかったかもしれない。だから私はApple原理主義者として孫社長に感謝する理由がある。

しかし今や彼に感謝する理由は過去のものとなり、そして彼の関心はアメリカに向いているようだ。

「(AT&T社とVerison社を含む)大手3社の戦い」になる、と孫氏は述べた。「私は本当の戦いがしたい。見せかけの戦いではなく、本当の戦いが。それが可能になれば、私は今以上に大規模な価格競争を仕掛ける」。

引用元:孫正義、米国で「大規模な価格競争」を宣言 « WIRED.jp

よく言うなあというのが大部分の日本人の感想ではなかろうか。あまり公に議論されることはないが、キャリア各社は「スマートフォンへの乗り換え」のどさくさにまぎれて、大幅な値上げに成功した。

無料通話という枠がなくなったことで、多くのユーザーにとって実質的に値上げされたようなかたちになってしまっている。携帯キャリアは3社とも業績は好調で、どこかから少額ずつでも回収しなければやっていけないという状態ではなさそうなのに、残念なことだ。この状態を「改悪」「ぼったくり」と感じる人もいるだろう。

引用元:スマホ通話料、キャッシュバックのせいで高止まり?格安サービス普及~IP、楽天でんわ... (Business Journal) - Yahoo!ニュース BUSINESS

彼らが違法にカルテルを結んでいるとは言わないが、3社の寡占状態を作り出し、その間で均衡を保つ事で利用料金を高止まりさせることに成功したのだ。

だから仮にSprintとT-Mobileが合併し、再び孫社長が3番手になったとしても、ATTにVerizonはそれほど恐れる必要は無い。今よりぼったくりはへるかもしれないが、そこそこのところで落ち着く筈だ。そしてキャリア3社は膨大な利益を上げ続ける。

いくら「キャリアの契約には手厚い保護がある」とかなんとか言った所で、その金は全てユーザから出ているのだ。ああ、馬鹿馬鹿しい。

というわけで当家(奥様は除く、だから今のところ私だけ)はiijの900円+消費税プランでご機嫌に暮らしている。音声通話料金が半分くらいになれば、そちらにしようかとも思うが不満を感じながらもFusionのIP電話でなんとかなっている。

問題は本体だ。いつまで4Sが現役でがんばってくれるのだろう。iOS8から外れることになったら、、泣いちゃうぞ。日本で売っている5Sはテザリングができないようだし。私の使い方だとテザリングができないととても困るのだ。


MH370

2014-03-17 07:22

今日書くことは、まだ断片である。

ここ数日MH370のニュースに注目している。

・「日本人乗客はいない」とのことで、国内のニュースメディアでは扱いが軽いのだろう、と好意的に解釈をしたとしても、例えばBBCのこのページと比べてその報道姿勢の違いには愕然とせざるを得ない。一枚のよく考えられたチャートがあれば、錯綜する情報の多くを整理することができるのだが、どうもそういった発想はなかなか出てこないらしい。

・マレーシア政府の対応の悪さを指摘することはできるだろうが、我が国でも民主党が政権をとっていたときに同じ「事件」が起こったらもっとマシな対応ができただろうか?

・最初のニュースを聞いた時誰もが「レーダーから消えた付近に墜落した」と思っていただろう。しかしその後から出てくる情報には驚かされっぱなし。レーダーから消えた後にまだ7時間も「飛行」していたなどと誰が想像しただろう。

今度の事件を起こした人間の意図がなんだったのかはまだわからない。しかし世の中にはまだまだ「未だかつてなかった事」が存在していることだけは確かだ。「事実は小説よりも奇なり」という言葉を思い返すことが多い。


スクラムとかリーンとかデザイン思考とかは全部ゴミ

2014-03-13 07:05

いきなりだが、今日言いたいこと。

「スクラムとかリーンなんとか、とかデザイン思考は全部ゴミ」

いきなり何を言い出すのか。スクラムというプロセス自体はそれなりに興味深いのだが、それに関わっている人がなんだか不思議ななのだ。皆共通した雰囲気を持っているように思える。まあそれはいいや。しかし妙に用語とか「スクラムやってるんだよ」という事自体に重きをおいているように思うのだ。リーンUXという言葉をこの前聞いた。

ITで行われるLean開発もこれと同じく、組織と開発の中での無駄を排除しようというプロセスのことを指します。


では、その「Lean開発」に「UX」を取り込むとどうなるのでしょうか。

via: 「Lean UX」モバイルゲーム開発 (1/2) | GREE Creators Blog


無駄をなくすなら、トヨタに習えば良い。少なくとも生産技術に関してはこれは事実だろう。問題は無駄をなくすだけでは十分ではない、ということだ。

デザイン思考。この言葉も良く聞くが何度読んでも「だから何?」という気がする。異を唱えるつもりはないのだが、何かが決定的に欠けている。

こうした違和感はだいぶ前から感じていたものだ。では何故今日こんな文章を書いているかといえば、ようやく腑に落ちる「プロセス」の話しを読んだから。

つまり、たったひとりの大きな問題意識がまず最初にあって(Q)、それに対する情熱を殺さずに育てる(P)。そして、周囲を巻き込みながらプロジェクト化し、集団で試行錯誤を積み重ねること(M)。それを会社全体で実行することが、イノベーションを起こす組織になるための唯一の方法ではないか、と僕は思うのです。

via: ここがヘンだよ!日本企業のイノベーション | オリジナル | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト


私なりに解釈すると「イノベーションはたったひとりの狂気から生まれる」改善を行うなら多くの人間の知恵を集めるのも有効だろう。しかし今存在しないものを想像し、それが素晴らしいものである、と価値を認めるのを多くの人間で行うことはできない。というか「今存在しないものを想像し、その価値を認める」というのは客観的に見ると精神に異常があるとしか思えない。幻覚とか妄想のたぐいだ。

私が◯◯プロセスに「どこか欠けている」感をもつのは、この「個人の狂気」という要素が欠けていたからなのだ。

学会で玉石混交の発表を聞くことがある。「先輩の研究を受け継ぎました」という発表は実に面白く無い。「卒業するのに必要だからやってます」というのは論外である。心に残るのは、非凡な狂気。誰もが抱く「ありきたりの妄想」ではなく、その人独自の価値観が反映されたテーマ。そしてそれを実現しようという情熱があるもの。短い言葉で言えば「インパクト」。やらされるのではなく、「これが正しい。これがあるべきだ」という思いから作っているもの。(「これは新しいし難しい。だから論文になる」も論外だよ)

あまり明文化されることはないが、こうしたことができる人間の数は実はあまり多くない。以前「自分の中に爆発する卵を持っている人」と表現したことがあるような気がする。岡本太郎は「芸術は爆発だ」と言った。私は「研究は爆発だ」と思っている。「これが正しい。これがあるべきだ」という非合理な思い込みからしかユニークな研究は生まれないと思うのだ。

こうした「爆発する卵」を後天的に教育で作り出すことができるか?もし可能だとしたらどういうプロセスがあるのか。こうした観点の「プロセス」ならば大いに興味がある。

プロセスではなく、今ぽっと頭に浮かんだ言葉を書いておく。そうした「爆発する卵」と「ありきたりな妄想」を分けるものがあるとすれば、それは「同じ分野の動向、事例を学ぶ意欲」と「凡庸さが我慢できない」という性格ではなかろうか。とだんだんまとまらなくなってきたのでここで唐突に終わる。


ユーザの声に耳を傾けるということ

2014-03-12 08:00

ユーザの行動を観察することは意味のあることだが、ユーザの声に耳を傾けるのは多くの場合間違っている。

さてこんなニュースを観た。

これらの数字の合計は70万弱となる。この、200万対~70万という数字は、市場の大きな縮小を物語っている。~70万は最大で70万という意味だが、今後多少上方修正されたとしても、落差の大きさは解消しないだろう。

via: ゲーム専用機: いよいよご臨終か? | TechCrunch Japan


でもってこの記事についているコメントが面白い。

PS4は今のとことWiiやPS2の初動以上に売れてるんですけど、どのへんが市場縮小してるんですかね?

そもそもこの数字はどこから持ってきたんだ?vgchartz.comによると、2007年と2014年の最初の4週の売り上げは、それぞれ114万台と99万台で記事ほどの差はない。NPDの公式データのリンクも生きてないし、何がしたいんだか。

neogafや2chのゲハ板では語り尽くされてる内容だねぇ。 この記事を書いたNatasha Lomasさんは一夜漬けの知識で知ったかぶるアホなアナリストではない本当のプロフェッショナルですな。


声の大きいユーザは叫んでいる。「ゲーム市場は(それほど)市場縮小していない!」と。

一歩離れた私のような人間からみると、PS3売り出し前後と今回の違いは明らかだ。今回はゲーマー以外誰も関心すらもっていない。

もちろんここで「声の大きなユーザの希望の持てる声」に耳を傾け、幸せのうちに暮らすこともできるのだろうが、それをやると多分よからぬことになる。

これはあれだな。ランディ・パウシュが言った「ティーンエージャーの女の子に向けた男の見極め方のアドバイス」にも通じるところがある。彼はこういったのだ。

I think all young ladies should hear this. Syl said, it took me a long time but I’ve finally figured it out. When it comes to men that are romantically interested in you, it’s really simple. Just ignore everything they say and only pay attention to what they do.


全ての若い女性はこのアドバイスを聴くべきだ。Sylはこういった。「長い時間かかったけど、ついに見つけたわ。もし男性に口説かれたとしたら、彼がしゃべることは全て無視しなさい。そして彼が何をするかだけに注意しなさい」


「コアなゲーマー」が言う言葉は無視して、消費者が何をしているかをみるべきなのだと思う。



iOS App: Before Paper/After Paper

2014-03-11 07:15

昨日JR東日本が新しいiOSアプリを出した。

Tehuの言葉 「『JR東日本アプリ』がなかなか面白い」

via: 「JR東日本アプリ」がなかなか面白い スマホはどこまで情報端末になれる? - ライブドアニュース


お硬くて、おもしろみのないイメージのあるJR東日本が、こういうアプリをだしたことに正直驚いた。そのうちこのアプリの内幕というか裏話をどこかで知ることができるのだろうか。

そのデザインだが...

なかなか頑張っていることがわかる。「はやり」のフラットデザインを取り入れ、アイコンなどもそれに合わせてデザインされている。何度も「位置情報を利用します。いいですか?」と聞いてくるところとかまあおそらくは初期バージョンの問題もあるがトップの画面がさりげなく分割されているところも良いと思う。

しかし

残念ながらFacebook Paperを使った後では「ドレッドノート以前の戦艦」といったイメージを禁じ得ない。頻繁にナビゲーションバーまで親指を伸ばす度、その感を強くする。

昨日この記事を(ようやく)読んで衝撃を受けた。

“Everyone’s jaws just dropped,” remembers Michael Reckhow, who was sitting beside Matas that afternoon. “Everyone started exchanging these glances that were like: ‘What did he just do?’”

via: Facebook Paper Has Forever Changed the Way We Build Mobile Apps | Wired Enterprise | Wired.com


表のブログに書いたことだが、FacebookはこのアプリのデザインツールとしてOrigamiなるQuartz Composerプラグインを開発した。(しかも公開している)

しかしそれは「話半分」どろか「話1/3」でしかなかった。彼らは他に2つツールを開発していたのだ。

・PaperのUIを実現するためには非常に複雑な物理エンジンが用いられている。それらのパラメータを実機上で簡単に調節するためのツール、Tweak。

・マルチコアのCPUをフレキシブルに利用するための(名無しのアプリエンジン)

少なくともFacebookはこれら3種類のツールを開発し、利用してPaperを世の中に送り出したのだ。

それらの詳細については、いつの日か表のブログに掲載される(いったいいつになった公開されるのだろう)のでそれを参照して欲しい。

ここ数日、Paperに使われているようなtilt-to-exploreのインタフェースを、他の人が使ったライブラリを使って操作していた。そして本家とのできの違いに愕然とした。これは何もそのライブラリを使った人の問題ではない。Paperの作り方が「普通ではない」のだ。

Paperの細かい点にいたるまで、どのような工夫がなされているかは、こちらのサイトに書かれている。こうしたデザイン、実装を可能にできる会社、人達と自分及び自分が置かれた環境の差異を考えるとき、暗澹たる気持ちになるのはどこか間違っているのだろうな。


Appleが任天堂を買収するという仮説

2014-03-10 07:18

先日こんな記事を読んだ。

Why an acquisition though as opposed to an exclusive deal? Well, I imagine Apple (or Google or Samsung) would certainly be willing to pay a vast sum for exclusive smartphone rights to the Nintendo catalog.

via: The case for Apple to buy Nintendo


Appleが「どこに買収されるべきか」と言われていたころから比べると隔世の感がある、、という話は何度も繰り返したのでやめておく。

Appleが任天堂を買収する、という可能性は私の頭をかすめもしなかったが、そうした可能性を唱える人もいるらしい。そして確かに任天堂が保有するソフトウェア資産の数々を考えれば、いろいろな企業が任天堂を買収しようとしても不思議ではない。(それが可能かどうかは別として)

というか私がサムソンの役員ならば、まずその可能性を考えるべきだろう。ポケモンが遊べるスマホはサムソンだけ!日本は別として、世界中でこのフレーズはアピールするに違いない。

とはいえ

問題は任天堂とAppleは同じ考え方をしている、という点にある。両者とも優れた「製品」を作るためにはソフトウェアとハードウェアの両方をそのために最適化しなければならない、と固く信じているわけだ。もちろんいつの日か任天堂がセガと同じ道をたどるかもしれない。しかしそれまでにはあと何代かのハードウェアの失敗が続く必要があり、いずれにせよ短期的にそうした方向転換が起こるとは考えづらい。

もう一つの問題として、任天堂とAppleは弱点も共通しているということがあげられる。両社ともServerベースのサービスを提供するのが絶望的に下手だ。となると任天堂が組むべき相手はGoogleということになるんだけどね。ウルトラCでMicrosoftというのはどうかな?


セールスを成功させるために

2014-03-07 07:01

私は何の疑問もなく地元の中学に行き、公立高校に進学した。私が住んでいる地方ではそれが当たり前だったからだ。

しかしローマ行けばローマ人のように振る舞わなくてはいけない。今住んでいる地方では子供の中学受験というものが迫ってくる。いろいろ考えるところはあるが、今日は「子供のための個別指導塾選択」の時の話。

最終的に3社を回った。その中で一社飛び抜けて特徴的なところがあった。

とにかくこい、と言われるので子どもと行った。体験授業でもするのかと思ったら分厚い売り込み資料を使ってのセールストークが延々と始まった。それ自体非常に鍛えられている、という感じがした。こちらの反応を上手く読み、時には子供に質問を投げかけ返答に大げさに感心してみせる。(しかし最初こちらが言った希望は完全に無視している)

親も同席させて20分ほど体験授業がある。これも「こうやってすごいテクニックがみにつきます」というこちらの受けを計算したような内容だった。

こちらは夕食前であり、そろそろお腹が減ってきた。早く帰りたい。しかしセールストークはまだ続く。見積もりをもらい、その額に驚愕したが顔には出さない。まあしっかり教えてくれることは間違いないだろう。では検討して返事を、というと相手は「いつごろ返事をいただけますか?。4日以内でないと一旦リリースになってしまうのですが」と言う。こちらは「あと一社見たいところがあり、それは来週に行く予定なので返事はその後でお願いします」という。そもそも「リリース」ってなんだよ。そっちの都合じゃないか。

すると相手は「いや、そのもう一社の見学を早めていただいて、今週末には返事をいただけませんか」と言う。いやそれはちょっと難しいですと答える。相手はそれにもかかわらず週明け(3社目訪問前)に一度電話をします、といった。

息子は授業内容にはなかなか感心したようだった。しかし「こちらの言いなりになれば、子供を志望校に入れてやる」といった態度の会社とつきあうつもりはない。「不採用理由」を問われそうは電話で言わなかったが「そちらの都合に合わせて返答をしろ、と言ったのは御社だけでした」と伝えた。

昨日こういうニュースを観た。

第三者委の調査によると、TOMASでは生徒が欠席したにもかかわらず授業を受けたかのように見せかけ、講習料を返金せずに売り上げに計上。名門会でも無料で行うサービス授業を通常の有料授業としていた。売り上げ目標を達成するために、常務ら複数の幹部が不適切な会計処理を指示していたという。社員には厳しいノルマが課せられ、ノルマが未達だと降給・降格はもちろん、ペナルティ教育が課せられており、3カ月ごとの信賞必罰の人事異動も行われていた。

via: 学習塾大手リソー教育、なぜ粉飾?高まる業界再編機運~厳しい環境で急成長路線があだに (Business Journal) - Yahoo!ニュース


これをみてあのセールスマンがなぜあそこまで強引に「売り込もう」としたのかが理解できた。同じサラリーマンとして彼のおかれていた境遇には同情するが、関わりにならなくてよかったと安心しているのも事実である。

そして息子には多分かけがえのない「学習」の機会になったのではないかと思う。一見華やかに弁舌さわやかに、しかし強引に売り込もうとする相手には注意しなければならない、ということを身をもって体験できたのだ。あるいは「巧言令色鮮し仁」という言葉を教えてもいいかもしれない。


自動車メーカーの奇妙なデザインセンス

2014-03-06 07:18

AppleのCarPlayが登場したことで、いくつか面白い点が浮き彫りになっているように思える。まずはこの意見。

  • The Volvo implementation looks pretty good.
  • The Ferrari implementation looks pretty bad (resistive touchscreen?). And who the hell buys Ferraris anyway?
  • The Mercedes-Benz dashboard panel looks like a $50 drugstore Android tablet taped to the dashboard.
  • via: Daring Fireball: 'It's the Software, Dummy'


    Volvoの実装はなかなかいい

    Ferrariの実装はひどい(抵抗皮膜式のタッチスクリーンか?)そもそも誰がFerrariなんか運転するのか?

    メルセデスベンツのは,5000円のアンドロイド端末をダッシュボードに貼り付けたように見える。

    ということで、興味深い点その一。ソフトウェアデザインがCarPlayに統一されることによって、各社の「デザインセンスの差」がまるわかりになってしまったのだ。

    もう一つ興味深い点。Ferrariは車の「外装」のデザインにはものすごい金を払い、労力をかけている。しかし内装というかダッシュボードに関しては、信じられないほど無頓着、ということだ。


    これはDaring Fireballの表現を借用すれば、5000円のAndroid tabletにも達していない。20世紀のカーナビそのままである。こんな製品ならDESNOでも作れる。

    watch how hard the person is pressing the screen here and please tell me I’m wrong and that Ferrari didn’t really put a resistive screen into a car costing $330k?

    via: Opinion: Does CarPlay go far enough, or should car manufacturers let Apple do more? | 9to5Mac


    ユーザがどれだけ強く画面を押しているか見てほしい。3,300万円もする車に抵抗皮膜式のタッチスクリーンを使うなんて!

    上記引用文章がどのようなことを主張しているかといえば

    「Carplayはいいとして、それは車のインタフェースの一部でしか無い。Carplay以外の要素を使おうとすれば(たとえばエアコンの調節)各社のインタフェースに戻る必要がある。ユーザは、運転中異なるインタフェースを何度も行き来することになる。いっそのことAppleが車内インタフェースを全部デザインしたほうがいいんじゃないか?」

    という点。しかし自動車メーカーはこの「ユーザに複数のインタフェースの使用を強制する」という点に関しては「自信」を持っているに違いない。彼らは長年そうしたことを平気でやってきたからだ。

    例えばToyotaのenTuneだが、このインタフェースはenTune内では共通。しかし他の部分とは完全に独立している。我が国の例で言えばG-Bookがある。これも他の部分とは完全に独立したインタフェースだ。

    彼らはハードウェアのデザインに関しては異常なほど気を使い、金を注ぎ込む。しかし不思議なことに未だに「ソフトウェアはタダ」という常識の元で生きている人たちでもある。ゴージャスな内装の中にゴミのような画面が表示されていても一向にかまわないらしい。ユーザからみれば同じ「インタフェース」なのだが、そういう視点はないようだ。

    誤解してほしくないのだが、私が知っている自動車会社(及び関連メーカー)のデザイナーは優秀な人達である。だから問題は実際に手を動かしている彼らと彼女たちにあるのではなく、経営陣にある、と言いたい。そうした「異常性」はこれまで「カーナビとスマホは別物だからね」というわけのわからない線引で正当化されていたのだろうが、これからどうなっていくんだろうね。仮に変わるとしても10年後かな。


    CarPlayに関する様々な情報

    2014-03-05 07:24

    まだ正体が知れないCarPlayだが(ここで正体が知れないといっているのは「どうやって動いているのか」という意味に置いてだ)いくつが情報が存在している。

    まずはベンツのCarPlay搭載ビデオ。


    このビデオでは、運転手が手の位置にあるデバイスでCarPlayを操作している。

    次にFerrariのビデオ


    こちらではタッチスクリーンを使っている。しかも画面とかスクロールは懐かしい「カーナビ」のそれだ。iPhoneのようにスムーズにスクロールことはない。

    もう一つはどうやらCarPlayを使う機器の車載器側は、QNXを使っているのではないか、という情報だ。

    Tech site N4BB speculated and later updated (via iDownloadblogwith a statement from QNX that Apple’s existing partnership with the firm extends to implementing compatibility support for Apple CarPlay.

    via: Apple’s CarPlay technology using BlackBerry subsidiary QNX? | 9to5Mac


    これが車載器側が「QNXしかサポートしていない」、なのか「QNXもサポートしている」なのかはよくわからない。いずれにせよCarPlayは様々な入力デバイスとインタフェースをとり、どのインタフェースでも動かせるようにする必要がある。これはなかなかに容易なことではない。

    またFerrariの画面があまりにも「従来のカーナビ」のようなのにも多少がっかりである。このCarPlayがゲームチェンジャーになるかどうかはもう少し様子を見ないとわからない。

    スマートフォンと車載器の連携はここ数年、自動車メーカーやナビメーカーがとりわけ熱心に取り組んできた分野で、今回、Appleが発表した内容もiOS以外の端末ではすでに実現済みのものがほとんどだからだ。

    via: Apple CarPlayが日本のカーナビ市場にもたらすインパクト (レスポンス) - Yahoo!ニュース


    これは確かだし、今までろくなものがなかったのも確かなのだが、CarPlayが碌なものかどうかは触ってみないとわからないのだ。

    もう一つ面白いと思うのは、自動車メーカーはいろいろなテクノロジーに分散して投資を行っているらしいということだ。彼らにとってみれば

    「どこがスタンダードになるかわからないから、まあいろいろ試してみるか」というところなのだと思う。

    私が前に勤めていた会社がやっているアルペジオも忘れないで下さい。

    がんばれDENSO+Uievolution.とはいえこのスライドは、、とても20世紀テイストですね。


    iOS Carplay

    2014-03-04 07:47

    昨年のWWDCでお披露目されたiOS in the carがようやく発表された。(一説にあったiOS7.1とは全く別のタイミングでだが)


    このVolvoのビデオを見ると、車の中のインタフェースも非常にゆっくりではあるが変わっていることを伺わせる。というかあれだけ散々あれこれやっておきながら結局ここに落ち着くのか、、とかはいわないことにしよう。

    詳細はまだわからないが、あれこれの情報から察するに画面を作るのはiOS側で行っており、マイク、スピーカー、タッチパネルなどの入出力インタフェースのみ定義されているのだと思う。Volvoは自社製のタッチパネルインタフェースとiOSを同居させているから、そうした制御も可能なようになっているのだろう。

    とはいえ実際に製品に触ってみるまでその実用性についてはなんともいえない。

    The risk seems clear: Apple isn’t building the hardware in the cars. Color me skeptical that this is going to work smoothly. Also, no third-party app support — yet.

    via: Daring Fireball


    私もこの意見に賛成だ。というか今のところ同じ疑念を禁じ得ない。iPhoneの強さはハードウェア+ソフトウェアがAppleのコントロールの元で一体化されていることにある。おそらくかなり自動車側はAir head(つまり空っぽ)になっているのだろうが、ユーザが実際に触れるのは自動車会社側が用意したハードなのだ。それで本当に快適な操作性が実現できるだろうか?

    またもう一つの強さ、Appによるエコシステムもまだ発表されていないし、おそらくサードパーティー製のアプリを認めるかどうかについては、自動車会社もあれこれいいたくなるだろう。などとやっているとあの「モトローラ製iTunesケータイ」のようなことにならんかなあ、というのを危惧する。

    でもって結局は前に書いたように「Google, Apple,Amazonが自動車メーカーを買収する」とかそんな話になるのか、あるいは結局自動車はそのままで次の世紀あたりまで行き続けるのかなとか。今は漠然と見守っていよう。iPhoneそのままダッシュボードに置くので十分間に合っているから。


    2013-2014ごんざれふ賞

    2014-03-03 07:10

    さて、今年も「ごんざれふ賞」発表時期がやってまいりました。ロスアンジェルスではまもなく変な賞が発表されるらしいですが、そんなことは気にせずはりきって行きましょー!拍手!(暗いオフィスに拍手の音がぱちぱち響く)

    対象作品は、2013/3/1-2014/2/28の間に「私が観た」映画です。いつ公開されたとかそんな細かいことは知りません。ではさっそくまいりましょう。

    作品賞:リンカーン
    なぜか周りには「眠くてたまらなかった」という評判が多いのですが、私はもう手に汗握ってみました。ゲティスバーグ演説とか暗殺される場面を直接映さず描写するあたりが、スピルバーグの熟練の技という気がします。というわけで

    監督賞:スピルバーグ(リンカーン)
    というかなぜ「あちらの賞」をこの作品があまり受賞してないんですかねえ。。

    主演男優賞:ダニエル・レイ・ルイス(リンカーン)
    だってしょうがないじゃないですか。いいんだもん。のっぽでちょっと猫背で、すぐ脱線を始めるリンカーン。優しい親しげな声と、奥様とののしりあう声。ちなみに、オバマが作った映画「オバマ」もよかったです。ダニエル・レイ・ルイス演じるオバマ大統領。

    主演女優賞:「少女は自転車に乗って」の女の子
    今年はあまり女優で印象に残っている人がいないです。作品リストを見返してみて一番印象に残った女性ということで彼女に。

    助演男優賞:クリストフ・ヴァルツ(ジャンゴ
    優しげな瞳の奥に悲しみが宿った演技がすばらしい。

    助演女優賞:「少女は自転車に乗って」のお母さん

    というかこちらが主演の気もするけど。

    「期待外れ」によかったB級(と思った)映画:
    今年はここが豊作でした。
    マイティー・ソー ダーク・ワールド:最後の決戦中地下鉄で移動するソーがすばらしい
    パシフィック・リム:ろけっと ぱーんち とか船をもって怪獣タコ殴りとか。
    47 Ronin:いや、これ面白いですよ。これから忠臣蔵はこれで行きましょう。

    では皆様お待ちかね、観てしまったなかで最低映画賞の発表です。

    観てしまったなかで最低映画賞:ゼロ・グラヴィティ

    君まで流されるぞー!命綱をはなせ!って宇宙にエーテルが流れてると思ってんのか?っていうかこの映画が面白いって言う人、どこがいいんですか?サンドラ婆の情けない呼吸音?

    例年「これは見るまでもない」と思う物は避けるので「最近外れ映画にあたることが少なくなってきた」と思っていたのですが。今年はなんと-1800円の部に9本もはいってしまいました。今年度はこの「大外れを避ける」のが目標。

    ではまた来年、「ごんざれふ賞」でお会いしましょう!拍手!(ぱちぱちぱち、と暗いオフィスに音が響く)