映画評

五郎の 入り口に戻る
日付:2011/6/28
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ブラック・クランズマン:BLACKKKLANSMAN(2019/5/4)


今日の一言:政治的主張強すぎ

コロラドスプリングスの警察署に初の黒人警官として雇われた男。この頃の黒人は頭をマイクの先っぽみたいにするべき、という法律でもあったのだろうか。

最初は資料室に配属されるが、潜入調査に志願する。KKKに入団希望の電話をかけると相手に気に入られる。とはいえ彼が面接にいくわけにはいかない。というわけで、アダム・ドライヴァーが会いに行く。理由は今ひとつ釈然としないが、電話の応対は黒人が、実際の面談はユダヤ人のドラヴァーが担当する。

見ているほうは「いつばれるか」とはらはらするから心臓に悪い。黒人学生団体の会長たる女性と主人公の恋愛なんぞもあってお話として面白い。舞台設定は数十年前だがAmerica Firstとかつい最近も聞いた気がするな。つまりこれは今の大統領-今のアメリカの話でもある。

などと思っていると映画の画面が急に非現実的になる。なんだこれはと戸惑っていると、これでもかと「これは今のアメリカの話ですよ」という現実の映像が挿入される。途中でも黒人がリンチにあった話を延々とやったり、ある曲を延々と流したり変だなと思っていたが、最後に製作者の政治的メッセージをそのままぶつけるのはどうなんだろう。

上下反対になった星条旗が白黒になったところで映画が終わりになる。いや、そこまで露骨に言われても。俺が見たいのは映画であり、あんたの演説じゃないんだ、というわけで最後の最後に評価がワンランク落ちる。


翔んで埼玉(2019/3/30)


今日の一言:日本映画にしてはがんばりましたが

少し前から一部で知られていた「翔んで埼玉」という未完の漫画。「埼玉なんて言っていると口が埼玉になるわ」という強烈なセリフが印象に残る。

それがまさかの映画化。あまり見る気は無かったがなかなか評判がよろしい。見ようと思っても残り座席が少ない状態が続く。これはどうしてもみなくては。というわけで朝一のチケットを買う。公開から相当時間が経っているにも関わらず座席はかなりうまっている。

映画が始まる。漫画そのままの仰々しい衣装だが気にはならない。オープニングから「武蔵国から重要な東京と、その次に重要な神奈川が独立した残り物が埼玉」と飛ばしてくる。「いっしょに行くか。所沢へ」というセリフで笑えるのはありがたいな。

というわけで前半はなかなか快調。しかし薄々恐れていた通り埼玉v.s.千葉の戦いから明らかに息切れした。それまで光っていたギャグが見られなくなり、ただ人がわらわら出てくるだけ。だからオチも決まらないし、最後のとってつけたような埼玉向けのメッセージも浮いている。

やはり日本の「正統派メジャー映画」だとここが限界か。少し寂しい気持ちになりながら映画館を後にする。とはいえこの映画を一番楽しめるのは埼玉に住んでいる人たちだろうなと思うと少しうらやましくなる。これの成功に味を占めて「尾張と三河の争い」映画化とか誰かが考えたりしないだろうか。


バンブルビー:BUMBLEBEE(2019/3/23)(1000円)

今日の一言:意外なスピンオフ

私には相性が悪いトランスフォーマーシリーズ。そのスピンオフということで全く期待していなかったが米国での評判が大変よろしい。というわけで見ることにした。

父を心臓発作で無くし、母が再婚した相手とはイマイチ馴染めない。父と直そうとしていた車は治らず、車が欲しいのに両親からの誕生日プレゼントはヘルメットに「もっと笑おう」という本。思春期特有の「常に難しい顔」が似合う18歳の少女。

そこにはるかな星からロボットが降ってくる。映画でも言及されていたが、なぜはるかな星のロボットが地球上の車や飛行機の形になる。いや、このシリーズは細かいことを問うてはいけないし、問うべきでもない。

この映画では「イケメン男のムキムキ上半身を出すこと」という法律でもあるのだろうか。明らかに無駄なシーン、わざとらしすぎるシーンがあったように思う。

しかしそうした細かい点を除けばこの映画は少女の成長物語としてちゃんと成立している。父の死以来飛び込みをやめていた、という伏線がクライマックスにくるんだろうなと思っていると確かにそうなる。ちょっと荒いけどね。

イケメンオタク(ちっともオタクにみえないが)と最後に簡単にくっつかないところもよいし、「一緒に行こう」というバンブルビーを断るところもよい。

あのデタラメシリーズを使ってちゃんとした物語ができるとは正直驚いた。有能な監督が作った佳作という印象。この監督の今後が楽しみだ。


ラジオの時間(2018/10/5)

今日の一言:昔はこれでよかったのか

カメラを止めるな!がこの作品からヒントを得ていたと聞きAmazon Primeで(休み休み)鑑賞。

平凡な主婦が書いた脚本が生放送のラジオドラマとなる。リハーサルは無事終了するが、そこからいろいろな注文がつき始める。日本語にこだわるナレーション担当はいいとして、わけのわからない理由で登場人物の名前を変えろと言い出す元大女優とか。

現場をしきっている「プロデューサー巻き」をした男はなんだかかっこいい役だなあと思えば、当時売れっ子だったらしい。他にも大物そうな俳優がちらほらと。それぞれの俳優の顔を立てるのも大変だっただろう。そしてそれだけに終わってしまった感がある。裏側のドタバタを隠しなんとか生放送を続けていく、というところだけがカメラを止めるな!、と共通している。しかしそこには一人の人間が描かれているわけでもなく、ただドタバタしているだけ。最後にケン・ワタナベがトラックで登場し自転車を壊す場面など「これ面白いと思ってるのか?」としか思えぬ。

とりあえず最後を丸く平和に収めておけば観客は満足感とともに映画館を後にするとでも思ったか。私の奥様によると、これでも当時の邦画としては画期的に面白かったというが。


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注釈