題名:Osaka Bay Blues(8章)

五郎の入り口に戻る

日付:1998/1/10

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8章:Sweet Dream Sweet Heart:

この2次会でどういう話をしたのかよく覚えていない。とりあえずCと私と27歳女、22歳女の4人は大阪弁について話をしていた。

私は基本的に大阪弁の女の子は好きなのである。とてもかわいく感じる。ここでAの「月がぼくたちを焼いてるぜ」攻撃の話をした。どういう話かと言うと、彼女とふたりで海辺を歩いていてる。そこで赤い月がでている。女の子が「どうして月があんなに赤いのかしら」と、そこで顔を赤らめずに「月がぼくたちを焼いてるのさ」と言うのだそうだ。こうやって書いていても恥ずかしいが、 彼女達が言うにはそれは東京弁(というか標準語)で言うからいやみに聞こえるのであって、大阪弁で言えば恥ずかしくないと。「月が俺達やいとるんちゃうか」といえば確かにあんまりいやみには聞こえない。

次に話題になったのは私の「アベックがいちゃついているのを見学に行きたい」話であった。高校時代柔道の練習試合から帰る途中ではからずもアベックの名所をくぐりぬけることになってしまった大坪君は、当時の純真さから目を伏せて足早に通りすぎてしまった。いまから考えると、よく見学しておけばよかったと。今からでも遅くないから誰かつきあって一緒に見物に行ってくれないかなという話である。しかし彼女達の弁によれば、そういった行動ははたからみると変なおじさんでしかないという。大阪にも色々とアベックのいちゃつく名所あって、そこに見学に行くのも面白いかもしれないということであった。またこれはけっこう有名な話なのだが京都の鴨川の川原にはきっちりと等間隔でアベックがならぶという。

などと下らない会話に花をさかせながら、はっと気がつくと端でKとTは仲好し子良しのツーショットである。実のところこの二人がどのような話をしていたのかまったくわからない。

さて時間は結構早く進んだ。私を除く全員はそれぞれ大阪で宿のあてがあったわけだが、私は何も考えていなかった。従って私だけは帰る心配をしなければならなかたわけである。

Cは帰りの最終電車の時間をしらべてきたので、それを聞いてみると、もう近鉄特急で帰るには遅すぎる時間である。新幹線で帰るにしてももうあまり余裕がない。従って名残おしいがもうお開きにしなくてはならない。

「それでは」というわけでそこを後にした。それから地下鉄で帰ったわけである。難波から歩いて隣の地下鉄の駅へ行ってそれぞれ帰途についた。

ここで地下鉄の方向ははかったようにKとTがいっしょで、あとの残りが全員反対方向であった。にこやかに反対方向の地下鉄に消えていくKとTの姿をみて「これはうまくいくかもしれない」と思ったのである。

残りの5人はおなじ方向である。二つか三つ目の駅で女の子たちが下りることになった。そこで彼女達はさっそく「シンデレラエクスプレスごっこ」をやってくれた。下りてもしばらくはなれずに、扉がしまって動き出すときにいきなり手をふるとそれだけのことであるが。

このとき私はほとんど死にかかっていた。大坪君の体力は寮のベッドの上以外では急速に消耗する。地下鉄にのる以前からカラータイマが鳴って、ほとんどStanding Hygeen(つまり立っている廃人 )状態だったのである。しかし「男女の中は別れ際」という説を持っている大坪君がここでやすやすと廃人化してしまうわけにはいかない。ここで必殺の「大本営笑い」をしていたのである。設計室で非常に不評ではあるが、とりあえず初対面の彼女達にはわからないであろう。とりあえずスマイルスマイル。

女の子達がおりて男だけになると例によって例の如く「今日の合コン」の反省会がひらかれるのであるが、この日は大坪君が廃人化していたためにスタートが少し遅れた。

まあとにもかくにもそれぞれの男の子の感想を聞いてみよう。Cの感想は前に書いた通り。それに加えて「もう少し長く一緒にいれば名刺の交換とか、次に名古屋でやりましょうねとか言う話がもちだせたのに」とくやしがっていた。 ちなみに女の子の評価を聞くと「唯一話していたのが22歳ねえちゃんですからね。でもあれはみゃくがないなと思いましたね。」「何を後ろ向きなことを言っている」「いや話してればそういうのわかるじゃないですか」

Dの感想は「いやーみんないこでしたね。あんまり気をつかわずにしゃべれるのがうれしかったですね」というところであった。つまりこの二人にとっては結構楽しい宴であったが、今後多分何もうまれないであろうということだ。

従って期待はKに集まることになる。というか別に期待する必要はないのだ。すくなくとも大阪合コンは成功した。相手も楽しい人ばかりだったし、宴会も楽しかった。これ以上望むことはなにもない。などと書いたそばから色々と期待が膨らんでしまうのが人の性というものであろう。さて今後はどうなるのであろうか。

 

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注釈

大阪弁の女の子:最近大坪君が好きなのはLINDBERGのボーカル渡瀬マキである。大阪弁をしゃべるお姫様、お嬢様。こういうのが好きだからろくなことにならないと思うがそれがどうした。戻る

 

等間隔でならぶという:別に白線がひいてあるわけではないのに等間隔で並ぶという。戻る

 

Standing Hygeen:”スタンディング・ハイジーン”と発音する。戻る

 

廃人:ここで書いている「廃人」とはほとんど役立たずのこと。従って私は会社にいる間ほとんど「廃人」である。戻る

 

大本営笑い:大坪君のちっとも楽しくないときの笑いかた。「大坪さん機嫌が悪いんじゃないですか」と言われると「はっはっはそんなことはないよ。。人生は喜びにみちているじゃないか」と「大本営発表」-つまり大嘘-をかましてこの「大本営笑い」をするのである。最近は本当の笑いとの区別がつかなくなってきた。戻る

 

もう少し長く:この日は5時に会って、9時にわかれている。4時間一緒にいてきっかけがつかめなかったCが今後(例えば)2時間のうちにきっかけをつかむことができたか?可能性はあたかもしれない。Who knows ?しかしチャンスは分単位で表れたり消えたりする。それがつかめなければそれまでである。戻る