映画評

五郎の 入り口に戻る
日付:2011/7/10
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950 円-Part13(Part12へ | 560円へ)

白雪姫と鏡の女王-MIRROR MIRROR(2012/9/15)

思ったよりよかった。いや意外。

ジュリア・ロバーツが悪い女王様。贅沢三昧して白雪姫をいびりぬく。ところでこの白雪姫のまゆげはなんなんだ。まるで日本の芸人のようではないか。最後に綺麗になったりするかと思ったのだが、ずっとそのままだった。

その女王様に使えているのが、プロデューサーズでの演技が印象的だったネイサン・レイン。いやすばらしい。せこい小役人で保身のためなら冷酷になることもいとわない。とはいえ基本的に善人。彼の存在はこの映画の価値を多いに高めたと思う。

カッポレカッポレあらわれるのが古典的な美男子を絵に描いたような王子様。しかしこの映画の白雪姫は王子様が救ってくれるのを待ってはいない。とはいえそれを台詞で言わなくてもいいだろう、とは思う。残念なことに眉毛姫は殺陣が全くできない。完全に剣に振り回されている。広いアメリカで殺陣ができる可愛い女優はいないのかね。

白雪姫最後の戦いはイライラするほどテンポが悪い。この映画全般に言える事だが、90分くらいの映画できれば傑作になったかもしれん。パターン通りメデタシメデタシとなるのだが、ちょっとまてリンゴは?というわけでちゃんと最後に出てくる。ここらへんの改変は悪くない。

宣伝文句を信じれば、ジュリアロバーツは初の悪役とのことだが、コメディタッチ+時々シリアスな役柄。なかなかはまっている。もう少し「年老いた王女なりに色っぽく口説くところ」とかあってもよかったと思うけど。

というわけで映画は歌と踊りでにぎやかに終わる。この歌が、なんとも変わった調子。強いていえばトルコで流れていた音楽に似ている。つまりどことなく中東風味、と思ったが後で知ったが監督がインド人なのだな。というわけでインド映画風なのか。ちょっと普通と違うこの映画のエンディングに相応しい。最後の最後にジュリアロバーツがワンシーンでるかな、と思っていたが徒労に終わった。石岡瑛子へのメッセージが見られただけよかったことにするか。


最強の二人-  INTOUCHABLES/UNTOUCHABLE(2012/9/4)(1000円)

冒頭、車が疾走して行く。ハンドルを握っているのは黒人。助手席には白人。黒人はパトカーにおいかけられ停車させられる。いや、白人が発作を起こしてるんですとかなんとか言って先導させる。

してやったりと、Septemberを流し、二人でのりのり。普通先導している警官は車の様子を見ていると思うよ。ばれるよ、と無駄な心配をする。

白人は全身麻痺の大富豪。そこに「失業保険をもらうため」やってきた黒人。雇われるとは思っていないがとにかく就職活動をしている証拠が欲しい、と。しかし大富豪は彼を雇うのであった。

黒人は貧民街の出身で、犯罪歴もある。しかし富豪に対する態度はすばらしい。彼自身が聡明な人間であることも一因ではあるが、どんな状況でも人生を楽しむ事を考えているのだろう。それゆえ哀れみの感情にとらわれる事が無い。

そうしたことに気がつくのは映画の後半。彼が辞め、「駄目な看護師」が来るところ。多くの事がそうだが、あまりにもうまくやる人を見ているとそれがどれほど難しいことか気がつかない。そしてその「駄目な看護師」の姿は、おそらく私の姿にどこか重なっている。そして考えるのだ。では何が駄目なのか。この映画の黒人は何がいいのか。そう考えさせられたのが、この映画の一番良いところだった。

特に何か大事件が起こる訳ではない。黒人が窃盗の疑いをかけられるが富豪が大声で彼を弁護する、なんてことはない。静かで真面目な記述は歓迎だが、少し長い。映画の最後、場面が冒頭に戻る。観客は一度見てるのだから、戻った事を示すのはワンシーンでいいと思うのだがだらだらやる。いい映画だと思うが、このように時々垣間見えるダラダラ感が惜しい。

エンドロールで本物の「二人」の姿がちらっと出る。二人とも元気にやっているようで何より。アース・ウィンド・アンド・ファイアのご機嫌な曲が頭に鳴り響くなか映画館を後にする。


ダークナイト ライジング- THE DARK KNIGHT RISES(2012/8/5)

あー暇。なんか面白い事ない?といった退屈な日常こそがありがたい、と気がつくのは何かがうまくいかなくなり、絶望した時だ。

前作から8年。ゴッサムことニューヨークは平和にな り、「そのうち警官は図書館の本を探しにいかされるかも」といった様子。しかしその裏でやっぱり悪い奴がでてくるのであった。今回目をつ けたのは建築会社。地面の底を抜き、橋を落とし、ゴッサムを「市民の街」にする。やめてよ、民主党じゃあるまいし。っていうか地面の底抜いた意味ってあったのか。

バットマンは何をしていたかといえば、8年間引きこもり。危機に瀕して復活してみたものの、こてんぱんにやられ、地下深い牢屋に放り込 まれる。その間にも「最終的な破滅」が一歩一歩ゴッサムに忍び寄っているのであった。という御話。

一言で言えば「絶望が足りない」だからそれが解決された時の感動が無い。予告編にもあった「バスの窓から遠くを見る子供達の視線」の感情が伝わってこない。最後に明らかになる意外な真実はいいとして、それまでその「黒幕」が「この人何している人だっけ」状態だったので 「ふーん」と思うだけ。なぜかご飯を与えられていた警官達が「市民軍」に突撃するところはよかったけどね。華麗な制服を着て先頭に立つ 「なさけない上役」とか。

執事たるマイケル・ケインは老けたなあ。しかしその演技は健在。老いさらばえた姿だからこそ、今回の役はぴったりとくる。私はアン・ハ サウェイがなぜこんなにあちこち出るかよくわからないのだが、何か良いところがあるのでしょうか。気が利き、あちこち動き回る猿顔の警官 がなかなかよい。というか最後に「そう来たか」と思う。

というように面白い要素はそこかしこにあるのだが、なんか「ばたばた」するばかりで話においていかれてしまう、、のは私だけですか?そうですか。たとえばこうだ。厳格な法律の名前になった男は実は悪い奴で、バットマンはいい人でした。悪役によってその事実が暴露される。 しかしそれが市民達にどう影響したのだろう。台詞でぺらぺら応酬はあるが、それまでも特にバットマンが市民達に嫌われていたようにも思え ないし、このエピソードとは関係無しに話は進んで行く。

そんなエピソード入れるくらいだったら「人民裁判が一般市民によって行われる」恐ろしさとかもっと描いてもよかったかもね。「悪い奴」 は人間のもつ一面を増幅するだけ。一番恐ろしいのは「普通の人」だった。しかしそれでも戦い続けるバットマン、、とかさ。

一時はシュワちゃんすらでてきたバットマンシリーズだが次にはどこにいくんでしょうね。もういっそのこと画面に擬音を文字で出すところ まで行っても楽しいかも。

最後に一点余計なことを。予告編で印象的だった大勢の人のの超えは"Rise!"と言っているのだな。日本語字幕では「登れ」になって たけど、それだと題名が何のことかわかんないけどまあしかたがないか。


スノーホワイト- SNOW WHITE AND THE HUNTSMAN(2012/6/16)

今のところ、2012-2013における

「後半もっとも失速した映画で賞」

の最有力候補。

「戦う白雪姫」という図柄はおもしろい。おとぎ話のように、ちょうちんブルマの王子様が白馬に跨がりかっぽれかっぽれやって くるのを待つ、なんてことはしない。自分で下水にズサーと飛びこんで逃げるところなど素晴らしいではないか。そして意地悪な王女ことシャー リーズ・セロンが美しい顔から老け顔まで振れるのもよろしい。今の彼女の素顔はどこらへんにあるんだろうね。

ってな感じで「8人の戦う小人」に出会ったあたりまではとってもよかった。これは思いもかけず傑作に出会ったか?背景はロード・オブ・ ザ・リングばりの作り込まれたファンタジーワールドではないか。多少力不足は見えるが、がんばっちゃいる し。その割に話題になって ないのはどうしてだろう。

ところが

そこからの失速ぶりが半端ではない。一つには主人公のお姉さん-アップだと若き日のジョディ・フォスターを思わせる-に演技ができな い、という問題もあるかもしれん。殺陣は全然だめだし、表情は一種類。肝心な「味方を奮い立たせる演説」はキーキー。セロンとの最終決戦 では息切れし、最後の「戴冠式」のグダグダ振りは一見に値する。

セロン女王様の事情をちゃんと描いたのはよかったと思う。彼女もまた戦争の犠牲者であり、苦しむ存在であったのだ。とはいえ予告編にで てくる牛乳風呂とか放りっぱなしの断片だらけだが。

かくして

「この映画製作の背後に何があったのか、の物語のほうが面白いかもしれん」

と考えながら映画館を後にすることになる。ちょっと頼りない「王子様」より妻を失ったHuntsmanが活躍するのはいいと思うのだ が、、いらない要素を全部切って90分の

「肉食白雪姫の剣豪無双」

だったらなあ、と思うがそういうのは難しいのだろうな。


幸せへのキセキ- WE BOUGHT A ZOO(2012/6/9)(1000円)

いい映画。真面目に作っているのもわかるし、一点を除いて文句は無い。しかしだよ

おれだって大人だから映画はフィクションだと知ってる。宇宙人がせめてこようが、ニュートリノが地球を崩壊させようが、主人公が時空を瞬間移動しようがそんなことは問わん。

しかし

どこの世界にスカーレット・ヨハンソン、とエル・ファニングがついてくる不動産物件があるんだ!物事には「超えて はいけない一線」というものがあるんだ!ええい、うらやましい!

というわけで無駄な叫びはこれくらい。

マット・デイモンの妻が病死する。残されたのはティーンエイジャーまっさかりの息子に7歳の娘。さて、どうしよう。気分一新だ。新しい 家を買おう、とあれこれ探し、理想の物件にであってみればそこは「動物園つき」だった。そしてデイモンは動物園のオーナーとして再オープ ンに向け奮闘を始めるのであった。

ありがちなストーリーと言えば言えるが、とても真面目に作っているのがわかる。ヨハンソンは色気を完全封印。その表情はどことなく田中 眞紀子にも似ているのだが、演技は悪くない。途中虎のような顔をするところも良い。

彼女がデイモンと簡単にくっつかないところも好ましい。というか最近「良いパパ」と言えばデイモンですな。息子の苛立ちもわからんでは ないが、だからといってファニングちゃんに惚れられるのは許せん。台詞にもあるが

「ファニングのほうが1フィートは背が高い」

のでラブシーンには工夫が必要。というかあれだ。これくらいのハンデをつけないとこの役者は世界中の男性からバッシングを受けるであろ う。ファニングは子供っぽい無邪気な笑い顔を見せたり少女として恋する姿を見せたり。相変わらずすばらしいのだが、なぜそんな男に惚れる (しつこい)

話はまあ流れるように流れる。途中デイモンが詐欺師呼ばわりされるところがあるのだが、そのロジックだけがよくわからん。しかし破綻は それくらい。最初は人来てくれるだろうけど、そのうち、、とか余計なことは考えない事にしよう。モデルになった動物園はちゃんと営業続け ているようだし。
アカデミー賞は絶対取らないだろうが、観た後少し気が軽くなるような、そんな映画。


ファミリーツリー - THE DESCENDANTS(2012/5/19)(1000円)

仕事一筋のジョージクルーニー。妻が事故で意識不明になってしまう。そういえば数ヶ月夫婦の会話なかったな。ところで娘の世話ってどう すればいいんでしょう。上の娘ちゃん、なんでそんなに荒れてるの?えっ、妻が浮気してたって?

というわけで、一言で言えば

「ハワイ版”息 子の部屋"」

である。妻の浮気相手が地球征服を狙う悪役だった、とか妻の事故の影には陰謀が、とかいったことは一切ない。話は淡々と進む。妻は脳死 判定を受け、かつその場合には尊厳死を選ぶ旨書類にしていた。こうなると医師だか弁護士にはそれを履行する「法的義務」が生じるのだそう な。日本も今はそうなっているのだろうか。

ところで妻の相手はどんな奴だったのか。顔を見たい。そして話がしたい。そう考えるクルーニー一家+ちゃら男はハワイをあちこちに飛び 回る。この浮気相手の奥様が実に素敵。こんなに綺麗でセクシーで性格の可愛い奥様がいても浮気してしまうのが男のサガと言うものであろ う。いけませんねえ。

下の娘が「死亡宣告」を告げられるシーンは、娘をもつ親として観るのがつらい。しかし考えようによってはこうした死に方は

「別れを告げることができる死に方」

とも言える。「死んだ」後に知らされてもお別れもいえないもんね。ちなみにクルーニーは先祖代々相続した広大な土地を売却する交渉を進 めており、奥様の事故とは無関係にそちらを決めなくてはならない状況なのであった。

原題「Descendant」は土地を所有していた人間の子孫という意味か。この要素がなくてもちゃんと話は成り立ったのではないかと 思うが。妻のストーリーとつながりはあるのだが、どこか無理矢理感もただよう。この二つの決断が関連しているのかしないのかわからないと ころはリアルとも言えるだろうか。

こうしたややこしいこと、悲しみの舞台は

「ハワイ良いとこ一度はおいで」

のハワイ。いいところですよ。本当。最後のシーンでは家族3人がソファーに並んでTVを観ている。何がどうしたわけではない。しかし会 話も無く緩やかにくっついてTVをみている姿は少しの安心感を観客に与えてくれる。途中少し退屈に思うところもあったがこのシーンがとて も気に入ったので、ちょっとおまけしてこの値段。


幸せの教室 - LARRY CROWNE(2012/5/12)(1000円)

予告編から想像する通りの内容。ストーリは「ありきたり」かつ浅い。何故ジュリア・ロバーツがトム・ハンクスに惚れたかさっぱりわから ないし、二人の恋愛なしでも十分面白い話にできたのではないか。悪い奴は一人もでてこない。こんな綺麗な「世の中」があるものか(一人だ け”職務に忠実な銀行員”がいるが、まあそれは普通だし)

などと悪口言い放題なのに、何故この値段にするか。

主人公の男は良い奴だが、いろいろ行き詰まっている。奥さんと離婚し、財政的に厳しい。そんなある日職場で呼び出しがかかる。優秀社員 の表彰かと行ってみれば

「君は大学でてないからこれ以上出世は無理」

と首を宣告される。

あなたは首を宣告されたことがあるだろうか?自慢じゃないが私はある。今であれば自慢話にできるが私はある。あれはつらい。どんなひど い会社で、頭がいかれた人間から言われたとしてもつらい。そして世の中そうした目にあった事がある人は多かろう。

そんなとき「元気をだせよ。きっと良い事あるよ」とありきたりの言葉をかけられたらどう思うだろう。「お前は自分がそんな目に会ってな いから」と反発を覚えるかもしれない。しかし相手が(もちろん本当にその気持ちはわからないにせよ)心からそう思って言っているとした ら、最後は

「ありがとう」

と言いたくなるのではなかろうか。

この映画はトム・ハンクス脚本、監督、主演とのこと。全く機能してない設定も多いし、キメとなるべき最後のスピーチも良かったとはいえ ない。しかし映画からはトム・ハンクスが真面目にこの映画をつくろうとした事だけは伝わってきた。恋愛云々と短大を除いてみよう。主人公 は長年住んだ家を手放し狭い家に移る。そして安っぽいレストランのコックとしてなんとか食いつないでいるのだ。

であれば、それがありきたりの言葉であっても

「ありがとう」

という気分になるのではないか。

ジュリアロバーツは45歳にしてあの容姿はたいしたものだと思う。昼間からエロ画像ばっかり観ている旦那に

「洗濯板」

とののしられる。その後からやたら胸部を強調した格好ででてくるのはやはり意味があるのでしょうか。脇役の中では、ちょっとエキセント リックな「スクーター団」の女の子、それに元隣人の黒人夫妻が良い。謎の日系人教授はなんなのだろう、と思って調べれば、、なんとスター トレックのミスター・カトーだ。

1800円だす価値はないと思うが、観た後悪い気分にはならない。そんな映画。


おとなのけんか - Carnage(2012/3/9)

なんといっても顔ぶれがすごい。ジョディ・フォスター、クリストフ・ヴァルツ、ケイト・ウィンスレットそれにあと一人であるし、監督は なんとかポランスキーだ。

悪くない。悪くないのだが何かが決定的に欠けている気がする。

子供同士のけんかで、片方がけがをした。親同士が集まって表面上はにこやかに話し合う。しかしお互い全く納得していない。

その昔私は

「ジョディ・フォスターだったら、レズと知っていても結婚したい」

とか書いた。すいません。撤回します。この映画にでてくるフォスターはキャラクターにぴったりはまっている。ヒステッリックで自分の考 えの狭さを認識できない中年女性。顔も不必要にとんがってぎすぎすしている。こどもの喧嘩を"Homeland securityへの脅威"とか真顔で言われても。

ケイト・ウィンスレットはそれに比べて多少ましだが、ゲロはやりすぎではなかろうか。元は舞台とのことだが、舞台でもゲロしたのだろう か。

冷静に振る舞っている「敏腕」弁護士のヴァルツも命の次に大事な携帯を壊され捨てられた子犬のようにへたり込む。まあ「おとな」といっ ても子供のようなものだ。観ている間何度も

「とっとと帰れ」

と思うが、帰っては話がなりたたない。最後にはみんなで酒を飲み始める。あくまでも自分を中心に世界をとらえようとする女性達と比べ、 現実世界と相対して、どこか悟りを得ている男性達の姿が印象に残る。

最後のシーンで、この大騒動の「アホらしさ」が示される。それとともになんだかんだと言葉を並べても結局「こども」よりこどもっぽい 「大人」達のいとおしさが。私はニューヨークを舞台にした映画を見るとイライラする人なのだが、ニューヨーカーもまあ馬鹿で子供なわけ だ。

しかし「もう一声」と思ってしまうのは出演者の豪華さ故でもあるか。腹の底から大笑いするシーンもなかったし。(映画館には時々笑い声 が響いていたけどね)


ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬 - JOHNNY ENGLISH REBORN(2012/1/21)

ローワン。悪くないできだよ。全く悪くない。そこで君に次の文章を36,293回書いてほしいんだ。

「お馬鹿映画ほど真面目に作らなくてはならない」

終わった?じゃああと192,383回書いて。いや、君が真面目にやっているのはわかるんだけどね。

観ている最中何度か笑い声を上げたのは確かだ。近くでみていた小学3-4年生の子供達には大満足映画だっただろう。しかし大人を本当に 笑わせるためにはもっともっと真面目にやってくれなくちゃ。

ジョニー・イングリッシュはアフリカでの大統領暗殺を防げなかったため、左遷される。しかしある重大事件の情報提供者が「イングリッ シュにしか話さない」と言ったため、復職する。

「なぜこのドジを指名したのか」結局最後まで明かされることはない。制作者にとってどうでもいいようだ。彼を一人で行かせるのは不安。 というわけでお目付役がつくのだが、これが新人でジョニーと大同小異のドジ。そりゃギャグでみればその方が面白いけど、話の辻褄というも のが。その後もジョニーはドジを繰り返すのだが、不思議なことに事件から外されることはない。

スパイ映画なら大アクションになるところを、素直にドアを開けて悪者を追うとか。おもしろい要素はいくつもある。単発ギャグの羅列集と してみれば悪くないのだが、一本の映画として観た時には、話が無茶苦茶すぎる。Naked gun 21/2だってもっと話の筋がしっかりしていたぞ。

かくして最終的にはこの値段にするわけだ。エンドロールで一つギャグがあったらしいのだが、それを見逃した事を後悔するわけでもない。


リアル・スチール - Real Steal(2011/12/17)

途中までは「まあこんなものかな」。しかしクライマックスで「あること」に気がついて「どうだかなあ」と思ってしまった。

この映画の「未来」の描き方には感心した。2020年という設定らしいのだが、アメリカの田舎町には目に見える変化は無い。異なってい るのは携帯電話と格闘ロボット。(ついでに言えばカーナビもだが)「未来」になっても人間の生活はそんなに変化するものじゃない。

ヒュージャックマンはそこそこ駄目男。格闘ロボットで金を稼ごうとあれこれやるがうまく行かない。借金まみれの彼の元に男が訪れる。借 金取りかと思えば、分かれた妻が死去した。ついては子供をどうするか、と聞かれる。引き取る気等毛頭ないが、一夏預かる事にして金をせし める。子供は格闘ロボットのファンで、ジャックマンについてくる。

手始めにノイジーボーイとかいうかつての名機を格安で手に入れるのだが、なんで格安になってたのかは最後までわからない。でもって偶然 拾った古いロボットと「ロッキー」するわけだが、なんでポンコツロボットが強くなったのかもちゃんと説明されるわけじゃない。そういう細 かい事にこだわってはいかん映画なのだろう。

さて、ロッキーだから最後は無敵のチャンピョンと対決だ。そこでジャックマンはボクサーだった過去を生かしロボットを「操作」する。し かしにこにこしながらパンチを振り回すジャックマンを見て

「これはポケモンと同じではないか」

と思ってしまった。ロッキーでは(あたりまえだが)主人公は一人。苦労も、痛みも栄光もその人のものだ。それゆえ観客は感動を覚える。 ところがこの映画で殴られ痛みを感じるのはロボット。人間は声やジェスチャで指示をだし、栄光は独り占め。なんだかアンフェアな気がす る。ポケモンを

「気絶するまで止めるな」

と気分のままに戦わせるトレーナーと同じだ。

かくして「ふーん」という感慨とともに映画はおしまいになる。X-MENじゃないヒュージャックマンはなかなか良い男だなあとは思っ た。あと彼が息子を養父母に引き渡す時

"You deserve more. than me."

という台詞は父親としてはぐっと身につまされたが。


キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー - CAPTAIN AMERICA: THE FIRST AVENGER(2011/10/22)(1000円)

盾に星条旗をあしらった「キャプテン・アメリカ」だからどうしようもない能天気アメリカ万歳ヒーローだろう、と思っていたら「期待外 れ」だった。

主人公はひ弱な青年。何度落とされても兵役を志願するのはナチを殺したいためではない。とにかく悪い奴が許せないから。路地裏でぼこぼ こに殴られてもとにかく立ち上がる。とはいっても女の子の前では「空気」扱い。

この青年の苦闘は悪くない。そして「肉体改造」によって筋骨隆々のヒーローになったあとも中身が変わらないのがうまい。ずっと口は半開 きだし。客観的にはアメリカ軍の一員として「大活躍」なのだが、それを普遍的な「悪に立ち向かう」姿として描いている。持っている武器が 「盾」なのもよい。攻撃兵器ではなく、防御のための道具なのだ。(やたらと投げまくっているがまあそれは気にしない)

敵は「ナチス・ドイツ」ではなく、その中でも独立して狂った「国家」を作ろうとしているヒドラ。だから遠慮なく「殲滅」すればよい。拳 をつくって両手を上げる敬礼が笑える。例によって超兵器もあれこれでてくるのだが、当時実在したテクノロジーをそこはかとなく尊重してい る点も好ましい。最終兵器がレシプロとジェットの混合動力とかね。光線銃とか持っている割には、普通の兵士に普通にやられるのが微笑まし い。

キャプテン・アメリカが率いるのは、黒人、アジア人、フランス人に英国人を加えた政治的に正しいグループ。でもってリーダーは憎しみを 抱きようのない、純真でブルックリン生まれのとっちゃん坊や。アメリカが世界の中で目指す一つの姿はこういうものかもしれん。

トミーリージョーンズは老けたなあ。Queen's Englishをしゃべりまくるエージェントのお姉さんも悪くないが、あんた前線で銃振り回していていいのか。

長々としたエンドロールの後に、来年夏に公開されるAvengersの予告編が流れる。どうせ何かあるだろう、と思いおしっこを我慢し たかいがあった。はずれもあるが、だんだんアメコミ原作映画のファンになりつつある私には楽しい展開だ。


世界侵略:ロサンゼルス決戦-BATTLE: LOS ANGELES(2011/9/19)(1000円)

前評判が悪かったので覚悟して見に行ったが、思ったよりよかった。兄弟作品とも言えるスカイラインとは違う面白さがある。

映画の冒頭ヘリコプターにのった兵士達がびびりながら戦場に向かう。そして兄弟作品と同じく話は24時間前に戻る。

いきなり世界中の海岸に隕石が降り注ぐ。さあ皆さん避難しましょう。アメリカだからさっそく軍隊が出動である。しかしそのブリーフィン グで

「これは隕石ではない。着水前に減速している」

と言われる。海兵隊が出動準備をしている間にも謎の連中がわらわら登場する。

そこからしばらく場面は海兵隊の一部隊を離れない。異星人はほどよい強さ。人間が手も足もでない、というわけではないがあまり勝てる気 もしない。民間人を救出し、とりあえずFOB(前線基地だったか)にたどり着いてみれば。

話の基調は「アメリカ海兵隊万歳!」(空軍は飛行機を飛ばさせてもらえない。海軍は隕石落下地域に軍艦出すほどアホなのか)。第一次大 戦での有名な台詞、

"Retreat ? Hell!"

は誰の心にも残ることだろう。この映画で描かれる海兵隊員たちの戦いぶりは、まさにこの言葉に相応しい。多くを言葉で語らず、ただ仲間 とともにミッションを遂行する。ジョン・ウェインと揶揄されるほど勇敢な行動をとる軍曹の手は震えている。

映画の中でも言われるがアーロン・エッカートが「笑う事のない」軍曹役を好演する。学校を一番で卒業したが、実戦を経験した事のない少 尉との対比がよい。銃を握る女兵士役ならまかせなさい、のミシェル・ロドリゲスも悪くない。おまけに男の子を残して無念の最後を遂げる父 親を出すのは反則である(私にとっては)

そこまでは悪くなかったのだが、そこからハリウッド映画恒例の

どっ かん一発ハッピーエンド

になってしまったのはもったいない。別に地球を救わなくても海兵隊魂は十分示せたと思うのだが。(とはいえあまりみた記憶がない「侵略 してきたエイリアン達がすたこら逃げ出すシーン」には笑ってしまった)

見ているうち、現実世界で災害に対して戦う人々の姿が重なるのは避けようが無い。災害はどっかん一発で元通りなんてことはあり得ない。 しかし災害の現場で、日米の軍隊も、人々も文字通り戦っていたのだ、とかなんとか。

この映画は本来春に上映されるはずだった。それを上映することができるほど、この国の人々の心は落ち着いてきたのだなと思う。しかし戦 いはまだまだ続く。

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注釈