題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2003/7/11


石手寺-中編(2003/6/28)

雨がぽつぽつ降る中洞窟を抜けた私は傘を差す。しかしその傘を開くのももどかしくなるくらい異様な光景が目前に広がっている。まず道を渡ったところでは閻魔様が出迎えてくれる。

Oh, he can speak Englishね。などと感心している場合ではない。そこをくぐり先に進む。するとでてくるのはこんな像だ。

剣を持って戦う象。Fighting Elephant. 珍スポットを巡るようになってから変な像はたくさん見てきたつもりだったがこんな妙な物は見たことがない。その先にも白いペンキのはがれ落ちたなにやら怪しげな像があり、普通の場所にあれば十分インパクトがあるのだが、象の後ではさほど印象にも残らない。

どうやら雑木を刈り取る作業をしているらしく、ウィーンというのこぎりの音が聞こえてくる。そんなことに少し気を取られていると目前にいきなり巨大な物体が出現する。

前面金色のマントラ塔である。この形をなんと称すればいいのか。巨大な、、巨大な、、何だこれは。そこに近づいて行くとなにやら回廊のようなものに囲まれていることに気がつく。あれ、あそこにはなにやらあやしげな像が、と思い近づいていった私は思わず立ち止まる。

すぐ近くに「捨て猫、捨て犬は犯罪です」とかいうビラがはってあるのだが、ここにいるのは捨て猫ばかりではない。なぜか雄鳥もうじゃうじゃいる。それがこちらを向いているというのはあまり歓迎すべき状態ではない。猫にひっかかれるかもしれない。雄鳥につっつかれるかもしれない。現に猫のうち一匹はこちらを見て威嚇とも思えるポーズをとっている。ここは猫と鶏が支配する世界なのか。

というわけですみやかに方向を転換し、金色の入り口に入る。一階にはあやしげな絵やら彫刻らしきものが点在しているが、基本的には何もない。階段を上り二階に出ると

広がっていたのはこんな光景である。物言わぬ像の間ところどころに椅子がある。虫の羽音ととおぼしき音以外には何も聞こえない。ふと気がつくと「順路」という矢印がある。ここをどう巡れというのか。矢印にそって少しだけ進んだが像の間を歩き回るのはぞっとしないので引き返す。

しかしここは一体なんなのだ、、と思っているうちヒントになるものを見つけた。埃をかぶっているが、三眼式のプロジェクタが。その下にはオーディオ機器らしきものがあり、振り返って壁を見ればスクリーンがある。(そしてその脇にはなぜか仏の肖像画のようなものがかかっている)

ここはあの椅子に人を座らせ、そしてこのプロジェクタを使い何かを見せるための空間だったのだ。

なんだかいたたまれないような気分になり、外に出ようと階段を下りる。少し急ぎすぎたせいか、あるいは構造上の欠陥か頭を壁にぶつけそうになる。

外に出ると道路を少し上る。そこには「やすみどころ」と称される小さなエリアがあるのだが、そこにいるのはこの像だ。

この像の後ろで休めといわれてもねえ。壁にはなにやら絵らしきものがかかっているのだが、近寄る気も起きない。さっきから何か叫び声が聞こえる。場所が場所だけに不吉な予想をかき立てられるが、実のところは幼稚園児の声である。

ううむ。ここの園児達は毎日この像達に囲まれているわけであるか。今日初めてここに来た私から観れば奇異に感じる事柄であっても毎日「そういうものだ」と観ていれば平気になるのかもしれない。その先の角にもなにやらの像があるのだがペンキがはげていること以外大して特徴はない。そこを曲がりさらに上っていく。(続く

前の章 | 次の章   | 一覧に戻る


注釈