題名:YD合コン

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日付:1998/1/10

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YD合コン

1章:それまで

その日私は同期であるところのKWと仕事中であるにもかかわらず下らない話をしていた。

下らないと書いたが、実は結構真面目な話をしていたのである。しかし私は体質上、3分以上真面目な話をすると頭から煙りが登るのである。なるほどすべからく真面目な話はたんのうした。そろそろ頭のバランスを取るために軽い話をしないと煙りが登るだけでなくて頭に永久的なダメージが残るかも知れない。と思い始めた私の目にKと同じグループであるところのYDGentleSがKWに何かいいたそうな顔をして歩いて来るのが映った。

私は彼らの表情を一目見てそれがきっとKWにとって仕事の上であまり嬉しくない話であることを感じた。それまでKWと話していた内容も基本的にあまり仕事に関して楽しい話ではなかったので、ここで更に追い撃ちをかけるようなことがあってはまずいと思った。そこで私は二人に対して「おいどうした。景気の悪い顔をして。なにか明るい話でも持ってこれないのか?たとえば合コンとか」と言ったのである。

そうするとYDがそれに応じた「えっ。いやそんなことはないんですけど。それはそれとして、なんとかすれば合コンの話はつきますよ」Oh Great!今度ここにいるメンバで合コンに行こうではないか。というわけでYD君よろしくね、と言った。GentleSは一人かやの外である。彼は新婚ほやほやであったから、いかに物欲しそうな顔をされてもこいつを混ぜてやるわけにはいかないのである。従って私は彼にこう言った「なんだGentleS 、その顔は。まさか合コンに行きたいなんていうんじゃないだろうな。そうだよね。家に帰ればかわいい嫁さんが待ってるんだもんね」こうなればGentleSは何も言うことはできないのである。

さて合コンの話をしながらとりあえず私はその場を離れた。その時は正直なところそれほど合コンの成立に期待を持っていたわけではない。

 

それから多分一月かそれ以上の月日が流れた。私はその間にも合コンやらおデートやらしていたのだろう。そうこうしているうちに8月の盆あけになった。午後7時からの休み時間にほれほれと歩いているとSTとYDが私の名前を呼んだ。「なに?お金は無いよ 」よと言ったら、話は合コンのことであった。YDが合コンを企画していて、それに私を混ぜてくれるという。相手はYDの中学の時の同級生ということだ。つまりYDと同じ年、私より4つ下ということになる。一月前にYDが言った合コンの心当りと今回のコネが一緒であるかどうかは定かではない。しかしとにもかくにも男のメンバは私とその時その場所にいたYDとST。あと最初に私が話していたKWということになるのである。

さて日程の話になるが、YDの話によると「相手から早く実施して欲しいとの要望があった」とのことで、一番早い線として9月4日ということになった。YDは「その線で相談してみます」と言った。そして結局その日程通り合コンが行われることになったのである。

そうこうしているうちに前日の9月3日になった。時おりしも台風が接近してきており、ちょうど土曜日(9月4日)に中部地方に大きな影響を与えることが予想されていた。KWとYDは合コンにそれこそ水を差すことにならないかと心配していた。ところが私は全く無関心であった。

私は天気に関しては常に楽観的になることにしている。我々が心配すれば天気が良い方に変わるのであれば話はべつであるが、実のところどうしようもないわけである。したがって心配してもしょうがない。台風が来れば傘をさして待ち合わせ場所に向かうだけだ。

私はこのようにのんびりとしていたが、かといって地下街が水につかるような状態になったり、傘がふっとばされるような状態になると困る、特に女の子達が、とKWとYDが指摘した。なるほどまったくその通りだ。男の子はまあずぶ濡れになっても構わないが、同じ心構えを女の子に要求するのはむりというものだろう。

KWは私ほどいいかげんでないのでYDに話して合コンに行く人間の連絡先を集めて、万が一の時の連絡方法を徹底させたのである。なるほどできる社員というのはこうでなくてはいけない。

次に主催者であるところのYDに相手の様子を聞いた。すると「相手はお嬢様ばかりだそうです。社長の娘もいるそうで」と言った。じゃあおとなしくしていようと言うとYDは「いや盛り上げてくれと言ってましたよ」と言った。なるほどお上品な話題で盛り上がれというわけだ。合コンにお招きいただいた時には幹事の意向に沿い明るく騒ぐのが私の信条である。それではYDの言った通りがんばることとしよう。台風が全てを吹き飛ばさないことお祈りながら。

日が暮れるにつれて、台風のせいで雨風が強くなってきた。それを理由にさっさと会社から逃げることにした。台風の神様に感謝である。ひどい雨風をくぐりぬけながら傘なしで 車にたどりついた。25分のドライブの後に寮につくとその30秒前には小降りだったのにもかかわらずいきなり恐ろしい勢いで雨がふってきた。まあ世の中こういうものである。

 

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注釈

合コン:(トピック一覧参照)このころは私が「趣味は」と聞かれれば「合コン」と答えていた時期である。思えば若かった。本文に戻る

 

YD:この男の正体については、4XX Official Web Siteを参照のこと。本文に戻る

 

GentleS: この男がよっぱらったときに「これからは私をGentleS と呼ぶように」と叫んだのだそうだ。普通な実際Gentleな奴なのであるが、酔っぱらうと人格が変わるのだそうである。戻る

 

お金はないよ:「大坪さんちょっと」と言われるとかならずこう言い返すのが私の習慣である。この訳の解らない応対のルーツは「花の応援団」(参考文献一覧)という漫画の中にあったギャグである。主人公であるところの青田赤道に呼び出された各運動部の主将たちは青田が口火を切る前にごそごそと相談しみんなで口をそろえて「金なら無い」と気先を制したのである。戻る

 

傘なしで: 私は傘を持って会社に行くのが嫌いである。理由はすぐ傘をなくすからだ。駐車場から建物の入口までの距離は短いので走れば大したことにはならないのである-普通の降り方であれば戻る