題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2003/9/25


仙台大観音:宮城県(2003/8/23)

仙台駅に戻るとバス停を探す。数分待つと目的のバスが来た。揺られること40分弱。中山X丁目というバス停がいくつも続く。観音はまだかいな、と前を見て仰天した。巨大な観音の脚部(に相当するところ)が見える。いつのまにこんなに接近したのだ。

バス停で降りると目の前に巨大な観音、それにしゃれたホテルが並んでいる。ホテルと観音。いかにもホテルがつぶれそうな取り合わせだが、このホテルはおそらくそれ単独で成り立つように作られた物では無かろうか。

などと考えながら観音に近づく。見上げて気がつくのはその圧倒的な巨大さだ。高さだけなら牛久大仏と同等のはずだが、かっぷくが良いせいか、それ以上の圧迫感を感じる。

さて、入り口はとみてみると竜の口になっている。その前にはなにやら鳴らす物がぶらさがっている。

入るときにお札代と称して500円払う。一階には十二神がいる。立派な彫刻なのだが、立派すぎて突っ込みどころが見つからない。そこから階段で2階に上がると水子に関する気が滅入るような展示がある。賽の河原とおぼしき場所に鬼と子供がいる。必要以上に照明を落としているのではなかろうか。よく観れば点灯していないランプがいくつかあるような。

その先にはエレベーターがある。待っている間にその名も「登竜門」をくぐってみる。

するとさっき入り口でみた竜の角の間あたりにでてくる。確かに竜に登る門だ。上を見れば観音様の圧倒的な質量が存在している。大丈夫とは思いながらもなんとなく恐怖を感じる。

でもってエレベータにのり観音様の胸あたりにあるという11階に向かう。その間エレベーターガールというか女性があれこれ説明してくれる。観音の中だけで売っているお守りもありますからどうぞ、とか言われるがもちろん買わない。さて、11階というところでいきなり御心体の部屋がある。

どうです。この安っぽいけばけばしさ。ご本尊はパチンコの玉のような金色の玉。その周りの何風とも言えぬ装飾もすばらしい。しかしこの観音で珍奇なものに喝采を叫ぶのはこれが最後になった。

そこをでるとまず四方に空いた穴から仙台の町を見渡す。それぞれの窓の近くには写真がはってあり、やれこれが仙台ドームだ、ここが仙台駅だと書いてある。ところが窓から見える景色とその写真が微妙にずれており(写真は観音のてっぺんからとったものだそうな)照合するのに苦労する。そこからエレベーターで下りてもよいのだが、階段を利用してもよい。階段エリアに足を踏み出した瞬間、足がすくむ。

中央に108体の仏像を置いた柱があり、その周りを階段が螺旋状に取り囲んでいる。ということは螺旋階段と中央の柱の間は一階から最上階まで吹き抜けと言うことだ。おそるおそる写真を撮る。非合理だと自分でもわかっているのだが、カメラが私の手から滑り落ち、一階まで落下していく妄想にさいなまれる。自分の太いからだが手すりをくぐり抜けるなどということが起こるはずもないのだが自分までもが落ちそうな気がする。写真を撮るとすぐに手すりから離れ壁際を歩き出す。それでも恐怖心は消えない。いや、おとなしくエレベータを利用すればいいとも思うのだが、途中まで歩いたから最後まで歩きたい、などと馬鹿な事を考える。私の○玉は二つとも縮みあがっている。しかし光景はすばらしい。Star warsとかMatrixを思い出す。

中央には一階あたり12体の仏像が安置されている。

遠くから見る限り普通の仏像だし、なにより(高くて)怖いからあまり近くによらない。ひたすら階段を降り続ける。エレベーターで下りれば、いや、ここまで来たのだからという問答を頭の中で何度も繰り返す。

そのうちようやく下が見えてきた。やれうれしや。ここから落ちても足を複雑骨折するくらいですみそうだ。安心して上を見ればやはり恐怖にとらわれるのだが。

というわけで仙台観音の内部巡りはおしまい。外に出ると前にある小屋に向かう。「白蛇様金蛇様」とか書いてあり、拝観料を300円もとる。でもなあ、こういう場所だからきっと中に入ってがっかりするに決まっているよなあ、と思いさっきは入らなかったのだが恐怖に感覚が麻痺した今は入ろうと思う。小銭を料金箱に放り込むと扉をあける。

はい。そうですね。看板通りです。茶色の蛇と白い蛇がいました。これで300円ですか。などと考えていると白い蛇がこちらをむき出した。私は黙って外に出る。

観音の前には仙台大観音プラザハウスなるものがある。ファミリーホールと看板がかかった部屋はがらんどうになっており、もう一軒の「のんちゃん」というレストランも営業はしているのかもしれないが客の姿は見えない。であるから入り口付近にある観音説明図ばかりみる。

そのうち上の方から歓声が聞こえるから何かと思ったら、今日は夏の甲子園の決勝で地元東北高校が出場していたのであった。おしくも準優勝だったらしいが、TVの前に数人がすわり、拍手なんかしている。隣にはペットショップがある。確かこの観音ではペット供養もしていたはず。檻から供養までセットで面倒見ましょう、というところか。

他にワールドカップでトルコの選手があのホテルに泊まったとか言う新聞記事(トルコのもの)が貼ってある。遠く日本まで来て、ホテルに泊まればとなりに巨大で異様な彫刻が。私がその立場だったら「これは何かの陰謀か」と思うところである。バスを待っている間も観音様は流れる雲をバックに立ち続ける。気がつけば手にはパチンコ玉のようなものが。

後で知ったのだが、ここを作った人は隣接しているゴルフ場も作ったらしい。というわけでこの玉はゴルフボールであるという説もあるそうな。

おまけ:大きさ比較図 左から仙台大観音、北海道大観音、釜石大観音、高崎白衣大観音、奈良の大仏、自由の女神、欄外加賀大観音会津慈母観音、東京湾観音。淡路島の平和大観音はやっぱり仲間にいれてもらえないのか

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注釈