題名:YD合コン(3章)

五郎の入り口に戻る

日付:1998/1/10

1章 2章 3章 4章 5章  


3章:イタ飯屋

さてとりあえず我々は巨大○栄マークの前についた。そこで階段を下りながら、どのおねえちゃん達かなーと思ってキラキラと目を光らせていたのである。(そこまでの道のりにおいてYDは「きっと女の子達はもう来ているに違いない」と言っていたのである)階段のすぐ下にいたのは多分「イケイケ」に分類されるであろうお姉さん4人組(3人だったかもしれない)であった。Oh, Please!彼女達ではないように。

しかしながら安心したことにYDは「まだ来ていないようですね」と言った。そこで我々は○栄マークの前にたむろしながらあたりを見回したのである。そうするとおよそ10ー15m離れたところで女の子の4人組がいるのをみつけた。YDに「あれは違うのか?」と聞いたらYDはそちらの方によって行っていきなり挨拶を始めた。

第一印象はあまり快適であったと言えないかも知れない。これは相手が可愛くないとかいうのではない。相手は全員ワンピースで決めてきた筋金入りのお嬢様の集団に見えたのである。過去において彼女達のような非常に「お嬢様」という印象を与える方々と合コンをしたことがない。こちらはよれよれのシャツによれよれのチノパン(と呼べるかどうか疑問だが)に穴のあいたリーボックをはいた青年である。なんとなく気遅れしながらも、じゃということで女の子の幹事によって予約をしてあった「イタ飯屋」なるところに向かったのである。

男の子達は太古からの伝統に従い、おたがい女の子がいることなど気にしていないんだよーというふりを装いながら、しっかりと観察をおこたらなかったのである。とはいってもなぜか女の子は2人2人に別れて我々の前と後ろを歩いていたので、前の2人の様子しか見えなかった。

さて目的とするビルディングについた。そこは3Fにカラオケバー、4Fにカラオケスナックがはいっているようなビルではなくて、全館これ高級なレストランでこりかたまったような場所であった。おまけに京会席などという飯屋まで入っている。うーん流石はお嬢様達が選んだ店だと思いながらも、静かな店で大きな声で話して盛り上がらなければならないとは。なんとなく私はいやな予感に因われたのである。

7Fまで上がると非常にしゃれた感じの店である。確かに彼女達にはぴったりの場所だ。もちろん私にはぴったりではない。So What? 丸いテーブルに案内された。そこで決ったのが次の配置である。(YD、ST、KWそして私が男である)

さてこの席の配置がどうして決まったか。今回の幹事であるところのYDが相手の幹事であるところの女の子とは離れて座りたいと言った。そしてほにゃらほにゃらと思っているうちにこの配置となったのである。確かにYDと幹事であるところのPENTAXは離れて座っているので、彼の意図は実現されたことになる。

さてここでまず注文を決めなくてはいけないのであるが、なんと女性の側はアルコールを一滴も飲めない方達であったらしい。これは「少ししか飲めない」のではなくて、「全く飲めない」のである。従って彼女達はいきなり「ジンジャエール」に「ウーロン茶」を注文しだしたのである。

次に食べ物を注文する段になったのだが、これがまた異様に時間がかかった。およそ5分以上の間8人の男女はメニューを見ながら沈黙していたのである。しかし何がきっかけになったか知らないが、PENTAXと段ボールが主に発言して注文する品が決った。

さてこれから次に自己紹介があるのである。

男の子そして女の子という順番で自己紹介が進んでいった。最初が幹事であるところのYDである。彼は結構長く喋った。最後に「趣味は。。」と付け加えたのである。なんて素敵な言葉なんだ。私は見合いして「御趣味は。。。いやそれは結構な御趣味をお持ちで。はっっはっは」という会話をするのが夢なのである。人数がちょっと多いかもしれないが、夢にまでみた会話ができるではないか。などという私の感動をよそに自己紹介はこれこれと進んでいった。私はこのときKWとSTが二人ともテニス青年であるとこを発見してびっくりした。まあ男などどうでもよろしい。女の子の自己紹介はまず幹事であるところのPENTAXから始まった。勤め先はPETNAXである。(あたりまえか)趣味ときたところでいきなり「生け花」となんとかと言った。私はおもわず冗談かと思って「生け花というのはあの花をちょんぎって、針山に刺すやつか」と言おうかと思ったのだが回りの様子を見てこれは本当かもしれないと思ったのでやめた。

次にしゃべったのはMARINEである。彼女は自分の勤め先の名前を言わなかったが、○○重工は得意先の一つであるといったので、我々は彼女は東京海上に務めていることにした。そして彼女はMARINEと呼ばれることになったのである。

次が段ボールである。彼女は段ボールの何をしているのか忘れた。とにかく段ボール関係の仕事をしているのである。趣味は?という質問に対して、「音楽鑑賞」と答えた。ここで私は彼女がのりがいい曲-つまりロックの類である-のファンであることを願って「どんな音楽が好き?」と聞いた。「ポップス」と彼女は答えた。この答えでは彼女の好きなのはクラシックでも演歌でもバリバリの歌謡曲でもないことがわかるだけで、何かという質問の答えにはならない。(実のところ最近耳にする歌の90%以上はポップスなのではないか)「例えば」と聞くと「ダイアナ・ロス。彼女は私の目標なの」といった。ここで男の子達の間に恐慌が起こった。なんと彼女は歌でダイアナ・ロスにはりあおうというのであろうか。そういった雰囲気を感じてかどうかしらないが、彼女が付け足した言葉によると、要するにダイアナ・ロスの生き方とか言動が好きなのであって、別に歌ではりあうつもりはないという。そこでPENTAXが、段ボールは「こひばりの様な声で歌う」と言った。

ひばりというのは私が知っている限りにおいてはまっすぐ登ってピイチクパアチク鳴く鳥である。もっとも「こひばり」というのはなんのことかよくわからない。まあ想像がつくが。

最後が朝市である。なぜ朝市か。彼女はカゴメに務めているのである。しかし後ほど男の子の間で相談したところでは、カゴメではゴロが悪いということになった。というわけでカゴメの商品の中で我々が一番お世話になっている(というか少なくとも目につく)朝市をカゴメの代りに使うことにしたのである。

 

さてこれを書くのは気が重いが、彼女達のルックスについても一言書かなければならないだろう。多分彼女達4人を並べて人気投票(ルックスのみについて)を行えば私は次の様になることに100円かけよう。1:段ボール 2:PENTAX 3:MARINE 4:朝市 人によっては1番と2番を入れ換えるかもしれない。まあここでとりあえず番号など付けてしまったが、1番から4番までの差は極めて小さいということを書いておこう。まあ野球で言えば2ゲーム差位のものである。

さてなんだかんだと自己紹介が終って、料理も来たので、歓談する時間となるのである。

このフリータイムとでもいう時間において、誰が誰と話していたとか、誰かが誰かと話したそうだけどできなかったとかいう類の話があれば、この文章は面白くなるかもしれない。しかしそういうわけには行かないのである。

 

合コンでの会話のしかたには大きく分けて2通りあると思っている。一つはみんなが一団となって喋る形態。もっともこのケースは一人が主に喋っている場合-Aがいる時はだいたいこのパターンになるが-とみんなが一応等分に発言する場合に分類される。もう一つはそれぞれ隣あった同士でしゃべって二人の世界が沢山できるというパターンである。もちろんこの中間のパターンとして半分みんなで喋ってあとの半分が二人の世界になっていることもある。このどちらかのパターンに分かれるかはいろいろな要素によって決る。しかし一番大きな要素は人数である。4人vs4人以下の場合はみんなでお喋りパターン、4人vs4人以上の場合には二人の世界パターンとなることが多い。ということは4人vs4人の場合はどちらにもなりうるということだ。

さてこの場合幹事であるところのYDは「全体に気を配ることができる」という理由で前者のみんなでしゃべるというパターンが好きなのである。というわけでこの合コンにおいては最初から最後までみんなで何か喋っていた。

たあいもない話の最中に私はKWから「名古屋弁でしゃべるように」と教育的指導をうけた。

なぜかというと私は緊張のあまり-ワンピースで可愛くきめたお嬢様4人を前にして-ときどき英語らしきものを交えて喋っていたからである。これはいけない。こんないやみな態度はない。というわけで反省した私は名古屋弁でしゃべろうと思ったのである。しかしこれは言い訳にしかならないが、最後まで緊張のとけなかった私は英語の単語から逃れることはできなかったのである。全く申し訳ない次第だと思っている。

さて、これこれと話しているうちに別に呼んだつもりもないのにウェイターが来た。私はいっぱい機嫌でビールの追加を頼んだ。ところがこれは私が悪かったのである。緊張のあまりオーバーアクションになっていた私は発言するときに意味もなく手を上げていたのである。私のそういう仕草を勘違いした哀れなウェイターは呼ばれていると思って我々のテーブルに来てしまったらしいのである。またこれで反省することが一つ増えたわけだ。

次の話題はPENTAXが私の横顔が「いじゅういんしずか」に似ていると言った事から始まった。そのなんとかという男は夏目雅子の旦那だったそうである。実のところ夏目雅子が美人だったことは知っている。しかしその旦那がどんな顔をしていたかなどとんと記憶にない。しかしなんとなく「いじゅういんしずか」という名前はかっこいいじゃないか。というわけで私はこの言葉をほめ言葉と解釈することにしたのである。 さてそんなことは次に出た話題に比べれば全く問題にならないことである。次の瞬間朝市が「そういえばYDさんて”からさわ”に似てません?」と言ったのである。

”からさわなんとか”というのは私が顔を知っている数少ない男優の一人である。そして若い女の子の間で非常に人気があるということも知っている。しかし果たしてYDが似ているか?YDの弁によると以前にも誰かにそう言われたことがあって、その話を会社でしたところ、全く誰にも相手にされなかったそうである。

ちょうどそこにおトイレに行っていた段ボールが帰ってきた。そこでみんなで「YDって誰に似ていると思う?」と聞いたらこともあろうに「からさわ」と答えた。なんとこの説は50%の女性の支持をとりつけたことになるのである。もっともPENTAXはYDの昔からの知り合いということもあるがそのアイディアを一笑に付したが。とにかくこれからは会社でYDを「からさわ」と呼ぶ必要があるかもしれない。

最後に私が覚えている話題は「かに道楽」の「かに」の模型は人が動かしているというものである。

もとはといえば大阪のミナミにある喰い倒れ人形の話からはじまった。あの喰い倒れ人形の中にはアルバイトがはいっているという噂があるとのことである。それと同じ路線で「かに道楽」の「かに」の中にアルバイトが入っていて、足を振り回しているという説があると。段ボールの発言によると、更にそれの変形として、看板の後ろに自転車があってアルバイトの学生がペダルをこいで発電し、その電力で「かに」が動いているとう説もあるのだそうである。実際「かに」が時々止まるのをみて「アルバイトが交替しているんだな」と思っていたんだそうだ。

これは冗談にしても非常に恐ろしい冗談である。想像してみよう。暗い閉ざされた部屋でひとり黙々と自転車をこぎ続ける青年。彼の流した汗はなんら生産的な結果をもたらさない。どこか遠くに行けるわけでもない。人の役にたつ電力を発生しているわけでもない。単に表で足を振り回しているカニの動力になるだけなのである。おそらくこれほど過酷で精神的にタフなアルバイトはないであろう。もしそんなアルバイトが存在するとすれば、これは全く吉田戦車の世界だ。

などという話題でみんなで盛り上がっていたのである。前にも書いた様に今回の合コンは基本的にみんなで一つの話題についてしゃべるといタイプだったのであるが、一人だけときどき二人の世界を構築している奴がいた。他ならぬ私である。別に何か特別な意味があったわけではない。隣にいる朝市が「ビートルズが好きだ」と言ったので、ついついとなりで小声でHEY JUDE とかなんとかを歌っていただけである。周りには二人の世界にひたっていると映ったかもしれない。実は自分とビールに酔って歌っているおじさんとそれに愛想笑いをしながら、「どうしたもんだろう」と困惑しているお嬢様だったのである。

さて私は時々反対側に座っているPENTAXとも話していたのである。もっともこれもあまり楽しい話ではなくて、単に彼女が一度転職しているという話を聞いていただけである。従ってここで私が次につながる話をもちだせたわけもない。

さてそうこうしているうちに私はカラータイマーが鳴り出したのを感じていた。ビールの神様にお祈りしてなんとかここまで明るく楽しい態度を保ってきたがそろそろ体力切れのようだ。しかし例によってここで廃人化(役立たずになることである)してしまうわけにもいかない。ときどき顔がかゆいんだよーんという顔をして顔を手でおおって少し休みをしてなんとかもたしていたのである。

そうこうしているうちに時間となりました。時間は本当に早く過ぎた。名残おしいと思いながらも我々はその場所を後にしたのである。

下に降りて2次会の相談となったのである。男の子のスポークスマンは幹事のYDである。しかしこの交渉は不調に終った。家が遠い子がいるから残念ですがお別れですということになったのである。なるほどということで、今度バーベキューでもやりましょうと言ったらしい。私は体力がつきて離れたところで一人座っていたのでよく知らない。

さてバイバイとなって男の子だけでサ店に行って本日の反省会となったのである。

 

 

 次の章へ


注釈

よれよれのシャツによれよれのチノパン:ちなみに他の3人はきっちりとこざっぱりとした格好をしてきた。私には出張用の格好と合コンにしていった普段の会社の格好(つまりよれよれの格好)の2種類しかないのだからしょうがない。戻る

 

全く飲めない:別に比較するわけでもなんでもないが、私のグループにいるS社員とその一団(♀)は私の3倍は飲むようである。別にどちらがいいとも悪いともいう積もりはないが、要するに色々いるということ。合コンの相手としては飲めるほうが気楽かもしれない。しかしこういう体験も面白い。戻る

 

夢にまで見た会話:私は見合いをして前述したような会話をしたいのであるが、見合いをしたいのではないことに注意。戻る

 

差はきわめて小さい:初版においてこの文章を回覧したところYDはこの順位に異議をとなえた。彼の説によると1:Marine、2:PENTAX、3:段ボール、4:朝市というのである。この全く異なる二つの意見から何が解るか?極めて差が小さいということである。戻る

 

英語らしきものを交えて喋っていたから:(トピック一覧)何故私がこういう態度をとるようになったか、については、トピック一覧経由、「何故英語をしゃべらざるを得なくなったか」を参照のこと。本文に戻る

 

似ていると:もっとも次に眼鏡をかけたら、「眼鏡をかけると全然似てない」と言われた。戻る