題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2005/9/16


耕三寺[地上編]:広島県(2005/9/3)

というわけで私は広島県は三原駅から歩いて3分のホテルで目をさました。何故こんなところにいるかは聞かないで欲しい。とにかく目覚めたのだ。

荷物を抱えて三原港に向かう。切符を買い待合室でボンヤリしていると珍しい物が目に入った。すぐそこを幹線道路が通っているのだが、そこを行き交う車に向かって「国民新党」なる選挙互助会のTシャツを着、のぼりを持ったおばさま方が手を振っているのだ。そして信じられないことにその人達に手を振り返すおじさんが二人いた。ううむ。さすがは広島県。ここでは亀が神として信仰されているのかもしれん。

そのうちアナウンスがあるから指定された波止場というかそういう所に行く。すると係留されているのは今まで乗ったことが無いような小さな船だ。今日は休みということもあってか乗客は私ともう一人だけ。揺れないかと心配したが動き始めると結構快適である。その昔私が勤めていた会社の工場が見える。私も何かがどうかなれば、ここで働いていたのかもしれんなあ。そういえば新入社員集合研修で

「おれは名古屋で飛行機を作りたかったんだ。なんで三原なんだ」

とわめていた奴がいたっけ。彼はこの町のどこかで暮らしているのだろうか。

そのうち前方に瀬戸田という文字が見えてきた。接岸するととんとんと上陸。そこにいきなりでっかく今日の目的地の宣伝が乗っている。矢印もたくさんあるから道に迷うことはない。なんでも参道というか商店街を通って700mなんだそうな。

というわけでさっそく歩き出す。すると両脇の参道というか商店街に結構活気があるのに驚く。昨日泊まった三原駅の駅前通より元気なのではないかと思うくらいだ。そのうちの一軒にはこんな張り紙がしてある。

しかし23回もTVで放映というのは凄い。よほど美味しいのかよほどTV関係に縁があるのか。そこから更に進むとようやく見えてきた。

いきなり巨大かつ派手な門が迫ってくる。ここが今日の目的地耕三寺。ううむ。この迫力。開くのは9時だそうだからまだ時間がある。というわけでふらふらと辺りをぶらついてみる。するとこの島というか瀬戸田町はなかなか侮れない場所である事に気が付く。すぐ近くに美術館やら町の役場やらあるのだが、何故か「ベルカントホール」という名前のホールまである。これがなかなか立派なわけだ。ひとしきり感心した後耕三寺に戻るとこんなものがあることに気が付く。

古い西洋館とどうみてもお城のようにしか見えぬ建物。それらが隣接しているとはどういうことだろうか。そもそもこのお城はなんなのだとよく観れば、屋根の上にあるしゃちほこが傾いているのであった。

派手な中国風の門、お城、西洋館が一つ所に見えればいやがおうでも期待が高まるというものだ。そのうち時間になったのだろう。門が開けられた。そのすぐ内側にも派手な門があるのだが、脇にはこんな看板が立っている。

ひょっとするとこの従業員はこの楽譜に合わせて歌うのだろうか。そのすぐ先で入場券を買い(1200円だった)入場。するとここはなんでも中心線上に配置し、その左右に同一の建物を置いた配置になっていることがわかる。何故そう思うかと言うと、通路というか階段が真ん中にあるのは良いとして、そこを進んで行くと必ず建物にぶつかるからだ。

というわけで階段を上るとそこにあったのは五重塔である。説明を読めば

「様式と規模は大和宝生寺の五重塔を参考にしたのですが、塔の建築には図面製作のため宝生に滞在して実測を行うなど種々の苦心がはらわれました。」

というわけでここにある建物は全て有名な建物のアレンジというかコピー版である。最初ネット上でこの場所を知ったときはもっと広い場所にどかーんと建物がちらばっているのかと思っていたが、結構狭い範囲に建物がひしめきあっており、建物自体も多少縮小コピーされている気がする。(あるいは縮小されていると思えるだけか)オリジナルの建物は色々な雰囲気を持っているのだろうが、ここにある建物はいくつかを除いてどれも似たような造りに見えてくる。

数少ない例外がこれで、日光陽明門なのだそうな。ここのオリジナリティとして仏教様式を加味したとのこと。確かにそこら中に仏像がくっつけられている。

さて、ここの本殿とも言うべき建物は10円玉に書いてある平等院をベースにしている。

平等院の前にあるステージはなんなろうだろう、とかつぶやきながら左手に回る。すると巨大な観音像とご対面だ。ちょっと顔色が悪いのが気がかり。

ほげーっと思っていると写真屋さんとおぼしき男性が、ここから本殿の前を通ってあそこから地下の洞窟をくぐって来て下さい。そうするとここに出ます、と教えてくれる。ありがとうございます、と答え言われたとおりに本殿の前に至った。その奥にあるものはよく分からないが、扉に書かれた絵を見ているうち、名古屋城、犬山城という文字に気が付く。右側の扉はおそらく名古屋以西を描いた物なのだろう。左側には西郷さんとか鎌倉の大仏がいる。

そこで手を合わせさて、いよいよ洞窟巡りである。

入り口にはこのように現在の外気温と洞窟内部の温度が表示されている。そろそろ暑さが耐え難くなってきているから、この通りとすれば中は快適であろう。ふと気が付けば入り口のすぐ横に仏像がある。なんだか伏目がちで、言いたいことがあるけどいえないかのようだ。この洞窟に何があるのですか。はっきり言って下さい、などと言っても仏像は何も答えてくれない。

前の章 | 次の章[洞窟&大理石&邸宅編]編]  | 一覧に戻る | 県別Index


注釈