題名:巡り巡って

五郎の入り口に戻る

日付:2003/1/1


神秘珍々ニコニコ園-Part2(2002/12/23)

-恐らく閉園

家の敷地らしきところからいったん外に出る。数m道を歩くとまたもや物置小屋の続くエリアにはいっていく。そして小屋の中にはあれこれの像が存在しているのであった。氏の説明は続く。

なんでも80過ぎた人が男性機能の回復を願ってこの「不可思議キス美女」とキスしたという。ところが直後に足下の龍(カメラがぶれており少し分かりづらいが)に気付きしゅるるるとしぼんでしまったとのこと。

まだまだ像の説明は続く。時々「これなんだったっけ。忘れちゃった」という物もある。氏が忘れてしまったということは誰にも分からないということだ。今いわれが分からなくなっている仏像だか像だかにもこんな事情でなにやら分からなくなったものもあるのではないか。

逆さづりにされたムッソリーニより私を鬱な気分にさせたのがこの像である。なんでも氏が昔実際に観た梅毒で顔が崩れかかったオイランとのこと。「そんな時代」はそう昔のことではない。ほんの少し前まで家計の為に娘が身売りするのは地域によっては当たり前の光景だったと聞く。(今も有るのだ)

このエリアには氏が肺を悪くして静養していた頃につくった歌も数々展示されている。なんでもこれに印刷屋がぶわーっとどうのこうのだが、全部断ったとかなんとかだった。

ある小屋にはガラス戸が入っており、中にはここを見学した人達が描いたと思われるイラストの類が張ってある。氏曰くああやって落書きをさせておかないと他の像に落書きされるからとのこと。その建物には「日本済生の人達 2号館奨学金クジ書き入所」と書いてある。なんだこの奨学金というのは。その向かいの小屋の壁には春画が張ってあるのだがそれとともに横向き矢印がやたらと書かれている。そして

「コノ内を絵を見ながら3度も5度もグルグル廻るとダメなチンコがピントナル」

と書いてある。実際にそんなことをするとチンコがピントナル前に頭がおかしくなるのではないか。

その後は別の建物に入る。靴を脱いであがると仏間のようなところに像がある。なんでも二つを持ち上げてみて重いと思う方に徳川の埋蔵金がどうとやら。

やってみろというので持ち上げる。向かって左の方が重いと思ったのでそう告げると氏はそれに答えず話を変える。なんでも氏の奥様は天皇家の血筋がどうのこうので天皇家から下賜された菊の御紋章いりの皿があるという。

その奥にはペットの遺骨を納める場所がある。遺骨らしき箱とともにペットが生前好きだったのだろうぬいぐるみとかが置いてある。今や大坪家にも二匹の犬が居る。彼らがいつの日か生を終えるときが来たとして私はここに埋葬したいと思うのだろうか。しかし疲労し始めた頭ではそれ以上考えが廻らない。

ここでほぼ見学はおしまい。門のところに戻り、昔はたくさん土地を持っていたが、、と外を見ながら氏は喋る。話がとぎれたので私は礼をいい氏と別れた。少しく写真を撮りに中に戻る。先ほど山本五十六の像があった部屋には金庫がある。

先ほど二人で観ている時は耐えられたが、一人静かな部屋で「キケン毒ガス出る」という文字と相対しているといいようのない不安に襲われる。部屋を出ると門の外に見えているエリアに向かう。

いろいろなサイトの情報から察するに、ここには以前もう少したくさんの像が置いてあったらしい。しかし今やその範囲は縮小され、駐車場と畑に挟まれた細い空間に像が並んでいるに過ぎない。しかしそれらは一体なんなのだ。

ふと自分が半ば機械的にシャッターを押している事に気がつく。私は何をしているのだ。冬の日は冷たく照りつけ辺りは静まりかえっている。私はここから去らなくてはならない。急ぎ足でたんぼの中を歩く。なるべく自分が見た物について考えないようにしながら。駅への道の途中には古い門を構えた内科の看板がでている。来るときは「趣のあるお医者さんだな」と思えた場所が帰りには何かの罠のように思えてくる。

電車に乗ると渡されたチラシをポケットから取り出し読んでみる。何故氏の言葉が聞き取れないのだろうと不思議に思っていたがチラシを読んで納得した。以下に一部分を示す。

帰ってこうして見聞きした内容を整理してみると、あの場所の雰囲気を伝える為にはもっと写真をとっておくべきだったと思う。しかし今まで何度も珍スポット巡りの後で悔しい思いをした私がその必要性に気づかなかったはずは無いのだ。ではもう一度写真を撮りに行くか?そんなことは考えることすらできない。

あそこは氏の脳内世界がそのまま現実世界にぶちまけられた場所だ。足を踏み入れるのは一度で十分。

おまけ:門にかかっている額。右下の紙がついたままなのがポイント

「第一神秘珍々ニコニコアハハ園」これが正式名称か。となると第二、第三のニコニコ園も作る予定だったのか。ここにバスが10台来ることがあったというのか。いや、これ以上考えるのはキケンだ。

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注釈