題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る
日付:2017/1/13


鬼ヶ島公園:愛知県(2018/08/12)

車に乗ると先を急ぐ。なぜ急ぐかといえば雨が近づいている気配があるからだ。短い時間とはいえ珍スポットを巡ることができる貴重な時間。とはいえ屋外だから豪雨下では見ることができない。
かつて住んでいた場所の近くだから、「ああ、あれほど通った定食屋はこんなふうになったのか」と感慨に耽ることもできるが目的地を見落とすわけにはいかない。ちらちらスマホの地図を眺めえい、っと左に曲がる。ここを進めば目的地が右手にあるはず。

そう思ってしばらく進むがそれらしき場所がない。やたら広いコンビニの駐車場に車を止めると地図を確認する。やはり行き過ぎていた。目的地は通り沿いではなく、通りから少しはいったところにあるようだ。今来た道を戻り、先ほど確認した方向に曲がる。ほどなくこんな場所が見えて来た。

全景

これが今日の目的地鬼ヶ島公園である。
鬼ヶ島というか桃太郎は昨今異なる文脈で語られることが多い。鬼が何をしたかしらないが、一方的に虐殺しまくり宝をぶんどって引き上げるとは如何なものか。逆に戦時中には我が国の状況を桃太郎に重ねていたかもしれないが。
さて、そんな感慨にふけっている場合ではない。見えている巨大な赤鬼のほうに向かう。

赤鬼

見ての通り巨大な赤鬼である。そしてやたらと綺麗だ。しかしこの赤鬼の裏にあるこの看板を見ると、この公園は最近作られたものではないことがわかる。

看板

ものすごく年季がはいった看板。しかしこの看板とこのトイレに書いてある絵の新しさはどうしても噛み合わない。なんといってもここは「夢の地」である。どちらかといえば悪夢のようだが。

夢の地

もう一つ新しいものがある。赤鬼と対になっているであろう青鬼だ。

青鬼

こちらは鬼らしく宝物(とおぼしき袋)をかかえている。桃太郎はこの鬼たちを殺しまくりこの財宝を抱えて帰ったのであろう。この青鬼を背後から見よう。

青鬼の背中

そう。ここは公園だから、青鬼もなにかの役にたたねばならぬ。滑り台とはいい考えだが、この間抜けが絵柄はどうしたものであろう。

しかし鬼ヶ島公園というだけあって桃太郎の類は存在していない。その代わりに猿の印がついた椅子がある。それはいいとして問題はもう一種類の椅子だ。

ウサギ

桃太郎一味にウサギっていただろうか。しばし頭をひねるが、先ほどのトイレの壁に書かれていた絵にはうさぎがはいる余地はない。
まあそんな細かいことに文句をつけるより、予算内で鬼ヶ島を再現しようとした工夫に拍手をおくるべきなのだろう。日曜の午後だがこの公園には誰もいない。気温は37度を超え「運動は控えましょう」という警告がバンバン飛んでくる状況だからいないのだろうか?いや、この芝生の様子をみるにつけ普段からあまり賑わっている公園のようには見えない。

ブランコ

先ほどの色あざやかな絵が書かれていたトイレには注意をうながす文章がはってある。

注意書き

しかし文面がなにやら平穏ではない。そう。ここは鬼ヶ島というだけあって、鬼が住んでいるのかもしれない。

遠くから聞こえてくるゴロゴロという音が大きくなったようにも思う。これは早く退散するに限る。車に駆け戻りエンジンを始動させる。

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注釈