iPad2を待ちながら

2011-03-31 07:18

というわけでそろそろ発売開始日のアナウンスくらいあってもいいのではないかと思いませんか?

昨日こんな記事を読んだ。

AppleInsider | Dell, HP execs lash out at Apple's iOS successesより引用:

"Apple is great if you've got a lot of money and live on an island. It's not so great if you have to exist in a diverse, open, connected enterprise; simple things become quite complex," Lark added.

According to Lark, the high cost of additional accessories for the iPad makes the tablet inaccessible. "An iPad with a keyboard, a mouse and a case [means] you'll be at $1500 or $1600; that's double of what you're paying," he said. "That's not feasible."

Lark's figures, however, are confusing, as it is unlikely that a keyboard, mouse and case would cost the same as an iPad. For instance, purchasing Apple's leather Smart Cover, BlueTooth keyboard and Magic Mouse would cost just $207.

デルにおけるマーケティングのトップ、Larkは次のように述べた。
「Appleはすばらしい。もし金持ちで孤島に住んでいればだが。オープンでネットを利用し、多様性をもった企業で働いているのならあまり素晴らしいとはいえない。」

Larkによれば、iPadは高価な付属機器を考えるととても買えたものではない、という。
「iPadにマウス、キーボードそれにケースを含めると$1500-$1600になる。単体の値段の2倍だ。とても買えない」

Lark の説明には困惑させられる。キーボード、マウス、それにケースがiPadと同じ値段するとは考えられない。Appleの皮製スマートカバー、Bluetoothキーボードにマウスを購入してもたった$207だ。

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このLark氏は、Macが100万円したころのイメージだけをもって今の状況を説明しようとしたのだろうが、どう考えても無理である。いまやAppleのクローズドなプラットフォームは、オープンなはずのほかのAndroid tabletより安いのだ。次はもう少し「まともに聞こえる」iPad反対論

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AppleInsider | Acer to "overhaul operations" in the wake of Apple's iPadより引用:

Last fall, Acer's chairman JT Wang predicted that Apple's share of the tablet market would plunge from near 100 percent to just 20 to 30 percent because of the "closed platform" of Apple's iPad iOS, noting confidence in Android in saying that it "simply need a little more time before it turns strong."

昨年の秋、Acerの会長(?)JTWangは次のように述べた。
「Appleのtabletにおけるシェアは、現在の100%から20-30%に落ちるだろう。なぜならiPadのiOSはクローズドなプラットフォームだからだ。Androidの普及には確信を持っており、「有力なプラットフォームとなるまでもう少し時間が必要なだけだ」

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これだけ周りの企業から嫌われるということは、いかにiPadが成功しているかの裏返しでもある。というわけで早く日本で売ってください。私はGaragebandを使って子供と一緒に音楽を作りたいのです。PowerPointじゃなくて、Keynoteでプレゼンをしたいのです。

ちなみにこんな記事もある。

Windows Phone、2015年にはAndroidに続くシェア--IDCスマートフォン市場予測 - CNET Japanより引用:

「Nokiaとの新しい提携により、Nokiaのハードウェアの能力と、他とは一線を画すWindows Phoneプラットフォームが1つになった・・・2015年までにWindows Phoneは、Androidに続く世界第2位のOSになるとIDCは予測する」(Llamas氏)

こういう予想は、2015年には誰も覚えていないのがミソである。(もしあたれば、IDCだけは大々的に宣伝するだろうが)

私が先日訳した記事からはWindows Phone7が出だしから躓いていることが伺えるけど、どうなんでしょうかね。こんなのは些細なこと、と2015年には思えるのでしょうか。


Snow Leopard上でTomcatとApacheをつなぐ

2011-03-30 07:09

いろいろあってSnow Leoapard上でTomcatを動かし、:8080をつけずに動かす必要に迫られた。というわけで標題の作業をあれこれやっていたわけだ。

主に

Installing Apache Tomcat 6 on Mac OS X 10.5 Leopard or Mac OS X 10.6 Snow Leopardより引用:

Installing Apache Tomcat 6 on Mac OS X is primarily a matter of downloading the appropriate packages and then following the UNIX installation instructions included with the package.

↑のページのInstructionに沿って行った。ただし

Secure Tomcat
Setup Tomcat Java Server as a UNIX Daemon - JSVC
Compile and Install Tomcat Native Library
Configure Tomcat for Database Access

は飛ばしている。また一箇所

Installing Apache Tomcat 6 on Mac OS X 10.5 Leopard or Mac OS X 10.6 Snow Leopardより引用:

# Configure a make file to create a 32/64-bit 4-way universal binary
CFLAGS='-arch ppc -arch i386 -arch ppc64 -arch x86_64' APXSLDFLAGS='-arch ppc -arch i386 -arch ppc64 -arch x86_64' ./configure --with-apxs=/usr/sbin/apxs

のところは、エラーがでたので、-arch ppc, -arch ppc64の二つのオプションを削除した。

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なんでこのようなことを書くかといえば、先日書いた「slim3で例外発生」のエントリーが思ったより多くの人の役にたてているようだからだ。

私自身ほかの人が書いたこのようなエントリーに助けられることが多い。何がエラーメッセージがあれば、それをGoogle先生の検索窓にコピペするのはほぼ半自動的な反応となっている。

というわけで、これから「なんだこれは」というようなエントリーが散見されると思います。


Windows Phone 7 Status Update

2011-03-30 06:55

とういわけで、日本ではまったく話題になっていないWindows Phone7である。
実際に見た人からは「なかなかよい。これはiPhone殺すね」という評判を聞いていたWindows Phoneであるが、どうもその後トラブル続きのようだ。

もう3月も終わりだというのに

How Microsoft can get Windows Phone 7 back on track | ZDNetより引用:

Most WP7 users still have not received either the February pre-update or the March "NoDo" copy-and-paste one.

多くのWindows Phone7ユーザは2月のアップデートおよび3月のアップデートを受け取っていないというのだ。

ちょっと崩れているが、この表をみてほしい。

Where's my phone update? | Windows Phone 7より引用:

 Location                Phone       February update       March update
United StatesDell Venue ProSchedulingScheduling
HTC ArriveNot applicable*Not applicable*
HTC HD7SchedulingScheduling
HTC SurroundTestingTesting
LG QuantumTestingTesting
Samsung FocusTestingTesting

アメリカで販売されている各機種ごとに2月、3月のアップデートがどのような状態になっているかを示している。HTC Arriveだけは、これらのアップデートが含まれているので不要。2機種が"Scheduling"(テストが終了し、配布"待ち"状態)残りの3機種はまだ"Testing"状態である。

情報公開の姿勢はよいとしてもその内容には唖然とせざるを得ない。Microsoftがハードに関しても厳格に仕様を管理し、それゆえソフトウェアの共通性が高いのが売りだったはずだが、この状況はいかなることか。

これでは

・一社が何から何まで統制のiPhone
・何でもありの無統制Android

のどちらかのほうがマシだ、ということになるではないか。

この分だと日本でWindows Phoneにお目にかかれるのはずっと先になるかもしれない。あるは話題にもならず消えていったZuneのようになるのか。

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Microsoftが保有している資金、優秀な人材の数を思うとき、それらをもってしてこの状態であることは非常に興味深く思える。今のMicrosoftを分析するといろいろ得られる示唆が多いように思うのだがいかがなものだろうね。

のどちらかのほうがマシだ、ということになるではないか。


平成の爆弾三勇士

2011-03-27 18:21

「爆弾三勇士とは何事だ!気の毒な事をしたものだ!陸軍技術本部は何をやっとる」此の言葉は東大工学部教授故末広恭二先生が昭和7年3月欧米出張から帰朝せられ、病床にて筆者の卒業論文を審査して頂いた時に先生の外遊中に起きた上海事変等に就き漫談されて技術者の心構を御話しくださった時の言葉であった。 技術的に努力する余地を残して戦闘員を死なせる様なことをする事を叱責された言葉であった。

航空技術の全貌 上巻P392


なぜこんなことを引用したかといえば、この書き込み&ニュースを目にしたから。





家族には心配をかけたという思いがある。高山隊長は任務に出る前、「必ず帰ってくるから安心しろ」と妻にメールを送った。妻からは「信じて待ってます」と短い返信があった。佐藤部長は妻に福島行きを伝えると、「日本の救世主になってください」と一言書かれたメールが送られてきたという。



 会見で、冨岡隊長は「国民の期待をある程度達成できた。充実感がある」と語る一方、作戦に従事した隊員について「家族には本当に申し訳ない。おわびを申し上げたい」と涙ぐんだ。


【放射能漏れ】被曝覚悟の350メートル 消防隊見守る妻「日本の救世主に」+(1/2ページ) - MSN産経ニュース から引用

ロボット研究者は歯ぎしりしています。RT @tanajun009: ベルリン新聞の「日本のロボットは音楽を演奏したりスポーツをできるのに、なぜ福島原発に送り込まないのか」という、アイロニカルな調子の記事。http://bit.ly/esIu8R

Twitter / @Yoshihiko Nakamura: ロボット研究者は歯ぎしりしています。RT @tana ... から引用


老子に教えてもらわなくてもそんなことはわかっていたのだ。





大道廃れて仁義あり、智恵出でて大偽あり、六親不和にして孝慈あり、国家昏乱して忠臣あり。



老子 - Wikiquote から引用

おそらく多くの人が同じことを考えていると思うが、大学入試でカンニングをした奴がいた。けしらかん、これは入試制度の根幹に関わることだ、いや、過剰反応だ。大学は死んだ、とか平和のうちに文句を言っていたほうがはるかに幸せだったのだ。


しかし今そんな事を言っても何の解決にもならない。原子力発電所の災害にどう対処するのか。先に引用したハイパーレスキュー隊含め、現場で不眠不休で働いている人達には、感謝の言葉しかない。Heroという名にふさわしいと思う。


しかし


そうした「英雄が生まれる」状況というのはそもそも好ましいことではないのだ。危険な状況になぜ人間を向かわせる。日本の誇るロボットは何をしているのか。ロボット技術に関わるものは何をしていたのか。

災害対策用ロボットについて聞いた事はあるし、私が地震発生当時にいた日本科学未来館でもいくつか展示を見た事がある。

しかしそれらのロボットは研究の花園で惰眠をむさぼるばかりで、「英雄」の誕生を阻止してくれないではないか。陸軍技術本部は何をやっとる。

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気がめいることだが、この分野で「実際に」発達しているのは私が知っている限り米国における軍事利用だ。(ちなみにお掃除ロボットのiRobotはうちの母が愛用しております。お掃除ロボットも結局輸入品ばかりなのはなぜだろうね)

--(次に引く比較は無茶だと自覚しております)--

日本人がこれを見て歓声を上げている時

米国ではこれの開発が進んでいるのだ。


日本のロボット開発というのは「全体として」どこか真剣味に欠けていたのではないか。私のような部外者はそう考えたりする。携わっていた個々人が不真面目であったなどというつもりは毛頭ない。しかし全体として見た時、この状況で役に立っていないのは遺憾ながら事実だ。また計算できる将来に役に立つ目処(あと一年あれば、、)がある、という話も聞かない。





『ロボット兵士の戦争』に僕が書いた解説のタイトルと内容が「システムの一環としてロボット技術を考える」だった理由がまさにそれ。 RT @yoshinakamura 米国ではシステムをまとめる役割をするのが軍事技術というフィールドだと思います @kazouille



Twitter / @森山和道: 『ロボット兵士の戦争』に僕が書いた解説のタイトルと内 ... から引用


この「システムの一環として考える」というのが日本人はあまり得意ではない。というかこのような指摘を

「何の事かわからん」

と無視していたのが実情ではないかと思う。
しかし今後はそれを改めねばならない。今この状況においてロボットが何の役にもたっていない、という事実を噛み締めた上でより良い方向に向かうしかないではないか。

しかもこの「システムの一環として考える」ことの欠如は産業のほかの分野でも問題になりつつあるのだ。何度も指摘されていることだが、iPhone,iPadの部品を作ることはできても、「iPhone,iPadというエコシステム」にはまったく歯が立たない。こうした状況を変えるのには、、、「ガラパゴス」ですか?


何故LED照明が売れないのか

2011-03-26 12:07

というわけで

「一億総節電」

である。
かねてから考えていた

「家の照明総LED化計画」

を推進する好機である。そう思ってお伺いをたてたところ

「LEDは高いから」

とかなんとかいって乗り気ではない様子。もしもし、ここ数週間金切り声をあげて電気のつけっぱなしを糾弾していた方の台詞とは思えませんが。

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いや、まじめに

「なぜLED電球の品不足がおきないのか」

と考えているのだ。懐中電灯はありません。単一、単二電池もありません。なのにLED電球は豊富に存在している。白熱電球から替えれば、一気に消費電力1/10ですよ。節電の必要は誰もが認識しているはず。会社では「2台ディスプレイを使っている人は、一台にしましょう」とお達しがまわっているのにどういうことだ。

可能性はいくつか考えられる。

・LED電球にかえると、トータルとしてより電気を使用してしまう(と思っているか知っている)
・まあ節電しなくても、なんとかなる、と思っている。大規模停電が起こればまあそのとき。

つまるところ、人間は自分が困らなければ何も面倒なことはしない、ということなのだと思うけど。


古来より人の望むもの

2011-03-25 07:07

「てっとりばやく、(楽に)今より良い自分になりたい」

ではなかろうか、と思った。

歴代はてなブックマーク数の第1位〜第500位までのタイトルの傾向を調べてみてわかったこと * 男子ハックより引用:

はてなブックマークが多い順に記事のタイトルを見ていって、気になるタイトル(自分で思わずクリックしてしまうタイトル)を書いていったら全体的には以下のような共通点がある記事が多いように思えました。

  1. 理想と現実のギャップがあるタイトル(○○できなかった私の○○する方法)
    (例)
    C言語すら知らなかった私が2ヶ月でiPhoneアプリをリリースするまでにやった事。 | Last Day. jp このエントリーを含むはてなブックマーク
  2. 記事を見ている人に問いかける(○○な人達へ、知らないと損する○○)
    (例)
    20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ | The Wisdom of Crowds - JP このエントリーを含むはてなブックマーク
  3. 見てすぐに役に立つ(○○まとめ、○○才から始めようと思う△△)
    (例)
    ネットで見れるすごい企画書 - NAVER まとめ このエントリーを含むはてなブックマーク
  4. 時間節約(ex : コーディングのスピードをあげるための〜)
    (例)
    あなたを次のレベルに押し上げる「集中的訓練」の方法 | Lifehacking.jp このエントリーを含むはてなブックマーク
    高速でプログラミング言語をマスターするのに有効な記事まとめ - NAVER まとめ このエントリーを含むはてなブックマーク

やはり「記事タイトルから記事内容を推察できる内容」であることがとても重要。

次に「思わずクリックしたくなるような興味を惹かれるタイトルであること」が重要。

雑草のような「新刊書」のタイトルを読んでいるようで気がめいってくるが実際こういうのが「売れる」のだろうな。

インターネット上には「情報商材」と称するあやしげな情報やら、「これはマルチ」とか「これは詐欺」と思わせる情報があふれている。そういう情報の機械学習とか誰かやらないのかな。

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以下に引用するのは怪しい情報ではないのだが、

被災地からの報告 阪神震災とは違う実情 - npo-uniken's posterousより引用:

ボランティア団体などへの個別の支援はしにくいと感じていた企業や個人の方、本当に人命をつなぐチャンスです!!!

●私たちの立場と役割について

私たちは一般的な支援ボランティアグループとは異なります

実際に現地に行って調査した結果というのはほかの方も確認しているとのこと。素直に耳を傾けるべきだ、と理解はできる。しかし文章全体から受けるこの印象はなんなのだ。どこから来ているのか。

この文章を読む限り、一刻も早くボランティアとして参加せねば、と思うのだが、「日本ユニバーサルデザイン研究機構及びユニバーサルデザインコーディネータ」の「被災地への人的支援やボランティアをしたい方へ」というページを読むと

【日本ユニバ震災対策チーム】被災地への人的支援やボランティアをしたい方へより引用:

被災地への人的支援やボランティアをしたい方へ


●現在募集中のボランティアはありません。

となっている。HTMLのソースを読むといろいろなことがコメントとして表記されたままになっているのだけど、元の文章を読み返すと若干複雑な気持ちにならざるを得ない。


小売業で働く人たち@USA

2011-03-24 07:20

最近この本を読んでいる。



この本の著者の主眼とは異なるのだろうが、今まで読んだ中では以下の一節が一番驚きだった。

「アメリカの小売業界の従業員の多くは、崩壊過程の出身者です。私を含めみな、学校の成績が悪く、教師に対して異口同音に「くたばれ!」などと言っていた人間なのです。」(中略)この業界で働くのは、若年者か移民、そうでなければ理由はさまざまにしろ、これ以上いい職に就くのが難しい人たちである。

隠れた人材価値 より

わが国とは事情が異なるように思う。
ここで取り上げられているのは、メンズウェアハウスという紳士服チェーン店の事例である。そういわれて思い出した。ひげをはやしたおっさんが

"I guarantee it"

ときめ台詞を言いまくるCMを流している企業だ。

これは2009年のもの。私が見ていたのはもう15-20年も前になるのだな。おっさんも老けた。(こちらも老けたが)

そのような境遇で育った人間を採用しながら、どのように会社を回していくのか。この本に書かれていることは

「メンズ・ウェアハウスは、過去にいろいろな問題があった人間や、家庭や職場で苦しい経験をしてきた人間を採用している。必ずしも最良の労働力ではないかもしれないが、だれに限らず人間のポテンシャルを開発することこそ当社の責務だ、という信念がこの会社にはある。」

ほかに面白いと思ったのは店舗が月間販売目標達成をしたときの報酬である。「よければ」一人あたり$20、「大変よければ」ひとりあたり$40である。

この額は米国においてはあまり「生活の足しに」ならない大きさだ。しかし実際にはこの額がちょうどよいと言う。意味をもち、かつ深刻に目指すには少なすぎる額(仮にこの額が収入の大きな割合を占めるようだと、不正が横行するかもしれない)がちょうどよい、ということなのだろう。

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この本はどちらかといえば会社の公式発表を元に書かれている。実際には

「それでも解雇せざるを得なかった人たち」

とか

「実態は違う、という従業員の声」

もあるのだろう。そうしたものまで含めればもっと深く考えることができると思うのだが。


未完成だが、Imaginationを刺激する研究

2011-03-23 06:57

さて、記念すべき「Goromi-Tubeでみつけた研究ビデオ」第2弾です。というかこれまだ出してないよな。(きょろきょろ)

元となる論文を見つけられていないので、勘違いしているかもしれないが現時点では

「操作にしたがっていろいろな図形が表示されます」

といったものにしか見えない。

しかしそのビデオからは、いろいろな想像を刺激される。というか、ユーザの少しのジェスチャを「増幅」してシステムが結果を提示するシステムはなんとか作りたいと思っているのだ。

たとえば情報検索。最初の結果から、いろいろな方向に探索の方向を伸ばせると思うが、それを簡単なジェスチャ(ちょっと指を動かすだけ)で指示できないだろうか。前にも書いたと思うが、以前同僚が提案した

「あごインタフェース」
(つまりシステムを「あごで使う」インタフェース)

こそ使っている人間を美しく見せるインタフェースの要素だと思うのだ。

と今は「方向性」を考えているだけだがこうしたネタを頭においておけばいつか花が開いたりせんかな。


創造する者と、解析する者

2011-03-22 07:17

少し前のことだが、「アナリスト」の採用試験を受けたことがある。会社からいろいろなデータを集め、将来の動向を予測する職業だ。

私のやってきたことから言えば、適合してもよさそうだ。しかし面接の間中ずっとこう考えていた

「あんたたちの予測をふっとばすような物を作りたい」

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先日この本を読んでいた。


以下のような記述がある。

同じ変遷が、ノートブックコンピュータと無線ハンドヘルド機器という二つの破壊的コンピュータ製品で、いずれ完了するだろう。当初最も成功する企業は、最適化された相互依存型アーキテクチャを持つ企業である。時期尚早にモジュール式戦略をとる企業は、競争基盤がまだ性能に置かれる初期段階には、性能面での競争に苦戦するはずだ。その後アーキテクチャはオープンに、産業構造は特化型へと進化するだろう。

この記述がなされたのはiPhone/iPadが発表される前だったことに留意する必要がある。確かにその時点では

「携帯電話とは、ノートPCの開発はやりつくされた」

と公言する人がいたのだ。そうなれば、製品はモジュール化され、オープンなアーキテクチャに基づき、安い部品を集めて製品を作ることができる会社だけが生き残る。

しかし現実に起こったことは

「いずれ完了するだろう」

どころではなかった。Appleが製品に要求されるレベルを蹴り上げたからだ。再度前掲書から引用する。

だが忘れてはならないのは、顧客のニーズも変化するということだ。通常この変化は、図5-1の点線で示したように、比較的緩やかなペースで起こる。だがときには、顧客が要求する機能性に非連続的な変化が生じ、図5-1の点線を情報に押し上げることもある。これが怒ると、産業はグラフの左側に向かって押し戻され、統合が競争優位の源である時代に時計の針が逆戻りする。

この場合顧客のニーズを変化させたのは、iPhone/iPadという「絶対にユーザインタビューからは生まれてこない製品」だった。メーカーが主導して、顧客すら気づいていなかった潜在的な要求を引き出したのだ。

さて、

無線ハンドヘルド機器の三国志において、それぞれの陣営がアーキテクチャをどのように構築しているかの差異は実に興味深い。

Apple:完全にソフトウェアとハードウェアを統合したクローズドなアーキテクチャ
Android:オープンなアーキテクチャ。アプリケーションにいたるまでオープン
Microsoft Phone:ソフトとハードは分離。しかしソフトの側からハードには強力な制限を設ける。

仮に前掲書に書いている理論が当てはまるとすれば、当初はクローズドなiPhoneアーキテクチャが勝利を収め、その後Androidが勝利することになるのだが、はたしてどうなるのだろうか。

ひとつだけこの「理論」から逸脱しているのは、今のところiPhone/IPadが異常とも思える価格競争力を保持している点だ。モジュール化が進み、それぞれのモジュールで価格低減が可能となればオープンアーキテクチャのほうが価格が下がるはずなのだが。

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ちなみに先ほどの面接結果は「一次でお祈り」でした。


ある映画評:世界侵略:ロサンゼルス決戦

2011-03-18 08:08

Rotten tomatoesから

Watching this nonsense after seeing tragic television images of the destruction of Japan somehow made Battle: Los Angeles appear even more meretricious.

Battle: Los Angeles Movie Reviews, Pictures - Rotten Tomatoes から引用

勝手な訳:
日本を襲った被害の悲劇的な映像をTVで観た後、この映画を見るとどうしようもなく安っぽく、俗悪に見える。

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というわけで映画館が軒並み閉まっているのだ。

私が映画を観られないなんてのはなんとでもなるが、映画産業の先行き、ひいては日本経済の先行きに不安を覚える。

天皇が崩御したときに3日間歌舞音曲を自粛するのとは訳が違う。確かにお客をいれているときに停電するのは避けたがろう。しかしそれをずっとやっていると肝心な経済が破滅してしまうのではなかろうか。

というわけで節電を心がけながらも「普通の事を普通にやる」をモットーにしたいと思う。


インタラクション2011 地震発生後の動画まとめ

2011-03-17 07:52

Youtubeから見つかったものだけ。

デモ会場

会議室2


避難の様子


近くから煙が

未来館で内装落下


国際交流館(避難場所)


15年前のお話

2011-03-16 08:14

1994年(?)に書かれたこの本には、当時、そして今を知る日本人として複雑な感慨を抱かざるを得ない。当時JobsはNextのCEOであり、Appleはスカリー(覚えている人いる?)がCEOとして率いていた。そしてNewtonはMacの失敗を繰り返さないようにと、最初からライセンス供与を検討する。世界で一番すぐれた家電製品を作っているメーカーと提携しなくては。そしてスカリーが向かった先は日本だった。

そう。そのころ

「世界で一番優れた家電製品を作っている」

のは日本だったのだ。

仮にこのストーリーが今のものだったらどうだろう。間違いなく彼らが向かうのは韓国、それに中国だろう。サムソン、LGに行き、その後中国へと。

たった20年前にこれほど輝いていた日本の家電メーカーはどうしてこのように落ちぶれてしまったのか。iPadを作れとは言わない。しかし日本メーカーはGalaxy Tabすら作ることができないではないか。(ガラパゴス?何のこと?)


にはいくつかの要因が挙げられている。親愛なるソニーに関して言えば、1990年ころから、

「ユーザが片付けようとしている仕事を見抜き、破壊的イノベーションを連続して起こした」

創業者とその一団に代わり

「市場を細かく分析し、戦略を立てる」

MBA出身者が社内で権力を握り始めた。そのため、ソニーはいまや破壊的イノベーションを一つも起こすことができなくなったと。

また日本全体に関して言えば

「大手メーカーがいまだに人材を抱え込んでしまっており、ベンチャーが成長しない」

ことに日本が活力を失った原因を見ている。長く反映し続けることができる企業は多くない。それにもかかわらず、活力を失った電機メーカーが大量の人員かかえており、ベンチャーの発達を阻害している、というのだ。

私が社会に出てから後だけを見ても、米国ではMicrosoft,Apple,Cisco,Amazon,Googleなどが名をあげ、そして発展してきた。日本では、、楽天ですか?DeNAにグリーですか?


インタラクション2011感想

2011-03-16 06:42

とういわけで3/10-3/11午後3時までのインタラクション2011の感想をば。私は混んでいるデモにはいかない人なので、私が見ることができたデモの中で、印象に残ったものを。

お弁当箱を介したコミュニケーション支援システム

なんというか発表者の意図を超えて、いろいろな妄想が広がるシステムであった。

パターンその1)お母さんが幼稚園児向けのお弁当を作っている。朝のおかあさんは忙しい。殺気だってお弁当を作り、子供をしかりつけ用意をさせ。。。
その様子をお弁当を食べながら見る子供。さて、どんな感慨を持つのか

パターンその2)男というものは、女性の隠れた努力をしることがない。こっちが苦労して作った弁当を、2分で食べて、黙ってんじゃねえよ!という彼女の「隠れた努力」をしらしめることができるシステム。

いや、聞いたところ開発者の意図は「お母さんが子供に"今日のお弁当は○○よ"と伝え、子供がお母さんに感謝の気持ちを伝える」システムとのことなのだけどね。

OrpheusBB: Human-in-the-loop型の自動作曲システム

CrestMuse 最終シンポジウム 2010 デモセッション「聴く」より引用:


自動作曲システム「OrpheusBB」
北原 鉄朗(日本大学), 深山 覚, 嵯峨山 茂樹(東京大学)[研究紹介サイト] [movie]
OrpheusBBは、システムが作曲した曲のメロディ(またはコード)を変更すると、それに合うコード(またはメロディ)を自動的に探し出して当てはめてくれ、全体として違和感のない曲に仕上げてくれる作曲支援システムです。このシステムを使うのに音楽の専門知識は必要ありません。メロディとコードの相互の当てはめは、「メロディがこういう音ならコードはこうなる」という情報を蓄積して統計的に処理をすることで実現しています。

ものすごく難しいことを裏でやっていることはわかるのだが、某氏がtweetしていた

「素人にも玄人にもありがたみがわからないシステム」

に同感だ。「もっとこう派手に」とか「ぐわっいう感じで」とか何かの方法で入力できれば、私も使うと思うのだけど。

幼児向け折り紙作品の創作支援システム

インタラクション2011より引用:

幼児向け折り紙作品の創作支援システム

1枚の正方形の紙を折ることで形を作りだす「折り紙」は,日本に古くから伝わる遊びであり,我々の多くが幼少期に体験するものである.近年では,折り紙の数理に関する研究の成果により,複雑な折り紙作品を創作するための技術が発達してきている.しかし,まだ手指を正確に動かす能力が十分に発達していない幼児らを対象とした,少ない手順で簡単に折れる折り紙作品の創作については,これまでに十分な研究がされてこなかった.そこで本稿では,4回以下の折り操作で作ることができる単純な折り紙作品を,新しく創作するためのシステムを提案する.本システムは,あらかじめ4回までの折り操作で作ることができる折り紙の形を列挙し,それをデータベースに蓄えておく.ユーザが動物の顔など,折り紙で作りたい形をシステムに入力すると,それに類似した形をデータベースから検索し,折り方を提示する.近年の計算機の性能の向上により,このような力づくのアプローチでも目的を達成することが可能となった.幼児向けの折り紙作品に見られる「目の追加」を実装するなど,より実用的なシステムを構築した.

「この折り方は幼児には難しいのではないですか?」という質問に対して(多分言葉のあやだと思うが)「いや、"幼児向け"というのは枕詞のようなものですから」と答えが返ってきた。

であれば「幼児」という言葉を外したほうが誤解がないのではないか。今のシステムはとても幼児向けとは思えない。

インタラクション2011より引用:

Fruit Plotter:ドライフルーツ画素を用いた食べられるディスプレイシステム

筆者らはユーザーのその時々の気持ちや提示したい情報を即時に反映したデザート(スイーツ)を作るための仕組みの実現を目指している.本稿ではこのような仕組みのプロトタイプとして,"ドライフルーツ"という素材に着目し,ドライフルーツを粉砕した粒を一画素(フルーツ画素)としてx,y平面上にプロットする手法を提案する

正直研究の内容はもう一歩詰めがほしいのだが、(気分が沈んだときに、それを反映したスイーツがでてきたら余計めげると思う)これを発表したグループのパンフレットが大きな反響を呼んでいた。

ChordxxCode=About Us=より引用:

About us

東京大学の女性博士研究者7人が集まるエンジニアリング・サロンです.


Philosophy  
chord xx code ∝ 幸道



女性的感性(chord)と,論理的思考(code)によって,日々の生活を分析し,

幸せを導くための新しいメソッドやデバイスの開発を目指しています.



CHORDxxCODE_Philosophy

希望だが、もっとぶっとんだものを作ってください。お茶女の「遠距離恋愛支援システム」のように他人に有無を言わせないほどふっとんだものを。

たとえば

これの女性版ですよ。
というわけで言及しないわけにはいかないだろう、LovePress++である。レベルがどうとかいうまい。有無を言わせぬこのインパクト。

カートグラムを用いた空間のアフォーダンスの可視化

これはすごい。やっていることは比較的シンプルで、GeoタグつきのTweetを数に応じて地図上にプロットしたもの。

何がすごいといって、(動画が見つけられないのが残念だが)本当に「都市が呼吸している」ように見えるのだ。朝が来ると人が集まる箇所がふくらみ、深夜にしぼむ。これを世界規模で見えるようにしたら、朝のウェーブとか、アフリカに広まる民主化の波が可視化できるのではないか。

デモ・ポスター発表 | 五十嵐Pより引用:

. 渡邊恵太、松田聖大、佐藤彩夏、稲見昌彦、五十嵐健夫
smoon: 計らなくて済むスプーン、インタラクション2011、3月10日、日本科学未来館. インタラクティブ発表賞
PDF 120KB   

渡辺さんの新作。意図するところは「ブラウザに閉じたWebではなく、Web上の情報と連動するロボット」とのこと(私が理解できた言葉だけならべてます)

実用されているところが想像できるだけに「別のものを計るときに洗わなくていいのか」と突っ込みたくもなるのだろう。そうした具体的な突込みがはいることは、偉大なことなのだが。

撓みのメタファを用いたビューポート制御インタフェース

こうした「地図をひじませる」インタフェースは山ほど提案されているが、「これは使えそうだ」と思ったのはこれが初めてである。よく考えられており、もう少しつめれば実用化できるのではないか。

Seek Rope: 曲げて切って結べるシークバー:明治大学理工学部 宮下研究室より引用:

Seek Rope: 曲げて切って結べるシークバー

seekrope.jpg

本稿では,シークバーの概念を拡張し,単に再生するだけではなく編集機能も包含したインタフェース シークロープ を提案する.このシステムは,固定されている棒(バー)のメタファではなく,柔軟に曲がる紐(ロープ)のメタファでインタフェースを再考したものである.時間軸を意味する線分を紐のように扱うことができ,「曲げる」「切る」「結ぶ」といった機能を持つ.これにより,シークバーの特性である再生位置のわかりやすさと再生位置の変更のしやすさを残しつつ,プレイリストの作成やコンテンツ編集を柔軟に行うことが出来る.

発想は良いのだが、現状では平行して演奏されるトラックとの本質的な差異がない。面白いものになるか「一生懸命実装しました!」で終わるかは今後次第。

これは(例によって)ものすごい。平たく言えば

「歌詞のテキストとMP3ファイルだけ入力してやれば、自由に操作できるデータを作成してくれる」システム。これさえあれば、流行の曲を自分流にアレンジして演奏するのもニコニコにアップロードするのも自由自在だ。

説明を聞きながら「これをGarageBandに取り入れたら$100多く払っても買う」

と言ったがそれは嘘ではない。

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今年からインタラクティブ発表は査読がなくなった。見る前は

「つまらないものが増えるのではないか」

と危惧していたが、この方針は正解だったと思う。LovePress++が見られるのだから。

そもそも「査読すれば発表の質があがる」かと言われれば(私にとってみれば)そうではない。今回の一般講演は「なんだこれ?」というものが(くどいようだが私にとっての話だ)多かった。(一日目の午後だけは議論がおもしろかったが)

などと好き勝手言っているが、じゃあお前はどうなんだ、と聞かれれば下を向いてしまう。そもそも私が面白いと思う研究はどのようなもので、どのような研究をみて残念に思うかは近々明確にする。それよりもなによりも

「じゃあ自分でやってみろよ」

といわれたときに「これだ」といえなくてはね。


スーパーから何がなくなっていくか

2011-03-15 07:24

ここ数日スーパーマーケットやコンビニから物がなくなっていく。

そのなくなり方のパターンが興味深い。

私が見た範囲で共通してなくなっているのは

・乾電池
・ライト

これはわかる。計画停電への備えだろう

・ペットボトルの水(ただし2リットルとかの大きいもの)
場所によっては、500mlとかの小さいものは山積みになっている。またほかの飲料水も山積み。なくなっているのは水だけだ。

・米
・おにぎり

これはわからないでもないのだが、不思議なことにおにぎりがないコンビにでもパンは豊富にあったりする(もちろんパンもなくなっている例も多いが)パンのほうが供給が豊富なためか、あるいは日本人の心に「米」が根ざしているためか。
「米」がなくなっているそばで、パスタとかそばとかはちゃんと残っている。確認していないが小麦粉の類もあるだろう。調理済み惣菜とかは山積みだ。

・女性の生理用品

これもわからないでもない。いろいろなサイトを見ると確保しておけ、という記述が多いし止血にも使えると書いてある。しかしみながそれほど知識を持って行動しているかどうかは慎重に考える必要がある。

↑----(なんとか理解できる範囲)------↑

・ティッシュにトイレットペーパー

これがわからん。どこからもきれいになくなっているし、うちの奥様も家にたくさんあるにもかかわらず山のように買って帰ってきた。もちろんいざというときに使えるのはわかるのだが、きれいになくなるほど優先順位が高いものなのだろうか?

私の年代より上の人であれば、石油ショックの時におこった

「トイレットペーパー、洗剤の不足、買占め」

を覚えているだろう。まさかあれが深層心理に潜んでいるとかではあるまいが。

また場所によってカップめんの類が姿を消していたり、そこそこ残ったりしている。これもどういう現象なのだろうか。

思うに

「その場で誰かが買い込み始める」
「周りの人間が不安にかられ買い込みはじめる」

といった局所的なパニックが発生しているのではなかろうか。

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阪神大震災の教訓から「何をなすべきか」について説得力のある意見がネット上で見られることはよいことだと思う。

前からだが、TVの異常な報道姿勢についてネット上で文句を言っている人が多い。彼ら(TV)が異常なのは今に始まったことではないし、改善される見込みもないのだから、一番確実かつ有効なのは、TVを消すことだと思うのだがいかがだろう。


緊急事態とIP

2011-03-14 07:29

先週の金曜日から多くの人が実感したと思うが

緊急事態にはIPベースのサービスは使えない。

もともとが核戦争を想定したARPANETであるのは皮肉なことだが、事実は事実だ。
金曜日公衆電話には長い列ができた。いまどき携帯電話を持たない私のような人間はいまい、と思っていた。ではなぜ公衆電話に並ぶのか。

周りの会話から察するに携帯電話はつながらい状態になっていたようだ。メールもだめ。となると使えるのは

・固定電話
・ワンセグ(ブロードキャスト)

だけになる。
弟の家ではしばらく停電していたとのこと。であれば使えるのは乾電池式のラジオだけになる。

先週は水曜日を除いて学会に出ていた。そこで話し合われた内容は多くがIPによる通信を前提としたものだった。それがことごとく役立たずになるのを体験するのは皮肉なものだったが。

低速でかまわないが、「信頼できる」通信手段というものはないものか。結局「アマチュア無線」に戻るということなのか。

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地震の影響は今後も長く続く。息切れしないようにあれこれやるか。まずは今日

「ネットも電灯もない状態」

でどうやって時間をすごすか。PCゲームではなく、紙のトランプで子供と遊ぼう。想像力に対するチャレンジだ。


Appleがクラウドに向かう理由

2011-03-09 07:25

というわけで、別に新しい情報ではないが、ようやく自分の中で整理できたので書こうと思う。

少し前、Steve Jobsはこう宣言した。

マックはデジタル時代のハブになる--ジョブズ氏基調講演レポート - ニュース - nikkei BPnetより引用:

そして「そんなことはない。進化は続いている」とジョブズ氏は強調する。「2001年以降、デジタル・ライフスタイルの時代が訪れる。携帯電話や携帯音楽プレイヤー、DVD装置、デジタルカメラ、PDAなど各種のデジタル機器をつなぐハブ(中心)を担うもの、それがPCだ」とジョブズ氏。「Macintoshは"デジタル・ハブ"になっていく」と論じる。

そして現在確かにMac(+iTunes)はその役割を担っている。iPhone,iPadはPC(というかiTunes)と接続することを前提に作られている。

しかし最近Jobsはこうも述べている。

S・ジョブズ氏が語る「ポストPC時代」、Flash、グーグル--D: All Things Digital - CNET Japanより引用:

Jobs氏は米国時間6月1日、D8カンファレンスで1時間半にわたって語った。その中で同氏は、いずれ従来型のコンピュータを必要とする人はわずかに数人に1人になると述べている。

 「例えば、この国が農業国だったころは、車はすべてトラックだった。農場で必要なものだったからだ」と同氏は言う。都市部が広がるにつれて乗用車が普及し、さらにパワーステアリングやオートマチックトランスミッションが広まった。

 Jobs氏は、「PCはトラックのようなものになるだろう」と述べる。同氏は、「PCはすぐにはなくならない」と考えるが、「PCを必要とする人は何人かに1人」だけになるとしている。

こう述べるからには、現在PC(というかiTunes)の存在を前提としているiPhone,iPadは「PCなしでも使うことができる存在」とならなければならない。

様々な情報を総合すると、その解決に用いるのがAppleが建設していると伝えられているデータセンターなのだろう。おそらくiPhone,iPadは無線経由で直接データセンターとシンクするようになるのではなかろうか。

長年のAppleファンとしてはこの展開にわくわくするとともに少し心配もある。Appleのサーバーサイドのサービスには過去失望させられることが多かったからだ。しかし長年のApple原理主義者としては、おもいもよらないような使い方を提示してくれないかとも思う。

というわけで、期待半分、不安半分で、4月に予定されているというイベントを待つことにしよう。

Apple to Hold Early April Media Event for iOS 5 and MobileMe Revamp? - Mac Rumorsより引用:

German site Macerkopf.de claims [Google translation] to have received word from a source that Apple is planning an early April media event to introduce iOS 5 and revamped MobileMe services.

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今は絶好調のAppleだが、先に引用した記事をみて「ああ、10年前はこんな状態だったよな」と感慨にふけった。

マックはデジタル時代のハブになる--ジョブズ氏基調講演レポート - ニュース - nikkei BPnetより引用:

 例年のことだが、一般来場者は会場の良い席から同氏の講演を見るため早朝の4時頃からコンベンションセンターを取り巻き、列を作り始める。今年はその数が特に多く感じられた。

 ジョブズ氏の基調講演はほぼ定刻通りの9時過ぎにスタートした。会場の大きな拍手に迎えられたものの、いつもの陽気な語り口とは異なって、険しい表情の同氏は「ここ数ヶ月はアップルにとって厳しい時期だった」と切り出した。

 これまで、他のPCメーカーに比べて少ないMacintoshの在庫、順調な出荷台数など同社の好調な状況を報告することから始まるのが常だったが、今回これらは一切なし。2000年8月に発売した「PowerMac G4 Cube」の予想外の不振、タワー型「PowerMac G4」の伸び悩みなどで同社の株価は急落、買収の噂さえ出ている状況では、業績報告には触れたくなかったのだろう。

映画評:英国王のスピーチ

2011-03-04 08:12

細かいことは本家に書いたので、感想をおおざっぱにまとめれば

途中までは1000円。最後の演説で1800円

であった。

いや、今日書きたいのはそのことではない。

主人公はデューク・オブ・ヨークなのだ。初めてこの言葉がでてきたとき、一人で噴出した。私の中でデューク・オブ・ヨークといえば

Postcard HMS Duke of York.jpg

である。
そして主人公のお兄さんはプリンス・オブ・ウェールズである。ビスマルクと交戦し、マレー沖で日本軍に撃沈された戦艦だ。

二人の父はキングジョージ5世。これである。

キング・ジョージ5世 (戦艦) - Wikipediaより引用:

1945年に撮影された「キングジョージ5世」。

この映画をみて何故プリンス・オブ・ウェールズが

「運の悪い艦」

と呼ばれていたか理解できた。こういう(ほぼ)現役の人の名前を船につけるセンスは、日本人にはちょっと理解しがたい。まだ国王とか大統領ならわかるが





ボブ・ホープ (USNS Bob Hope, T-AKR-300) は、アメリカ海軍の輸送艦。車両や貨物の輸送を主任務とするボブ・ホープ級車両貨物輸送艦のネームシップである。艦名は、エンターティナーのボブ・ホープから取られ、ボブ・ホープの生前に命名されている。1998年11月18日に就役し、2006年時点においても現役である。



ボブ・ホープ (車両貨物輸送艦) - Wikipedia から引用


というのかいかがなものであろうか。日本流に言えば

「輸送艦 明石家さんま」

ということになるのだが。(ボブ・ホープとさんまを一緒にするな、という議論もあろうが)


学会の発表を聞きながら思ったこと

2011-03-04 07:54

某学会の発表を聞いていた。ちなみに人間に情報を提示したり、探すのを手伝ったりするコンピュータシステムに関するものである。

学生さん限定の発表会だったから、おそらく生まれて初めて内輪でない人の前で発表する人も多かったことだろう。それにしてはみな堂々と発表していた。ことプレゼンテーションの技術に関しては、最近の若い者は私の世代よりはるかに上手だろうな。

プレゼン技巧はいいとして

彼らと彼女たちの発表を聞いていて何度か疑問に感じたことがあった。

「この人はいったい人間というものをどのようにとらえているのだろうか」

「レシピ推薦」なる発表が2件ほどあった。そのどれもが

「必要な栄養素を計算し、レシピに含まれる栄養素を考慮することで、最適なレシピを」

とやっていた。

ここで問題です。

食事の主たる目的は栄養をとることでしょうか?それだけ考慮すればいいのでしょうか?
十分な栄養を取れるレシピを求めているのでしょうか_それが提示されれば人は羊のように音なしくそれに従うのでしょうか?

「人に情報を提示するシステム」に関する話を聞いていると、その人が人間をどのように考えているのかが垣間見られて興味深い。もちろんそれが難しい問題であることは確かだが、かといって勝手に人間を矮小化するのはいかがなものかと思うのだ。

あるいは、「システムは何を解決しようとするのか」というところをさらりとかわして、複雑な数式の中に逃げ込むとかね。

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などと考えていると、昨日読んだこの記事が頭にひっかかる。

ちなみに私が聞いていたのは人間に情報を提示したり、探すのを手伝ったりするコンピュータシステムの発表である。

俺の興味をひきつけられるのはお前の解決案じゃない! | Startup Weekend Tokyoより引用:

君が提示する解決案は、私の問題を解決しなきゃいけないんだ。

つまり
いくら君が、そのご自慢の解決案とやらを
何回しつこく繰り返そうが、私の問題に関わるものでなければ
私を納得させるには無駄だってことだ。

これは投資家が、企業家たちに言った言葉だからそのまま私と発表者の関係に当てはめるのは無理がある。

しかし

聞いた発表の多くは「問題点」を適当に述べるだけで、すぐ「解決策」の説明に移っていたようにも思うのだ。あるいは「問題点」は正しいように聞こえても、それが「解決策」に反映されていない、とかね。そうした場合にはつまるところ「問題点」を正確には把握していない、ということにならないだろうか。

たとえばレシピ推薦なら

「人間は体に悪い、と思っていてもつい食べ過ぎてしまったり、必要なものを食べなかったりする。こうした問題に対処するシステムを考えたい」

という正しい問いからはじめれば、研究全体がもっとよくなったと思うのだ。もし時間や知識がたりなくて、問題に対する解決策を示せなかったとしても、それをnext stepとして位置づけることができる。

新しい物を作ろうとするとき、出発点となる「正しい問い」を立てるのがとても重要だ。そこが間違っていれば、出来上がったものはどこにも行き着かない。

しかしそれが簡単と思う理由もない。何度かのインタラクションの後にようやくこの問いにたどり着くこともある。そうしたフィードバックを得るためにもver0.1は早く形にしないとね。ああ耳が痛い。


iPad v.s. iPad対抗

2011-03-03 07:51

といわけで、iPad2の発表である。一台実家に買ってあげたいと思っているのだ。Facetimeを使えば実家とのTV電話もらくらく。koukou TVを使えば、最近とった写真を見せてあげることも苦労なしにできる。(この「苦労なし」というのが重要)

さて、最近になってiPad対抗とおぼしきタブレット端末がわらわらでてきた。いや、そもそもずっと前からTablet PCなるものは存在していてだな、と薀蓄をたれるのは頭のいい人に任せておく。SuperBowlでわけのわからないCMを流したMotorolaはこんなことを言っている。

今、日本は"エキサイティング"な市場:「XOOMはタブレットのあるべき理想像、自信がなければ投入しない」──モトローラ・モビリティの日本市場戦略 (1/2) - ITmedia +D PC USERより引用:

「モトローラは、スマートフォン・タブレット機器が"今後のデジタルライフの中核になる"と考えている。これを実現する戦略はごくシンプルだ。"ユーザーの声をしっかり聞き、徹底して魅力的なハードウェアを提供すること"、"Android OSを徹底活用し、ユーザーの利用価値を上げること"、"ユーザーが望み、必要と思う(クラウドなどの)ネットワークサービスで他社との差別化を図り、ユーザーの体験を最高のものにすること"、そして"ユーザーが消費だけから創造までも──の時代・使い方に移行する時、スムーズに移行するためにお手伝いできる機能・サービスを用意すること"となる。

だから「ユーザの声をしっかり聞き」では新しい物はできないと何度言ったら(誰も聞いていません)
能書きをたれる前に、だれもが「わおっ」と思うものを見せなきゃ駄目だよ。と思ったら下のほうではこんなことを言っている。

今、日本は"エキサイティング"な市場:「XOOMはタブレットのあるべき理想像、自信がなければ投入しない」──モトローラ・モビリティの日本市場戦略 (1/2) - ITmedia +D PC USERより引用:

今までこういったデバイスを動画再生・ストリーミング再生・Web閲覧などのみで使う、いわゆる受け身/"消費のみ"の使い方から、今度はクリエイション──"何かを造っていく"こともできるようになると思う。XOOMを使っていただくことで、これまでは思いつかなかった新しい利用シーンが必ず生まれてくる

「生まれてくる」と誰か任せにするんじゃなくて、「これだ!」と見せなくちゃだめだ。iPad2でiMovie, Garage Bandをデモして見せたAppleのように。

速報:アップル 新 iPad 発表イベントより引用:

技術だけでは不十分、がアップルのDNA。(科学)技術とリベラルアーツ(人文)、ヒューマニティーの結合。ポストPC製品ではなににも増してそれが真実。われわれの競争相手は、単に次のPC市場のように考えている。それは正しいやり方ではない。ポストPCデバイスはPCよりも扱いやすく、もっと直感的でなければならない。

11:14AM

この差異は当分埋まる気配がない。かくしてiPhone v.s. Android phone, iPad v.s. Android tabletの戦いは異なる姿勢の戦いでもある。

この戦いにかつてのMac v.s. PCを重ねてみる人も多いようだが、当時とはひとつ大きな点が異なる。この戦場における「Mac」はなぜか「PC」より安いのだ。その秘密についてはいろいろな説があるが、決定的な真実はいまだApple社内にしか存在しないように思える。

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昨日家で「デファイング・グラビティ―Newtonテクノロジーの誕生」という本を読み返していた。
さてここで問題です。Newtonの普及のためには、他社へのライセンス供与が欠かせない。そう考えたAppleのCEOが向かった国はどこでしょう?

1)韓国
2)台湾
3)中国
4)そのほか

答えはいつの日かこの「ごんざれふ」で!


slim3 on Macでjava.lang.NoClassDefFoundError

2011-03-03 07:35

というわけで、関係ない人にはまったく関係ない話だが、きっと私と同じように検索エンジンをたたきまくる人もいるのではないかと思い。

Mac 上でGAE+Slim3を動かそうとしていた。eclipseのインストール終了、GAEのインストール終了、slim3もはいった。さてtutorialにあるプログラムを動かそう、とする。

ブラウザからローカルのサーバーにアクセスすると、確かにHelloなんちゃらが表示される。しかしEclipseのコンソールを見るとエラーが山のようにでている。おそらく一番主要なものは

java.lang.NoClassDefFoundError: Could not initialize class org.slim3.datastore.Datastore

なにやらDatastoreでエラーが起こっているらしい。でもデータの保存なんか(まだ)してないぞ。
あれこれやってみるが解消しない。上記のエラーメッセージをGoogle先生に投げてみるがどうもサポートがTwitterで行われているらしく、検索しにくくてしょうがない。

しかしその中にヒントがあった。

Geek Social Networkより引用:

toomore_such @shin1ogawa いいえ。今 blank と比較していたのですが、逆ã « war/WEB-INF/lib 配下に #appengine 絡みの jar が何も無いという... ここでしょうか。#slim3

なるほど、と確かにwar/WEB-INF/lib以下を調べてみれば、google app engineに必要と思われるjarが空っぽである。

しかし不思議なことだ。Windows上で同じ操作をしたときは、ちゃんとこれらのjarがこのディレクトリにコピーされていたのに。(私が何もしなくても)

ではさっそくコピーだ。さて、問題です。Google App Engineがらみのjarとはいったいなんでしょう。しかたがないので、新しいGAEのプロジェクトを作る(単なるダミー)それのwar/WEB-INF/libの中をのぞいてみると、あれこれjarができている。それをごそっとslim3で作ったプロジェクトの同ディレクトリにコピーする。

祈るような気持ちでlocalhost:8888/ほにゃららにアクセスする。すると今度は何のエラーも吐かず結果が返ってくる。やれありがたい。

という過程を経て、私が何を作っているかは内緒。

ほかにつまづいたところ:

チュートリアルどおりコントローラーを作成しようとすると「32bitと64bitがうんたらかんたら」と怒られる。
(解決方法その1)Eclipseを64bitにする
(解決方法その2)Javaを32bitで立ち上げるようにする。

どちらがいいのかわからないけど、私は(解決方法その2)でやっています。


受賞するということ

2011-03-02 07:37

冬季オリンピックの度にフィギュアスケートの採点が話題になる。

思うに、ルールが明確に決まっており、結果が客観的に測定できる競技(スピードスケート、100m走)などと、そうでない種目(フィギュアスケート、ボクシングの"判定")の間には大きなギャップがある。同じ「スポーツ」とくくってしまっていいか判断に迷うほどだ。

さらにスポーツではないが「受賞」となるとこれは完全に選ばれる人と、選ぶ人がほぼ対等の重みを持っている、と言ってもいいのではなかろうか。

大学の先生と話をしていると、彼らと彼女たちにとって「科研費」という言葉が大きな意味を持っていると推察される。じゃあその大切な科研費は誰が審査して、決定するのかと聞いたら

「その分野の大御所の先生」

とのこと。つまるところは「その分野での最新傾向」に沿っていることが科研費を勝ち取るコツなのではないか、とぼんやり想像したりする。もちろんそれでいいのだが、「その分野を扱っている学会」がまったく間違った方向に向かっているとしたら、それは誰が正すのだろうね。

といったところでやおら引用。

Twitter / @山中俊治 Shunji Yamanaka: 同意します。権威のある賞も所詮は人が選ぶのだという相 ...より引用:

同意します。権威のある賞も所詮は人が選ぶのだという相対感覚が大切だと思います。 RT @: 賞を有り難がって表層的、大げさに報道する日本のメディアよりも、背を向けて勝手にやっている人の方が、むしろハリウッドの心に近い。

去年の例だが、「しあわせの隠れ場所」でのサンドラブロックが主演女優賞などとは冗談としか思えないが、あるコミュニティの中ではそうした必然性があるのだろう。

などと言った所で受賞すればうれしいし、逃せば悔しいのが人の性ではあるが、所詮人が選ぶものだからねえ。これが「主演男優賞は、ノミネート者の間でバトルロイヤルをやって最後まで勝ち残った人が受賞」とかすれば客観的でいいと思うが(何の賞かわからなくなるけど)

というわけで、アカデミー賞会員の思考パターンにあれこれコメントするより、「私はこう思う」と書いたほうが楽しい、というわけで先月「ごんざれふ賞」を書いたわけだ。


ほかに権威を疑わせるわりに一部の熱狂を呼び起こす賞としては

「ノーベル平和賞」

が挙げられる。就任間もないオバマやら佐藤栄作やら金大中が受賞するのもあるコミュニティの中では意味があるのだろう。そろそろノーベル賞から切り離してはどうかと思うのだけど。


やたらと怒ったり、攻撃的な時は

2011-03-01 07:39

自尊心に問題を抱えているときである、と自分に言い聞かせる。

怒る必要などない - jkondoの日記より引用:

先生が30代の頃は毎日スタッフミスメモし、診察時間が終わるとそのスタッフを怒っていたそうです。ところがある時、「怒る必要などない」ということを悟り、対等な人間として接するように変わったそうです。それから入ったスタッフの方の多くは、10年以上も勤務され続けたそうです。怒るのは自分の自信のなさの現れである、と仰っていました。

この「自尊心と怒りの関係」は↓の本にも書いてあった。



私の友達が話してくれた。彼が以前勤めていた会社の社長はまさにそれを日々体現している人だった、と。とにかく怒りっぽく、自分が「敵」とみなした相手にはやたら攻撃的。もっとも「攻撃されていること」はわかるのだが、何を言っているのか誰にもわからないので対処のしようがなかったとのこと。

そうした「怒りの言葉」も、3分後には自分の過去の業績(と自分が考えているもの)の話になる。そうして「自慢」をしていないと不安になるのだろう、他人を非難するのも、それによって自尊心を保つ手段だったのではなかろうか、と友達は分析していたが。

他人はいいとして、こうした分析は自分に向けるのが賢いのではないかと最近考えるにいたった。何か自分がいらいらしていれば、それは自分自身の問題と何か関係があるのではないかと考えるわけだ。

仕事が忙しくて心の余裕をもてないとき。あるいは自分に対して自信を失っているとき。こうしたときは何かと怒りっぽくなる。ごくまれに、心身ともに絶好調なときに怒ることもあるが、これは単に馬鹿なのだと思うことにする。

昨日久しぶりにいらっとすることがあったが、自問してみればそれは

「官僚主義を自分がうまくかわせないのではないか」

という恐れから来ていたのだとわかる(というかとりあえずそう思い込む)乗り越えることができない壁があれば、穴を探すなり、下を掘るなりしてみればよい。それが全部駄目なら

「しかたない」

と肩をすくめればいいことだ。だいたい怒ると体に悪い。若いうちはそうした被虐的な行為にも耐えられたが、年寄りなのだから心静かに暮らそう。

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先日ある本を読んでいたら「怒らないための秘訣は、何も期待しないこと」と書いてあった。これも真理だと思う。理不尽な期待を持つから、現実との落差に怒りを覚える。ではそもそもその期待に合理的な根拠があるかと問われれば、多くの場合単なる思い込みである。