題名:巡り巡って

五郎の 入り口に戻る

日付:2006/6/9


観世音寺: 鳥取県(2006/5/3)

某ホテルで目覚めた私は荷物をまとめると鳥取駅に向かう。電車にことこと揺られた後浜村という駅で降りる。さて、バスに乗り換えだと思いながら外にでるとバスが止まっ ている。あわくって乗り込む。こうやって急いで間違ったバスに乗り込むというのはいつもやる事だからしばし路線図に見入る。その姿を見てか、運転手が「どこに行くの」と聞 く。「鹿野です」というとこのバスで良いという。
というわけでぼけたんと座っているうちにバスは田んぼの中を走り続ける。鹿野というところは山の中にあるのだが結構広いということが分かる。年輩の方が何人か乗っ ていたのだがあらかた途中の「温泉病院」というところで降りた。私は終点まで行く。鹿野の地図は手に入れていたのだが、それには停留所が書かれ ていないから確かな事はわからないがそう外れてもいまい。
というわけで終点の営業所だったか、で降りる。さて、ここからどうするか。PowerBookを開き画面に見入るが直射日光のせいでなにも見えんではない か。陰になる場所を探してうろうろ。ようやく地図をみて方向の検討をつけると歩き出す。
ここは小さな町だと思うが、立派なお寺がいくつもある。先に何か見えてきたと思うが目的とするお寺とは違うようだ。さらにてくてくあるく。すると前方に見 えてきた。
遠景

ここが今日の目的地観世音寺である。田んぼで仕事をしていた女性から「よそからきたかね」と話しかけられる。なんでも今日は珍しくお坊さんがきているから 話すといい。元気になるよ。なんでも中国では随分偉いお坊さんとのこと、と概略そのようなことを話される。私は礼を言って歩き出す。彼女が指摘した点も重 要だが、私はそのお寺の色遣いが気になって仕方がない。
color
いきなりこれである。壁が黄色。そしてその前には味わい深いポーズをした坊主共がいる。
小坊主
その建物の左側に廻ると小さな門がある。
門
さっそくくぐる。するとこんな光景が広がっている。
観音と牛


金ぴか観音だ。桜姫ゆかりの観音とのことだが、私にはその桜姫という者が何者かもわからない。その手前には坊主がおり、すぐ隣に牛もいる。そこから道は左 に曲がりながら本堂の裏に続いていく。次に見えてくるのはこの光景だ。

裏手
この光景からうけた印象はいくつかあるがそのうち最も大きかったのは「ここは建設中なのだ」という感慨。つまりここは過去に存在していただけではなく、こ れからも拡張される場所なのだ。今建設中と思しき写真の右側に見えている建物に入ってみる。コンクリートとブロックで造り上げられた天井に、何やらの絵が 描かれている。脚立があるところを観ると今まさに造り上げている最中なのだろう。
天井
その隣には屋根付き金ぴか観音がおわす。
屋根付き観音
隣にはこのような建物がある。こちらも見事に派手だ。
隣の建物
でもってさらに先に進む。今度は黄色に塗られた建物がある。
黄色い建物

中にある物
中の写真を撮ってみた。真ん中にこういう像があるのは普通なのだろうか。
本堂の真後ろを過ぎて先に進むとこんな石碑というか絵がある。
石碑
ここらへんから私は理由のできない感情を感じていた。 それが何に由来する物かはわからない。五月晴れの空。静かなこの場所。あるいはこの建物から感じる何かだろうか。とにかく私は妙にご機嫌な気分になったの だった。
しかしそれとは別に現実も迫ってくる。日本人は桜の木が好きだ。私だって花は好きだが、それにくっつく毛虫は嫌いだ。そしてその石碑の上には桜の木らしき ものが存在している。ああ、下に毛虫がいませんように、と願いながら早足に通り過ぎる。するとその奥にこんなものがある。

どだい
何かの土台である。間違いない。ここはまだ発展中なのだ。この上に何ができるのか、その傍らにあれこれ積まれているものが建設資材なのか単なる遺棄物かも定かではない。ひょっとすると私は何年か後にまたここに来るかも知れない。
などと考えながらぐるっと廻って本堂の前にでる。するとこんな物が目に入る。
靴
靴である。靴を結ぶのだ。誰か居れば由来を聞きたいところだが、生憎だれもいない。本堂の奥の方で誰かが床を踏みしめる音も聞こえるがそれだけだ。本堂それ自体もとても鮮やかな色で塗られている。
本堂
理由もなくご機嫌になった私は回りを見回す。そしてしばしの後その場を立ち去る。この鹿野というところはとても静かで落ち着いていて感じがいいところだ。足湯にはいったりした後バスに乗り駅に着く。駅にかかげられたこの看板も何とも言えぬ味わいをもっているではないか。
温泉看板

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注釈