映画評

五郎の入り口に戻る
日付:2020/9/16
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ミッキー17:Mickey 17(2025/4/5)

今日の一言:ゴジラ-1.0と好取り組み

映画が始まる。のっけかっら全ての状況と感情をセリフで説明する。加えて画面からただようこのチープさはなんなのだ。

Expendableとしてとにかく死んでも生き返る男が主人公。借金に追われその道を選ぶという説明を聞いたところで、もう退屈しきっていた。でもってこの男がなぜか女性にモテまくる。目があっただけでいきなり親密な関係になる。わけがわからない。絶望的な気分になり時計を見る。まだ2時間もあるではないか。この時間をどうしろというのか。

どうでもいい場面を丁寧に繰り返すのは上田慎一郎へのオマージュか。あるいはつまらない映画監督に共通の性質なのか。1時間くらいで虚無の心境に至ったが、そこからも映画は続く。後付けの理屈がどんどん湧いてきて、最後は全く意味がわからない。

頭の中で過去に見たダメ映画を思い返す。この「わけがわからないがどうでもいい感」に匹敵する作品はといえば、、ゴジラ-1.0かスペシャルアクターズくらいしか思い当たらない。山崎監督とか上田監督に潤沢な予算と安全策のための原作を与えるとこんな映画ができるのではなかろうか。

思うにこれがこの監督の実力なのだろう。パラサイトも同じくらいわけがわからない映画だったが、低予算だったのが幸いしたのではなかろうか。スターウォーズでもそうだったが、技術と予算の制約がなくなることは、必ずしも質の向上を意味しない。

ゴミ映画ならせめて短く、とも思うがそれができないからゴミ映画。こうやって感想を書いていて、「そういえば最後どうだったっけ?」と思い出すこともできないし、記憶が消えてくれてありがたいとも思う。


アノーラ:Anora(2025/3/1)

今日の一言:出来の悪いピンク映画

ヒロインはストリッパー。それを説明するためだけに、これでもかとエロシーンがはいるのはピンク映画だから(それ以外の理由がある?)お客はロシア人大富豪のボンボン。金に物を言わせアメリカで豪遊中。エロとボンボンとのいちゃつきシーンだけで最初の30分が過ぎる。

でもってボンボンが勢いで結婚しようと言う。二週間持たないよね、と観客を含めた誰もが思う。そしてそうなる。その間中登場人物は皆Fuckfuckと罵り合い。主人公は5カラットの指輪に、超高級毛皮とかとにかくいろいろたかる。

見ている間考え続ける。清廉潔白な人生送ってる家族じゃないんだから、その女に行方不明になって貰えばいいじゃん。ストリッパーが一人連絡取れなくなっても誰も気にしないしさ。

なのだがロシア人の手下達は話の都合上妙にいい人で、妙にドジをやりまくる。ここからピンク映画から出来の悪いドタバタになる。ただただドタドタ間延びしている。車の中のゲロとか、法廷でつっかえされるのとか必要?でもってドタバタで笑わせようとするなら、母親が最後に「やってごらんなさい。破滅させてやるから」と脅しちゃいかんでしょ。最初からそうすればいいんだから。まあピンク映画だから細かいところは問わないか。

でも

最後のシーンを除いてこの映画には一人の人間も描かれていない。ストリッパーでも真顔でプロポーズされると一瞬本気にしちゃったのだよね、とかそういうところを描いてもらえれば、、、は期待しすぎでしょうか。日本のピンク映画でもっとできがいいのを見た記憶がある。もっと短くまとめて余韻を感じさせてくれることもあったのだよね。それに比べるてなんで2時間20分もこの内容でやるかな。まあ見てしまった私がバカだったということで。


キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド:Captain America: Brave New World(2025/2/23)

今日の一言:あくび連発

スクリーンをみながら考える。この映画を作った人たちはいったい何がやりたかったのだろう、と。

ヒーローが悪の下っぱとぱこぱこ殴り合うシーンがあるたび思う。これで決着がつくわけがないのに。何がおもしろくてこんなことやるんだ。ただの尺稼ぎではないか。殴り合い自体がジョン・ウィックのように見事ならいいのだが、そうした工夫もない。ただ時間がすぎ、悪の下っぱ戦闘員はやられる。あれですか、これはショッカーオマージュですか。

でもって最近のMCUの低調ぶりは継続中。この映画でも全てはセリフで説明され、一人の人間も描かれているわけではない。そこらへんは目をつぶるにしても、見せ場たるべきキャプテン・アメリカとハルクの戦いが結局何がどうなったのかさっぱりわからない。

アメリカの大統領が、貴重な資源の国際管理を目指して協定の成立に執念を燃やす、なんてのは昨今の状況を見れば乾いた笑いしかでない。いの一番に軍事力で占拠してMAGA!の現実を散々見せつけられているとねえ。日本の首相が妙にかっこいいのも、、現実は石破くんだから。

唯一「一体お前はいくつなんだ」のリブ・タイラーが見どころだったか。ここから続編作っていく気満々なのはわかったけど、もういいかな。今年はまだ2本もあるみたいだけど、評判見てからにしよう。


機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-(2025/2/7)

今日の一言:オタク記号の陳列会

予告を見る。オタク向け記号の陳列。まあパスだな。

しかし公開されるとTwitterでやたらとコメントが流れてくる。見てみるか。ちなみにガンダムにはいろいろ種類があるらしいが、私にとってのそれは高校時代テレビで見た名古屋テレビ印である。

この映画は前半と後半に分かれる。前半はガンダムの同人誌的なWhat if?TVのガンダムを見た人にしかわからない記号がこれでもかと羅列される。しかし同じキャラクター、セリフを使いながらこの軽さはなんなのか。この制作者は記号を並べることにしか興味がなく、元の記号がどのようなストーリーだったかには全く興味がないのだな。

などと首を捻っている間に、後半パートが始まる。ここからが予告編で描写されていたもの。気恥ずかしいほどのオタク向け要素がこれでもかと羅列される。目と胸部の巨大な少女、使い古しの「癖のあるキャラクター」「アニメっぽいセリフ」「キラキラのアニメ声」そこに語られるべきストーリーは何もない。主人公らしき少女が他人の全財産を川に流すのだが、謝罪も何もない。なぜならこの映画にでてくる「登場人物」は単に記号を並べるための道具だから。

そしてこの映画は題名通り冒頭だけでした。ということで関係者は一つ金鉱を掘り当てたということになる。おめでとうございます。

この映画は「シン・仮面ライダー」と同じことを素材を変えて行ったことと見ることもできる。過去の名作の記号だけ適当に陳列しました。しかしそこに無意味な改変とアニメオタク要素を強調することで商業的にはより成功した、ということなのだろう。

スクリーンから聞こえてくるのは

「ほら、お前らこういうの並べとけば喜ぶんだろう?ほら、お前らの好きなメカにキャラクターがてんこ盛りだよ?ほーら、こんなに大胆に改変しちゃったぞ?こういうの好きだろう?もっと金落とせよ」

という声。その声に歓声を上げる人がいるから商売が成り立っているのだろう。

不幸にして私はその感性を共有していない。これほど観客を馬鹿にした映画を観たのは久しぶりだ。


モアナと伝説の海2:Moana 2(2024/12/7)

今日の一言:モアナ3を作るみたいだよー。楽しみだなあー(棒読み)

少女が所属している一族は南海に浮かぶ島で平和に暮らしていた。しかし少女は突如「他の民族と交流しなければ我々は滅んでしまう!」という妄想に囚われる。そしてよくわからない障害を突破し、他の民族と交流を始める。

その結果外敵に免疫のない島民は疫病、麻薬、怪しげなネットワークビジネスに苦しめられる。挙句の果てに多くの島民が奴隷として他国に連れ去られてしまった。しかし少女は満足げに海に向かって歌うのであった。

まあ大体こういう話です(後半は嘘)

前回は少女が鶏と豚と旅をしていたようだが、今回は船を大きくし人間が3名追加になる。しかしこいつらが見事なくらい機能しない。農民の老人とか船の中で鉢植えいじっているだけだし。元を辿ればなぜ命懸けで他の民族と交流しようとするかな。「このままだと滅亡する」という謎のビジョンはいいとして、それまで皆で平和に楽しく暮らしていたのに。

アナ雪2と同じく話はデタラメだし、いつの間にかよくわからない設定が登場するし、だけどディズニーだから最後はみんなハッピー。最初は「なんだか余計な動きが多いなあ」と思っていたがそのうち気が付く。そもそも話がないので余計なシーンしかないのだ。

とはいえ

米国では大ヒットらしいし、エンドロールの後のシーンをみてもモアナ3,4を作る気満々のよう。そういえば今回の悪い神様って最後のシーンまで姿すら見せないから、次で大暴れするんでしょう。どうでもいいけど。そうしたディズニー商法の巧みさは賞賛に値するが、3以降はよっぽど評価が良くないと見ないよ。

グラディエーターII 英雄を呼ぶ声:Gladiator II(2024/11/16)

今日の一言:何もない映画

グラディエーターはそりゃトンデモ映画ではあったけど少なくとも見どころはあった。太る前のラッセル・クロウはかっこいいし、皇帝はにくにくしかったし。

しかし続編からはその「見どころ」は全て消滅し、トンデモかつ支離滅裂な脚本だけが残った。特に主人公に華がないのは致命的ではなかろうか。美男子だけど、主人公を支える脇役No2くらいの存在感しかない。

映画の冒頭ローマの軍船にいきなりヤグラが立つ。船のどこから出てきたのかは問わないけど、このヤグラって敵の城壁が海に隣接していないと役に立たないんですけど。とかコロセウムに海水注いでサメまで持ってくるとかまあエンタメ映画だから気にしません。狭いコロセウムで船がぐるぐる回るシーンを作れとか言われた人は頭抱えただろうなあ。

でもってデンゼル・ワシントンがあれこれの黒幕なのだが、何がしたいのかさっぱりわからない。せめてワシントンも結構強いんですというシーンをいれておかないと、最後の戦いとか「?」で終わっちゃったし。

というわけでこの映画の完成に尽力し、その結果がこうなった幾多の人たちの苦労に涙を注いだふりをして映画館を後にする。CGの予算削ってトムクルーズ主役にでもしておけばもうちょっとマシになったかなあ

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ:Joker: Folie à Deux(2024/10/14)

今日の一言:レディー・ガガは歌と踊りが上手です

前作と今作で描かれていたのは単に哀れだけど同情できない男でした。

それに対していろいろ意見もあるだろう。個人的にこの結論はいいと思う。しかしこの映画の問題はそこではない。単につまらないのだ。

ではなぜこの映画でやたら歌を歌うのか?単に尺を稼ぐため。歌を除いたらこの映画1時間半で終わるのではなかろうか。かくして登場人物は延々と熱唱する。レディー・ガガはがんばって素人っぽく歌っても隠せない素晴らしいさがあるからいいのだが、フェニックスのカラオケを長々聞かされるのは悪い冗談としか思えない。

それだけではたりず、刑務所の人たちは「それやったら騒ぎ起こるよね」ということを延々とやり続ける。そもそもガガがなぜ特別扱いで、超高倍率の傍聴席に入れるかもわからない。そういう細かいことはどうでもいいのだと思う。

この出来ではRotten tomatoesの低評価も納得。しかし前作のように不届きものを量産し、大統領選後が大荒れになる危険性(それが冗談でないのが今のアメリカだ)を考えれば平和な駄作のほうがいいのだろう。

フォールガイ:The Fall Guy(2024/8/24)

今日の一言:エミリーブラントのカラオケに1点

別名:名優の無駄遣い。ライアン・ゴズリングとエミリーブラントをキャスティングした時点で「あとはスタントマンを活躍させれば」としか考えていなかったのではなかろうか。

いやなスターのスタントマンがゴズリング。彼となぜか恋仲のブラントが出世して監督になる。この二人がなぜ惹かれあっているかは観客にわからないし、作る方も気にしていないのだろう。敵の銃撃から逃げているところでのんびり愛を語るのも、せめてギャグにしてくれれば。

開始三十分くらいで「ああ、これはこういう映画なのだ」と悟りを得る。それからはぼんやりと画面を眺める。エンドロールでBehind the sceneを映したくなるほどスタントには気合を入れたのだろう。スタントシーンとブラントのカラオケには点を出す。あとは忘れた。悪役があーなってこーなって、まあどうでもいいよね。

こうしたダメ映画の常として最後はスッパリと終わらない。カメオ出演をあれこれ頑張ったのはわかるけど、オマケはオマケでダメな映画を救えるわけじゃない。

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注釈