題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る
日付:2025/12/31


明治百年記念展望塔:千葉県(2025/7/4)

お世話になっている会社のイベントに参加できることになった。ありがたいことだ。しかし些細な問題がある。

まず第一に遠い。私が住んでいるのは神奈川県。そしてイベントの場所は千葉県。しかも東京に近い浦安とかではない。成田空港の近くである。公共交通機関を使うと片道4時間かかる。そしてイベントでは昼ごはんと晩ごはんをたべ、その間に野菜を収穫し、火を起こすのだそうな。

それだけのために往復8時間費やす意味があるのだろうか。などと悶々と考えていることしばらく。ネットをさまよっていると変わった形の展望台が千葉にあることを知る。そうだ。ぽん。義務と思うから気が重いのだ。車で行って、千葉をめぐるついでにご飯を食べ、野菜を収穫すると思えばいいではないか。をを、前途に希望が見えてきた。

というわけで、早起きし家族分の朝食を準備すると自分だけ食べて家を出る。Apple Map先生のお告げにしたがって車を走らせる。横浜近くになるとあれこれ分岐が難しい。言われる通り走っていたつもりなのだが、橋を渡ったところで降りろと言われた。さらにはUターンしろという。ということは私は何か間違えたのだろうか。自分がどこを走っているかわからないので、とにかくお告げの通り走る。橋を通るがそれほど長くない。いくらなんでもこれで東京湾を横断したはずがないと思っていると、今度は道が地下に潜る。をを、これがシンゴジラにでてきた東京湾アクアラインか。ということはここらへんで天井が割れて、、とは考えないことにする。

走ることしばらく。再び地上に出る。東京をすっとばし無事千葉到着。道の両側は緑がびっしり。首都圏であってもここらへんは土地がたくさんある。こんな状態でも戦前の日本人は「人口過大の日本」と思っていたのだろうなあ。

頭の中に「木更津キャッツアイ」という意味がなにかわからない言葉が回り続ける木更津市を抜けると今度は君津という文字が見えてくる。私が学生だった四十年ほど前、新日鐵の製鉄所を見学にきた場所だ。製鉄所に近づくとそれがべらぼうな大きさを持っていることに気が付く。走れど走れど右手が製鉄所の敷地らしい。そのうち道が混み出す。カーナビ上の渋滞表示はあるところで唐突に終わっている。なんだろうと思えば、製鉄所に出勤する人たちの車の列であった。ここに出勤しようと思えば、会社のバスを使うか自家用車しかあるまい。製鉄所の反対側には大きな工場がいくつも見える。書いてある社名は知らないものだが、おそらくこの辺りでは大手企業なのだろう。世の中には知らない世界がまだまだたくさんある。

などと感慨に耽っているうち、今度は富津市という文字が見え出す。聞いたことがあるようなないような、と思っているうちだんだん海の気配がしてくる。潮干狩り場があるらしい。平日の朝なので、誰もいない。そのうち温水プールが見えてくる。私がこの近くに住んでいれば、子供たちを連れてここにくるんだろうな。プールをすぎると道が少し細くなる。道の先にそれがあった。

全景
全景

これが今日の目的地、明治百年記念展望塔。写真で見たそのままのものが目の前にある。何やら工事をしているらしく、ひょっとして入れないかと恐れるが、そうしたことはない。近くにはこんな看板がある。

近くにかつて日本軍が建設した海上防衛用の要塞があるらしいしかし果たしてここから歩いていけるものなのか。もう一つはこんな看板。

ここが作られたのは、昭和四十六年。私が中学生の頃である。でもってこの看板は平成十六年。この時差はなんだろう。そしてなぜこの看板が建てられたのか、とかまあいろいろ理由があるのだろう。などと考えていてもしかたないので登ろう。

構造が少し込み入っている。展望台の海側に行こうと思えばどうやら一番高いところを通らねばならぬようだ。ひたすら階段を登る。下の看板に「海保へ歩いて行くな」と書いてあったが、どうやって歩いていけというのだ。潮が引いている時にはここが歩けるのだろうか。

とはいっても目的地はあんな先である。

などと考えながら登って行く。古い展望台だが、しっかりしており別に不安を感じる要素はない。はずだ。と自分に何度も言い聞かせる。しかし一つ階段を登るごとに足がすくみ始める。私は高所恐怖症なのだ。 遠い昔、卒業旅行でヨーロッパを巡った時のことである。ケルンの大聖堂の中を登って行った。そしてさらに登れる階段があるのだが、足がすくみ階段の足元までもいけなかった。その時の思い出が蘇る。手すりはしっかりしている。足元もなんの問題もない。しかし足が動かない。

というわけで、ここまで登ったところでギブアップ。すごすごと降り始める。頂上を経由しないと辿り着けない反対側も地上から回ればなんということはないよね、と思うが周りに金網があり近づくことができない。まあそこまでこちら側に執着する理由もないか。

下にはこんなものがあるのだが、果たしてなんなのだろう。竣工当時はもっと綺麗な何かだったのだろうか

というわけで、あたりをぐるりと回るとその場を後にする。トイレがないかと思ってあたりを見回せば広大な駐車場の反対側に立派なトイレが存在している。普通ならば歩いて行って車まで戻るところだが、すでに日差しは強烈になりつつある。迷うことなく車でトイレ近くまで向かう。すっきりすると再び展望台をみる。

さて、先に進もう。ここから今日の目的地までは1時間以上かかる。千葉は広大だ。

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注釈