運び屋- The Mule(2019/3/30)

今日の一言:やりたい放題

クリントイーストウッドは花を育てる男。メキシコからきた不法移民を使って表彰される。しかしクソと思っていたインターネットに商売を奪われ(と本人は主張し)破産する。

それまでの彼の生きがいは「見事な花を作り、皆に賞賛されること」だから展示会があれば娘の結婚式もすっぽかす。花をつくれなくなり孫娘のところに行けば、そこに居合わせた娘と妻に悪態をつかれる。

そこで「運び屋」にスカウトされる。ガレージに行き、何かを載せられ、指定されたモーテルの駐車場に車を止める。それだけでびっくりするほどの大金が手に入る。一度だけだと言いながら金が必要な理由は次から次へと湧いてくる。それは自分の家と農園を取り戻すためはまだわかる。火災にあった退役軍人クラブの修復は「いい人」たろうという欲もあるだろうな。

急に金回りが良くなる、とはこのことと思うが90歳のじいさんには誰も聞かない。麻薬カルテルは彼に監視をつけるがいつのまにか仲良くなってしまうのが面白い。パンクで困っている黒人がいれば助けてやり、モーテルの部屋には女を複数呼んでやりたい放題である。麻薬王のご招待にも預かり、さらに二人相手って、君90歳じゃないんか。

しかし気に入られていた麻薬王はクーデターで倒される。後任は命令厳守。仲良くなった監視役の戸惑った演技は見事。大仕事を課せられ、寄り道もできないところに妻の病状が悪化したことが伝えられる。

彼を追う敏腕エージェントがブラッドリークーパー。これがまたかっこいい。上司のローレンスフィッシュバーン、アシスタントの見慣れたにいちゃん、みなかっこいい。米国の裁判では、冒頭の罪状認知で有罪と言ってしまうと裁判が終わってしまうとは本当だなと思う。

彼の行動は紛れもなく犯罪。しかしこのさっぱり感はどうしたことだろう。彼の行動を見ていて思う。もう存分に生きたと思う人間はこのようであるか、と。別に90にならなくてもこのように生きることができるかもしれぬ。などとやりたい放題ながら観客たる私にいろいろなことを考えさせるのはいつもながら見事だな。