ニコニコ学会ベータで失望したという記事を読んで

2013-12-27 06:50

いくつか考えるところがあったので書いておきたい。

前半は初音ミクのオペラを作った渋谷慶一郎を囲む会で、ホリエモンはまだ出てなかったので、とりあえず安心。だが......

聞くのが苦痛だった。壇上の人々が何を言っているのかぼくはさっぱりわからなかったし、わかりたいという気にもならなかった。個別の単語はわかるんだけど、それが論理的にまったくつながっておらず、そしてそれを各人の発言も論理的にまったくかみ合わず、単にその単語の表面的なつながりだけであちこちふらふらするだけなんだもん。

via: ニコニコ学会ベータでの失望 (12/21) - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

こういう会話をする人は多い。というかほとんど芸の域まで達している人をみて「すごいなあ」と感嘆することはある。

こういう「何も言っていないが、とりあえずそれらしい単語を並べる」という話芸に出会ったとき、選択肢があれば私は黙る。何を言っても無駄だからだ。

ちなみに、ニコ生でついていたコメントも、半分くらいの連中はちょっとした言葉尻で知ったかぶりをしたい連中が半分、わからないことがなにやら深遠だと思っているバカが半分、あとの半分は正直にわかんないと言える連中だった。

via: ニコニコ学会ベータでの失望 (12/21) - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

これも「ふむふむ」と頷ける割合だ。というか「衒学的なゴミ映画」の映画評はほとんどこんな感じ。困ったことに映画評を自ら書く人間は、ほとんど「しったかぶりか深淵な事」を言いたがる人だ、というのが困ったところなのだが。

が、常識人だと思っていた江渡浩一郎が、それに同調しはじめたのにはさらに驚いた。「いやあ、大学卒と専門学校卒の人は全然ちがいますよ。絶対ちがいますよ」

......唖然。

ホリエモンはそれを受けてさらに、いや一体お前らが何を言っているのかわからない、と何度も繰り返した。

via: ニコニコ学会ベータでの失望 (12/21) - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

私は堀江という人をほとんど評価していないが、ここで「お前らが何を言っているかわからない」と公言できるところは「まとも」だと思う。しかし「場」というのは基本的に多数決の場所なのだ。おかしなことを言っている人の中で一人まともなことを言ってもなんともならない。

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こうした場所はいろんな場所で観たような気がする。いわゆる「日本人の議論ベタ」というやつである。もっと言えば「議論が芸になっていない」つまり傍からみて面白く無いのだ。

こうやって人前で議論するからには、「議論を聞いて楽しんでもらおう」と思っているに違いない。(金までとってるんだから)というわけで、壇上にいる人達は「観客に楽しんでもらう」という義務を負っているわけだ。

そう考えれば、少しは余裕をもって議論をできないかな?仮に意見が異なったとしてもそれは「俺の意見が否定されている!」じゃなくてプロレスラーが技を掛けあっているようなものだ。であれば、相手の技を見事にうけ、そのあと自分の必殺技を繰り出せば、観客はわいてくれると思うのだ。

日本人の議論ベタの根本にあるのは、この「余裕のなさ」だと思う。なんだか常に「皇国の興廃この一戦にあり」的な余裕のなさで議論するから傍からみてつまらなくなるし、感情的、抽象的になる。そんなところで何喋ったて対して変わるわけじゃないんだから、みんなの前でプロレスを披露してはどうかなあ、と思うのだが。


広報担当の仕事

2013-12-25 07:03

広報なる仕事に従事したことはないし、おそらく一生することはないだろう。だからその苦労については想像することもできない。というわけで見る側として無責任に文句を言えるわけだ。

サムソンは商業的にすばらしい成功を収めているが、そのCMのセンスの悪さでも定評がある。(今年のSuper Bowlが楽しみだ)最新作を見てみよう。

サムスンの意識としては「クリスマスプレゼント」(ついこちらと比較したくなる)のつもりなのかもしれないが、少々的外れなのではなかろうか。

しばしば巨匠の制作する映画には謎めいた部分が残る。サムスンのCMビデオを見て感じる違和感も、それと類似のものなのかもしれない。ともかくビデオを見て、そしていろんな人が感じた疑問点について考えてみて欲しい。

via: 皆が幸せなホリデーにちょっとイラっときたので、サムスンのCMにケチをつけてみた | TechCrunch Japan

いや、本当に見ていてイライラする。これを見て誰がサムソンの腕時計型端末を買いたくなると思っているのだろうか。しかし少なくともサムソンの広報はそう判断したのだ。あるいは全然違う思考方法で決定されたのかもしれんが。

しかしサムソンを上回る力作-そして斜め上の広報担当者の努力-がここにある。

NokiaのWIndows RT タブレットのCMらしいのだが、一体何が言いたいのだろうか。解釈に困ったときは人の意見を聞いてみるのがいいだろう。

Todd Green1 日前 Certainly a miss. They must have double agents in the ad department sinking them on purpose.
NOKIAを意図的に沈没させようとしている、二重スパイが広報部にいるに違いない。

うん。それなら理解できる。

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というわけで、おそらくうちの娘には受けが悪いであろうAppleのCMである。

[Apple - Holiday TV Ad - Misunderstood | YouTube

片時も iPhone を手放さず、クリスマスの家族の集(つど)いからもひとり離れている少年。

そんな少年が iPhone からテレビに映してみせた家族の姿・・・

みんなから離れていると「誤解されて」いた少年も、やっぱり家族の一員だったのだ。

via: Misunderstood(誤解されて) | maclalala2

WWDCでみたDesigned by Apple in Californiaの時からだが、Appleの「商品の姿を明示的に出さない」姿勢はここでも顕著である。

それ故うちの娘には「何が売りたいかわからない。ダメ」と評判が悪い。しかし私のようなApple信者からみるとここでAppleが目指しているものは明確である。

「人々の生活をよりよくする製品」

それは、髪の毛を生やすための製品でも、女の子に自慢するための製品でもない。
少なくともこの3種類のCMを見る限り、私はApple原理主義者でよかった、と思うわけだ。

さて、Tim Cookは2014年に新しい、おそらくは全く新しい製品を出すことを予告している。それはどんなものになるだろう。仮にiWatchと呼ばれるものであったとしても、それは「女の子にみせびらかしてナンパするための製品」ではないことが期待できる。


近視眼的になった日本社会

2013-12-24 07:08

日本のロボット開発については、このブログで文句を書くことが多い。しかしおそらく私は間違っている。というかものの一面しか見ていない。

デモしかできないゴミのようなロボットが有名になる一方でこういうニュースがあることを知る。

2013年12月20〜21日に米フロリダ州で開かれた、米国防総省高等研究計画局(DARPA)主催の災害対応ロボットの競技会で、最近グーグルが買収した日本のヴェンチャー企業「SCHAFT」のチームが1位になった。

via: DARPAロボコンで勝利した日本のヴェンチャー企業が、グーグルに買収された理由 « WIRED.jp

Darpa Grand Challengeのレベルと、日本の「ロボコン」を比べて悩む必要はない。ちゃんと日本のベンチャー企業は彼らと同じ土俵にたって勝てるのだ。つまり少なくとも「技術者の質」において我が国は世界で競えるレベルにあると結論付けることができる。

過度の一般化が大好きな私は同じような論法で、すなわち日本のメディアで取り上げられるベンチャーにゴミが含まれていることが多いことを理由に「日本のベンチャーもだめだ」と主張することがある。これも間違っている。なぜか日本のメディアでは大きく報道されないがすばらしい仕事を成し遂げている日本人が経営するベンチャーはいくつも存在するのだ。

では何が悪いのか。

今日はその一つだけを書いておく。

鎌田は「SCHAFTは、トップレベルの研究者たちが、寝食を忘れて努力している。これで、世界と戦えないはずがない。ただ、日本の投資会社や投資家は、短期間で結果を求める。ロボットのように10年単位でみていかないといけないものには投資をしたがらない」と指摘する。

via: DARPAロボコンで勝利した日本のヴェンチャー企業が、グーグルに買収された理由 « WIRED.jp

若い人がこの文章を読んでどう思うかわからない。しかし年寄りの私はかなりの感慨とともにこの文章を読む。

1980年代から90年代にかけ日本はとても強い国と思われていた。そしてその強さを分析する報告がいくつも存在していた。

ここに書かれていることは、その「強さの理由」の丁度裏返し、米国は「こうだから弱い」と言われていた理由そのままである。当時日本は終身雇用制と安定したケイレツの強さで、四半期ごとの決算に追われる米国企業とは異なり、長期的な技術に投資することができる。それ故強い、と言われていたのだ。いつのまにこんなことになってしまったのだろう?

もちろん「そもそも当時の分析が的外れだった」ということもできるが、おそらくそれは正しくない。では問題はどこにあるのか。ジューコフの言葉を持ち出して投げっぱなしにしても問題は解決しない。


SIMフリーiPhoneで困った人

2013-12-20 06:44

SIMフリーiPhoneが何の前触れもなく発表された。その直後の反応がいろいろおもしろかった。

今の携帯電話の課金体系というのは、誰も理解できないほど複雑になっている。しかしマクロでみてみよう。携帯電話3社は、お互い競いながらも実に莫大な利益を挙げている。つまりもうかっているのだ。仮に古典的な資本主義の論理を用いれば、自由競争の元では利益は0に近づくはずなのに。

というわけで、一括0円だの、なんとか割引とか言われてもほとんどの人はかなりの料金をぼったくられていることになる。なんとか割引で目をくらませながら、結局キャリアが得をするようになっているのだ。

そこにでてきたのSIMフリー。これをやられると「本体代金」と「月々の通信料」がまるはだかになってしまう。これはまずい、ということでいろいろな動きがあるように思う。まずしがらみのない(であろう)立場の声

普通に3キャリアでiPhoneを買った場合。
本体大の割引の月々サポートがかかるとはいえ、かかる料金は毎月約8000円。
2年間使ったとして
8000円×24=192.000円。

AppleストアでSIMフリーiPhone買ってmvnoで使ったとして。
iPhon5s 16GBで本体代71800円+(980×24)=95.320円。

オーマイガッ!!半額!!

via: ■SIMフリーiPhoneで泡を吹いたひとリスト。そしてmvnoデビューすれば最強。 | iPhone愛用中・元ドコモ店員のブログ

ところが既製のメディアだとこんなことを書くわけにはいかないようだ。CNETという媒体があり、トップに記事が並んでいる。だいたい日替わりでトップの記事は入れ替わっていくのだが、不思議なことにずっと掲載されている記事がある。そこから引用しよう。

そして、通信事業者(キャリア)の複雑な販売システムから逃れ、端末と回線を分離して自由にしたいと漠然と考えている人も多いだろう。分離すれば月額1000円以下の低価格SIMを使って安くiPhoneライフをと考えている人も多いかもしれない。

 しかし、ちょっと待ってほしい。SIMフリーiPhoneは特定のキャリアを利用しなくていい代わりに現在の手厚いキャリアの優遇措置も受けられないため、買い方によっては損してしまうこともある。

via: SIMフリーiPhoneはお得?--フリーダムを考える - CNET Japan

多分この記事を「かかされた」人はわかってやっているのだと思う。「しかし、ちょっとまってほしい」は朝日新聞のトンデモ記事を揶揄する時の常套句だからだ。

この記事を読むと「何のことだかわからんが、まあ3キャリアを選んで置けば安心か」と誰もが思うだろう。そうした点では実に見事な文章だ。

「手厚いキャリアの優遇措置」などというものの、その優遇措置の原資はどこから来てるんでしょうね?キャリアはボランティア精神にとむNPOだとでも?

この記事がトップに掲載され続けているのにはやっぱり理由があるんだろうなあ、と思う今日このごろである。それだけSIMフリーiPhoneの衝撃は大きかったのだろう。

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ちなみに私はiPhone4S(海外から輸入版)+IIJのSIMで大変ご機嫌にくらしている。問題は次だ。

Mac Book Airは手放せないので、テザリングができないと困ることが多い。ところが国内で販売されているSIMフリーiPhoneはテザリングができないらしい。これは困った。(シャッター音はまあ我慢するとして)

というわけで、また海外から輸入しなくちゃならんのかな。。iPhone6Cだと思うが。問題はキャリアである。正確に言えばMVNO業者。

IIJでご機嫌だったのだが、Biglobeが新しいプランを出してきた。こちらには無線LANがついているところが大きい。となるとちょっと浮気しようかとも考える。しかしそう遠くない将来子どもたちがスマホをもつことを考えると、IIJの3枚SIMを使える「ファミリーシェア」は非常に強力だ。奥様はどうしようもないが、子供二人と3人で仲良く使って2688円。ところがBiglobeでSIM3枚を持とうとすると3980円。この差は痛い。そりゃもちろん使えるデータ量が大きいんだけどね。

それに動作検証の結果を開示する点でもIIJのほうがいいし、、というわけで悩みはつきないのであった。

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その昔私はこう書いた。

「iPhoneを日本で販売してくれれば、家族全員乗り換えるぞ」

その孫社長であるが、多分日本の携帯電話業には飽きたんだと思う。最近とんと姿をみせない。おそらくSprintとT-Mobileの件で忙しいのだろう。

記事中には具体的な情報はあまり含まれておらず――ただし、「ソフトバンクの孫正義が中心になってこの話を進めようとしている」という点は目を引く

via: ソフトバンクと米T-モバイル--異端児をトップに戴く「似たもの同士」? - ZDNet Japan

今やiPhone,iPadの発売は恒例行事となった。だからもうそんなところには顔を見せない。AT&TとVerizonが2強となっているアメリカで、また日本でやったような「3位からの逆転」を目指しているのだろう。しかし元気な人だ。ところでソーラーなんとかはどうしたんですか?

その手法にはいろいろ批判があっても、ついこないだまで「出版なのかなあ」というぼんやりしたイメージを持つだけだった企業が今や米国第3位のキャリアになろうとしている。こうした急成長にはいろいろな要素があるのだと思うが、それについてはまた別の機会に。


企業が馬鹿げたことをするとき

2013-12-19 20:07

サムソンの折りたたみ式スマホが「ようやく」発売延期になった。

Galaxy Foldはディスプレイの不具合により正式出荷が延期されるという今朝の報道をSamsung(サムスン)は先ほど確認した。TechCrunchに届いた同社の声明によれば、4月26日の今週金曜日に予定されていた出荷はキャンセルされるという。
引用元:Techcrunch

彼らは数日前にはこういう「強気の声明」を出していた。

サムスンの返事はたいへん強気で、苦情の投稿者はそれを正しく使っていないと非難しているようでもある。米国では4月26日という発売予定は変えていない。
(中略)
声明の全文はこうだ。 「初期のGalaxy Foldの一定数のサンプルがレビューのためにメディアに提供された。われわれは提供されたサンプルのメインディスプレイに関するいくつかの報告を受け取った。われわれはその実機を徹底的に調べて、問題の原因を判定したい。 「これとは別に数名の評論家が、ディスプレイの最上部層を取り去ったら画面に損傷が生じたと報告している。Galaxy Foldのメインディスプレイは最上部に保護層があり、それはディスプレイの構造の一部であって、画面を意図せざる擦過傷から護ることが目的だ。その保護層を取り去ったり、メインディスプレイに接着剤をつけたりすると損傷が生ずることもありえる。我々は、この情報が顧客に確実に届くようにするつもりである」。
引用元:Techcrunch

この数日の間、サムソン内部でどんな喜劇的な怒鳴り合いがなされたか。サラリーマンならば想像するだけで寒気がするだろう。言った、言わないの応酬。そもそもこの製品にゴーを出したのは誰かという責任の押し付けあい。延期の発表をどのように行うかでの罵り合い。

私は年寄りだからよく覚えている。倒産まで数ヶ月の位置にあったころのAppleも変な製品をよく発表していた。

このエピソードで不思議なのは、全体としてみるとサムソンはとても成功しているという事実だ。これはどんな成功している企業でもたまにはバカなことをやることは避けられない、という事実なのか。あるいはこれからサムソンが凋落する兆しなのか。あるいは単に「こういうこともあった」という独立した事象なのかは今の時点ではわからない。

そして年寄りは昔を思い出して嘆息する。今や日本の家電メーカーはこういう「バカな判断」をすることすらできない。彼らのうち何社かは今だにスマートフォンを作り続けているが、それは批判の対象にすら値しないものだ。

30年前にこんなことになるとは夢にも思わなかった。だから将来の予測なんてどうでもいい。好きなことやんな、と子供には言っている。


増やすことはいいことだ

2013-12-19 20:07

マンションの自治会とか、保護者会というのは会社と違った難しさがある。誰が上役かわからないし「なんとなく」で物事が決まる。誰もが不満に思っていても。

この人はどんな人かしらないが、これはなかなか言えることではない。

週休2日制になったタイミングで、幼稚園で毎年開催しているフェスティバルのリーダーを引き受けました。最初の一年は、全ての定休日をそれに捧げましたよ。

(中略)

具体的には、どんなことを実践されたのでしょう?
宮崎 最も重視したのは、最初に決めたスケジュール以上は絶対に活動日を増やさないこと。そのためにも、途中で余計な制作物を増やすことはやめましょうと。なるべく負荷をかけず、決められた日程の中で可能な内容に収めることが大事だと考えました。

引用元:倒産まであと半年ーー老舗旅館・陣屋の復活を託された夫婦が取り組んだ“働き方改革”|宮崎知子さんインタビュー - はたらく気分を転換させる|女性の深呼吸マガジン「りっすん」

老舗旅館の女将をしながら、幼稚園の行事のリーダーを引き受ける。これだけでも大したものだが

「活動日は増やさない。制作物も増やさない」

はなかなか言えることではない。私の経験の範囲で言えば、一人妙にはりきる人間がいると、作業日数と制作物がとめどもなく増えていく。しかも

「それは無駄だからやめましょう」

はなかなか言いづらい。ハリキリが善意で言っているのは明白であり、善意を否定するのは悪人の印と思われないか心配になるからだ。

しかしそうした結果何が起こるかといえば、ハリキリの自己満足と、それ以外の人間のうんざり感。結果として悪しき伝統が残り多くの人が不幸になる。

日本の伝統的企業の残業時間にも言えることだが、The more the betterの概念に逆らうのはそう簡単なことではない。だから今日も私は早く帰ります、とこの歳になると言えるのだが。


カポーの歌

2013-12-19 20:07

今「夜と霧」という本を読んでいる。

強制収容所に入れられてしまった精神科医の記録。明日生きているか死んでいるかは、ほんの偶然で別れる。生き延びるための努力をすることができるが、その努力が「成果」につながるかどうかはわからない。何度か言及される「テヘランの死神」-ある男が死神に出くわして驚きテヘランまで逃亡する。死神は「驚いたのはこっちだ。奴には今夜テヘランで会うはずあったのに」と告げる-この状況でどう生きればいいのか。

それについてはいつか書くこともあるだろう。今日書きたいのはこの本にでてくる「カポー」である。同じ強制収容所に入れられた身でありながら、病的なサディストは監視役に回ることができる。そして思う存分自分のサディスティックな欲求を同胞に対してふるうことができるのだ。その監視役をカポーと言うらしい。なぜこんなことを書いているかといえば

「面談者の部長から、『今の部署に残りたいというのであれば、どのように貢献できるのか、示せ』と言われた。面談のたびに貢献策を提案したが、部長からは毎回駄目出しを食らった。結局、何を提案しても無駄な抵抗と感じた」(54歳、NEC経理)

「6回めの面談時に、『面談をやめてください』と何回もお願いしたが、部長は『答え(早期退職の選択)が出ない限り終わらないのよ~』と冷たく言い放った。いつまで面談が続くのかと、絶望感に襲われた」(54歳、NEC技術)

引用元:早期退職しない限り面接が続き…「45歳以上クビ切り」横行中(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース

日本では社員を解雇することは簡単ではない。それゆえこのようなことが行われる。ほとんどの人はこの記事を読めば「社員かわいそう、会社けしからん」と思うだろう。私はこの「部長」のメンタリティについて考える。彼らはカポーだ。

部下にクビを告げることはつらいし、危険だと米国の管理職の手記を読んだことがある。これはそれよりはるかに陰湿。同胞に対し「辞めます」という答えが出るまで「貢献策を示せ」と言い続け、何を言われても「それはだめだ」と言う。

私は一生部長などと言う肩書きを持たずにサラリーマン人生を終えるが、こんな仕事をさせられるのなら「NECの部長」などという肩書きには近寄りたくもない。

カポーはどんな気持ちでこの仕事を行なっているのだろう。会社の命令ならば、こうしたことを平然とこなせるメンタリティでなければNECの部長にはなれないということだろうか。あるいは少しは人間らしい気持ちが残っており葛藤しながらこうした仕事を続けているのだろうか。



仏教と呼ばれているもの

2013-12-19 20:07

この本を読み返していた。

高校の授業でゴータマの悟りについて学んだ時から今の仏教について「一体なんなんだ」と疑問に思い続けていた。そもそも彼は地獄についても極楽についても語っていないではないか。なのになぜ私は「神様仏様」と祈るのか。

一人の人間の瞑想法と悟りが、いつしか超人的な神と結びつき、あげくのはてには「とにかく念仏だ」「とにかく何妙法蓮華だ」となるのはどうしてなのか。もっといえばなぜ戒名に金を払わなければならないのか。何を言っているか一言も理解できない読み上げになぜ大金を払わなければならないのか。全部「仏教」という名前でひとくくりにされているが、その実態はあれが付け加えられ、これが付け加えられの複合体である。

そういった歴史を無視して「とにかく仏教で葬儀だ」と子供の頃から教えられていると

弊害というと言葉は悪いですが、直葬で困ったのは四十九日法要だったと田中さんは振り返ります。「何となく位牌はあったほうがいい」「やっぱり一区切りとして法要はしたほうがいいと思う」という意見は母親も含めて家族全員一致。特別に信心深いわけではないのですが、「法要、お盆、お彼岸などを通じて、亡き人へ思いを馳せるという行為はきちんと子や孫に伝えていきたい」という思いがどこかにあったのでしょう。火葬しておしまい、という形にはしたくなかったようです。

引用元:「親の葬式をしなかった」59歳男に一生残る後悔 | 家庭 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

かくて故人が葬儀、墓なしと遺言しても「なんとなく位牌は」とか「なんとなく法要は」という強迫観念が植え付けられることになる。

そもそも位牌とはなんなのか。法要とは何を意味するのかについて坊主ではなく、歴史の観点から教育するといいのではないかと思うのだけどね。今の仏教は「呪い」と一体化している。位牌がないとなんとなく落ち着かない。法要しないとなんとなく悪いことが起こるような気がする。

個人を偲び、残された者たちが定期的に集まるのはいいことだと思う。しかしそこになぜ仏教が絡んでくるのか。私が死んだ時には、宗教関係にビタ一文払ってはならん、と遺言するつもりだ。それは金銭的な損害を防ぐためではない。思考や学びを放棄していることを意味しているから。

それを無視されたところで

「化けて出る」

ことができないのはなんともつらいところだ。


アメリカの河村たかし

2013-12-19 20:07

名古屋市長は河村たかしという人である。いうことなすことデタラメだが名古屋人には受ける。それゆえ市長の立場から追われることはない。

現在の合衆国大統領もありとあらゆるバカなことをやりながら、その地位から追われることはない。なぜなら彼はアメリカ人に受けるから。これが民主主義というものである。

ムラー氏は29日の声明で、ロシアによる大統領選介入については、体系的かつ多岐にわたる介入があったと断定した。
これに関する捜査で、トランプ大統領の司法妨害があったかについては、もしトランプ大統領が「明らかに罪を犯していないと、自分たち捜査陣が確信できていたなら、そのように結論していたはずだ」と述べた。
さらに、現職大統領を連邦法違反で起訴しないというのが長年の司法省方針のため、自分たちにトランプ氏を起訴するという選択肢はなかったとも述べた。
4月に発表された448ページにわたる捜査報告書では、トランプ氏とロシアの共謀は特定できなかったとした一方、大統領による司法妨害と考えられる行為を10件挙げている。

引用元:ムラー特別検察官は「矛盾だらけ」 トランプ氏、声明に反撃  - BBCニュース

ムラー特別検察官の記者会見の様子をダイジェストで見た。実に理性的でプロの仕事をしているという印象を得た。大変慎重に、正確な事柄を述べている。それゆえ大多数の米国人には理解できないだろうが、彼は明白に

「議会は大統領を弾劾しなければならない」

と言っている。大統領による司法妨害が存在する。しかし大統領はその地位にある限り起訴されることはない。憲法にそう書いていある。それゆえ議会が弾劾し大統領を罷免された後に起訴が可能になる。ニクソンの時からこの構図は変わっていない。法律を遵守すればそういう行動しかとれない。

しかし「上院で弾劾決議案に反対すれば共和党だろうが政治生命を絶たれる」状態にはなっていない。それゆえトランプは安泰。仮にホワイトハウスに録音機器が設置されていても、今の世の中だから暗号化されており、一瞬にして消去できるだろう。だからスモーキングガンは存在しようがない。彼は再選すら可能かもしれない。本来弾劾され、刑務所に行くべき人間が大統領として再選される。我々はこういう現実と折り合いをつけなければならない。


遵法意識

2013-12-19 20:07

リーマンショックに関する本を読んでいると、米国のSEC(証券取引委員会)はなかなか強力な組織であるように見える。もちろん米国人からみればいろいろあるのだろうが。

日本でそれに対応する組織もあるのだろう。ときどき会社で「インサイダー取引はいけません」研修もあることだし。しかしその権限はどうなっているんだろう。

コロプラの値動きとか見たら、知ってて気楽に仕込んでて、情報出てから利確玉ぶつけられるんだから、後追いなんかでは勝てまへんわ(´・ω・`)

引用元:ざら速(ザラ場速報) @ときどき仮想通貨さん

ドラゴンクエストというゲームがあるらしい。私は一度もやったことがないが、それでも名前を知っているくらい有名である。それがポケモンGoもどきのゲームを発表したのだそうな。でもって開発するのがコロプラ。発表の1週間前から株の取引高が急増していたとのこと。

これがインサイダー取引でなくてなんだというのだ。これで儲けた連中を根こそぎ捕まえてこそ証券取引等監視委員会ではないのか。

日本における株取引というのは、素人のはめ込み合戦になっているのではないかと思える節がある。この点においては

「ルールを厳格に守った上でのガチバトル」

という米国方式を見習うべきではなかろうか。


お国柄

2013-12-19 20:07

今私が働いているのは、皇居半蔵門から歩いて数十mのところである。先日やたら道路に警官がたっているのに気が付いた。トランプが来るだいぶ前からそんな調子だった。

警察にしてみれば「さっさと帰ってほしい」というところだっただろう。関係者の方々の苦労を想像するだけで私は倒れそうになる。

さて、無事帰国したトランプは今度は英国に行っているようだ。

もしドナルド・トランプ米大統領がロンドン中心部を通過中、大統領専用車「ザ・ビースト(猛獣)」の防弾ガラス窓を開けてみようかと思ったとしても、すぐにまた閉めてしまうはずだ。
トランプ氏に対する抗議デモの参加者は、車列から遠く離れた場所に追いやられていた。それでもブーイングの声は大きく、プラカードの内容は露骨で、メッセージの内容は罵倒にあふれていた。

引用元:ユーモアと罵倒とイギリスらしさと ロンドンの反トランプ氏デモ - BBCニュース

これが「イギリス流」ということなのだろう。わが国でトランプに抗議をした人間がいたかどうか知らないが、少なくとも話題になっていなかったことは確かだ。大相撲観戦では結構観客に受けていたようだし。

こういうのはまさに「お国柄」でありどちらか良いとか悪いとかいう話ではない。ただロンドンでの抗議に見られる「ユーモアの精神」は見習いたいと思う。

議事堂前のパーラメント広場では、ウィンストン・チャーチル像の目の前で赤ちゃんトランプの巨大風船が風に揺れていた。実にイギリスらしい皮肉だ。
トランプ大統領のお面を被り、檻(おり)に入れられたゴリラの格好をした人がいた。その隣には、囚人服姿で次期首相候補のボリス・ジョンソン前外相を真似する人がいた。
トランプ大統領の顔が印刷されたトイレットペーバーが、2個入り5ポンド(約700円)で売られていた。
ホワイトホール(官庁街)へ続く道に並ぶ同僚の警官たちに、ハリボーのお菓子を配って歩く警官もいた。
こうした地上の騒ぎを、ビッグ・ベンの修理に当たる作業員が足場から見下ろしている。
なにもかも、あまりにイギリス的だった。

引用元:ユーモアと罵倒とイギリスらしさと ロンドンの反トランプ氏デモ - BBCニュース



Let's talk about transition

2013-12-19 20:07

これはPowerPCからIntelに移行する時、Steve Jobsが行った言葉である。さてMacとiPhoneがTransitionを迎えているという噂が絶えない。

具体的に言えば、MacはIntel CPUからARMに、iPhoneはライトニングケーブルからUSB Type-Cに、というやつである。

例によってそれがいつどのように起こるのかは(Appleの外にいる人間には)誰もわからない。USB Type-Cへの移行はもっと早く起こると思っていたが、まだ起こっていない。ARMへの移行はまだ先だと思っていたが、最近噂が喧しい。

前に一度「USB Type-Cを使うとiPhoneが分厚くなるからありえないよ」という考察を紹介したことがある。しかし最近のiPhoneは薄さの追求をやめたように見える。であればUSB Type-Cの搭載になんの問題もないかもしれない。しかしいずれにせよこういう問題は残る。

If Apple replaced Lightning with USB-C on the iPhone, they’d have to ensure that the USB-C standard issues would not become Apple customer support issues.

引用元:iPhones and USB-C

話としてはこういうことらしい。USB TYpe-Cという形のケーブル+コネクタはたくさんある。しかしそれがどう動作するかは千差万別。ケーブルによってはきちんと接続されても、電源供給にすら使えないものもあるらしい。

思えば電子機器につなぐケーブルは長い長い進化の道のりを辿ってきた。年寄りに昔話をさせるといつまでも終わらないと思う。それがたどり着いた先が

「外観はUSB Type-C。動くかどうかは神に祈りなさい」

となるのは皮肉である。いつの日か全てのUSB Type-Cケーブルに、「全て動作に必要なチップ」が搭載されることなどありえない。だからこの状態はきっと長い間続く。それがどうやって終わるのかは今のところ見えない。



AKBビジネスの末路

2013-12-19 20:07

高井麻巳子の旦那がかんでいるアルファベット3文字のグループが嫌いである。極力目に入らないようにしている。

「ほら!あたしをみて!あたしに金を払って!」

という露骨な表情は正直と言えるが、見ていてあまり気持ちのいいものではない。

さらにどうでもいい総選挙というものがある。ここ二年は順位より「いかに世間の憎悪を掻き立てるか」という争いになっているようだ。

「悪評は無名に勝る」を実践し、新たなアイドル像を作り上げているパイオニア・中井りか。AKB48を、そして既存のアイドルという枠組みをどうやってぶち壊すのか。その道の先は明るいか暗いか、どちらにせよ目が離せない。

引用元:【第10回AKB総選挙】“炎上女王”NGT48中井りか「やっちまいました!」文春砲に直撃された(オリコン) - Yahoo!ニュース

日本娯楽提供公社のビジネスもそろそろ行き詰まってきたようだ。70−80年代のアイドルの映像を見、歌詞を聞くと「こんなことを言っていたのか」と驚くことが多い。しかし思うにそれはアイドル-偶像を維持するための努力だったのではないか。偶像はそうして守られなければならないと誰かが考えていたのだ。しかしその知恵はどこかに消えてしまった。

無名より悪評は確かに真実だが、長続きしないものこの世の真理だろう。どうせ短いビジネスの先行きであれば、なんでもやってしまえということなのかもしれない。それも一つの判断。ただ生身の人間がからむと不幸がおきるから、全部2次元に置き換えることはできないかなあと考えている。



我が国の「有名」スタートアップ列伝

2013-12-19 20:07

投資を扱った漫画のドラマが始まるのだそうな。でもって登場人物に本物の「社長」がでてくるとか。

テレビ東京、7月13日深夜ドラマ「インベスターZ」放送開始
・メルカリ小泉社長
・ユーグレナ出雲社長
・ピクシーダストテクノロジーズ落合CEO
・メタップス佐藤社長
・SHOWROOM前田社長
・ビズリーチ南社長
・堀江貴文(語り)

引用元:じろ(26)さんのツイート:

日本の「有名スタートアップの社長」といえばこんなのばかりだ。いや、ちゃんとした企業もあるのだろうが、なぜかそういう社長は有名にならない。ここに並んでいる名前と比べると、南場とか、GREEの社長がまともに見えてくる。もちろんジェフ・ベゾス、イーロンマスクとは比べものにもならない。

そろそろこういう状況を空気のように感じるべきだと思う。なんともならないのだから。とはいえなあ。

---

そのイーロン・マスクだがTeslaにおいて従業員によるサボタージュ行為が発覚したらしい。さらにそれを告げるメールも流出している。

マスク氏は17日夜に従業員に送信したメールの中で、問題の従業員が「大規模かつ破壊的な妨害行為」を告白したと説明。この従業員が製造運用システムのコンピューターコードを改ざんしたほか、大量の社外秘情報を第三者に引き渡したとしている。

引用元:CNN.co.jp : テスラ従業員が操業妨害、運用システム改ざんや情報漏洩 - (1/2)

こちらもある意味CEOに似た従業員がやってくるのだろう。「うるさい子供の親は、やっぱりうるさいのよ」と母が言ったことがある。ある程度本当だと思うし、狂ったCEOの元には狂った従業員が(も)集まるというのも事実だろう。

宮崎駿じゃないが、狂った偉人と働くというのはどういうことなんだろうね。私なら3時間で倒れそうだが。


太陽光発電の未来

2013-12-19 20:07

新幹線によくのる。外を見るたび、放置された農地が太陽光発電パネルに覆われていくような気がする。住宅用太陽光発電の仕事をしていたのは何年前のことだったか。

今や住宅の屋根よりも、そこらへんの空き地が太陽光パネルに覆われる状況である。あのまああの会社が太陽光パネルを生産していても、中国製に勝てなかっただろうから、撤退は悪い判断ではなかったのだろう。というか今そこらへんに設置されているパネルってどこ製なんだろうね。

それはそれとしてあのパネルを見るたびに思うのだ。これは一体なんの役にたっているのか、と。

5月後半には日差しの強い日が続き、太陽光による電力が送電網に溢れる事態に陥った。これによって電力の価格が急落したことから、カリフォルニア州は再生可能エネルギーによる発電量を抑えるようよう命じた。

その結果、なんと95,000MWという膨大な量の電力が無駄になってしまった。送電網を運用するカリフォルニア独立系統運営機関(CAISO)によると、これは「3,000万世帯に1時間分の電気を供給できる量」に相当する。

引用元:電力が供給過剰に? 太陽光発電の急成長がもたらす「新たな問題」|WIRED.jp

電気は安価に貯蔵できない。これが大きくて、かつ本質的な問題だと思うのだが、「二酸化炭素増加による地球温暖化」の声に比べるとほとんど語られることはない。結果先ほど引用した記事の後ろにはこんな曖昧な言葉が並ぶ。

当然ながら解決法は複雑なものになるだろう。それでも、政策やインフラ、イノヴェイションなどの領域における対応や大規模な投資は、再生可能エネルギーと化石燃料という「ふたつのエネルギー」に分断された世界の問題解決につながる可能性がある。

引用元:電力が供給過剰に? 太陽光発電の急成長がもたらす「新たな問題」|WIRED.jp

解決策は見つからないまま、空き農地が太陽光パネルに覆われる。夏のクーラーのピークカットには確かに役立つに違いない。しかしそれ以外の季節はどうする。他の発電施設を減らして、空が曇ったら誰が面倒をみてくれるのか。

時々思う。今から十年、二十年後あのパネル群はどうなっているのか、と。それを私が見ることができるかどうかは別問題だが。


色々な形のマインドフルネス

2013-12-19 20:07

というわけで、マインドフルネスである。先日こんな記事を見つけた。

私たちはひとりひとり価値観が違う。そのため、アドバイスをされても受け入れることができなかったり、良かれと思ってしたアドバイスを受け入れてもらえなかったりするとモヤモヤしてしまう。そうした不満が積み重なっていくと、人間関係にヒビが入る。

 そんな状況を招かないためには頭の中の雑念を取り除きながら「今」という瞬間に集中し、相手の話に耳を傾けていくのがポイント。相談をされた時こそ「何ができるか」と考えず、相手の話を無条件に受け止めていく必要があるのだ。

引用元:人の話を聞くと疲れちゃう人に朗報! 精神科医お墨付きの“聴く技術”とは? | ダ・ヴィンチニュース

ここで書かれていることはまさにマインドフルネスで説かれているとことである。「今」に集中し自分の感情に反応することなくひたすら観察する、ということ。

社会人生活30年を超えたがいまだにいくつかの会議のあと異常に疲れる。最近ようやく

「会議の間なんらかの理由により自分の頭が空回りをしているのだろう」

と原因を推定するようになった(あっているかどうかは知らん)

というわけでこれからそういう会議に出た時は、ひたすら頭が反応しない修行と考えよう。この修行が完成したころには、私は会社勤めが終わっているかもしれない。しかし近所のあつまりとか私が疲労する打ち合わせはいくつも存在している。きっと何かの役にたつはずだ。


武士の商法

2013-12-19 20:07

アメリカで時々聞くフレーズだが「本当の狂気とは何か知っているか?同じことをなんどもなんども繰り返して、結果が違うことを期待すること」というのがある。過去三十年に渡りダイエットに失敗している私などは間違いなく狂人なのだが、私だけが狂っているというわけではない。


人工知能

2013-12-19 20:07

人工知能という漢字4文字にひらがなを付け加える。

「人が工(つくり)あげた知能」

というのが普通考えるところ。

「人で工(つくり)あげた知能」

というのは世の中に存在している一部の人口知能らしい。

It’s hard to build a service powered by artificial intelligence. So hard, in fact, that some startups have worked out it’s cheaper and easier to get humans to behave like robots than it is to get machines to behave like humans.

引用元:The rise of 'pseudo-AI': how tech firms quietly use humans to do bots' work | Technology | The Guardian

適当な訳:人口知能を活用したサービスを作るのは難しい。あまりに難しいため、いくつかのスタートアップは機械を人間のように振る舞わせるかわりに、より安価で容易に人間をロボットのように振舞わせている。


「弊社は人工知能を使ったサービスを展開してます!」と声高らかに宣言している企業の中には安価な労働力を集めてきて人間を働かせているところがあるというのだな。

誘導装置を開発するより一銭五厘の赤紙で人間を徴兵したほうが安いといっていたかつての我が国のようだが、さっきからこの行為につける適切なネーミングはないかと頭を悩ませている。人口知能とかさ。あるいは一銭五厘の人工知能とでも言おうか。ここで大事なのはやはりネーミングだと思うだよね。


I hate Microsoft

2013-12-19 20:07

断るまでもないが、マイクロソフトの社員が嫌いなわけではない。マイクロソフトという会社が嫌いなのだ。とにかく金儲けのことしか考えていない。

先日学会関係であったことはここでは述べない。かわりにこの素敵な製品を見よう。

MSDongle

引用元:9to5Mac

Microsoft Surface ProにUSB Type-Cポートをつけるためのアダプター。$80だからおよそ1万円。そして大きさは電源なみ。さらにこれは本体が電源に繋がっているときしか動かないというボーナスつき。

いや、わかるよ。USB Type-Cなんて需要は少ないし、誰も買わないから数量が少なくて高くなることは。そんな隙間製品は適当な外注につくらせて、マイクソフトの利益を上乗せして値段をつける。これは全く正当な行為だ。

こういう製品を平気で出してくるところが、マイクロソフトという会社を私が好きになれない原因だと思う。



人工知能芸人と前線で戦う人たち

2013-12-19 20:07

以下に示すのは、東大の松尾教授が一時公開していた「AIの未来予測」である。

未来予測

ちなみにこのあと松尾教授はもっと穏当な予想に戻している。しかし講演では「この予想より進歩は早いです」と付け加えることを忘れないのだが。

さて、東大教授の2015年末の予想によると、2020年までには言語理解、大規模知識処理が少なくとも研究のレベルではできあがっていおり、3年後には産業化ができるのだそうな。横軸が曖昧だが過去において難問と言われていた記号接地問題は松尾研究室ではもう解消されているのだろう。翻訳も解決済み。家事、介護をやってくれるロボットはビジネス化間際。来年あたりには松尾研が自動プログラムを公開してくれるらしい。だって東大教授がそう言っているんだもの。

さて、大学の教授とは異なり一方実際に商売をしている人たちの現実である。

同社が最近The New York Times(ニューヨークタイムズ紙)に語ったところによると、Duplexの通話はコールセンターの人間オペレーターがやってるものが少なくない。だいたい、通話の4分の1は生きた人間の声で始まる。マシンが始める通話も、その15%は人間の介入を必要とする。 Googleは昨年のデモで、人間がシステムをモニタして、何かおかしくなったら代わる、と言っていた。もちろん、そうだろうな。でも、あれやこれやの奇癖をやっと直して、AndroidとiOSデバイスで使えるようになった。しかし25%は人間がやってるというのは、高度なAIシステムとしてちょっと寂しいね。
引用元:Techcrunch

この数字から何を感じるのは人によって違うと思うが、「75%は機械が会話してる」というのはすごい数字だ。しかもそのうちの85%は機械の応答だけで用事が済む。

レストランの予約、というかなり限定されたテスクで状況はこうである。ここにはAIにまつわるもう一つの難問「フレーム問題」が口を開けている。世の中に松尾教授をはじめ「フレーム問題恐るるに足らず」と豪語する人はたくさんいるが、実際に解消した人はいない。

今年のGoogle IOで、Googleはより現実的なDuplex Webに舵を切った。私はこれは勇気があり、かつ賢明な判断だと思う。


宗教観察の楽しみ

2013-12-19 20:07

最近宗教の観察が趣味である。先日ふらっと立ち寄った仏教伝導会館みたいなところで、布教用の冊子をもらった。お経は大変ありがたいものだから、写経もいいのですよと書いてある。

そうはいってもねえ。ほとんどの人には意味不明な漢字の羅列をありがたいと思えといわれても。ある本の表現だが「ご利益」というより「呪い」ではなかろうか。

今思えば私の祖父が亡くなった時が、大坪家が葬式において仏教と縁をもった最後の機会であった。あれ以来人が死んだ時に仏教関連に一円も払っていない。しかし調べれば調べるほどよい集金システムを作ったものだという気がする。普段からそれこそ念仏のようにこう唱え続ける

「こうするとご利益があります(しないと何が起こってもしりませんよ)」

この呪いをかけることで、ひたすら金を巻き上げる。

仏教の祖はブツダと言われている。じゃあ仏陀は戒名とかについて何か述べたかと言えばそんなことは関係ない。今我々が接している仏教というのはブツダが言ったこととはほぼ関係なく、様々な過程を経て作り上げられたもの。キリスト教と呼ばれるものも、イエスの言動・行動とはほぼ関係がない。前にも書いたが、宗教観を持ってすれば電話帳を聖書にすることだって可能だ。

戦いが続き、世の中が不安定だった頃に鎌倉新仏教が生まれた。ブツダが何を語ったとかどうでもいいからとにかく念仏となえろ、題目となえろ。そうした時代背景を考えればそうして人々が心の安らぎを求めたのは理解できるような気がする。

そう考えれば、宗教が衰退し収入が減ることはいいことのように思える。世の中が比較的平和で、皆心にゆとりがある、ということだから。



PDCAを回そう

2013-12-19 20:07

PDCAとかKPIが大嫌いである。成果を見える化し、それを最大化しようという人間は物事の本質を見誤っている。成果を見える化する、というのは「見える化できるものだけが成果である」と考えるのと同義だ。つまり短期的に効果があることしか成果ではないと見なされる。

かくしてこんなことが起こる。

だが、我々の研究結果は別のことを示唆している。マネジャー自身に権限が与えられておらず、短期的な成果に重点を置くよう求められているならば、部下からアイデアと情報を募り奨励せよと求めるのは酷なのだ。

引用元:マネジャーはなぜ、部下の提案を無視するのか その原因は本人でなく、組織にあるかもしれない | HBR.org翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

末端のマネージャーは、KPIに直結するという確信があることしかやらなくなる。うまくいくかどうかわからない提案、成果がでるまでに時間がかかる提案は全て却下。なぜならKPIが悪化するから。

偉い人は各部署のKPIの一覧と、その改善具合を眺め我が社は順調である、と悦にいる。そして会社全体が崩壊する。思うに多くの日本企業が陥ったのはこういう道ではなかっただろうか。

管理を細かくすれば、どんどん成果が上がる。そうではないことがわかっているにも関わらずこの方法にはメリットがある。自分の努力を「見える化する」ことができる点。そうして努力が証明されても自分の給料維持以外何の役にも立たないのだけど。


バブルが繰り返される理由

2013-12-19 06:47

Bitcoinが暴落したのだそうな。

現在この記事の執筆時点でのBitcoinの価格は606ドルだ。Bitcoinは古典的なバブルである。下にMt.Goxの日ごとの値動きのチャートを載せておこう。

2013-12-18_09h36_34

バブルが破裂してBitcoinの価格が元に戻るのに何の不思議もない。Bitcoinがバブルであることを説明した過去記事を振り返ってみよう。

via: Bitcoinはバブルだ―暴落は絵に描いたように予想通りの展開 | TechCrunch Japan

私が面白いとおもうのは、このグラフの形である。ぐいぐいあがった後、どんと下がる。そのあと少し持ち直して、やっぱりごん、と落ちる。

このグラフの形をどこかで観たことがある、と思えばこれだ。

NASDAQの推移

via: Little Guessing Game

多分私なんぞがいうまでもなく、どうしてこのような「2段階落下」をするのかとかこの状況で儲けるためにはどうすればいいか、などいろいろなところで研究とかセオリーがあるのだろう。

面白いのは

なぜ「バブル」が繰り返されるのか?ということ。
私はこういう経済関係について何もしらんが、想像であれこれ妄想を書いてみよう。

・バブルの存在を必要としている人がいる、ということ。相場がうごけば、それに応じて金を失う人がおり、ということは儲けている人間がいるということだ。

バブルに踊らされるカモを集めることができれば、バブルで大儲けすることができる。

When will the people who called Bitcoin a bubble admit they were wrong?

via: When will the people who called Bitcoin a bubble admit they were wrong?

こういう記事を書く人間が、無知に動かされているのか、あるいは別の動機からかはわからないが、バブルになると必ず登場するのは確かである。2000年に存在したNASDAQバブルではこんな人がいた。

ハイテクに投資せよ、さもなくば死が待っている!

via: Little Guessing Game

池上なんとかいう、人は、バブルは15年ごとに繰り返される。なぜならそれくらい年月がたつと、社会で活躍する人が入れ替わり、バブルの痛みを忘れるからだとかなんとかTVで説いていた。そうかもしれないが、私見ではもっとバブルは頻繁に繰り返されているように思う。中国の不動産バブルとかBitcoinとか。というわけで2つ目の理由

・バブルを「これはバブルじゃなくて本物だ」と主張する人がかならずどこかから湧いてくる。そしてその通り行動する人がいる。それぞれ2種類の人間がおり、バブルであることを知っており、他人をはめようとしている人間と、歴史から何も学ばない愚か者に分類される。

おそらく上記2種類の人間はそれぞれ別の動機から次のバブルを狙っているに違いない。前者は儲けるために。後者は「とにかくバブルで踊る」ため、自分が馬鹿ではないことを証明するため、さらに深みにはまるために。


Yahoo Mail in trouble

2013-12-18 07:12

多分Yahoo Japanのシステムというのは米国Yahooと切り離されているのだと思う。Yahoo Japanのロゴは古いままだし、メールのインタフェースも明らかに違う。

さて、数週間前こういうニュースが流れた。

According to the email, sent by Yahoo! execs Jeff Bonforte and Randy Roumillat, only a quarter of staffers have made the switch to their own mail product.

via: No One at Yahoo! Wants To Use Yahoo! Mail

米国のYahooがメールシステムをアップデートしたのだが、社員ですら25%しか使っていないとのこと。でもってエライさんから「皆さん、新しいメールを使いましょう」というメールが流されたと。

こういう「正しい行い」を命令するメールが流される、というのはあまりよい兆候ではない。でもってここ数日新しいYahoo Mailはトラブルに陥っているらしい。

by Marissa Mayer, Yahoo CEO

This has been a very frustrating week for our users and we are very sorry.

via: An Update on Yahoo Mail | Yahoo

Mayerからこのようなメッセージがでている。素直にSorryと言っているところはよいと思うが、それだけ彼らの失態がでかい、と見ることもできる。当然のことながら、昨今、フリーですばらしいメールシステムはいくつも存在している。ユーザにとってみれば、Yahoo mailを使い続ける意味などあまりない。

Many users said they would be switching to rival service, Gmail.

via: Yahoo Mail Fail: Three Day Outage Ends, Issues Persist (YHOO)

多分米国Yahooが抱えている問題というのは、わたしのような遠くの野次馬が把握しているより大きいのだと思う。


田中の移籍から見る「日米交渉力」の格差

2013-12-17 06:39

試合はみないが、ビジネスとしては面白い日本のプロ野球である。

あれこれ紆余曲折の末、楽天の田中という人が米国に移籍できるようになったのだそうな。

マクロでみれば、今まで青天井で移籍金を得ていた日本の球団が、最高20億円にされてしまったわけだから惨敗である。日本側には何のメリットもなく、MLBだけが得をする結果である。

その「敗戦」の敬意をざっとながめれば、「決められない」「大きな方針がない」日本的意思決定プロセスの敗戦であることがよくわかる。

★11月6日 選手会が新制度について「選手、NPB球団に全くメリットがない」と異議を唱え、日米間の合意が延びていたことが発覚
★同14日 選手会がポスティングシステムの新制度を2年間限定で受諾すると表明
★同15日 MLBが新制度を取り下げて修正案を提出すると発表

via: マー君メジャー移籍決定的!楽天・三木谷オーナーが容認 (3/3ページ) - 野球 - SANSPO.COM(サンスポ)

まず「なんでも反対」の選手会。あーだこーだと意味もなく結論を引き延ばしている間に、MLBは切れてしまった。

時間だけが経過し結局「上限額20億円」というMLBにしかメリットがない提案を受諾することになる。こんどは楽天が「もっと金をよこせ」とゴネだす。

★同7日 楽天が田中の去就問題について協議。新制度の約20億円の上限額では移籍は認められないとする球団方針を固め、立花社長は田中と残留交渉を行う方針を明らかにした

via: マー君メジャー移籍決定的!楽天・三木谷オーナーが容認 (3/3ページ) - 野球 - SANSPO.COM(サンスポ)

ここでゴネてみれば、誰かが上乗せしてくれるとでも思ったのか。「メジャーに行くはずだった」田中を一年働かせれば儲かるとおもったのか。「約束を金のために反故にした楽天」というイメージがつくことに誰が気がつかなかったのか。プロ野球をもっているのは「広告宣伝」のためでしょ?

でもって結局田中は100億でなく20億でアメリカにいくことになる。何やってるんだか。

プロ野球の交渉一つをみて日米の交渉力などと言ってはいかんのかもしれん。しかし「持ち帰って検討します」の弊害はそれこそ私が働き始めたころから言われていることだ。当時はまだ「日本のものづくりは世界一!」と思っていたけどね。

そうやってみんなで仲良く責任を曖昧にしていれば、確かに組織内は平和になるのだけど、敵には勝てんよ。


人と違うことが強みとかいいながら

2013-12-17 06:37

ゲストスピーカーやMENTORSHIPに参加する先輩学生も加わった全員で記念撮影

ゲストスピーカーやMENTORSHIPに参加する先輩学生も加わった全員で記念撮影

via: 「人と違うことは弱みではなくて強み」女子学生限定アプリ開発イベント開催 -INTERNET Watch

全員で「同じピースサイン」をして恥ずかしくないの?馬鹿なの?


巨人軍原監督に見るリーダーシップ

2013-12-16 07:15

原監督という人がいる。実は監督としてよい成績を挙げているのだが、誰も「名監督」と言わないらしい。

長い巨人の歴史を振り返ってみても、これだけの経歴を誇る人物はそういない。一概に比較はできないが、単純に成績面だけ見れば前人未踏のV9を達成した川上哲治氏(故人)に次ぐ功績を残していると言ってもいいだろう。王貞治氏(現ソフトバンク球団会長、巨人軍OB会長)や長嶋茂雄氏(巨人終身名誉監督)の巨人監督時代の成績をはるかにしのぎ、指揮官としては事実上の"2トップ越え"を果たしているにも関わらず、毒舌の巨人OBたちからは「ONに比べれば原なんて求心力もなく、まだまだヒヨっ子」という指摘が絶えない。

via: 珍言連発の原辰徳監督は「名将」か、それとも「迷将」か? (Business Media 誠) - Yahoo!ニュース

正直日本のプロ野球には興味がないのだが、こうした奇妙な文化は野次馬として面白いと思う。でもって昔解説で原氏の言葉を聞く度

「こいつはアホではないか」

と思った。
しかし

リーダーシップというのは面白いもので、名選手は名監督になれるわけではない、という言葉もある。「アホ」でも、いやそうであるから名監督になれる、という側面もあるのではないか。

「あのイチローが、原監督のことを『あんな面白い人、いないよ。WBCでは一緒に野球ができてとても良かったと思っているし、俺が、俺がと出しゃばり気味のボクら選手たちを、常に明るく熱い言葉でぐいぐい引っ張っていただいた』と絶賛していたんだ。

via: 珍言連発の原辰徳監督は「名将」か、それとも「迷将」か? (Business Media 誠) - Yahoo!ニュース

塩野七生の著作にあったように記憶しているのだが

「リーダーとは"私が支えなければ"と部下に思わせることができなくては」

というのも確かだと思う。熱意はあるが、どうにも変なリーダーを「しょうがないなあ」と選手たちが支える。全体としてみればこれも立派なリーダーシップだ。特に各チームのトップ選手を集めたようなチームを率いるためには、こうした「ぼんやりとした」大将がいいのかもしれん。

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とはいっても、選手の側からみればそうした「名監督」のコトバ全てに従うわけではない。

「優勝旅行に来ている選手の数が少ない。喜びを分かち合うことは大事なこと。選手がたくさん集うようにしてほしい」

via: 来年V旅行は全員集合!巨人・原監督、村田に異例の"陳情" (サンケイスポーツ) - Yahoo!ニュース

そりゃ日本人にとって「あこがれのハワイ航路」だったころは「優勝のご褒美にハワイ旅行」ってのが成り立ったんだろうけど、今どきなんで「勤務先」の人間と旅行にいかなくちゃいかんのか誰も理解できない。

自分が「ご褒美」と思うが相手にとっては苦痛でしか無いことを強制するのは、まあなんというか性犯罪にも共通する点があると思うのだがいかがなものだろうね。

今どきこんな「社員旅行」がまかりとおる団体というのも実に興味深いのだが、これについて書きだすのは危険なので、このへんで。


第3のOSの運命

2013-12-13 07:01

TizenとかFireFox OSがスマートフォンの第3のOSだとよばれて幾星霜。話はいいのだが、問題は

「実はOSを作ることはそんなに簡単ではない」

ということにある。というかどうもそうらしい。

Tizenはいつまでたっても登場しない。もちろんiPhone一極集中が進む日本で日の目をみないのはわかるのだが、世界でみてもどこにもでてこない。アプリコンテストなんていわれてもそもそもそのアプリが動く端末はどこにあるのだ。

それより「マシ」であり、アーキテクチャ的にも特徴のあるFireFox OSだが、こんな記事を読んだ。

Yes, I did the unthinkable. After a while I tried to avoid using the phone entirely.

via: Firefox OS Review: A Month With Mozilla Made Me Hate Phones | Digital Trends

FireFox OSを搭載したスマートフォンをしばらく使ったら、そもそもスマートフォンに触らなくなった、というのだ。

これはスマートフォン中毒の治療によいかもしれん、とか言っている場合ではない。現状とにかく碌なものではないらしい。


しかしそう考えると、WebOSというのは驚異的な製品であったことがわかる。iPHoneが発表されてからたった2年でリリースされたのだ。しかも(直接さわったことはないが)それなりに動いたと聞いている。

webosを作ったのは誰だったのか。そしてその男(もしくは女)はいったいどこで働いているのだろうか。


戦うロボット

2013-12-12 07:02

ロボコンとかアシモとか日本は2足歩行ロボット大国だとか。

私は専門的な話は知らんよ。でもこれを見よう。

まだ線がついてるじゃないか、とかそういう問題ではない。このロボットには(少なくとも私が)今まで聞いたことがない特性がある。

足と手が左右で同じ部品を使っており、容易に交換可能なのだ。

これは補給が容易ではないフィールドで使うことを最初から想定されて作られたロボットだ。そして私は日本でこういう話しを聞いたことがない。

今ASIMOのサイトを見てみると、こんなことが書いてある。

ASIMOは姿勢の傾きを制御することで、安定した旋回走行、8字走行をすることができます。
(2005年発表技術)

via: Honda|ASIMO|ASIMOについて|歩く・走る・登る

それはすごい。さて、これを見よう。

フィールドで使えるロボットならば、瓦礫の上を歩けなくてはならない。あたりまえだ。ではなぜASIMOは平らな面だけを走っているのか?

ーーーーー
少なくとも大きく宣伝される日本のロボットは「日本のロボット」という型にハマっているように思える。それは「日本のロボット」としてはたいしたものだが、その型から一歩外にでた途端、何の役にも立たなくなる。


指標を間違えるということ

2013-12-11 07:39

Microsoftは戦う企業である。このブログでも何度か取り上げたが、Chromebookに対して戦いを挑んでいるようだ。そしてiPadに対してはどういう手段を使ってか知らないが提灯記事をたくさん書かせているようだ。

 外出時はタブレットとして使い、必要があればタイプカバーとの組み合わせでノートPCのように効率的に入力し、会社に戻ってドックにセットすればデスクトップPCとして使える。1台ですべてをカバーすることができる。

 これがiPadならどうだろう? サードパーティ製の外付けキーボードを使えば、貧弱な(CPUパワーが低い)ノートPC代わりには使えても、デスクトップPC代わりにはならない。プログラムもパソコンと共用することはできない。

 Surface Pro 2であれば、すべてを1台で処理することで、プログラムライセンスも1つでいいし、データを転送する手間もかからないというのも大きなメリットだ。一般的なビジネスシーンにおいては、Surface Pro 2の優位は圧倒的といえる。

via: 新Surface、圧倒的優位なるか?1台で、ほぼすべてのビジネスシーンをカバー (Business Journal) - Yahoo!ニュース BUSINESS

しかしMicrosoftにとっては気の毒な事にSurfaceは売れていない。いや、Microsoftの製品はエンタープライズ分野では圧倒的な強さを見せているが、一般消費者には全く人気がない。この記事を見よう。

Here's the Microsoft Store:

MicrosoftStore2

Photo by Matthew Yglesias




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This is not a trick of the camera. There were zero shoppers in the store. At noon. On a Sunday in December at peak retail shopping season.

And here's the Apple Store:


AppleStore2

Photo by Matthew Yglesias



It is crowded.

via: Microsoft Store Pentagon City is empty on a pre-Christmas Saturday.

ショッピングシーズンの日曜日の昼に、Microsoftショップには誰もいない。山積みになったXbox oneが可愛そうだ。

引用元の記事にもあるが、問題は店舗にあるのではない。かりに両者で同じ製品が売られているとすれば、ほとんどの人はMicrosoftショップに行くと思う。だって空いているし、これなら店員を捕まえるのも簡単である。

問題は製品にある。そしておそらくMicrosoftにはその理由がわかっていない。Logicalに考えれば、確かにSurfaceの優位性は圧倒的だ。ちょっというと

「俺は高学歴だし一流企業に勤務している。女に持てないはずがない!」

と一生懸命喚いている男のようだ。(まあ実際そこそこモテるんだろうが)

では

お前が「iPadには存在し、Surfaceには存在しない指標を挙げてみろ」といわれるとハタと困る。多分Microsoft内部でも同じことが起こっているのだろう。かくしてMicrosoftはSurfaceに磨きをかけつづける。私の考えでは間違った方向に。


未来はいつも悪夢

2013-12-10 06:52

こんなビデオを見つけた

いつでもどこでも情報機器にアクセス、がこんな悪夢を生む。音声インタフェースが人間にとって自然なインタフェースだとか言っている人間はこのビデオを見て少し考えるべきだ。

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こうした情報機器の問題はなんだろう。話の途中(とこちらは思っている)で携帯電話を覗かれる不愉快な経験をしたことがあるのは私だけではないと信じたい。

話としてはこうだ。情報機器(あるいはその先にある人間)との対話、というコンテキストがどこにでも入り込んでくることが問題だと。物理的な制約を超えて情報機器あるいは他の人間との対話が可能になってしまったことにより、目の前に誰がいるかを考えず「話しかける」滑稽な状況が生まれたと。

問題はコンテキストの混乱。会社のメールをどこでも閲覧できるようになった瞬間から、プライベートなやすらぎの時間がなくなった。どこでも仕事になってしまったのだ。

「便利さ」と引き換えに失ってしまった価値についてよく考える必要がある。そして「便利さ」を制限する必要があるのだ。いわば携帯情報機器というのは原爆のようなものである。それは確かにその目的に対してとても優秀である。しかしそれを使った時の影響はどうか?今のところ、という強固な条件つきだが、人間は2回しか原子爆弾を実標的に対して用いていない。つまり「便利さ」を制限することは人間にとって可能なのだ。

より小型の「情報機器」はあっというまに蔓延し、いろいろな問題をもたらしている。個人的にはこの「小型原爆」との付き合いが少し上手になったと思っている。取得する情報をどんどん減らしているのだ。それで損することはほとんどないし、心は少し安らかになったと思う。

Google Glassははたして普及するのだろうか?数多い時計型デバイスはどうか。どこかでそうした試みが無意味になっていることに誰かが気がつくだろうか?


WISS2013に行ってきたよ

2013-12-09 07:27

詳細はレポートはそのうち会社のブログに書くと思うので、ここではつらつらと断片だけを。

今回は論文発表はなし。落ちたからではなく、今年の前半は「へやくる!」の開発で半死半生になっていたのでとても論文まで手が回らなかったからだ。

とはいっても手ぶらで行くのは気が引ける。というわけで「へやくる!」のデモ発表をした。考えてみたらWISSでデモ発表をするのは10年ぶりだな。

一番最初のデモの時間に発表させてもらったのは幸運だった。最初に仕事を終えておけば、あとは気楽である。

カンファレンスの印象、というのはどこで決まるのだろうかと思うことが多い。今年はわりと「小粒な登壇発表」が多かったと思っているのだが、じゃあ印象的なものがなかったかと言えばそうではない。

料理画像をアニメーションすることによる魅力的な料理動画生成システム

Program.files/032.thumb.png

崎山 翔平, 岡部 誠, 尾内 理紀夫 (電気通信大学), 平野 廣美 (楽天株式会社/電気通信大学)

1枚の料理画像をアニメーションすることでより魅力的な料理動画を作成するためのシステムを提案する.泡や湯気,具材の揺れなど,料理をより魅力的に見せる要素は多く存在するが,これらは非常に多くのパラメータを持ち,アニメーションの中でうまく表現することは難しい。本研究ではユーザの少ない入力を基にシステムがそれらのパラメータを適切に設定し,誰でも簡単に短時間で料理動画の生成を可能とするシステムを実現した.

via: プログラム - WISS2013

この研究には思わず涙を流した。笑いすぎて泣けてきたのである。平たく言えば、一枚の静止画から動画を合成する試みである。対象は「鍋」。湯気をつけ、材料の粘性を考慮し泡をつけ、材料が変形する様子をシミュレートする。この「鍋」への愛はなんなのだ。

役に立たないとは言わない。しかしそもそもなぜそんなに鍋に拘るのか。しかしこの発表が「発表賞」を受賞したことに注目しよう。古今東西人の心を動かすのは、見方によっては「狂気」とも言えるパッションなのだ。

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WISSが終わったあとの非公式エクスカーションは「沢田マンション」だった。
説明によれば、ここを作った人は「マンション」なるものがあることを知り「これを作ってやる」と(理由はよくわからないが)決意したとのこと。この説明を聞いて他のWISS参加者がどう思ったかは知らない。しかし私はWISSのコンセプトにこれほど合致した場所があるだろうか、と思った。

WISSで発表することに何のメリットがあるのか?聞くところによれば、アカデミックの世界では全く業績の中に入らないという。では何故発表するのか?それは沢田氏と同じ

「これを作らなければならない。作って、そして発表してやる」

という根拠の無い決意ではないか。というか少なくとも私はそうだ。

沢田マンションが持つ一種独特な雰囲気と「鍋動画」には共通するものがあると思うのだ。

というわけで今年もいろいろな人とお話をさせていただき大変有意義であった。何が有意義が具体的にはわからんのだが、とにかく楽しかったことは確かだ。さて、来年どうするか。


自分の顔を見ること

2013-12-03 07:13

だれでも自分のことは2割位本物より良く思っている、というのは母の口癖である。私も基本的には同意する。

先日<ステマ>Goromi-Tube ver2.0.1を使って</ステマ>こんなCMがあることを知った。

話しとしてはこうだ。警察で似顔絵を書いていた人が、一人の女性の似顔絵を2枚描く。ただしその描き方がかわっている。

一枚目は女性自身による自分の顔の記述を元に描く。画家は女性の顔を決して見ない。

二枚目は、彼女としばらくあれこれ話した人たちの記述を元に描く。

そして最後に描かれた女性は2枚の「自画像」と対面する。

先に書いておくがこのCMにはパロディが山ほど存在する。実際ナルシストなら「自分の記述を元にした似顔絵」のほうがはるかに「美しい」ということもあるだろう。

しかしこのCMにでてくる女性たちは違った。2枚目の方がいろいろな意味で「美しい」人だったのである。

Do you think you are more beautiful than you think ?

Yes.

かくのごとく自己評価というのはとかく間違えがちであり、結果としていろいろな努力も全く的外れだったりする。

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もう一つ「顔」に関して。

131202smile00.jpg

131202smile01.jpg


写真を見ると、同じ人なのに右と左では全然雰囲気がちがいますよね。

via: 写真うつりをよくしたい人必見! ポイントは下まぶた(動画あり) : ギズモード・ジャパン

人が鏡をみたり、写真を撮られるときの様子を見るのは面白い。多くの人が通常より目を「かっ」と見開く。

みなさんプリクラ、撮ってますか? 最近のプリクラってデカ目になったり小顔になったり美肌になったりと、撮った人を「別人か!?」と思うくらい、バッチリ美化してくれるんですよね。

そんなプリクラの様々な補正効果を打ち消し、撮影者の素顔を再現してくれるiOS向けアプリ「プリクラ補正軽減 Primo」が人気を博しています。

via: 目から汗が...。プリクラの補正を打ち消すアプリ「プリクラ補正軽減 Primo」の舞台裏(動画あり) : ギズモード・ジャパン

そうした効果を人為的に強調するプリクラソフトまであるくらいだ。しかしあれですよ。それは間違っている。スクインチですよ。スクインチしたほうが写りがよろしい。目をかっと見開くのは間違いだ。

かくのとおり自己評価というのは難しいし、自己評価が間違っていれば様々な努力は無駄どころか逆効果になる。自分を見るのが難しければ他人の力を借りるしか無い、ということなのだが、こえがまた難しかったりするんだろうな。


敵を見つけてそいつを倒せ!

2013-12-02 06:56

元Microsoft社員の中島氏によれば、Microsoftのカルチャーとはそうしたものだそうな。

戦いが大好きなアメリカであるからして(Ref:Patton)比較広告が日本に比べれば多い。真に受ける人がどれだけいるかしら無いが、私のようなひねくれ者にとっては笑いのネタに鳴ることが多い。さて、MicrosoftがGoogleのChrome bookを叩いているんだそうな。

まだ知名度がとても低いChromebookを標的にするのは、何だかおかしい。教育市場の一部を除いては、ほとんど売れてない製品だから、ネガキャンのコマーシャルでわざわざ叩くのもへんだ。しかもこれまでのScroogledのビデオの中で、今回のがいちばんおもしろくない。事実誤認が多いことは、重要な問題かもしれないけど。

via: MicrosoftのGoogleたたきCM, 今回は質屋で換金を拒否されるChromebook | TechCrunch Japan

引用されているビデオをみてみたが、確かに全くおもしろくない。類似のロジックを使えば、Surfaceを宣伝することもでき、それに事実を含めることもできるのだが。

同じCMに関する別の記事を読んで知ったのだが、米国Amazonのラップトップベストセラーのトップ3中、2つがChromebookなのだな。こうしたMicrosoftのChromebookたたきが根拠のあるものなのか、過剰反応なのかについては議論があるところだと思うが、実際彼の国ではChromebookがそこそこ売れているのだろう。

例によって例のごとくGoogleとMicrosoftでは儲ける場所が違い、それがMicrosoftをいらだたせているのだと思う。いくら

「WindowsとOfficeがなければPCじゃない!PCじゃなければ仕事はできない!」

と主張したところで誰もSurfaceを買ってくれない。

これがiPadならどうだろう? サードパーティ製の外付けキーボードを使えば、貧弱な(CPUパワーが低い)ノートPC代わりには使えても、デスクトップPC代わりにはならない。プログラムもパソコンと共用することはできない。

 Surface Pro 2であれば、すべてを1台で処理することで、プログラムライセンスも1つでいいし、データを転送する手間もかからないというのも大きなメリットだ。一般的なビジネスシーンにおいては、Surface Pro 2の優位は圧倒的といえる。

via: 新Surface、圧倒的優位なるか?1台で、ほぼすべてのビジネスシーンをカバー (Business Journal) - Yahoo!ニュース BUSINESS

実際に圧倒的に優位なのだが、不幸なことに売上台数にそれがつながらない。同じリング、同じルールで戦えば、Microsoftは無敵に近いのだろうが、ちょっというとグローブをつけリングに上ったはいいが、敵は観客席からパチンコを打ち込んでくる。そんな状態なのだろうか。