映画評

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ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結:The Suicide Squad(2021/8/21)

今日の一言:狂気の面白さ

予告編が素晴らしく、本編は信じられないほど期待外れだったスーサイド・スクワッドの再出発版。前回からはハーレイ・クインと命令を出す怖いおばさんだけが続投。うん。ウィル・スミスはいらないね。

映画の冒頭あっというまにチームが編成され敵前上陸。しかし何もかもがうまくいかない。あっというまにチームがやられてしまうが、それは全部陽動でした、というところからして驚かされる。他にもガーディアンズ・オブ・ギャラクシー で楽しませてもらったジェームズ・ガン監督だけのことはある、というシーンが続出する。グロも無茶苦茶な殺戮もなんでもあり。そしてそれを映画の面白さにつなげている。

登場人物は普通の正義の味方ではない。一人命令に忠実な人間が「正義」ではなくなる。両方に足をおこうとした好漢の大佐の運命。あくまで自分の考えと価値観で行動し続けるハーレイ・クイン。彼女が敵から脱出するシーンでは日本の少女漫画さながらに背景に花が飛ぶ。いや、すばらしい。この脱出シーンだけで過去二作の彼女の良さを上回っている。

現にアフガニスタンで起きたことや、他の国にアメリカが介入した結果を思うとき、最後はちょっと美しすぎる気もするが、まあいいだろう、映画だし。エンドクレジット後のシーンを見る限り続編を作る気満々のようだ。早く作ってくださいな。楽しみにしてるから。


イン・ザ・ハイツ:In the Heights IN THE HEIGHTS(2021/7/31)

今日の一言:この世界の片隅でSing and Dance

ニューヨークの北のハズレ。ワシントン・ハイツと呼ばれるエリアには中南米からの移民とその家族が住んでいる。環境は悪いがここを出ようとしてもニューヨークでアパートを探すのは並大抵のことではかなわない。ようやく空きを見つけても

「賃料の何十倍の収入証明書を出せ」

と冷たく言い放たれる。主人公は小さなコンビニを従兄弟とやっている。彼を中心にハイツで生きている人たちの日常が描かれる。学力優秀で、奨学金を得て(とはいっても全て手ぶらで行けるほどはないよ)Stanfordに行った女性がいる。しかし彼女はStanfordで偏見の壁にぶつかり退学を決意している。一方その父親は苦労して築き上げた会社を売ってまで彼女の学費を払おうとしているのだった。(Stanfordの学費は高いよ)

そんな彼らと彼女たちにとって現実は日々の戦い。嘆いていてもしょうがない。できる方法で前に進むしかない。見ていて「この世界の片隅で」を思い出す。どんな環境でも人間は懸命に生きようとするのだ。そんな人々の姿が圧倒的な歌とダンスを背景に描かれる。

安易に流れず、必要以上に悲嘆せず。もちろんお話だから最後はそれなりのハッピーエンドになるがそこに至るまでの苦労、悩みはちゃんと描かれている。画面を埋め尽くすダンサーたちの人生にふと思いを馳せる。この人たちはこの後どうやって暮らしていくのだろう。この映画に出演できたことは素晴らしい業績ではあるのだろうが。

人のことを心配している場合ではない。自分の恵まれた環境を見てみろ。そしてそこで自分がいかに怠惰に暮らしているかも。

この映画を観た後

「君たちは先進国に生まれ、自分が生まれ育った土地で教育を受けられるし、がんばれば大学にも行け、さらにがんばればそこそこの収入が得られる職にもつける。これはとてつもなく幸せなことなのだよ」

と子供たちに語った。彼らがその意味を理解したとは思わないが。いつの日か彼らがこの言葉を思い出す日が来るだろうか。



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注釈