題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2003/12/7


毘沙門天:静岡県(2003/11/16)

JR東海道本線を鈍行列車にのりひたすら西へ。途中乗り換えたりうたたねしたり。熱海では人がたくさん降りる。熱海のホテル街には廃墟が増殖している、と聞いたがそれでも結構人はくるのだな。私の目的地はまだ先だ。そこからしばらく、吉原という駅で降りる。

改札をくぐると駅にある地図をじっと眺める。目的地の場所を確認するととことこ歩き出す。静かな通りをあるくことしばらく、左手に大きな工場が見えてくる。そこになにやら円柱状の物がたっているのだが巻き付いた構造物がまるで竜のように見える。珍寺大道場に書いてあったとおりだ。てっぺんには竜の頭のように見える物もついているし。(いや、もちろん妄想なのだが)

写真をとると歩き出す。さて、そろそろあるはずだと思い出したところで右手に石垣が出現した。階段をあがるといきなり鳥居がある。とはいってもここは神社ではなくお寺のはず。鳥居をくぐると向こうの方に立派な屋根が見える。

階段をもう一つのぼるとその前に異様な物が出現した。お寺でよくみかける線香だかなんだかを入れるところらしいのだが思い切り中国風である。屋根の上には四方に竜がおり、金属でできたひげまでついている。壁には中国風の絵柄をつけた陶器のタイルが埋め込まれている。その物体と純和風の屋根は並べてみるとどうにも妙だ。

頭をひねりながら本堂とおぼしき建物の左手に廻るとさらに異様な物体がある。黄色く丸い物で、てっぺんに顔がついているのだ。

何だこれは、と思い近づいてみると300円はらうと中がみれるとのこと。お札を売っているところで300円払う。すると女性が鍵を開けてくれた。

中は地下170mの洞窟への入り口となっていた。いきなり印度風とおぼしき木造があるから写真をとっていたら「中で撮影はご遠慮ください」と言われる。だからこの先写真はない。

暗い地下通路を歩いていく。壁にはなにやら陶器のタイルが貼られている箇所があり、その近くには七福神が順にでてくる。それたぶん7人いたと思うのだがろくすぽ覚えちゃいない。一番インパクトがあったのが最初にいた布袋である。「布袋」と聞くと腹がでかくて笑っている男性を思い浮かべるがここの布袋は象である。なんでもこれが印度オリジナルの布袋なのだそうな。腹は人間の布袋なみに出ていたような気がするが。

出口近くには七福神とおぼしき像がうじゃうじゃ棚においてある。中には招き猫もまざっている。これらの像はいかなる理由でここにあるのだろう、と頭をひねっているうちに外に出る。先ほどの異様な中国風なにやらのところではどこぞの家族に向かって坊さんがなにやら言ったり振り回したりしている。さて、これで終わりかと思い出口に向かう途中ふと案内図を観る。

(陶器製のタイルに描かれた物だが)すると本堂に向かって右手に「研究所」とかかれた建物があることに気がつく。なんだこれは。さっそくそちらに向かう。

りっぱな境内からだんだん雑然としてきて、お寺だか個人の家だかわからないような状況になってくる。さて、研究室は、と観ると奇妙な建物がある。屋上にさびた手すりと屋根のようなものがあり、入り口には「ハロンなんとか放出」とかいう表示がついている。そして放出中には光るのであろうランプがある。

これが研究所なのか。しかしなんの研究所だ。入り口に木の板はあるがそこには何も書かれていない。窓と入り口のガラスからは内部にゴミだか書類が充満しているのがわかる。これではこちらから入りようがないではないか。そもそもどこからはいるのだろう。

ううむ。いかにも何かの研究所、らしいがしかし何を研究しているかはわからぬ。というかわかりたくないような気がする。

というところで毘沙門天見物はおしまい。帰りは行きと違い右手にある草原をつっきっていく。するとなにやら丸い彫刻のようなものがあることに気がつく。しかしそれにも題名も説明もないのであった。さらに進むと金網で囲まれたエリアに犬小屋があることに気がつく。どうやら捨て犬を収容している場所らしい。犬がよってくる。一匹きたなと思うと他にもわらわらよってくる。ごめん。そうやってこられても君たちにあげる何物も持っていないのだよ。視線を落とし先を急ぐ。犬の鳴き声は後ろから響き続ける。

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注釈