題名:私のMacintosh

PowerMac 7500

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日付:2000/5/20


18章:Power Mac 7500

さて、200年の4月から、私はある種の妄想にとりつかれはじめた。ただでさえ妄想に捕らわれる、というのはありがたいことではない。おまけにこの妄想が多岐にわたっていたことが状況をより悪くした。

 

まず頭に飛来したのは、SETI@home用に専用のマシンを追加する、という考えである。こうして書いていてもなぜこんなことを考えたのかはわからない。あるいはあまりに楽しみが少なく、先も長くはない人生であれば、多少妙なことでも勝手にしようと思ったのかもしれない。

 

ではなぜSETI@homeにマシンを追加することが「人生における楽しみ」になりうるか。

SETI@Support Ver0.7からそれまで点でしか表現していなかった「観測範囲」を実際にアンテナのビームが空をスキャンしたエリアで表示するようにしたことが引き金だった。それまで点在しているシンボルとしか思えなかったデータが、にわかに

「うまくつなぎあわせていけば連続した直線になりうる」

データになったのである。(つまるところアレシボ天文台のアンテナは連続的に空をスキャンしているわけだから、全部つなげれば連続した曲線になるはずだ。)

 

このことに気がつくと、SETI@homeをやりながら、まるでジグソーパズルをといているような気分になる。少しだけ位置が離れたデータがあると

「ああ。この間にはまるデータを解析できればここが直線でつながるものを」

などと考えたりする。ではそのデータを、などといってもそうは都合よく話しは進まない。ジグソーパズルの欠けたピースであれば、よくよく探せてばでてくるが、空のジグソーパズルの隙間を埋めるためにはとにかくたくさんのデータを処理するしかないのだ。

そしてこのSETI@homeの解析は基本的には並列処理だから、処理するマシンの数に比例して処理数は増える。つまり

隙間を埋める=たくさんのデータを処理する=処理用のマシンの数を増やす

なのである。

さて、かくのごとく私は「SETI@home用専用マシンをセットアップする」という妄想にとりつかれた。そうはいっても私がこの種のことを考えるとき、あれこれの妙な制約が存在するのである。新しい電機製品を購入するさいにここ数年一貫して私にとりついている脅迫観念というのがある。それは、

「場所をとらないこと。軽いこと。機能が重複するものは保有しない。」

というものである。思えばQuadra700を売り払い、Duo280に乗り換えたときにも同じ妄想にとりつかれていた気がする。このうち「機能重複を避ける」脅迫観念のおかげで、今や大坪家には専用のTVすらないような状態なのである。(PCカード経由でPB2400がTV代わりになっている)

上記の脅迫観念に加え小心者だからとにかく「高い機械は買いたくない」とも思う。さて、かくのごとき制約条件の下でどのような選択肢があるだろうか。

 

まず最初に考えたのは「ノートパソコンを買う」であった。ノートであれば、軽量であり、場所をとらないから最初の二つの条件にはフィットする。しかし3番目の「機能重複をなくす」にはひっかかるのである。ノートパソコンにはどれにも液晶とキーボードが付属している。しかしそれらはもう私の部屋にも必要十分に存在しているのだ。

 

そうはいっても私はかなりこの可能性を追求した。候補にあがったのはSOTECの低価格Laptopで13万円台のものとiBookである。iBookも中古になれば結構価格がさがるだろうし、おまけにそのSETI@homeの処理能力は400MHzのPentiumIIにも劣らないのである。

しかし考えてみればただ SETI@homeだけのためにそのスタイルで知られるiBookを投入するというのはかなりへんなことかもしれない。

 

そんなこんなと考えながら、私はしばらくこの妄想に取り付かれた。そして実際にパソコン屋に行ってSOTECのマシンを見るところまではいったのである。しかしさすがに「13万円」という数字を見るとわれにかえる。ちょっとまて。おれは何をしているんだろう、と。

この金額は「ぽん」と払うにはあまりに大きな値ではないか。

 

それから中古のノートパソコンを見たりあれこれした。実用的な処理能力をもっていて、かつノートと名がつく限りにおいては、どうやら13万円が底値のようだ。では私はどうすればよいか。

そこから私はあれこれ考えた。ノートは高い。おまけに液晶とキーボードは機能が重複している。なぜデスクトップではいけないのだろうか。昨今は、大変小さい省スペース型のデスクトップが10万円をきる価格で販売されているではないか。

問題はディスプレイとキーボードである。キーボードはまあ我慢するとしてもディスプレイはなんともならない問題だ。大きなCRTは論外だし(16inchディスプレイを運んで腰が抜けそうになったのはもうかれこれ8年前のことなのだ。)液晶ディスプレイをそのためだけに購入するという気もしない。

そんなことをもんもんと考えているとき、ある広告が目にとまった。

 

三菱電機から発売された15インチのTV兼コンピュータ用の液晶ディスプレイである。私はパソコンをTV代わりに使用していたが、最近さすがにこの両者を兼用するのは無理がある、という気がしてきた。とはいってもこの15インチの大きさは大きすぎるし、価格もちょっと高い。もうちょっとやすいものはないだろうか。。と思うとなんとこの15インチの前に12インチが製品化されていたらしい。私にはこれくらいの大きさで十分だし、価格も7万程度のようだ。

 

私はしばらくパソコンの妄想からはなれて、この液晶ディスプレイの妄想にとらわれはじめた。そしていつもいく電気屋にその「12インチ」があるのを発見したとたん、衝動的にそれを購入したのである。

「あまりに衝動的であっただろうか」と思いながら帰宅し、セットアップしてみるとなかなか好調である。7万円の価値はあったようだ。

さて、それとともに私は以前考えていた「ディスプレイ調達の問題」が解消されたことにも気がついていた。この製品はコンピュータ、TV兼用が売りなのである。となれば高いノートパソコン構想とはおさらばだ。ではできあいのデスクトップを買うか。しかしここで私はまたもや「機能重複を避ける」脅迫観念にとりつかれはじめたのである。

たいていのパソコンにはフロッピドライブとCD-ROMがついている。しかしフロッピだのCD-ROMドライブだのはもうすでに私の部屋に存在しているのだ。おまけにSETI@home専用機であるから、これらはあったところで無用の長物となる。必要なのはLANとインターネットの接続だけであり、新しいソフトをインストールするなどは考えてもいない。となればこれらの部品は必要ない。ではどうすればよいか。

 

さて、ここで再び私の頭をひんまげたきっかけがなんであったのかはまったく覚えていないのだが、突如

「自作PCはどうだろう」

と思いはじめたのである。自作PCであれば好き勝手に部品をあつめればよい。私の脅迫観念がフロッピやCD-ROMを複数所有することを許さないのであれば、それらの部品を省くかあるいは異様にねぎったものを使えばよろしい。

さて、そうなると今度は「自作PC」の妄想にまっしぐらである。それまで自分でPCを組み立てることなど考えもしなかった私だが、まず本屋で雑誌をみてみると都合よく「自作PC入門」なる言葉がならんでいる。さっそく購入である。そうしてあれこれページをめくっている間に、「Dual CPU」という言葉が目にはいった。

 

その瞬間私は「これだ」と思った。前述したようにSETI@home の処理は並列処理だから、解析数をあげるためには高性能のCPU一つ使うより、普通の性能のCPUを二つ使ったほうが効率がよい。となればDual CPUというのはうってつけの選択肢だ。

おまけに市販のDual CPUマシンというのは大抵高級機で高額である。しかし私にとってみればCPUだけ二つあればいいので、他の部分はどうでもよい。となればかなり安く上げられるかもしれないではないか。こうであってこそわざわざPCを自作する意味があろうというものだ。

さて、そう思ってあれこれ調べるとこの「自作PC」なるものがなかなか面倒なものである、ということに気がついた。新しいものに取り組むときはいつでも「呪文」を覚えなければならない。私もこれまで考えもしなかったATXだのSLot1だのFSBだのの呪文に悩まされることになった。

しかしこれは新しいものに取り組む時には避けられないことだ、とあきらめることもできる。しかし問題は自作PCについて調べていると

「相性」

という摩訶不思議な言葉が何度もでてくることだ。どうやらこの「相性」が悪いと規格どおりの部品をくみ上げたとしてもそう簡単に動いてくれるとは限らないようだ。おまけにどうもその「相性」は経験則からしか学ぶことができないようなのである。その

「”相性”の問題で簡単には動かない機械をなんとか動かす」

ところに喜びを覚える人も確かに世の中には存在するのだろうが、幸か不幸か私はそうした感性を持ちあわせていない。おまけに何度か計算してみたのだが、自分でくみあげるとどう考えても20万円くらいにはなってしまいそうだ。

私は自分が20万円分のパーツを購入した上に「相性」の問題で起動しないパソコンパーツの山-を前に唖然としている光景を想像した。若いころであればこうした光景にも絶えられたかもしれないが、どうやら今の気力が衰えた私ではなんともならないようだ。

 

などということを考えもんもんとしていると今度は

「そうだ。きっとセミカスタムでパソコンのオーダーメードを受け付けてくれる会社があるに違いない」

という考えが頭に浮かんだ。そう思って前述した雑誌の広告をめくってみるとすぐさま数社が目に付いた。URLを控えておいて、翌日さっそくアクセスしてみるとだいたい15万円程度で私がほしいDual CPUのマシンが組みあがる計算である。おまけに彼らのほうで一応起動するところまでは確認はしてくれるようである。私は自分でパーツを組むことに対して何も執着を抱いていないのだから、無理して高い金をはらい自分で苦労するなんてことはしたくない。さっそく私は「自作PCへの道」構想を(頭の中の)ごみ箱にほうり込んだ。

 

さて、これで追加PCを購入するめどがたった。そう考えると私は札びらを切る前にしばらく沈思黙考したのである。はたしてこれを購入したら何がおこるか。

 

購入を予定しているPCのCPU処理能力を考えると、24時間運転させた場合だいたい1日に1CPUあたり3っつのWork Unitを処理できそうである。2CPUマシンになれば一日に6っつだ。1WUをSETI@homeのサーバーから受け取るのに3分かかるとすると1日に20分近くはSETI@hom のためだけにインターネット接続をしなければならない、という計算になる。私が使っているプロバイダであるところの@niftyは少し前に接続可能時間が2倍になったから一日1時間接続しても問題が、親愛なるNTTの電話料金は厳然として存在している。

となれば、いかにジグソーパズルをとくためとはいえ、それほどべらぼうに処理能力をあげても好い、というわけではなさそうだ。以前から腰がおちついたらケーブルTVにでも加入してついでに常時接続を実現しよう、と考えているが今のところ不幸にも腰がおちつく気配も存在しない(こちらのほうも親愛なるN○○のおかげなのだが)

 

さて、ここで私は一歩さがって考えることにした。もうちょっとやすくかつModerateな処理能力増強を図ることはできないだろうか?そう考えていたとき,これまたきっかけがなんだったのか覚えていないが、、Macintoshの中古をG3でパワーアップして使う、という妄想に取り付かれた。昨今二世代前のmacは3万円程度で手に入るらしい。これにG3アクセラレータをいれても10万円をきる価格でなんとかなりそうだ。そして一日に送受信可能なWork Unitの数を考えたとき、これくらいが適当だ、という気もする。

おまけにこれまた「機能重複」を極端に嫌う立場からすると好ましいのだが、Macを使った場合、PCを購入した場合にくらべてPC用のキーボード、マウスを購入する必要がないのである。(もうすでに昔買って今は使っていない奴をもっているからだ)

だいたいこのような妄想が頭の中でまとまると私はさっそく中古Mac購入にのりだした。最初はとにかくG3アップグレードカードが動けばいい、ということから、とにかくべらぼうに価格が低いPowerMac 6100,7100,8100シリーズを買おうかと思った。しかしそのうちあることに気がついた。これらの機種は拡張カードがNuBUSというものであり、これは当時実にすばらしいもの、と思ったのだが今や過去の遺物となりつつある。ということは仮にこのSETI@home専用マシンを購入したとして、他の用途に使い回す可能性が全くない、ということなのだ。

さて、この第一世代のPowerMacの後に発売された第2世代のPower MacはPCIの拡張カードが使えるようになっている。よくよくしらべるとこのPCIバスにも新旧の種類があるらしいのだが、NuBuSに比べて何かと使い回しが効くことには変わりがない。何かの拍子に私がUSBやFireWireが使いたくなったとしてもこれらの機種を買っておけばなんとか対応ができそうだ。

そう考えるとこの「SETI@home専用機」にももう少しまともな用途が存在していることに気がついた。あれこれ部品をとっかえたり、カードを差し込んだりすればあれこれ使い回せるかもしれない。おまけに第一世代用のG3アップグレードカードは確かに存在しているが、価格が高い。結局トータルすると第2世代の中古にG3カードを追加したときとあまり総額は変わらないのである。となれば結論は明白だ。

それから私はあれこれインターネットのサイトをまわったり、実際に秋葉原を回ったりした。そこで気がついたのは中古マシンというのは実に場所や店によって価格が異なる、という事実である。となればこれは労力をかけて少しでも安い店を探す必要がありそうだ。ばたばたとしたあげく、某中古Macintosh価格サイトの情報でPowerMac 7500が29800円というのを見つけ、早速注文した。あとは到着するのを待つばかりである。

 

さて、到着する日は5月の2日。連休突入の前日である。午後の8時から9時の間に配達してもらうように頼んだから、まず安心と思っていたら、その日に限って午後6時半からくだらない会議がはいった。私は例によってただ座っているだけなのだが、出ろと言われれば出なくてはいけない。しかし相手の説明に対して、全くそれを聞いていないような質問が何度も繰り返されるいたって私は会議室を出た。会議にはでるが時間つぶしにつきあう理由はない。

息を切らせて家にかえってみれば扉に紙が挟んである。時間は8時半だ。配達は律儀に8時ちょっとすぎに行われたらしい。これで5月3日の連休初日から旅に出る、という当初の計画はおじゃんだ。こうなれば開き直って翌日はこのマシンのセットアップに使ってみようではないか、と開き直った。

 

さて、翌日何をやるかというと、まずはメモリの増設である。買った状態ではメモリが16MBしかなく、これではシステムが立ち上がるのがやっとだ。なんとか64MBのメモリを一枚増設して80MBにすると次はあれこれソフトのインストールである。とはいっても当面使うのはSETI@homeと自分で作ったSETI@Supportだけなのだが。さっそくSETI@homeを実行させてみると亀のようなスピードで解析が進む。PPC601@100MHzではこんなもんだろうか。これでは1ユニット解析するのに50時間以上はかかりそうだな、、と思いながら翌日私は実家に帰った。

さて連休も終わりに近づきアパートに帰ってくると、750は律儀に解析を進めている。しかしやはり1ユニットあたり丸2日以上かかっているから、ようやく二つ目のユニットを解析しているところである。私は一旦解析を終了させ、電源を落とした。これまたあれこれ悩んだあげくに購入したG3@466MHzのアップグレードカードを取り付けるためである。

このアップグレードカードなるものもこれまでは全く関心がなかったものだが、調べてみると数社から発売されていて、おまけに結構価格が違う。この差異はかなり大きなもので、価格が高い物にはそれなりのメリットがあるのだろうが今ひとつその違いがわからない。となれば一番安い物でいいわけだ。しかしなんといってもG3@466MHzともなればどう考えても7時間台で解析をしてくれる、と思う。

さて、さっそくやってみると取り付けも簡単なら起動も簡単。ありがたいことだ。さっそくSETI@homeクライアントを動かすと、以前とは全く違うペースで解析が進んでいる。しばらく動かして解析終了予想時間を観るとだいたい9時間となっている。ちょっと長いような気がするがまあ結果を楽しみにしてみよう、と思ってその日は寝てしまった。

さて、翌日目が覚めるとまず解析状況のチェックである。もうかなりのところまで進んだだろうと思って(私の平均睡眠時間は8時間である)みるとなんとまだ半分も終わっていない。予想CPU時間は16時間だ。私は目をこすってみたが、この数字が変わるわけもない。

 

しばし唖然としたが会社に行かなくてはならない。その日は一日中(空いた時間にだが)何故こんなに時間がかかるのか考えていた。PB2400(G3@320MHz)でも最長で15時間で解析が終わるというのに、これでは高い金をはらってG3@466MHzを買った意味が無いではないか。しかし何が悪いのだろう。

帰ってあれこれ動作をチェックする。バックグラウンドで妙なアプリケーションが動いている気配はない。無用と思える機能拡張をはずしたが状況はかわらない。まさかと思ってアップグレードカードの動作周波数をチェックしたがちゃんとカタログ値がでている。となればあと考えられるのは、、

最初に起動したときからHDが今の基準で言うとかなり遅いことには気がついていた。容量が500MBという今ではお目にかかれないようなものだからしょうがないのだが、PB2400をG3カードでアップグレートしたときに、HDを変えるまでその効果を実感できなかったことが思い出された。しかしSETI@homeはそんなにHDにアクセスするプログラムではない。。となれば何が問題なのだろう。

しかし他に遅い原因が考えられなければそこを改良するしか手がない。私は某ショップの広告にでていた2.1GBのHDを注文した。「旧機種でも内蔵OK」と書いてあったからである。それとともに一つ気がついた処置をやってみた。もしHDが遅いとすると仮想記憶をONにしていることが想像以上に処理時間に影響を与えているかもしれない。どうせ他のプログラムは使わないのだから仮想記憶をOffにしてもそう問題はあるまい。さっそく仮想記憶をOffにするとその日は寝てしまった。

 

翌日たいして期待もせずに進捗状況を見てみると解析は数%しか終わっていない。一瞬目の前が白くなりかかったが、よくよく観てみると昨日始めた解析は終了して新しいユニットにとりかかっていることがわかった。(自動ワークユニットとっかえひっかえプログラムGSISを使っていたからだ)時間は8時間を切っている。すばらしい。仮想記憶を切るだけで解析時間は半分以下になった。ご機嫌になると私は会社に向かった。

 

さて、アパートに帰ると注文していたHDが届いた。さっそく内部にとりつけ、フォーマットその他を実行である。このPowerMac 7500という機種は外見がどうしても好きになれないのだが(あのIll fated IIvi, IIvxを連想するからだ)内部のアクセスの簡単さは実にありがたい。工具を一つも使わずにほとんどどこにでもさわることができる。しかし正直に言えば最初に分解の仕方を見つけるまでには、何本か無駄にネジをはずしてしまったのだが。。もっと正直に言えば最初の一歩、つまり一番大きなカバーをはずす方法を見つけるまでに15分ほどかかってしまったのだが。

さて、HDの交換は実にうまくいった。3.5インチのドライブベイに収めるのも(つけ外しの方法を発見した後では)簡単だった。この成功に気をよくして私はそれまで頭の底にくすぶっていたある構想を実現に移すことにした。

 

この7500を選ぶ時に「あれこれ使い回しができるだろう」と思っていたがその「使い回し」の第一段として、CD-ROMをCD-Rに載せ変える、というのがあったのである。私はもともと光ディスクの愛好者で、CD-Rには全く興味がなかったのだが、昨今のCD-Rメディアの価格下落には目を見張る物がある。おまけにCDは光ディスクより薄いから保管にも場所をとらない。これはバックアップ用に使えるかもしれない。

そう思ってMacintosh用の内蔵CD-Rを探すとこれがあまりないのである。IBM-PC用には山ほどある、というのにだ。正確に言えば最新のBlue&WHite G3や、G4用のATAPI接続の製品はあるし、SCSI接続の製品も一種類だけ存在していた。しかしそのモデルはかなり前に製造中止になってしまっていてなかなか見つけることができない。

となるとチョイスは一つしかない。Windowsマシン用、と書いてある機種をだめもとで搭載してみる、という道だ。とはいっても闇雲に試してみるほど私はギャンブラーではない。あれこれCD−Rのカタログをみてみると同じような型番で(末尾だけがことなっていて)外付け用にはMacintosh版があり、内蔵用はWindowsマシン向けのみ、というシリーズがいくつかある。何故内蔵用をMacintoshに提供しないのかはわからないが、ひょっとすると内蔵用と外付け用は同じドライブを使っていて、ケースを付け足しただけかもしれない。となればそうしたシリーズの内蔵用であれば試してみる価値がありそうだ。

 さて、私が行く某ショップには中古品コーナーがある。その中にそうした「外付け用はMacintosh版があるが、内蔵用はWindows向けだけ」の内蔵用中古品があった。キャラベル社製RW-6XRFBSという製品であり価格は12000円だ。この製品自体はDOS-V用で、Macintosh用のドライバソフトを買わなくてはならないからさらに10000円必要。さて22000円の賭をはる元気があるか?その週の水曜日私はこの会社にきてからおそらくは2度目の楽しい宴会に出席し、自分の人生には少しは意味があるのかもしれない、と思うようになり、そして土曜日の朝一番にその賭にのりだしたのである。(ようはご機嫌になり衝動的に妙な事をした、ということである)

 

さて、まずは内蔵のCD-ROMを外してつけかえ。CD-ROMドライブとして使えるかのチェックである。例によって配線は簡単(Audioケーブルは他のWeb Siteで学んだ通り接続できないが、元々内蔵CD-ROMで音楽を聴こうとは思っていないから問題はない)である。問題はドライバだ。

PB2400に外付けCD-ROMをつけたときからこのCD-ROMのドライバというものには悩まされている。AppleのCD-ROMドライバはApple純正のドライバしか認識してくれない。となれば他のドライバを探さなければならないのだがまさかMacintosh用のドライバが付属されているわけもない。さて、これまたWebをあさってみるとCD Sunriseなるフリーのドライバが有り、大変評判がよいようだ。これを使ってみるべえかと思いシステムフォルダに放り込んで再起動。起動までは問題ない。どこどきしながらCD-ROMを放り込んでみる。

どきどき待つこと一分あまり。私はとうとう避けられない現実と向かい合うことにした。このマシンはフリーズしている。がっかりしながら強制的に再起動した(実のところ電源ケーブルをひっこぬいたのだが)

何度か同じ様な試みをしたあげく、私は半ば自分の賭が負けに終わった事を覚悟していた。しかしできることはやってみなければならない。PB2400用に以前購入したCD-ROM Tool KitのCD-ROMドライバをインストール、再度チャンレンジだ。

再びCD-ROMを放り込む。待つこと数十秒。私はまた電源コードを引っこ抜こうかと思ったそのとき画面が変化した。なんと今度はちゃんと認識されたではないか。これで少なくとも通常のCD-ROMとしては使えることがわかったわけだ。となればまるっきりの無駄ではなさそうだ。さて次はCD-Rとして使えるか。。

 

こちらのほうはあっさり成功した。ただし書き込み(というか書き込み後の検証に)に時間がかかることには驚いた。さて、これで私はSETI@home専用機に他の機能も付加することに成功したわけだ。いぜんはデスクトップとノートで使い分けができずに結局ノートだけにしたわけだが、今回はうまく使い分けができそうだ、、と思ってはいるのだが。

そう自分に半ば言い聞かせるような感じで使いだしたこのCD-R/Wつき7500だが、この判断が思ったより正しかったのではないかとそのうち思い出した。CD-Rを作成する作業というのはかなり長時間を要することはもちろん、その間中コンピューターを占有する仕事である(少なくともMacintoshでは)ことに気がついた。もしこれがPB2400に外付けCD-Rをつけて作成していたのでは、その間中何もできずに大変困り果てていたところだ。しかし7500を使うのであれば、SETI@homeの計算がそれだけ遅れるくらいで対したフラストレーションにはならない。

さて、今度は何をしようか、、まあそれはのんびりと考えることにしよう。 

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注釈