題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2004/10/5


全興寺:大阪府(2004/9/24)

はーるばるーきたぜー大阪、ということで新大阪から地下鉄に乗る。途中天王寺というところで乗り換えるとさらにかたこと揺られる。降りたのは平野という駅。

地下鉄にある地図をぐっとにらみ今日の目的地を確認すると地上に出る。すると雨がぱらぱら降ってきた。いや、空は明るいからきっとすぐ止むに違いない、と信じて歩いてはみるがその予想とは裏腹になんだか雨脚が強くなってきた気がする。ええい、と角を左に曲がり住宅街のような細い道に入る。ひたすら歩くのだがなかなか目的地らしきものは見えない。あれ、遠くに高架が見えてきた。ということは道を間違えたのだろうか、と思ったところで見えてきた。

今日の目的地全興寺である。なんでも平野というところでは町中が博物館のようになっていてあれこれ観ることができるそうなのだが、今日は平日であるからしてそれらは閉まっている。しかしそれは問題ではない。一見すると普通の門のようだが、右手前に存在している奇妙な形のオブジェは何なのだろうと思いながら門をくぐる。すると右手にいきなりこんなものがある。

地獄堂なのだそうな。入り口に「極楽度・地獄度チェック」がある。スタートボタンを押して選択していけばいいのだが、なかなか身につまされる質問もある。

「迷いも取り越し苦労も多い」:私の数少ない特技である無用な心配は地獄への入り口だったのか

「依頼心が強く苦労に負ける」:あ、それやってくれるよね。ありがとー。じゃ僕帰って寝るから。

途中で、極楽側のスイッチしか作動していないものがあり、誠に不本意ではあったが、そちらの回答を選択する。結果はぎりぎりで極楽行きであった。

さて、ではお堂に入ろうと思うとこんな注意事項が書いてある

「お父さん お母さんへ

お寺からのおねがい!

この地獄堂は子供達に「悪いことをしないこと」と「自分のいのちを大切にすること」を教えるために開いたものです。

お父さん、お母さんむやみに子供に恐怖心を与えて、言うことを聞かせるための材料にしないで下さい。こわいエンマさまの姿は本来はお地蔵様のやさいい慈悲の心のあらわれなのです。(後略)」

中はどんなだろうと思って観るとまず左手には裁判官と思しき方々が、正面には閻魔大王が座っている

これらはまあいいのだが、問題は右手にあるこの人形だ。

あちこちで地獄の像を観たがするが、こんな怖いのはあまり無かった気がする。これだけ作っておいて「子供に恐怖心を与えて、言うことを聞かせるための材料にしないで」もないものだ。

さて、閻魔大王の前にある銅鑼を鳴らすと右手になにやら映し出され閻魔大王が地獄について説明してくれる。「こんなことをすると地獄行き」ということなのだが、「悪口告げ口」もいけないらしい。それどころか

「人の言うことに耳を貸さないと火の車に乗せられる」

とのこと。そんなことを言ったら世の中の人間のうち相当の割合は火の車行きではないか。

親よりも早く亡くなった子供は賽の河原行きとなっているが、そう言われてもねえ。病気とか事故とかで亡くなった子供まで賽の河原行きでっか。どうも子供達に対して「自分の命を大切に」と言いたかったようなのだが。

さて、閻魔大王のお言葉を聞き終わると外に出る。するとこんなものがある。

頭をつっこむと地獄の釜の音が聞こえるらしいのだが、余り気が進まないので遠慮しておいた。その先には涅槃仏があるのだがその姿はこんなんである。

なんでも

「このガラス像は仏様の原石です。ゆっくりと時間をかけて自分自身の心の中の仏様を彫りおこして下さい。」

ということらしいのだが、ガラスでできたなめくじかさなぎのようにしか見えない。その先には「ほとけのくに」があり自由にお入り下さい、と書いてある。階段を降りるとこんな部屋があった。

床に曼荼羅があり、その周りの柱から水がしたたりおちており、ちょっぴん ちょっぴん と音がする。壁には仏像やら地蔵やらがごろごろならんでんいる。ここで瞑想にふけるということらしいのだが、とても暗いのでなんだかあまりそうした気分になれない。やはり極楽というのは光にあふれているものではなかろうか。などと考えていたら女性がはいってきて壁に向かって敬虔な祈りを捧げていった。入り口に「四国八十八カ所霊場」という文字があったが、お砂踏みらしきものがない。あれはどこのことだ、と思えば階段の手すりに砂がはいっていた。後で入り口を見直せばちゃんと

「お砂入り手すり」と書いてあった。

といったところで全興寺巡りはおしまい。この寺は自分のサイトを持っており、しかもFlash使いまくりの、メニュー選ぶと坊主がちらっとふりむくなどとても凝った物である。実際の寺と同じノリだ。興味深かったからもう少し暗闇の極楽で瞑そうしていてもよかったのだが、どこでだか知らないが随分蚊にさされた。あまり長居する気が起きなかったのはそうした理由もあるか。

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注釈