題名:Java Diary-78章

五郎の 入り口に戻る

日付:2006/11/21

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Goromi-TV Part13:未踏最終報告

中間報告が終わると、2月末の最終報告に向けてあれこれ改善を加えることになるのだが、ここは当時書いていたメ モを引用&解説することで代えてしまおう。というか自分で読み返してみて「これは何のことだ」というものもあるのだが、まあそこは想像力で補って適当に書 いてしまう。

2006/1/7

特徴量を検索に取り入れるようになり、全データを使って試験。確実に全体のスピードがはやくなっている。これで動画を表示するタイ ミングを遅くすれば問題ない速度になるはずだ。

いかん、これは面白い。とにかくじゃかじゃか観てしまう。楽しいったらない。ただ問題もいくつか見つかる。大きいのは関連キーワー ドの抽出。何 が問題かと言うと、関連した番組全体から抽出しているために、表示されているものとはかけはなれた物が表示されてしまうことだ。これはどちらにしても改善 しなくてはならない。

あと単語の表示位置等。。しかしこれは面白い。

賀詞交換という名の社長の演説会の間、各プログラムの表示をどうするかずっと考えていた。そろそろ手を動かそう。

(解説)

書いた本人にも意味不明な部分が多くて困る。一つだけ分かるのは意味のない会議の間(というか社長の演説)あれこれ作っていたこと。もう一つはため込んだ映像データを閲覧することが可能となって、喜んで使っている自分の姿だ。

2006/1/10

休みなので家であれこれため込んだビデオを観る、、、はずが問題があれこれ表面化する。まずビデオ表示時にいきなりプログラムが停 止することがある。これは困る。だいたい「をを、これはおもしろいぞ」と思っているところで停止されるととても腹がたつ。

もう一つは、仮にムービーがうまく表示されていても、そのうちOutof memory errorが表示されプログラムが停止されることだ。こちらは原因は分かっている。検索された番組情報では写真のデータを景気よく表示してくれる。それ自 体はいいとして、問題は一度表示した写真のデータをいつまでも持っておくことだ。確かに再表示する時早くなるのだが、メモリも景気よく使ってくれる。

いずれにしても使っていて楽しくないものは作る気がしない。なんといっても私は自分が楽するためにあれこ れ作っている のだ。というわけで改善点だけがたまっていく。しかしこれを避けては楽しい生活は訪れない。避けなくても訪れないかも知れないが、とにかく避けては訪れな いことだけは確かだ。

(解説)

たった3日前に「これは楽しい」と思っていたプログラムに早くも絶望し始めていることが分かる。ここでは「楽しくなくなる」原因となる二つの問 題が挙げられている。このうち後者の「Out of memory error」の問題はだいたい解消されている。しかし問題は前者のほうで、ここから10ヶ月たった今日でもこの問題は私を悩ましてくれる。

2006/1/11

仕事の陰であれこれごそごそ作る。何をしたかと言えば、今まで表示されるビデオの数を4っつに固定していたのを上下にスクロールす る方式にあらためたのだ。

これは今までに何度やったかわからないが、未だに問題が多数発生する処理である。理由はと言えばもちろん私が馬鹿だからである。途 中「これは駄 目かもしれん。元にもどうそうか」と思ったところでなんとか動き出した。それに合わせてMoreとOtherの処理を替えなくてはならない。とりあえず動 き出したところでこの日はおしまい。

1/12

まずムービーの読み込み方を変えてみる。すくなくとも動画を観ている最中に止まるのだけはなんとかしたい。次に一度表示からはずれ た番組情報 は、画像を捨てるようにする。しばらくの間動かしておいたが、Outof Memoryはでなかった。これで少しは快適に使えるかも知れない。ただ履歴表示機能がおかしくなったがこれはすぐ直せる。

1/13

朝出張先に向かう電車の中であれこれ作る。最近頻発してた

「番組を指定しても動画が表示されない」

問題をあれこれ調べていたのだが、なんと動画の場所をちゃんと指定していなかったことがわかった。Quicktimeのせいかもし れん、とかあれこれ調べたのだが、やっぱり一番馬鹿なのは私なのであった。

MoreとOtherも新しい表示方法で動くようになる。動画を表示し始めるタイミングを替えたことで動きがスムーズになった、と 日記には書いておこう。

(解説)
先ほどの中間報告会で指摘を受けた「動きをなめらかにする」ことをあれこれやっている。自分がユーザーになっているので、とにかく動きをスムーズにすることにこだわっている。がたがた動くと楽しくないからだ。

ってな感じであれこれやっているうちに、2月27日の最終発表会が迫ってくる。最終であるからあれこれ納品物をまとめる必要がでてくる。例によって納品物 の案内を見ると「こんなにあれこれ作らねばならぬのか」と絶望しかかる。しかし泣いていてもしょうがない。あまり細かい事を考えずに作り始める。プログラムを提出しろ、ファイル構成をリ ストにしろ、とか書いてある。まじめに考えると大変そうなのだが

「プログラムを納品したとしても、絶対IPAは起動しない」

と勝手に想定してファイルを一つの大きなファイルに圧縮して固めてしまう。これでリスト作成も簡単。もちろん納品したファイルをダブルクリックしても何も起こらないのだが、そこは気にしない。

などと手を抜くことができないのが「報告書」である。だいたいの章立ては指定されているからそれに従ってあれこれ書いていく。問題は全体の枚数だ。最初に もらった「書類作成のなんとか」に「50枚」とかいう記述があったようで、とてもびびっていた。そんなに書けるわけないではないか。というわけで以前実施 された未踏プロジェクトの報告書をWeb上で見てみる。するとそんなに長く書いているわけではないことに気がつく。そうだそうだ、これでいいことにしよ う、と思いごろごろ書いていく。全体で8ページくらいになっただろうか(表紙、目次のぞく)いったん書き上げまた読み直してみると大幅に重複している部分 があることを発見する。自分の愚かさを呪いながら削ると全体は短くなる。これではいかん、とまたあれこれ書き足したりする。私が参考にした報告書は、実は「抜粋版」であり本当の報告書はもっと長い、ということを知ったのは納品した後のことだからこちらも気にしない。

などとあれこれやっているうちになんとか形になる。いつまでも修正していてもしょうがないので適当な時期に提出してしまう。何か修正があるかと思ったが、 来たのはIPAに提出した後だった。最初に計画書を出すのだが、そこで「○○機能、△△機能、、、」を作ります、といっていた項目と今回の報告書の項目が あわないとのこと。いかにも事務的な指摘であるので、事務的に修正してものの30分で修正版を提出する。

とかなんとかやっているうちに最終報告の当日となる。場所は秋葉原に新しくできたビル。別のPMと合同の発表会、ということで今まで全く発表をしていない相手もいることになり少し緊張する。

最初に発表されたスケジュールでは私は午後一番の発表となっていた。準備に時間がかかる発表だからこれは幸い、と喜ぶ。しかし例によって例のご とく予定は未定なのである。何が理由だったか忘れたが、発表の順番を入れ替え、午前中の最後にやってくれ、ということになる。うげげげと思いながら了承す る。前の 人が発表している最中にハードディスクとかパソコンとか抱えて前の方に移動する。さて前の人が終わった、というわけであれこれセットアップを始める。ここ で外付けハードディスクを認識しない、というのは今までずっと悩まされてきた悪夢だがあっさり認識される。次の懸念事項は「デモ中にシステムがハングアッ プしないか」である。前述した「いきなり落ちる」問題の一つは解決したが、もう一つは不明のままだ。いつシステムがこけるかは確率の問題でしかない。

などと言っていても始まらない。とにかくプレゼンテーションを始める。途中で今回共同で報告会を主催しているPMが居眠りをしているのが見える。そうか、 そんなに私の話は退屈か。というかこれは未踏ソフトウェアの仕組みがうまく行っている事を示しているのだと思う。このPMが採択したプロジェクトの説明も 聞いたが、おもしろいものもあれば「何だこれ」というものもあった。そういう異なる意見の平均をとれば話は丸まったものばかりになるが、この未踏ソフトは 誰か一人が「おもしろい」と言えば採択されるのがいいところだ。

などというのは後で考えた事。とにかく説明するのだ、というわけであれこれしゃべる。幸いな事に別のPMを除いてはちゃんと顔を上げて聞いていてくれるようだ。

というわけでシステムがハングすることもなく無事プレゼンテーションは終了した。質疑応答の時間になる。別のPM発表関連で、私が出入りしている研究業界で大変有名な人が最前列で聞いていた。その人から

「これにUndoの機能はないんですか」

と言われる。私は瞬時に

「つけます」

と答える。実際

「あ、今のよかったのに」

としょっちゅう操作をした直後に感じていたのである。これはこれで人間の行動に関する深い思索を誘うものかもしれないが、そんなことに思いをはせている暇があればUndo機能を実装しよう。他にどんな質問をもらったかすべては覚えていない。もう一つその有名な人から

「表示とかが遅いようですが、どの程度必死に作ってますか」

と聞かれる。こうやって文字にしてみるときつい言葉のように思えるが、その「有名な人」は有無を言わせないすごいソフトを作る人だから、あっさりと白旗をかかげる。

「”必死”の定義は人によって異なると思いますが。。」

とかなんとか答えにならない答えをする。というか私が必死にやってもその人から見れば「児戯に等しい」というものだろうし、(実際それくらいすごい人なのだ)それについて今更異論を唱えてもなんともならない。

といったところで無事プレゼンは終了した。やれやれとパソコンを片づけ始めたところでプログラムがハングアップしていることに気がつく。最後にこけたか。し かしまあプレゼンは終わったから気にしないことにしよう。その日は他の人の発表を聞き、最後に「デモセッション」の時間があった。プログラムを立ち上げ来 てくれた人とへらへら会話する。その後の宴会でご機嫌だったこと。これで未踏もおしまいだ、、とはならない。未踏プロジェクトに採択された人間はIPAが 年に一回行っている展示会に「たった」3万円で出展できる。(もしこうしたコネなしで出展したら数十万はとられると思う)調子にのった私は後先考え ずその展示会に申し込んでいたのである。

かくして未踏ソフトの期間である2月が終わってもしょこしょこプログラムの改良を続ける。展示するためでもあるが、何よりも自分が使っていて楽しくないところをなんとか直そうと努力する。

そんなことをしているうち、PMからメールが来る。スーパークリエイターに推薦したいと思いますがいいですか、との打診だ。このスーパークリエイターとい うものに選定されると、もう未踏に応募することができなくなる。(そもそも未踏への応募は2回が限度なのだが)しかし私は「喜んで」と返事を出した。この ようなチャンスが2度以上あると思うほど私は楽天的ではない。

4月12日にはIPAから「まだ正式には決定していないけど、とりあえず授賞式の準備に必要だからあれこれ教えてね」というメールがきた。認定授賞式に出 席するか否か。レセプションに出席するか否かを問われた私は両方 にYesと答える。しかし後で知ったことだが、ここでは本当に「スーパークリエイターに正式には決まっていない」のだった。話はまだまだ続く。

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注釈