題 名:Java Diary-91章

五 郎の 入り口に戻る

日付:2008/2/6

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Goromi-Music Part2

さて、なんとかiTunesのデータを読み込めるようになったところで、今度は画面配置を考えなくてはならない。Goromiをいじりあれこれ考える。まず全く理由はないが、画面を白背景から黒背景にした。なぜかと言われてもわからん。WebとTVでは全く違和感が なかった白背景が、音楽を表示したとたんになんだかいやになったのだ。それまで画面に色を使う事を極端にさけていた私だが、これまた理由はわからないが Web情報の文字色をピンクにする。

曲名、アーティスト名、アルバム名を使って検索を行うとそれなりに結果が表示されているようではある。なんとなくいけそうな気がしてくるが、しかしどうに もしっくりこない。プログラムをいじり、Web情報を右に表示したり、左に表示したりあれこれやる。そのうち

「まだプログラムをいじるべきではない。そもそも何を表示したいのか紙の上で考えよう」

という至極真っ当な結論にたどり着く。紙でごそごそしようとするが、Excelシート上で考えたほうが賢明ではないかと思い出す。画面のスクリーンショッ トをとり、切り貼りしてあれこれ並べる。

なんとかこれでいけるかな、と思ったのが7月5日。ではさっそくプログラミングとはならない。頭の中では実際に形にしたものの数倍の案が渦巻いているのだ。をを、これなんかいいん じゃないか、と思うが少し形にすると愕然とする。言葉でとても理屈が通っているようなものだが、絵にし始めると破綻しているのがわかりがっかりする。

作り始めてきがついたことだが、今回のプログラムは大きく次の二つの機能を持っている。

・演奏している曲に関連するWeb情報を表示する。

・てきとーにキーワードを指定した結果を表示する。

と いうわけで、Goromi-WebとGoromi-TVの要素両方を併せ持っている。となれば画面の半分をGoromi-Webに。残りの半分を Goromi-TVにしよう、などと考えるがもちろんそれでは成り立たない。(頭の中ではこの構想が美しい形のように思え「ああ、僕って天才」としばし偽 りの幸福を感じることができるのだが)そもそも選んだ曲を画面の真ん中に持ってくるとどうにもおさまりが悪いのだ。となればどこにおくべきか。

とかなんとか苦闘するが一つよいニュースもある。表示されるWeb情報がそれなりに興味深い点だ。つまりデバッグがそこそこ面白い。これすらうまくいかなければ開発を放り出していたかもしれない。

と かなんとかやっているうちに日は過ぎて行き、いつしか8月になっている。さあ困った。今月末には論文を出さねばならないのにまだものがちゃんとできていな いではないか。本来なら物がちゃんとできて評価をしてから論文執筆なのだろうが、それではまにあいそうにもない。論文を書き始める。いつものごとく論文全 体の長さを考えながら書いて行くのだが、どうにもキレがない。内容がいまいちな割には長くなりすぎる気がする。っていうか文字を書いてもプログラムは動かな いのでごりごり書くのだ。としばらくやっていたがそのうちまた沈思黙考することになった。

なぜかといえば、例によって「何か他の」がうまくいかなかったからだ。なんだかこれ気に入らないね。じゃあ何か他のをだしましょう、ということでキーを押す。さて何がでるべきでしょうか。

ま ずGoromi-TVで使っていた2種類のアルゴリズムを試してみる(適当に流用するだけだから簡単だ)まずGoromi-TVでうまく動いていた 「押すたびに違う傾向のものがわらわらでる」方式を試してみる。理由知らないがTV番組を見るときはこれが一番楽しかったのだ。ところが同じアルゴリズ ムを音楽に適応してみると全く面白くない、というかとてもいやんである。データが変わっただけでこれはどうしたことか。

次 にはランダム選択を選ん でみる。これは先ほどよりましだが、まだへんな気がする。特定ジャンルの曲が多くですぎるのだ。理由は簡単にわかる。人にもよると思うが、たく さん曲を持っているジャンルとそうでないものがある。そこからランダムに選べば、母数が大きいジャンルからはたくさん選ば れるわけだ。というように理由はわかるのだが、楽しくないのも事実だ。はてどうしたものか。

これは自分でも説明できないのだが(論文の作 読者からもそう指摘されたが)とにかく音楽を選ぼう、という場合にはリストに現れるものを散らす必要があるようなのだ。なぜかと言われても知らん。メディ アの種類によってブラウズする傾向が違う、というのはなんだか研究ネタになりそうだが、不幸にして私はそうした地道な研究をするだけの力がない。さてどう しましょう。

それと同時にこのプログラムを作り始めたときからとりつかれている妄想も顔を出す。例の「リストに並んでいる音楽がまるでDNA(だったか?)のような塩基配列のように見える。それに別のリストが結合されると元のリストの変奏曲ができあがるのであった」というやつだ。

こ うやって文字にしてみると頭がおかしいとしか思えないが、とにかくそんなことを考えていたのだ。この妄想のかけらが再び顔をだしたところで思いついた。メジャーな要素(ジャンルとかアーティスト名)は異なるけどマイ ナーな要素(題名中の"Dear”とかいう単語)を共通して持つように曲をならべたら面白いんじゃないか、と。つまり「離れているけど、妙な単語でつながっ ている」曲のリストは面白いんじゃないかとおもったわけだ。

そう考えるとさっそくごそごそ作り始める。アルゴリズムを考えているうち「これってよく使われているIDFのこ とではないか」と思うがもう少し単純化したアルゴリズムを実装する。動かしてみる。とりあえず意図通り動いている気はする。しかしうれしくない。使ってみ ても大して楽しくないのだ。しかしもう時間切れ。とにかくこれで論文を書き、ビデオを作成する。

さて、前述した通り今年から私はWISSのプログラム委員というものになっていた。と いうわけで書いた論文を査読してもらうだけでなく、自分で査読をする方にも回った訳だ。8月末に論文を出すと、今度は査読する論文が指定される。それを読みあれこれコメントを考える。自 分も査読されるとわかっているから、どこかコメントは論文書いた人間に配慮したものになる。今頃私の論文は誰が読み、なんとコメントをつけているのだろ う。とかなんとかやっているうちに

「みんなで集まって、どれを通し、どれを落とすか相談する会議」

の日がやってくるのであった。

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注釈