題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る
日付:2017/1/13


中村遊郭:愛知県(2017/03/17)

名前はよく知っているが、一度も降りたことがなかった「中村日赤」という地下鉄の駅で降り、地上に出たところで私は途方にくれる。そもそもお前はなぜそこにいるのか、と聞かないでほしい。とにかく来てしまったのだ。

後ろには巨大な中村日赤病院が存在している。となると目的地はどこなのだ。勘に従って歩き出す。日赤病院の裏側に回るのだ。iPhoneで地図を確認すると、どうやら正しいようでこのままテクテク歩いて行けば目的地に着くらしい。iPhoneを眺めつつ、別のiPhoneでポケモンを見張りつつ(私は専用のiPhoneでポケモンをしているのだ。普段使っているやつだと古すぎて動かない)歩き続ける。まもなく、どこか古びた街並みのエリアに到着した。まず写真を撮ったのはこの建物。

古い家

単なる古い家に見えるかもしれないし、実際そうかもしれない。しかし門の脇に棕櫚の木がある。場合によってはこれが特徴らしい。さらには横から眺めるとこの家はこういう構造になっている。

古い家


異様に奥行きが長い。インターネットであれこれ漁った情報からの推測だが、こういう家はかつて遊郭として使われていたものだとのこと。これを書きながら改めてみても、奥行きが凄まじい。ちなみにこちらは裏側であり、表から見るとこうなる。

古い家の正面


ここにも棕櫚の木があり、そして左半分は洋館風の建物になっている。入り口の上には「春福」という文字が。そして正面左側には洋館風の入口があり、この写真では分かりづらいが、TSURUNOYAというアルファベットが並ぶ。このあと前を通ったとき、椅子に人が座っていたからここは現役で使われているのだろう。しかし中は一体どうなっているのだろうか。横からみるとやっぱりこんなである。

古い家の正面側面

子供の頃「純喫茶」という看板を見て親に「あれは何?」と聞いたことを覚えている。「喫茶」はわかるがなぜ「純」がつくのだ。カフェーという名称が昭和に至り風俗店を意味するようになった、と知ったのは最近のことである。だから「喫茶」に「純」をつける必要があったのだ、と長年の疑問が氷解した。インターネット上にある情報を信じれば、この家の左側はカフェーとして使われていたとのこと。

今日巡るのは、かつて中村遊郭と呼ばれていたエリアである。ここには当時の面影を残す建物が現役で残っている。中心にあるのがこの建物。

ピアゴ

堂々たるショッピングモール。しかし家族づれで賑わうこのモールの前にはこのような通りが続いている。

ソープランド

トルコからソープランドに変わったことは覚えているが、その店自体に直面するのは久しぶり、あるいは初めてではないか。ショッピングセンターに来た子供連れもたくさんいるのにいいんだろうか、と思うが、自分が子供の頃を思えば「なんか変な店」ということでおしまいにしてしまうのではなかろうか。ちなみに正面からみると堂々とした西洋風の建物に見えるNew REIJYOを横からみるとこんなのである。

ソープランドの側面

西洋風にみえるのは正面だけであり、その実態は和風の長大な建築物。側面を見るとこんなであり、

ソープランドの側面にある駐車場

さらに建物の裏にはこんな小さな、そして目立つ看板があったりする。

ソープランドの裏口

そりゃショッピングモールに集う家族連れの目の前からは入店しづらい、という人もいるだろう。ソープランドなるものに行こうとは全く考えないが、中がどういう作りになっているか見学だけさせてもらえませんかねえ(無理だとわかっています)

でもってこのNEW REIJYOと隣の建物から、駐車場を挟んだとなりにはこんな建物がある。

カフェー建築

ここも正面は西洋風だが、実態は和風の建物である。となりにある今は蕎麦屋も、元は遊郭で、そこから旅館になったのだそうな。

蕎麦屋

ここもこれまで見て来た建物同様、奥行きが凄まじい。ピアゴまわりをぐるっと歩くことにする。こんな建物がある。

タイル

二階の手すりが赤色になっていること、また正面下部にある色あざやかなタイルがここがかつて遊郭だったことを物語っているとのこと。

タイル


ちなみにこの建物も側面からみるとその巨大さに圧倒される。


タイルの家の側面


そこからしばらく歩いたところにこんな雰囲気のある建物がある。

建物

ここの門には「来るものは拒まず去るものは追わず」といったようなことが書いてある。ものすごく豪華なのだが、今は何に使われているのかよくわからない。帰ってから調べればこういうことらしいのだが。

中村区大門地区の老舗料亭「稲本」が、高齢者向けデイサービス施設として新たなスタートを切りました。遊郭、料亭と業態を変えながら大正、昭和の時代を生き抜いてきた歴史的建造物で、花街を彩った建物は高齢者を支える地域密着の施設に生まれ変わりました。

引用元:べんがら亭 | 名古屋市中村区の新大門商店街振興組合にある店舗【金シャチ商店街】

道をはさんで反対側にはこれまたこのような建物がある。

立派な建物

帰ってから調べればここもデイサービスをやっているようだ。元は料亭か何かだったのだろう。時代の移り変わりとともに、用途も変わるということか。

そろそろ戻らなくてはならない。ピアゴの前のソープランドの通りを歩く。すると令女プールなる店(さっきのはニュー令女だった)の前にこんな建物がある。

壊れかかった建物


立派だが崩壊しかかっている。今日見た他の長大な建物群もいつまでその姿をとどめているのだろう。ここは新しい建物、古い建物が入り混じったとても興味深いエリアだと知った。おそらくまた来ることになるだろう。


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注釈