題名:書評

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日付:1998/3/8

修正:1998/5/22

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Computer

 

Life with UNIX(1991?)(参考文献一覧へ

Don Libes&Sandy Ressler著、坂本文監訳、福崎俊博訳。アスキー出版局。1990年第一版発行である古い本。「UNIXを愛する全ての人に」と書いてあるとおり、UNIX の機能などの解説ではなく、どちらかといえば、UNIXの過去、現在、未来に渡って幅広いトピックスをあつかった本。従って何か特定のことを調べようとして読んでも役に立たないが、1990年当時のUNIXをとりまく環境について知ることはできる。

思えばこれから8年。状況は大きく変わった。UNIXはATTの手を放れ、そしてU.C.Berkelyの手も実質的に放れることになった。このころはWindows NTなど、世間ではほとんど知られていなかった。(たぶん原型は存在していただろうが)

1990年当時は妥当な推論と思われ、その後大きくはずれた予想を二つ書いておこう。「UNIXのようなオペレーティングシステムはもう二度と現れないだろう。。あるオペレーティングシステムが普及するためにはUNIXより圧倒的に優れたものでなければならないということだ」実際にはWindows NTはいわば"Windows版Unix"であり、UNIXに比べて改良はされているが、「圧倒的に優れている」と主張することはできまい。しかし「圧倒的な市場シェア」によってUNIXをしのぐ勢いで普及する見込みである。(あれ、そういえば最近のシェアってどうなってるんだろう。。。でも近い将来Windows98の系統がWindows NTの系統に統合されれば、世界で一番普及したOSになるんだよなあ。。)

もう一つはCPUの処理速度向上がユーザーインタフェースの向上に与える影響の予想である「1992年までには100MIPS程度の処理能力をもつワークステーションが登場するだろう。。。そうすれば本当の意味で優れたインタフェースが採用できるようになる(。。。自然言語処理や。。。AIによる問題解決システムなど)実際にはCPUの速度向上の予想は正しかったが、ユーザーインタフェースが画期的に向上するにはまだ少し時間がかかりそうである。たぶん自然言語処理は市場に登場間近だと思うのだが。

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注釈

100MIPS:MIPSは本来Million Instructions per secondの略であるが、RISCチップの登場とともに意味が定義しにくくなった。というかMIPS値は、元はそういう意味だったらしいが、実はVAX MIPSとか言ってVAX11/780の何倍のスピードか?という定義だったりしたのである。それからCPUの処理速度の表し方としては、SPECint,fp92, SPECint,fp95となって、今のCPUがMIPS値でどれくらいになるのか検討がつかない。ちなみにPentium 60MHzが100MIPSだったようだ。60MHz Pentiumをつんだマシンが本文にあるような優れたインターフェースを搭載できたか? 道はまだまだ長い。優れたインタフェースの搭載をさまたげていたのは、ハード的な制約だけではなかったのである。 本文に戻る